Étiquette : Sylvere TRICHARD
26
Sep
Par 伊藤與志男
Publié dans Winery, Beaujolais, Jura
独立したのは2012年、お祖父さんの畑を受け継いだ。 でもワイン造りの仕事は16年ほどやっている、結構な経験者でもある。 サヴォワ地方のDominique Belluardで修業しいた。 シルヴェールに最も影響を与えたのはボジョレのLapaluラパリュである。 10年ほど前から、ラパリュのところに醸造家志望の若者達が集まってくるようになっていた。 その中の一人がこのシルヴェールだった。 シルヴェールはラパリュのワインに感動していた。 体に負担がかからなく、スーッと入っていく透明感が好きだった。そんなワインを造りたかった。 栽培・醸造の超一流の仕事師ラパリュのやることを学びたかった。 『醸造の時に現れるすべての現象の原因は、畑仕事からきている。 醸造時にそれをカバーしようと思うな。』 『すべては畑だ。キレイで健全な葡萄を育てて、健全な葡萄だけを発酵槽にいれれば、 酸化防止剤(SO2)など添加する必要もないし、自然酵母だけで問題なく発酵する。』 シルヴェールはこれを実行している。 シルヴェールの畑は醸造所の目の前に広がっている美しい景観。 醸造しながら畑も見える。葡萄達にとっては、自分が育った畑を見ながら、ワインに変身していく。 こんな素晴らしい環境の中で、自分の好きなワイン造りに没頭できて最高だ。
7
Sep
Par 伊藤與志男
Publié dans Winery, Beaujolais
2013年が初リリースというのにパリのワインビストロでは既に大人気。 自然派ワインに巡り合ったのは2003年、ジャンクロード・ラパリュのワインを飲んで驚愕。 シルヴェールは伯父さんのところで10年間、ビオ栽培の研修を兼ねて働いていた。それまでは自然派ワインを全く知らなかった。 シルヴェール 『ジャンクロード・ラパリュのところに若手醸造家の友人達と行った時、タンタンションを飲んで驚いた。こ、これがボジョレー?伯父さんが造っているボジョレとは全く別の飲み物だった。素直に美味しかった。』 『自分が造りたいワインはこれだ!!』 自然派ワインを知ってしまったシルヴェールは、もう人生が変わった。 自分のやりたいことが明確になった。 伯父さんのところで働きながらも、時間さえあれば、ジャンクロードのところに行って手伝って勉強していた。 5年前に伯父さんの畑を引き継いだ。自分のラベルで瓶詰したのは13年が最初。土壌、畑仕事に関しては、もう15年以上の実施研修でプロ。 醸造はジャンクロードの見様見真似で試作を繰り返して13年が過ぎた。 センスがいいシルヴェールは初リリースから物凄いワインを造った。 2016年は、一時はどうなるか!?と心配だったけど結果的には 近年稀にみる素晴らしい葡萄が収穫できた。 何事も終わってみなければ分からないものだ。 6月、7月は雨と湿気で病気が蔓延、その上に今年は3回も雹が降った。 もうダメだ、と思っていると8月は連日の記録を超す程の晴天が続いた。 まさに、逆転ホームランという感じだった。乾燥で病気は一挙に乾いて 終わってしまった。今度は逆に天候が良すぎて35度という太陽が照り続けて水不足ぎみだった。そんなところに9月に雨が降ってまたまたまた、逆転スリーベースヒットというか感じ。最後には酸を残しながら葡萄が熟して非常にバランスの良い葡萄を収穫。 収穫は仲間達が集まって行われている。ほぼ同年齢のワイン好きが集まった。 暖かいホワッとした雰囲気が流れている。 葡萄の状態もいいし、収穫する立場から見ても良い葡萄を取るのは気持ちがいいものだ。 極力、ストレスなくいい雰囲気に収穫が進んだ方が良い。 収穫で大切なのは、第一に良い葡萄だけをとること。 だから、若干のトリアージ(悪い部分を切り取る作業)は厳しくやらなければならない。 第2あまりストレスのない状態で収穫すること。 ベテラン醸造家ほどストレスが多いことがある。 やはり色々なプレッシャーがかかったり、背中に背負うものが多くなってくるのだろう。その点、若手はまだ真っ直ぐにできるからいい。だからお美味しいものが多い。 シルヴェールの土壌は花崗岩だけではない。南ボジョレと北ボジョレの中間に位置したBALACEブラッセ村にある。砂状の中に細かな石英石が沢山混じっている。大変水捌けの良い土壌である。雨が降っても水がすぐに浸透していく。繊細なワインが期待できる。 6月、7月の湿気の中でも、他の土壌よりも病気が少なかったに違いない。 8月の晴天で一挙に畑が乾燥してベト病も終焉したのはこの土壌のお蔭だ。 健全な葡萄が多いのに驚いた。 シルヴェールの造りは基本的にラパリュから学んだ。だから自然派のジュル・ショーヴェ方法を継承している。醸造中の雑菌の繁殖による失敗を避ける為に、収穫後に普通は葡萄を冷却する。その為の冷蔵コンテナを備えている。 しかし、今年は朝の気温が7度と低いので、朝収穫したものはそのまま発酵槽に入れている。午後、収穫したものは一晩冷やしてから翌朝に発酵槽に入れる。 発酵槽に葡萄を入れる作業は、ポンプを使うと葡萄が傷んで雑菌が繁殖しやすくなるのでポンプは使わない。 ベルトコンベアーで発酵槽の上部まで上げて重力で発酵槽内に落とし込む。 時間と手間はかかるけど、このような作業のお蔭で、発酵槽に酸化防止剤をいれなくても、雑菌が繁殖しない。 SO2(酸化防止剤)を多用すると自生酵母も死んでしまう。 SO2(酸化防止剤)を混入しないお蔭で自然酵母も元気で、自然酵母のみでの発酵することが可能となる。 畑で育った自生酵母のお蔭で、その地の特有の香り、風味がワインに表現できる。 自然派ワイン以外の普通のワイン造りは、収穫後、発酵槽にドサリとSO2を混入して雑菌を殺すと同時に自然酵母も死んでしまう。そこに人工酵母を混入する。 畑、そこの土壌とは全く関係のないとろ、研究室で培養された人工酵母を入れてワイン造りが行われる。ワイン造りの基本は酵母菌だ。 その酵母菌を他から人工的に造られたものを使用しては、工業製品と同じだ。まるでコカコーラだ。 そこの土壌の本来持っている風味は表現されない。スポーツの世界でいえばドーピンと同じこと。 6000年のワイン造りの歴史でこんな風に造られるようになったのは、60年前からだ。 大量生産で、そこそこ毎年同じようなワインを造る為にはいいだろう。 今朝、収穫した葡萄のジュースを飲んでみる。 果実味も豊富で酸もあり、潜在アルコール度数は12度前後。 2016年は、まさにボジョレらしい果実がタップリでアルコールが軽くて、酸も丁度よく爽やかでグイグイ体に入っていくスタイルになるだろう。 4日前に収穫した発酵槽を覗いてみる。本当に健全な葡萄のみしか入っていない。 葡萄房を取ってみる。ナマ温かい粒を食べてみると、粒内で発酵が始まっている。香りがたちこもっている。 何十億とも天文学的数の酵母が活発に働いている最中。 発酵の初期に働く自然酵母がワインの香りに大きく影響を与える。 この時期が大切な瞬間。 自然派ワインは手間暇が倍かかって、リスクも高い。でもシルヴェールはこれに人生を賭けた。 […]