5
Mar

驚きの才能を備えた新人Yoan REGAヨアン・レガ! irréel試飲会

多くの才能ある新人達が誕生している中でも、ひと際、私の心を動かした新人がいた。 Yoan REGAヨアン・レガである。 19年に初リリースしたばかりにもかかわらず、ここまでのワインを造り上げたYoan REGAヨアン・レガには驚くばかりだ。 造りも、たった数年の経験でかなり複雑なことを行なっていて、これだけのバランスのいいワインを造り上げている。 天才的な閃きがあるのだろう。 今のセンスある若手醸造家達が手掛けている複雑なワイン造りを、見事に成功させているのである。 除梗せず全房の葡萄を発酵槽に入れてマセラッション・カルボニック醸造方法と、葡萄を除梗したトラディション醸造方法を折衷させた造りに挑戦している。 また葡萄を直プレスしてジュースのみを絞り、醸造中の発酵槽に加えてワインの濃淡を調整しながら、軽快で飲みやすく、それでいて質も備えているバランスのいいワインを造り上げている。 料理の世界でたとえるなら、フレンチを基本に和食の技を使って料理の濃淡を調節していることに似ているかもしれない。不自然に濃い料理でもなく、薄っぺらな料理でもなく、色んなインスピレーションをもとに工夫して造る創作料理のような印象も受ける。 それでいて、大切なバランス感覚に長けているのが彼のスタイル。ヨアンのワインには、濃淡の絶妙なバランス感覚が生きている。 パリで10年間ほど音楽ジャーナリストとして活躍していたヨアン。ジャズが好きでもある。 この閃きは、ジャズのインスピレーションのような感覚もあるのだろう。 基本的にヨアンは、あまり濃すぎるワインは好きではないそうだ。 でも内容の薄い、単なるスイスイ・ワインは造りたくないと言う。 そこで、いろんな醸造家仲間達がやっていることを見たり、聞いたりして、即それを取り入れたり試行錯誤をしたりしながら、自分のスタイルを模索しここまでたどり着いたのが彼の凄みだ。 短時間でここまでたどり着いたということは、これからがますます楽しみな醸造家とも言える。 ★Le plus Cool des JE T ‘ AIME ル・プリュ・クール・デ・ジュ・テーム フランスの有名歌手、Juliette Armanet の作品に出てくる歌詞。 『ル・プリュ・クール・デ・ジュ・テ ーム』とは、『最もクールなアイ・ラ ヴ・ユー』という意味。もっとも軽快で愛らしいワインって感じ。 砂質土壌の区画の葡萄。造りは、1)シラーとメルローの醸造中のタンクからフリーランジュースを抜き取ったもの。 (2)メルローとシラー、グルナッシュも収穫後に直ぐダイレクト・プレスでジュースを絞っり、つまりカモシ(マセラッションはなしで、軽快なワインを造りたかった。砂質土壌も優しいスタイルに貢献している。 ―――― ★RENCARD ランカール “Rencard”とは“待ち合わせ”の意。このワインは、ドメーヌにある色んな葡萄品種を使うので、葡萄と葡萄の待ち合わせという意味からこのキュヴェ名に。 土壌は砂状の区画に育つ60歳の古木シラー品種が主体。 造りは、3通りの処置をしている。 (1)シラーを除梗して破砕もしてトラディション醸造で7日間のカモシ(マセラッション)。シラー主体だから結構、色合いもワイン質も濃縮感あり、濃縮し過ぎを避けるために、(2)グルナッシュ品種を、除梗なしの全房で仕込むマセラッション・カルボニック醸造で7日間のカモシ期間で果実味を強調したワイン、(3)そしてメルロー品種を収穫後にダイレクト・プレスでジュースにして、さらににシラー品種、グルナッシュ品種、ムルヴェードル品種を同じプレス機でダイレクト・プレスしてジュースにして、この@2つのジュースを1と2の発酵槽に混ぜて、軽快とフレッシュを演出。最終的にすべてをブレンドすると、果実味たっぷりでほどほどの濃縮感と軽快さのあるワインのスタイルになる。  ―――――― ★TADAAM タダーム 『タダーム』とは、主役者が舞台に登場した時に云う犠牲音で、日本語でいう『ジャジャーン』の効果音。 やっと本格的なワインが出てきたよ!の意。 (1)砂状の土壌、1~60歳のグルナッシュ品種が主体で、除梗なしの全房でマセラッションカルボニック醸造で12日間のマセラッション(カモシ)を行い、そこに収穫したグルナッシュ品種をダイレクト・プレスを変えたジュースを足して濃くなりすぎのを避けている。 (2)メルロー品種とシラー品種を除梗なしの全房でマセラッション・カルボニック醸造で12日間のマセラッション(カモシ)。 (3)シラー品種を除梗なしの全房で、軽く破砕して、解放したは発酵槽で7日間のマセラッション(カモシ)。 最終的に1~3の醸造方法でできたワインをブレンドして完成。 まさにこのドメーヌのサブ主役的存在の濃縮感もあり果実味もあり、ほどほどの繊細さもあるワインになる。 ――――― ★TENUE DE […]

4
Mar

フランスで1~2月に行われる恒例の自然ワイン試飲会が開催された!

自然にワインを造る醸造家達が、それぞれの哲学と情熱が合う組織ごとに、大小合わせて約20か所の試飲会を別々に開催された。 前半は南フランスのモンペリエMontpellierの街を中心に10か所ほどで行われ、中間にアルデッシュ地方にて一か所、後半はアンジェAngersの街を中心に10kか所ほどで行われた。 . まるでトライアスロンのような壮絶なテースティング激走の10日間でした。 . 数年前までは、2~3か所で行われていた程度の時期からみると、この自然派ワインを造る人達が急増しているのと、確実にワイン業界の一角に食い込で、もうこのジャンルを無視してワイン業界を語れない時代になってきているといえる。 それぞれの試飲会に、やって来るバイヤーも世界中から、色んな分野の人達がくるようになっている。 人気の試飲会場では、お目当ての醸造家のブースに近づくのに10分ぐらいかかってしまう程に混雑している所もあった。 . この世界が拡大している事に嬉しく思うと同時に、ますます“本物”を見抜く力としっかりと継続できる力を確立していかなければならないと思う。 . 多くの新しい造り手の中には、どう見ても欠陥のあり過ぎるワインや、研究心が足りない造り手達もあった。 いわゆる、“自然”を強調すれば売れるだろう、とこの世界に入ってくる造り手達もいる。 . また逆に、確かに美味しいワインを造る能力をもっているけど、価格設定がまるでグランクリュ並みの途轍もない高額にしてマーケティング的な手法を使ってブランド造りに専念している蔵元も増えてきた。 色んなタイプの醸造家、ワインが次々と誕生している。 ひと昔前の自然派といえば、まるで奇人変人といえるような特徴的な人間性を持つ人達ばかりだったけど、最近の新しいナチュールを目指す醸造家は、元学校の先生、元コンピューター技師、ジャーナリストなどといった人達が増えている。 でも、元々ナチュールワインが好きで、ワインを飲み込んでいたり、好きな醸造家のところに出入りしていて、強烈なPASSIONをもってワインを造りを始める達が多い。最初からエッと驚ような美味しいワインを造る人もいる。 また、今までよく知っている醸造家が、突然何かに目覚めて、大進化して、とびっきり美味しいワインを造り出すこともある。 そんな造り手達やワインと一挙に逢える嬉しいチャンスが、この時期の試飲会である。 だから、この時期は、体力の限界までフル活動でテイスティング・トライアスロンに挑戦する意義があるのだ。 本当に頑張っている素晴らしい造り手と話したり、心が揺さぶられるワインに出逢うと、疲れがすっ飛んでしまう。 この感動のために私は生きているんだな、と思う。 感動するワイン達を、日本の皆さんに紹介できて、そして皆さんと感動を共有できたら、それは本当に嬉しいことだ。 さて、そんなワインを求めて、約2000種類程のワインをテースティングしてきました。 もちろん、細かなチェックができるわけはありません。 私なりの経験に基づいた判断方法があり、私はスピーディーにチェックする術を身に着けています。 これだ!と思ったワインを判断するのが私の役割です。 . そのワインが売れるか、否かは多くの要素が関わってくるので簡単でありませんが、純粋にワインの質と価格、その造り手の人となりのチェックは最も大切なことです。 . ワインビジネスの世界では、ただ美味しければ売れるという簡単なものではありません。色んな要素が関わってくるので、短期的に見て難しいワインや蔵もでてきますが、造り手と紹介者、売り手が協力しあって努力を続ければ、必ず将来キラキラと輝くワインや造り手になる可能性を秘めたものが多いのです。 . 今回の一連の試飲会の中で、ベテラン級の蔵や新しい蔵で感動したものを、また時を改めて紹介させていただきます。 一挙に2000種類ほどのワインを利くと、造り手達が考えている方向、あるいは狙っている傾向が見えてきます。 そんなことも、交えながら書きます。 一連の試飲会のなかで、個人的に最も楽しかったirréelイレールの会場写真を最後に添付します。 小さいけどやる気満々のPASSION溢れる新しい蔵元が最も多い試飲会でした。 若手醸造家と中堅醸造家のバランスが素晴らしくエネルギーが溢れていました。 こんな素晴らしい組織を作っているのは、パッション溢れるこの二人。 素晴らしいワインを醸すJulie Brosselinジュリー・ブロッスランとEscarpolette エスカルポレットのIvoイヴォです。 今、年齢的にも経験的にも最も勢いのある境地にあると言えるでしょう。 Julie Brosselinジュリー・ブロッスラン            Ivo Ferreiraイヴォ・フェレラ (Escarpoletteエスカーポレット醸造)

22
Déc

Mont de Marieと台湾のインポーター、レベッカ

台湾のインポーターのレベッカと造り手のティエリー夫婦とテーブル囲んだ。 (Mont de Marieモン・ド・マリ-醸造) 私たちは造る人と売る人の仲人のような役割を演じている。 ワインを介して人と人を結びつけて、より多くの人達に“喜び”と“エネルギー”を伝搬していきたい。 ワインはいつもテーブルを囲んで人と人が分かち合いながら飲まれている。 どんな人でもテーブルで、食べて、飲んでを繰り返さないと生きていけない。そこで本当に健全なモノを供給できれば、意識せずとも人は変わっていく。 私の喜びの一つは、テーブルを囲んで、食べて、飲んで、語り、このひと時に大切なエネルギーが発動して、次の段階に進んでいくこと。 レベッカは一万キロ離れた台湾から、ティエリーに会いにきた。 ティエリーは繊細な感性の持ち主、遠くからやって来たレベッカの心意気に感謝している。 レベッカももう5年前からティエリーのワインを台湾で紹介している。 最近に、Mont de Marieモン・ド・マリー醸造のワインの美味しさが爆発的に増していることに驚きと感謝の念を持っている。 一体、何が起きたのか? ティエリーはどんな気持ちで、どうしてこんなに進化しているのか? テーブルを囲みながら察している。 私は両方の進化を知っている。この5年間の二人の進化はすごいものがあった。 今の二人が語り合うだけで、また膨大な“喜び”“エネルギー”が生成されて世界に伝搬していく。 こんなに、色んな事が起きている世界の中で、小さな“喜び”“エネルギー”が確実に広がっていく。 こんな幸せな仕事ができて、嬉しいかぎりだ。

19
Déc

QUILLET DE JOIE PART6-FONT RONDE

スヴィニャルグ村と云えば、この人がいなければ、今日のようにはなっていなかっただろう。 という程に重要人物。 何故? この村の価値と可能性に気づいたモンド・マリー醸造のティエリーが、ここに舞い降りた時、全面的に協力体制で支援したのは、この人、Font Rondeフォン・ロンドのVincentヴァンサンだった。 ヴァンサンVincenの協力なしには、流石のティエリーも現在のような輝いたスヴィニャルグ村にすることはできなかっただろう。 ヴァンサンのお陰でMonde de Marieモンド・マリー醸造があり、今の皆が活躍できる“舞台”が存在しているのである。 ヴァンサンのワインはPOMPOM ROUGEポンポン・ルージュの名前で、世界に名が知られている。 醸造元名はFont Rondeフォン・ロンド醸造。もう数えきれないほど前から、何世代も続いている農家である。 つまり、ホントの土着の人である。 意識することなく、アラモン、サンソー、などの南仏の葡萄木の古木を先祖代々栽培してきた。 ひと昔前、このラングドック地方では、この二つの品種が主流の葡萄だったのである。 でも、今ではアラモン品種などは、このラングドック地方でも絶滅しかけている品種なのである。 劣悪の品種のように扱われて、どんどん引き抜かれてしまった品種である。 ところが、温暖化で、水不足の昨今の気候変動で、また見直されてきている品種である。 つまり、極度の暑さにも、水不足にも、耐えられる強さを備えている品種だったのである。 しかも、大粒の葡萄房をマセラッションカルボニック醸造で優しく醸造すると、とてつもなく繊細で果実味豊かで上品なワインができるのである。 この可能性を想定して、挑戦したのが、モンド・マリー醸造のティエリーだったのである。 そして、その挑戦に全面的に協力してくれかのが、ヴァンサンだったのである。 通常、フランスの田舎でも、よそ者が入ってくると邪魔をしたりする場合が多く、よそ者がやりにくいものである。 この土着のヴァンサンが協力してくれたお陰で、スムーズにことが流れて、この村に多くの若者たちがワイン造りにやって来るような“舞台”が出来上がったのである。 そのアラモン、サンソーの古木をたくさん持っていて、馬で耕して自然栽培して、自然な造りをしているのが、ヴァンサンの醸すFONT RONDEフォンロンドのワインである。 . ヴァンサンの醸すワインは、決して繊細ではないけど、ヴァンサンの人柄のように素朴なワインの美味しさがる。 そして、なにより、リーズナブルで手ごろな価格帯であることが嬉しい。 レストランなどのハウス・ワインに、ピッタリだし、家庭でも日常ワインとして飲める気軽さもある。

19
Déc

QUILLES DE JOIE-PART5-BOIS MOISSET

このサロンでは、初めて見る蔵元BOIS MOISSETボワ・モワセ。 私達との付き合いはもう長く15年ほど。 今日は、嬉しいことに珍しく息子のイポリットが来ていた。 いつもこのようなサロンには、お父さんのフィリップが参加するのが常だ。 そのお父さんは、数週間前に、パリのCPVオフィスに来てくれたばかりだった。 最近,ボワ・モワセのワインの品質が格段にハイレベルになってきている。 それを実現したのが、今日、ここにいるイポリットだったのである。 お父さんのフィリップは云う。 『私が失敗してきたこと、つまり、やってはいけないことをすべて伝えたから、息子が美味しいワインを造っている』 本当に美味しいのに驚く。その上、価格はリーズナブルなままのところが嬉しい。 西南部地方の、本格的な農家のスタイル。つまり50ヘクタールの面積を持ち、15ヘクタールの葡萄園、あとは麦栽培や放牧、25頭のピレネー牛(牛12頭、子牛12頭、雄牛1頭)を飼っている。兼業農家系の醸造家。 兼業醸造家にしては、本当にワインのレベルが高くて美味しいのに驚く。 Sans Pression 2022 (サン・プレション) 微発泡酒 ソーヴィニヨン、ミュスカデル、モーザックで醸す発泡ワイン。果実味が豊で酸ものっている、ほんのりの甘さ残糖3g。もあり、心落ち着くワイン。 Vin Novel 2023 (ヴァン・ノヴェル)  ボジョレ・ヌーヴォー的に軽快でスイスイ体に入っていくスタイル。 葡萄品種もガメイ50% で地元品種のデュラス50% を混醸造。7日間のマセラシオン・カルボニック。 驚くほど軽やかで、果実風味も素晴らしい。 フィルター掛け無しで、オリの旨味もワインに溶け込んでいる。 この美味しさに、このリーズナブルな価格は、トップクラス。 ブラヴォー! ボワ・モワセの農場と葡萄園の写真はこちら。 お父さんのフィリップの写真も紹介。 最近、パリのCPVオフィスに来た時のPHOTO。

19
Déc

QUILLES DE JOIE-PART4-MOURESSIPE

★MOURESSIPE ムーレシップ醸造 比較的若手が多いこのサロンでは、ベテランに属している。いぶし銀の風格を持っているアランのムーレシップ醸造。 ムーレシップのブースには、アランと私の知らない二人がニコニコしながらサービスしていた。 アランがこの二人を紹介をしてくれた。ピエールとカミーユだった。 Alain ALIET アラン・アリエが始めたムーレシップもいよいよ進化の時代が訪れている。 次世代の時代が、この蔵にもやって来ているようだ。 アランは子供の頃からの夢だった“ワイン造り手になりたい!”を遠まわりしながらもコツコツと実現してきた。 最初は自宅のガレージで造っていた本当のガレージワインだった。 そして、最終的には立派な醸造所も建設した。 ワインの品質は、ますます素晴らしいくなっている。 今や世界中にムーレシップ・ファンがいる。 どことなく、ランクロールのニュアンスに似ているところがある酒質(ワイン質)だ。 それもそのはず、ラングロールで修業してラングロールを目指してワイン造りをしてきたアラン。 2003年、つまり20年前にラングロールのエリックと会って、あまりにもの美味しさに驚いて、自分もこんなワインを造ろうと決意したのだった。 ブドウ栽培、ワイン造りは、かなりの体力が必要な仕事だ。アランも67歳になってやや疲れを感じてきている。 アランには、継ぐべき子供がいない。そろそろ次世代の造り手を探さなければと考えている。 . 数年前より。縁があって一緒に働いているPierre ピエールとCamilleカミーユ。 ピエールは若い時はシネマ(映画)の世界で働いていた。 その後、ワインの愛好家でもあったピエールは、ワインを造りたくなってニームのワイン醸造所で7年間も働いていた。 ニームには、自然派ワインのビストロが沢山ある。ピエールは自然派ワイン飲み始めて、その愛好家になっていた。 2年前に、ムーレシップ醸造のアランと知り合って、お互いに気が合ってムーレシップ醸造で働きだした。 アランとワインについて語り合いながら、ワイン造りを共に2年間やってきた。 カミーユは、ムーレシップ醸造の事務を担当してきた女性。ムーレシップの内部事情を知り尽くしている。 醸造元の経営には、農業作業、醸造と同じくらい事務処理の仕事が発生する。 売れれば売れるほど、輸出関連なども事務処理が大切な仕事になる。 アランにとって、信頼できるカミーユのような人材は貴重な存在。。 アランは、今ある10hの畑をこの二人と一緒に仕事をしながら少しずつ移行していこうと考えているようだ。 ピエールのワインに対するPASSIONが凄いので、期待したい。 きっと新たなムーレシップを築きあげていくだろう。 Partage ses Bullesパルタージ・セ・ビュルは、シャスラ品種で醸した発泡ワインが爽やかでとびっきり美味しい。 Vaouryヴァウリーはメルロー品種を除梗なしでセミ・マセラッション・カルボヌック醸造で醸したワイン。 やさしい果実味とメルロ品種からくる爽やかなニュアンスが心地よい。 色んな醸造経験をしてきたアランの磨きあげた技が光っている。アランが醸したワインには安定感がある。 ギリシャ時代の遺跡が残っているムーレシップ丘、この斜面に葡萄園がある。 アラン独特の熟練の味がたまらない。多くのファンが待っている。

19
Déc

QUILLES DE JOIE-PART3-SCARLATA

興味深いワインが沢山あったキーユ・ド・ジョワ試飲会で、若手でお勧めの造り手を紹介していきたい。 ★SCARLATA スカルラタ醸造(ラングドック地方) ワイン造りに情熱を燃やすギエム。お父さんが所有していたスヴィニャルグ村の畑で2012年からワインを造りだした。 幸いにもスヴィニャルグ村には、多くの自然派ワインを造る先輩がいた。しかも、皆すごく協力的な人ばかりだった。 もちろん、栽培はビオ。醸造も自然な造り、自生酵母で発酵、つまり葡萄以外は入れない。 最後に必要な場合は僅かにSO2を使用する場合がある。 ギエムが造りたいワインは、自分自身が飲みたいスタイル。 つまり飲み心地よく体にスムーズに入っていくスタイル。薄旨なスタイル、やや濃厚さがあっても飲みやすいスタイル。 ★CARRE DU LOUPカレ・ド・ルー 果実味が豊かで軽めでスーっと体に入っていくスタイル。 それもそのはず、今、南仏のピノ・ノワールと云われて超人気になっているサンソー品種が80%で、グルナッシュ40%。 まず、グルナッシュ品種を破砕して発酵槽の底に入れて、その上にサンソーの除梗なしの葡萄房丸ごとを発酵槽に入れて、混醸発酵するセミ・マセラッション・カルボニック醸造方法。 これによって、軽やかなフルーティーさとピノに似たパッファンを持っているサンソーの良さを十二分に発揮させている。 サンソーだけでは、果実味と酒質(ワイン質)がもの足りないのでグルナッシュを上手に使っている。 もちろん、自生酵母のみ使用、葡萄以外は一切使用していない。熟成もオリをそのまま残して、オリの旨味を十分にワインに溶かす熟成方法をとっている。 軽快なワインなのに、エキス分がたっぷりでグラスに涙がゆっくり流れてくる。 追究心の強いギエム。若くてまだ経験も少ないのに先輩達のワインを飲んで、よく研究している。 ★EPISODEエピソド 砂利混じりの粘土石灰質土壌の畑に植わっている樹齢60歳のカリニャン品種が90%。同じ区画の40歳のグルナッシュが10%を使用、除梗して発酵槽に入れてトラディション醸造で混醸したワイン。 今、多くの愛好家、醸造家が除梗なしのセミ・マセラッション・カルボニック醸造方法(MC発酵)を、批判する人が増えている。 何故? 『MC発酵では、ワインが軽すぎて、すべて同じ風味になってしまう。』と云って批判する人が増えている。 ギエムは、除梗しても、同じように飲みやすいワインができること、に挑戦したかった。 やや濃縮感があるけど、スーっと体に入っていくスタイルを造ってみたかった。 粘土石灰質の土壌からくる旨味がたっぷりの美味しいワインが完成、その上に軽やかさ透明感が備わっている。 農作業は馬を使っている本格派、醸造器具ではMC発酵の葡萄を絞るにはやっぱり垂直式のプレス機にこだわる。 スヴィニャルグ村の畑からは、PIC ST LOUPピック・サン・ルの岩山が遠くに見れて美しい。 北から涼しい風が吹いているので、葡萄が熟すのが遅く、酸が常に残る微気象を備えている。 ギエムが造るワインは、常に飲みやすく、日本の家庭で食べるシンプルで優しい和食には、ピッタリのスタイルのワイン達ばかりだ。 (SCARLATAスカルラタ醸造のワインの日本での輸入はADOREアドレ社です)

18
Déc

QUILLES DE JOIEキール・ド・ジョワ試飲会-PART2

11月25,26日の週末に行われた。 25日土曜日は終日11時から17時までたっぷりと試飲した。 まず、この試飲会は、超田舎での開催とあって、40社の醸造元が集まった割には、テースティング人数がリーズナブルなので、造り手達と、ゆっくり話ができる点が素晴らしい。 1月、2月にモンペリエ、アンジェで行われる有名な自然派ワイン見本市は、世界中のバイヤーが集まるようになってしまって、ブースに近づくだけでも大変で、造り手と話すことなど殆ど不可能になってしまっている。 ここQUILLES DE JOIEキール・ド・ジョワ試飲会は、じっくりと造り手と話ができるので助かる。 そして、スヴィニャルナルグらしく、比較的新しい造り手が多いのも新鮮でいい。 そもそもこのキール・ド・ジョワ試飲会は、MONT DE MARIEモンド・マリー醸造のティエリーやMAS LAUマスロー醸造のローランが地元のほんの数社の造り手だけ始めた試飲会だった。 参加条件は、自分達のワイン造りの“哲学”“生き方”に共感できる造り手であることだった。 かといってセクト的な難しい条件ではない。 1-実質的に自然な栽培、醸造をしていること。 2-美味しいワインを造る為に情熱をもっていること 3-価格的に手頃であること つまり、次の三拍子が揃っていること、 自然で、美味しくて、リーズナブルな価格であること、という何と素晴らしい条件。 最近の自然派ワインの造り手の中には、とんでもなく高価なワインが出現している。 どう考えても、この価格は高すぎ!異常だろう!という造り手のワインがある。 それを支えている自然派ワインのマニア愛好家達がいる。 まるで珍しい昆虫愛好家やSL愛好家のように、珍しく手に入りにくい“モノ”を夢中になって手に入れている人達がいるから成り立っている世界。 私達には、この世界には全く興味がない。 ワインの価格で最も多くの部分を占めているのは、土地代である。 ブルゴーニュのように、超高価な土地代の所ではワイン代が高くなるのは、当然のと。 でも、土地代が格安の地方で、ブルゴーニュワインと同等、それ以上に高いワインが自然派ワインの中にも出現している。 その点、このキール・ド・ジョワ試飲会に参加している醸造家のワインは、 自然で、美味しくて、リーズナブルな価格であること、という理想的なワイン達である。 このキール・ド・ジョワ試飲会、規模も仲間達も大きくなって、フランス中から40社ほどが集まるようになっている。 担当主催者は、毎年代わって、若手達が担当するようになっている。 特にこのスヴィニャルグ村、ニーム近辺には若手が急増中。 発起人だったティエリーやローランは、若者達にブースを譲っている。 昨年はティエリー、今年はローランがブース出展をしていなかった。 若手達を全面に出して応援するこという精神だけでも素晴らしいことだと思う。 さて、参加蔵を紹介しよう。 ★Yoan REGAヨアン・レガ まず会場に入って、一番初めに目が合ったのがYoan REGAヨアン・レガだった。 若手の中でも、飛び出た品質を造り上げている。 パリで長年に渡って音楽ジャーナリトをやっていたヨアン。自然派ワインが大好きで、結局自分が造り手になってしまった。 別の世界から造り手になったので、醸造の概念に壁がない。 造りに対するアイデアが次々とでてきてしまう。例えば、MCマセラッションカルボ醸造の発酵槽に除梗した葡萄を入れたり、赤ワイン醸造中に白ブドウを入れたり、まるでブドウを音楽の音符のようにアレンジして作曲・編曲をするようにワインを造っている。 ヨアンはTAVELに住んでいたこともあり、タヴェルのワインが大好き。ラングロールで修業してロマン・ル・バールとは同年代でもあり、仲良くしている。ヨハンのワイン造りはロマンから教わったのが基本になっている。 水のよう薄い赤ワインから濃縮感のあるワインまでバランスよいワインを造ってしまうヨアン。 日本にも今年から輸入されています。(問い合わせはBMO) ★BARTASSOUバルタス アントニーは4代も続いている農家で育った。農協に属していたので、自分が丹精に育てた葡萄も農協では他の葡萄と混ぜて醸造されてしまうので、残念に思い、自分の葡萄を自分で醸造したいと独立を挑戦している。 Mont de Marieモンド・マリー醸造のティエリーに相談して、色んなアイデアをもらって2018年にワイン造りを開始。 めざすは、モンド・マリー。奥さんのオードレと家族だけで自分達の夢を実現している最中。 シャルドネ50%、ソーヴィニヨンブラン50%の旨味たっぷりのL‘AROMEアローム。 グルナッシュ、あのサンソーをセミ・マセラッション・カルボヌック醸造で醸したぐい入る美味しいヤツ。 […]

18
Déc

PASSION溢れるワイン見本市QUILLES DE JOIE !PART 1

南フランスの住人数百人ほどの小さな村SOUVIGNARGUEスヴィニャルグで行われた。 Quille de Joie キーユ・ド・ジョワ は、“喜び一本”の意。 まさに、その名の通り、ワイン一本を囲んで笑顔溢れる勢いのいいワインを造る醸造家ばかりだった。 南フランスを中心に他の地方より数社参加していて総計40社ほどの造り手が集まった。 スヴィニャルグ村と云えば、今、南フランスで最も熱い自然派ワインの新人が出現している地域である。 この村には、先駆者として勢いのある蔵元,MONT DE MARIEモンド・マリー醸造のThierryティエリーやMAS LAU マス・ロー醸造のローラン・バニョルなどがリーダー各として頑張っている。 彼らを追随して、多くの若手がこの村を中心に誕生してる。 今、期待の若手ではジョエ・シャンドリエがいる。 どれもみなそれぞれ強烈な特徴・個性がありながら、お互いに尊重し合いながら助け合って、成り立っている。 自然派ワインの世界では最もエネルギッシュな“気”が溢れている、醸造家が集まっている、と云っても過言ではない。 嬉しいことに、Tavelのラングロールのエリック、そしてやさしいワインを醸すベテランのムーレシップ醸造のアランも応援にかけつてくれた。 やっぱり、超ベテラン級の偉大な造り手がいるだけで、空気が明るく、ビシッとしまって雰囲気に深味が増してくる。 今回の主催を仕切るのは、若手のジョエ・シャンドリエである。勿論、モンド・マリー醸造のティエリーも補助している。 今回は、ジョエが気合を入れて会を仕切っているので時間がなく、本人はブースを出展してない。 ジョエは若者らしく、夜はバンドを入れて楽しくソワレを演出した。 レストランは、会場横に巨大テントをはってワインビストロを設置した。 シェフは、何とNimesニームの街の超人気ビストロのMarmiteのシェフ、ジョルジュを迎えた。 もう皆大喜びだった 人間として真っ当な生き方をしている造り手が造った真っ当なワインは心に響いてくる。 今日集まっている造り手達は、皆自然を愛し、尊重して、妙な化学物質の添加などすることなく、土壌を生かし、飲む人のことも考えながら美味しく、体にもエネルギーをもたらしてくれるワインを造ることに情熱を燃やしている醸造家ばかり。 その上に、心のこもった料理があれば、もうパラディ(天国気分)だ。 しかも同じ志をもった仲間、ワイン好きが同じテーブルを囲んで分かち合う。 なんて、素晴らしい空間なのだろう。 色んな事が起きている世界事情の世に、こんなワインと料理で世にポジティフなエネルギーを氾濫させたい!! ここスヴィニャルグ村は、今年、3回も雹が襲いかかった。 収穫量は例年の30%ほどしかなかった。 苦しい経営が近未来に待っている。 でも天には文句は言えない。また来年に向けてコツコツやるしかない。 そんな状況の中でも、こんな素晴らしい試飲会を開催してくれて感謝しかない。

18
Déc

本物ワイン見本市VIN DE MES AMISヴァン・デ・メザミがParisで開催

23年の醸造が終わったこの時期に、フランスの有数の造り手達がパリに結集した。 パリ・サンジェルマン大通りのLa Maison de L’Amérique Latinで開催された。   こんな素晴らしい見本市を主催者しているのは、南仏ミネルヴォワのSENAT セナ醸造のシャルロットさんだ。 自然派というより本物ワインと云った方が妥当なPassion溢れる醸造家が集まった。 エネルギッシュな約100蔵弱の醸造家が一同に集まると、もう会場内には熱気が充満していた。 私達のように多くの醸造家と仕事をする人間にとっては、一挙に多くの造り手に会えるのはありがたい。   23年のミレジムの情報、今売りに出しているミレジムのテースティング、多くの貴重な情報が詰まっていた。 この見本市は、主催者のセナ醸造を始めに超ベテランやレジェンド級の醸造家に逢えるのも凄いことだ。 (左から) ★ ジャンバティスト・セナ ★ ジャン・フォワラール ★フィリップ・ヴァレット 若手の醸造家も集まっていて、若手が考えている醸造方法と、レジェンド達、大御所達の進化の方向性を観ることができた。昨今の温度変化、極端な気候の変動などへの対応をしながら、 ベテランと云えども進化を余儀なくされている現実がある。 そんな気候変動から、導き出された“栽培”“造り”の変化、いや進化と云った方が妥当かもしれない。 (左から) ★ブルゴーニュのアミ醸造 ★南仏フォジェールのレ・セラル醸造 ★新人 造りの現場では、水面下で着々と進化している。その進化の方向性は、これからの販売現場にも大きく影響してくるだろう。 (左から) ★モルゴンのラピエール醸造のアンヌ ★シャブリのトーマ・ピコ ★ミネルヴォワのセナ醸造 今日のヴァン・デ・メザミ試飲会で最も感動した醸造家とワインはこれです。 SYLVIE AUGEREAU シルヴィー・オジュローの-LES MANQUANTS レ・マンカン21 これは2023年に私が飲んだ最高のワインです。 これは、シルヴィー・オジュローSylvie・Augereauの渾身の一本。 シルヴィーはあのフランス最大の自然派見本市ディーヴ・ブテイユを主催している女性。 長年、自然派ワイン・ジャーナリストとして活躍して、自然派ワインの本も書上げ、自然派ワインのすべてを熟知した女性。 そのシルヴィーが満を持して、自分で畑を造り、世話をして、醸造もやり切って醸した、まさにパッションの固りのワイン。 私が心の深いところで感動したワインです。 カベルネ・フラン(100歳) 濃縮感があり、繊細なタンニン、口中をビロードのように流れるようなタッチで、深味もありながら、北の産地の爽やかさも備わっていて、体にスーっと入っていく偉大なワインです。 ど、どうしたら、こんなワインが完成するのか? ホントに驚きました。 まさに、Vin Precision ヴァン・プレシジョンである。 つまり、栽培から醸造まで、ワイン造りの重要な節目、節目を正確に,一点の間違いのない作業を積み重ねないとできない品質。感服です。 流石のシルヴィー!! 見つけたら、即、飲むべしワイン!

22
Août

ボジョレ自然派の源流を継ぐクリストフ・パカレ23年は豊かな実り?

クリストフ・パカレ訪問。 今年のボジョレーは豊作となりそうだ。 今までにクリストフも見た事の無いほどのぶどうが実をつけている。現状病気の脅威もほとんどない。 収穫は9/4頃からの予定。 この後の好天を祈るだけだが、2023年は収穫量、品質ともに素晴らしいミレジムになりそうだ。 ご期待ください!

27
Juin

日本出発の前日に、やっと会えたBMOの山田恭路さん

今日は2年半ぶりにBMOの皆さんとミーティングと会食。 ミーティングの前に山田さんと会談。 山田さんとの付き合いは、もう30年になる。 自然派ワインが出初めた頃だった。 まだ自然派ワインなどとの呼び名もない頃だった。 諸々の化学剤を使ってのワイン造りをやめて、ワインを造り出した醸造家が出現した頃だった。 つまりスポーツ(オリンピック)の世界で云えばドーピングなしで素晴らしい競技をする選手が出始めた頃だった。 当時、山田さんとフランス中の気合いの入った造り手を周った。 彼らのワインは今までのワインの味わいとは全く違っていて、素晴らしい品質だった。 私も山田さんも、同じことを感じていた。 “近い将来、ワインの世界は変わる!” “有名でなくても、化学剤を使用しなくても、美味しいワインが存在する。 そんなワインを日本中に広めたい。 真っ当なワインを広めることで、世を僅かでも真っ当な方向に進めることができる。” あれからもう30年が過ぎた。 自然派ワインも普及して世界中の一流レストランがメインに使うようになっている。 世界中の優秀な若手ソムリエ達は率先して繊細な料理に、これらを合わせている。 ここコロナ禍の2年半の間に、追い風に乗って更に自然派ワインの需要が世界中で急増している。 もう、今となっては、自然派ワインなどと呼ばなくてもいい段階まできている。 山田さんの凄いところは、 自然派ワインを辺境な狭い世界に閉じ込めないで、普通の日常の、普通の家の食卓に提供できるように流通革新をしてきたことだ。 一見特殊なワインと思われがちな自然派ワインを、普通の人が普通に購入できる流通形態を作りあげた。 日本中の真っ当な高品質の食品を提供する小売店を中心に、販売網を形成してきた。 連日、日本中を走りまわって、売りの現場を指導してきた。 ここにきて、山田さんは、更に進化しようとしている。 よりワインに専門特化した形態の“トロワザムール店”をより強化して、特殊な食材をも加えて、自然なワインを更に普及することを考えている。 流石の山田さん、BMO 社。 これからも、最大限の協力をしていきたい。 2年半の間に、BMO メンバーも、私が知らない新しい人が増えた。 顔合わせと、フランス現場の話をさせていただいた。 ワインを心から愛している楽しく優秀なメンバーばかりだ。 同じテーブルを囲んで、美味しいワイン、食事、ワイン談義を皆んなで楽しみました。 また、しばらくは日本を離れる前日に素晴らしい一期一会だった。 ありがとう! それにしても、ここラシーヌ青山は気持ちの良い空気が流れているビストロだった。 こんな環境の中で自然ワインを飲めるとはすばらしいことだ。 すべてに感謝! “Racines Aoyama”

23
Mai

Dard et Riboのルネ・ジャンとユイさんがPARISにやって来た!

ユイさん、ルネ・ジャンと同時に会うのは十数年ぶり 京都の名レストラン・エヴァンタイユでDard et Riboディナーをやった時以来だ。 ユイさんは、エヴァンタイユの森谷シェフの娘さん。(写真、左、右はユイさんの友人) 今はプブリシテーの会社を経営しているとのこと。 まだ、コロナの影響で日本から来仏する人が少ない中、久々の日本人。 ルネ・ジャンも、エルミタージより久々にParisに出てきた。 あまり会っていなかった友に会うのもいいものだ。 当たり前だけど、皆、前回会った時より進化・熟成しているのを感じ取れる。 お互いに,『あ~、こんな風になったか!』と思っている、のがわかる。 ルネ・ジャンはここ数カ月ぶりだけど佳く熟成しているし、ユイさんはもう別人のように佳く進化していた。 この年頃の人の進化度は凄い。前回あった時は20歳前後だったから当たり前だ。 仕事をバリバリやっているビジネスウーマンになっていた。 ユイさんのお父さんもお母さんも、京都のその道では凄い人なので、確りDNAを受け継いでいるな、という感じ。 今夜は今、パリ話題で予約が取れにくいワインビストロ“CUISINE”にやって来た。 このビストロは、ルネ・ジャンからのリクエストだった。 ここのシェフは日本人で、Takao Inazawaさん。 東京・目黒のワイン・ビストロ、元ヴェール・ヴォーレで働いていた人。 料理もどことなく和風が導入されていて、今、パリジャンにもっとも受けやすい料理風で大人気。 鮟肝、タコなどまるで和食風。 その上、ワインのセレクションが素晴らしい。勿論、本物ワインの自然な造りのものばかり! 造った本人ルネ・ジャンと飲むプランタンは格別だった。 今、超人気のマキシム・マニョンのメティス。南仏コルビエールのトビッキリのヤツ! もう一つ、今、超人気のニコラ・ルノーのプリモ・センソを開けた。ラングロールのタヴェルを思わせるヤツ! ルネ・ジャンのワインのスタイルとは全く違うけど、来仏の二人には是非飲んで欲しかった。 セミ・カルボ醸造の“魅力”をタップリ備えていて、時代の潮流“プレシジョン(精度)”もって造られた二つのワインだ。 今、南仏で最も注目されている葡萄品種、サンソーが使われている。 南フランスとは思えない繊細さを備えていて、ピノッテしていてピノ・ノワールを思い起こさせてくれるスタイル。 最後はやっぱり、本物中の本物! ルネ・ジャンのサン・ジョゼフで〆た。 やっぱりワインは、こうでなくては! と思ってしまうワイン。小手先の技など使わない、王道のスタイル。 やあ~、いい夜だった。 ユイさん、また次回。森谷シェフによろしく! ルネ・ジャンとは2次会でジャパニーズ・ウイスキーを飲ませてくれるバー・Minatoでディジェスティフを一杯やった。

17
Mai

Club Passion du Vin a organisé une dégustation de vins authentiques au Japon (Osaka)

クラブ・パッション・デュ・ヴァンが大阪で“本物ワイン”の試飲会を開催した。 CPV(Club Passion du Vin)は本物ワインや自然派ワインが、スムーズに世界に伝播するように、色んな活動を企画・実施しています。特に、造り手や売り手の人達が、こんなワインを紹介しやすいように色んな活動をしています。 先月の4月、日本第2の都市、大阪で10社の自然派ワインを輸入しているインポーターが集まって自然派ワイン試飲会 “Recreationルクレアッション”を開催しました。 2年前よりコロナ禍の為に、こんな試飲会を開催することができなかった。 久々に関西方面で活躍するワイン屋、酒販店、ビストロ、レストランなど、自然派ワインを熱心に販売している人達が集まった。久々に熱い熱気で覆われていた。 このような試飲会で大切な事の一つは、自然派ワインを情熱もって販売している人達同志が、お互いの顔を合わせながら、“オー頑張っているな、”と確認しあうことだけでも価値がある。その上で、お互いの情報を交換しあったり、どんな傾向のワインが売れているか、どんなやり方で紹介しているか、などの情報を仕入れることもできる貴重な機会となる。 また、普段、電話やSNSで交流しているインポーターの担当者とも面と向かって話すこともできる。 そして、著しく進化している自然派ワインを一挙にテースティングできるのは最大の利点である。 コロナ禍の2年の間に、醸造家の中で起きた変化。 この2年間、訪問客も少なく、栽培・醸造にかなり集中してできたこと、じっくり思考しながら作業をやった経験から、多くのことを再発見できたり、それをもとに色んな進化が進んでいる。 天候不良のため、時には霜でほぼ全滅に近い被害をうけたところあり、また湿気からくるウドンコ病でこれまた全滅近い被害をうけた地方もある。 そんな被害をカバーする為に、醸造元同志の助け合い(違う地方から葡萄の譲り合いなど)で、今まで経験したことない品種を醸造したことを切っ掛けに、今までにない驚くような品種間ブレンドが誕生している。 そんなことを経験しながら、この経験を一過性のものとせず、これからのワイン造りの進化へのアイデアが沢山生まれた2年間だった。 そんな自然派ワインの進化を確認できる試飲会 “Recreationルクレアッション”だったにちがいない。 ご参加頂いた熱心なインポーターの皆さまは下記のとおり、有難うございました。 アドレ社、アヴニール社、BMO社、ESPOA社、KATAOKA社、 日仏商事、野村ユニソン社、日酒販社、ピッコルーズ社、サンフォニー社 (アルファベット順にて) 感謝!!

5
Juil

モンペイルー村の天才肌の女性醸造家Julie BROSSELINジュリー・ブロッスラン

9頭身のモデルのようなスタイルのジュリ-。 ワイン造りの感性は天才的。 究極のところ肝心要な醸造上の判断は感性によるところが大きい。 黒葡萄のグルナッシュ・ノワールと白葡萄のグルナッシュ・ブランの半々を同じタンクで混醸造。 しかも、除梗した後潰さないでGrain entierグレーン・アンティエールと呼ばれるキレイな葡萄粒をそのまま発酵槽に入れる造り。 ルモンタージもピジャージもしないジュラ地方の赤醸造方法をこのラングドックで採用。 ピュアーな果実味、透明感のあるミネラル、石灰土壌の軽く潮っぽいタッチが爽やかさを更に演出。 ジュリーのサッパリした性格がそのままワインになった感じ。 ただ、軽いワインではなく、南フランスの太陽と諸々の内容が詰まっている。 それでいて、スイスイ身体に入っていくスタイルのワイン。  まさに天才的。 そして、ネーミングとラベルのセンスも光っている。 Marée basse マレー・バスとは引き潮の意。 引き潮時の海のごとくにボトルのワインがどんどん減っていくイメージ。 (このワインの問合せは、BMO社、東京・恵比寿のトロワザムール店まで)

5
Juil

Montpeyrouxモンペイルー村の革新的土壌に根付いたYvo FERREIRAイヴォ・フェレイラ

南仏ラングドックのワインの歴史を変えた村がある。 ラングドックの中心都市モンペリエの街から約40キロ程西北に行ったところにMontpeyrouxモンペイル村がある。 ここには、あの伝説の醸造家エグリエール醸造のCommeyrasコメイラスさんがいた聖地である。 ラングドック地方でボルドーグランクリュを凌ぐほどの高品質ワインを造って世界中を驚かせた人だ。 その後も。この村には変革の“気概”がずっと受け継がれている。 中堅世代のAupihacオーピアック醸造のSylvain FADAシルヴァン ファダさんも健在で頑張っている。 カリニャン単品で途轍もない高品質ワインを造って世界の愛好家にカリニャン品種の偉大さを知らしめた人だ。 そして、今、若手醸造家のリーダーとして活躍しているEscarpolette エスカーポレット醸造のYvo Ferreiraイヴォ・フェレイラがいる。 パリでソムリエを経験した後、ボルドー自然派の古参Ch-Le Puyシャトー ル プイでワイン造りを修行した。 そして、2009年にここモンペイルー村にたどり着いたイヴォ。 独走的で、画期的な自然派ワインを次々と世に出しているイヴォ。 ムスカ・プティ・グレーン品種とグルナッシュ・ブランをマセラッションして醸した黄ワイン。 8月の初旬には一部を収穫開始して酸を確保。 そして、10日間のマセラッション。 絶妙のアメルチューム(ほろニガ味)と酸のバランス。 今日は、30度を超す真夏日、ひときわ暑いモンペイルー村。 この酸とアメルチュームのバランスがこの暑さを吹き飛ばしてくれる! Ivo イヴォさんの気合いの一本! そんじょそこらの流行の黄ワインとは違う! こんなスタイルのワインがこのモンペイルー村で造られるなんて誰が予想しただろうか。 脈々とと変革の精神がここでは引き継がれている。 素晴らしい!の一言。 (このワインの問い合わせは野村ユニソン社です。)

15
Juin

待望の自然派ワイン試飲会BIOJOLEYNESが2年ぶりに開催された!

多くの自然派ワインのバイヤー、愛好家が待ちに待った瞬間だった。 コロナで今年に入っても重要な試飲会がすべてキャンセルされていた。 もう皆が望んでいたことがやっと実現した。 今朝、パリからフランスの新幹線TGVにてマコンまで1時間半の移動、レンタカーを借りて15分ボジョレとマコン地区の境界線上にあるLeynesレンヌと云う小さな村の広場。 30度を超す夏日、でもプラタナスの葉っぱが広場全体を覆っているので涼しく快適な空間だった。 まず主催者のPhilippe JAMBONフィリップ ジャンボンに逢いにいった。 ジャンボンのブースはいつも超人気で多くのファンに囲まれて、フィリップが相変わらずのハイテンションでワインを注いで説明していた。 凄いな!このエネルギー! ここに集まっているすべての醸造家達はフィリップのことを尊敬しながらも愛している。 もう会場全体があたたかい“気”に包まれていた。 醸造家から訪問者まで皆が嬉しくて嬉しくてたまらない! って感じの笑顔で溢れていた。 嬉しいことにジャンボン・ファミリーが全員で参加していた。 あの夢追い人フィリップを裏から確り支えているカトリーヌもいつもの笑顔だった。 あんなに小さかった子供達もみんなフィリップより大きくなっていた。 小さくて可愛かったジュリーちゃんも、な・なんと24才とのことで美しく可愛い女性になっていた。 ワイン造りの方は、夢追い人らしく絶対に妥協しないイキ切ったワイン造りを続けている。 現代醸造学の先生たちが、“やってはいけない”と云いていることを躊躇なくやっているフィリップ。 ワインがどんな状態になろうとも、全く心配していない。 5、6年とワインが佳くなるまで樽で熟成している。 フィリップはい云う 『健全な畑仕事で作った葡萄を、自然に健全に造ったものは必ず最後には戻てくるし勝利する。ワインが道中で悪者と闘っているんだ!でも最後には必ず正義が勝つんだよ!』 これはフィリップの信念だ。 フィリップのような人がいるから、色んなことが解るようになった。 醸造学でやってはいけない事をやると、本当はどうなるのか? 生活をかけて実験してくれているようなものだ。 こんな貴重な人はいない。 フィリップのワインは特別だ! 色んなものが詰まっている。 世界に唯一つのワインのスタイルを確立している。 今はこんな極の人に観えるけど、彼なりに深い洞察と研究を重ねてたどり着いた理論と信念でもある。 フィリップは、元はミッシェラン三ツ星レストランのソムリエだったことを忘れてはならない。 ボルドー、ブルゴーニュのグラン・ヴァンを体験した後に、この自然な世界にはいってきた人であることを忘れてはならない。 深い洞察と研究と実行がフィリップのワインには内蔵されている。 そんな生活を顧みない探究者の様な仕事をしていながらも、ちゃんと家族をもって自分の夢を追い続けることができたのはカトリーヌのお蔭である。 私はそんなジャンボン・ファミリーが大好きです。 そんな人達が造ったワインは美味しいに決まっている! (ジャンボンのワインの問合せは野村ユニソン社まで)

31
Déc

2020年師走のPARIS

コロナに明け暮れた2020年。 この世界中で最も華やかなパリのシャンゼリーゼ通りもこの静けさがすべてを象徴している。 コロナをどう受け止めるかで、今後の行動が天と地ほど違ってくるだろう。 目の前に起きていることは、自分も含めた世界中の人間に何かを伝えようとしているような感じがしてならない。 この状況の中で、何かを読み取り、今後の生き方に活かそうとしている人達もいる。 また、政府、世間、政治家、多くの人を批判しまくり、愚痴のようなことを並び立てている人達もいる。 私はいつも、批判と愚痴からは、何も始まらないと思っている。 人間は、生きている限り、自分のできうる限りを尽くしてことにあたるのが人としての生き方だと思っている。 勿論、人間だから、いつも元気でいられる訳がない。 苦しいことや、どうしようもないことも多くあることも事実。 今年は自分自身の内側をじっくり観れた年だった。 このコロナがなかったら、こんなに自分の内側を観れなかったのではないか、と思っている。 これからの自分の生き方の根本的に大切な土台が自分の内側に造れたかなと思っている。 コロナ君がいなければ絶対に出来なかったと思う。 だから、私はコロナに大感謝している。 何が起きてもブレない大切なものがあることが観えた。まだまだ未熟なことが多いけど、自分のできうる限りを尽くして、自分自身を磨きあげて、志を実現していきたい。 2021年は、この大切なことを皆さんと分かち合えるようにできたらいいな、と思う。