今、ボジョレの若手自然派ワイン醸造家の中では、飛びぬけたワインを造り上げているRemi・Dufaitreレミ・デュフェイトル。
ボジョレのガメ品種のメリットは、心地よい“軽快さ”にある。
単に軽快なワインを造る人は山程いる。
しかし軽快さだけでは、つまらない。
レミは軽快さと共に深味、奥行きを感じさせる果実味が表現されている。
特に、ボジョレーヌーヴォの美味しさは抜群である。
そして、驚くのは、猛暑の年でも、全く問題なく軽快さと深味のある果実味が表現されている。
まるでマジックのようだ。
その由来が、レミがとっている醸造方法セミ・マセラッション・カルボヌック醸造にある。
S MC(Semi・Maceration Carbonique)と略称されている造りのことである。
でも、ボジョレでは、殆どの醸造家がこの手法をとっている。
でもレミのようにはならない。
方法は一緒でも、細かな一つ一つに作業の精度が違うのだろう。
同じレシピで、料理しても、複数のシェフによって調理されれば、全く違う味わいになるのに似ている。
全体的には、同じような風味でも、繊細さ、旨味の深さが全く違ってくる。
原料である。葡萄を発酵槽に入れて、葡萄の皮から果肉の方に色(アントシアン)やタンニン、旨味成分が浸透していくのがこの醸造方法のメカニズムである。
その時の発酵槽内の環境つくり、マセラッションの時間の精度、レミの感性には色んなことが観えているのだろう。
あのホワっとしたやさしい果実味、軽快さ、心地よさは、レミ独特のバランスである。
醸造中に、レミが発酵槽の上に座って、ジッと発酵槽の内部を見ていたことがあった。
レミには観えているものがあるのだろう。
今年のボジョレは40度を超す猛暑の夏だった。
今年こそは、流石のレミも濃縮しているだろう、と思っていた。
ところが、今年も更に、心地よい軽快さと共にゆったりした果実味が伴っている。
もう天才、としか言いようがない。
レミは、今年で12回目の収穫となった。
2年前より、新しい醸造所を建てて、設備投資のお陰で、一段と清潔で仕事しやすく、しかも醸造所内全体の冷房完備と収穫後の葡萄を冷却する部屋も取り付けた。
収穫された葡萄が、蔵に到着してからの処理する順序と器具の使い方とスピードは、練りに練った、実に理に叶ったやり方だった。
もう完璧と云っていい。この設備になって、一段と繊細さが増してきたように思う。
レミの師匠はジャン・フロワールである。
今でも、毎日会っている。どうしても会えない時は、電話で必ず挨拶を欠かさない、とのこと。
それほどジャンのことを心酔して尊敬している。
レミのワインには、どことなくジャンのワインに通じるものを感じるのは当然のことだ。
レミにはもう一人、毎日顔を合わせている醸造家がいる。
一番近所の醸造家、ジャンクロード・ラパリュである。
チョットした時間があれば、即ジャンクロードの蔵にやって来るレミがいる。
まるで、お兄さんのように慕っている。
でも、ワインのスタイルは全く違うけど、ジャンクロードからは、仕事の手順ややり方を学んでいる。
今年も収穫はLaurenceローランスが35人の若手ばかりの収穫人を連れて収穫を取り仕切っていた。
9月2日から35人で、約2週間の収穫をしたとのこと。
一つのニュースがあった。今年から、いくつかのキューヴの醸造をローランスが手掛けたようだった。
楽しみだ。
もうじき、ヌーヴォーの解禁が近づいている。今年も、レミ・ヌヴォーは外せないでしょう!