2002年にボジョレからラングドック地方のコルビエールにやって来て、16年の歳月が流れた。 私はマキシムを最初から見てきた。 当時、やたら濃いスタイルのワインばかりしかなかった。 『私はコルビエールに行ってボジョレを造る。』とマキシムは云っていたのを思い出す。 デイジョンのワイン学校で勉強して、シャンパーニュのセロスSelosseで修業。 地元のあの見事なシャルドネを醸すPhilippe Valetteフィリップ・ヴァレットが親友。 勿論、ボジョレでは、マルセル・ラピエール、イヴォン・メトラなどに深い教えを享けている。 誰もがマキシムを注目して見守っていた。 マルセルもイヴォンも時々コルビエールまで応援にやって来ていた。 マキシムの葡萄園は広大なコルビエールのほぼ中心にあるDurban-Corbieresデュルヴァン・コルビエール村にあり、このコルビエールでは数少ないシスト土壌のテロワール。標高も高く酸が残る。 マキシムが来るまでは、ブルゴーニュ・ボジョレ方式のMCマセラッション・カルボ醸造をやる醸造家はいなかった。 マルセル、イヴォン指導のMCである。    10年程過ぎた時、マキシム自身の内部にも変化が起きていた。 このコルビエールの地でボジョレを目指さなくても、ボジョレの飲み安さ(ビュバビリテ)の部分を 大切にしながら、やはり、ここコルビエールの土壌、ミクロ・クリマを真っ直ぐに表現することの大切さに気づいた。 10年以上の自然栽培のお蔭で葡萄の根っ子は地中深く伸びている。 水不足による乾燥の年でも、地中深いところの水分を吸収できるところまで達している。 …