今、ALSACE アルザスが面白い!BMO山田さん編

日本中をワイン販売拡大の為に走り周っている山田さん。
5月のとある日、日本から素晴らしい友人、山田恭路さん、聖子の二人とアルザスにやって来た。朝、パリ東駅から6:55分の一番TGV(新幹線)でアルザスのコルマールを目指した。

普段、日本でもほぼ毎日の如くに移動している山田さんは朝からハイテンション。
TGVに乗ったと途端に日本に電話を入れて仕事をかたずけている。
一昔前の、エコノミック・アニマルと云われた日本ビジネスマンを超えた動きをやっている山田さん。

一か月前に、私は日本に出張した。その時、私は『山田さん、今アルザスが面白いよ!』というと、即、一か月後にはアルザスに吹っ飛んできた山田さんの行動力は凄い。今、日本で最も自然派ワインを市民化、しようと努力している人が、この山田さんだ。
山田さん『自然派ワインを一部の愛好家の世界だけで終わらせてはいけない。もっと、普通の人達にも飲んでもらいたい!』といつも言っている。日本には良い本物商品を販売する質販スーパーがある。山田さんは日本中の質販グループのお店と酒販店を走り周って、自然派ワインの普及の為に販売指導を行っている凄い人。
ワイン、特に自然派ワインを店の棚に品揃えしただけでは、絶対に売れていかない。この山田さんの指導を受けると少しづづ売れだしていく。努力次第では3年かかればその地域ナンバーワンの自然派ワイン販売店になる。

GESCHICKTゲシクト醸造 

9:30頃、コルマールに到着。タクシーでGESCHICKTゲシクト醸造を目指した。
GESCHIKTゲシクト醸造があるAmmerschwihrアメルシュヴィル村に到着

アメルシュヴィル村は第二次世界大戦中に空襲で95%ほど壊された街。現在ある街は、再興した住人が生活しやすいように設計されている。
醸造家が多い街なので、収穫時にトラクターなどが出入りしやすいように、醸造所の家の前は広々とした広場になっている。

今日訪問のGESCHICKTゲシクト醸造の前は噴水付の広場になっていて、トラクターなどがバックしなくてもグルッと周って方向転換できるように設計されている。流石、アルザス人。

二人が笑顔で迎えてくれた。
右が当主のフレデリック・ゲシクト*FREDERIC GESCHICKT。左が次世代のアルノー*ARNAUD。
フレデリックはビオ・ディナミ機関のデメテールの副プレジダンを務めている。

GESCHICKTゲシクトに着いてまず、挨拶のお茶がわりに地下に降りて大樽熟成中の15年産を飲もうということでカーヴへ。
醸造所に入ると右側に、地下に降りる扉がある。

アルザスでは多くの蔵が大樽に発酵・熟成をやるのが伝統である。中には先祖代々使っている100年以上も使っている大樽も存在する。

“ミネラリーゼ”
ゲシクト醸造では殆どのワインはこのフードルと呼ばれる大樽だるで年間は熟成することになっている。

フレデリック『ここのワインは一年間、この大樽で過ごすことになる。何故なら、一年間かけて葡萄園で育った葡萄をワインに変身して秋、冬、春、夏と同じサイクルをこの樽の中で育てることが大切なんだ。』

『ワイン造りは急いだり、焦ってはいけない。時間がかかるんだ。この一年の天体のサイクルをとうして、ワインとして自覚して、慣れていくんだ。』

私はこの作業をミネラリーゼと呼んでいる。経験豊富なフレデリックの言葉には含蓄がある。
土壌からワインの液体の中に入ったミネラルが、液体に慣れて溶け込んでいく時間が必要なんだろう。フレデリックの云う事は、哲学的で、かつ自然の理に適っている。

蔵に歴史あり、ゲシクト醸造は最初は今の当主フレデリックのお兄さんのクリストフが継いでいた。残念ながら、クリストフさんが若くてなくなり、弟だったフデレリックが継ぐことになった。そして、次世代としてアルノーが2013年より参入した。
尊敬するお兄さんの息子がアルノーである。このアルノーが現在アルザスで起きている若手グループの主要メンバーでもある。ビオディナミ農法の熟練フレデリックのもとで、その熟練技を学びながら、自然派ワインの造りを導入して新風を持ち込んだアルノーは、沢山のアイデアがある。毎年色んな試作ワインを造って研究中である。フレデリックもアルノーの才能を認めて一緒になって将来のゲシクトを組み立てている。
そして、もう一人、強力なメンバーがいる。Aurélie*オレリーである。アルノーの奥さんでもあるオレリーは正式にゲシクト醸造の株主となって宣伝・営業を担当している。このオレリーもALSACE若手グループの主要な活動メンバーの一人である。新旧が一緒になって新しいアルザスを模索している。
だから、今、アルザスは面白い! ゲシクトが面白い!!
今回の訪問時は残念ながらオレーはバルセロナへ出張中で不在だった。

今回は、アルノーの新作を試飲。ピノ・オクセール品種⅔とピノ・グリ品種⅓のマリアージしたワインだ。
土壌の上部を花崗岩が覆っていて、その下に石灰質がある。石灰の旨味ミネラルと真っ直ぐな花崗岩ミネラルをマリアージさせて両者のいいところを表現している。なんて優しくバランスとれたワインだ。まだ熟成中なのに素晴らしくバランスがとれている。この新キューヴェはまだ名前も決まっていないようだ。全体的に15産は果実味豊かでバランスが凄い。山田さんも驚きの高品質。

人気蔵のGESHIKT醸造には、訪問客が多い。私達がいる間にも訪問客が増えてきた。
醸造家の卵、レストランのシェフ、Christian Binner*クリスチャン・ビネールの働いている女性、皆で記念撮影。

ワインのすべては葡萄園で造られる。葡萄園に足を入れずワインを語れない。ゲシクト醸造のテロワールはAmmerschwihrアメルシュヴィル村の丘の下部と上部の部分に分かれている。それとグランクリュKaeffkopfカエフコッフ内にある。

土壌の人フレデリックは山田さんに一緒に歩くことを勧めた。実際に歩かないとテロワールの事はわかりにくい。

地表に近い土壌、地下層の土壌、土の深さ、斜面の傾度、方向など自分の足で歩くとよくわかる。24年間もこのテロワールを見てきたフレデリックの話しを聞きながら散歩した。

ゲシクトの畑は野花が咲いて美しい。村の下部は粘土混じりの砂・石灰質土壌。今年は水分が多いので草花を伸ばしている。草花は土壌に住む昆虫や微生物を護ってくれたり、草花の根っ子が土壌を耕してくれる。ミミズも元気に土壌を耕してくれている。

アルザスの偉大なテロワールを真っ直ぐに表現する二人。
1998年よりビオデイナミ農法を採用したフレデリック。若き後継者のアルノーもアルザスの偉大なテロワール探究の道に情熱を燃やす。

  

テロワールと葡萄木が仲良く過ごせるように環境を整えるのが二人の仕事。根っ子が地中深く伸びてテロワールから多くのミネラル分を葡萄実に吸い上げられるように
土壌を活性化させている。
草も花も葡萄木もイキイキしているのを肌で感じる。

宇宙の光を一身に浴びて、光合成を繰り返してエネルギーを蓄える葡萄の葉。
最終的には宇宙のエネルギー光を葡萄果実に蓄えて、ワインの中に入っていく。
葉が光合成をしやすいように環境を整えるフレデリックとアルノ。

  

ゲシクトの葡萄園は、野花畑でもある。気持ちがほっとする空間である。

一般の醸造元では、葡萄園の草は敵である。ゲシクト醸造では大切な仲間である。自然に土壌バランスを整えてくれる味方なのだ。

 

 

景の葡萄園。グランクリュ畑のKaeffkopfカエフコッフの丘を目の前に左にはフォレー・ノワールと呼ばれている小高い山を越えるともうそこはドイツ。

こんなに美しい景色を見ながら育った葡萄達が、発酵を経てワインとなり場所と時を超えて日本までこの景色、エネルギーを移動できる。
何て素晴らしいことなんだろう。

山田さん、聖子さんも感動の瞬間。

平らな部分の石灰土壌から丘の上部の区画、標高250m~300 mになると花崗岩質の土壌に変化している。

石灰土壌と花崗岩土壌が交差しているテロワールもある。同じ石灰土壌でも風によって運ばれてきて堆積した石灰土壌もあり、アルザスのテロワールの複雑さはブルゴーニュ以上である。

ほんの数メートル移動するともう全く違ってくる。
ゲシクトのフレデリックはそんな興味深いテロワールを小区画別に徹底的に探究してきた。

  

まずは土壌を自然のリズムで調和をとること、それによる区画ごとの特性を限りなく純粋に表現したかった。
エレガントで穏やかでありながら、確りとミネラルが表現されている。山田さんもフレデリックの話しを聞きながら感動の連続だった。
これは冷静で厳格なフレデリックの性格、人柄だからできたのではないだろうか。
葡萄を観察して、僅かな変化も見逃さない感性が現在のゲシクトの品格あるテロワールワインを造りあげたのだろう。
フレデリックのお蔭でアルザスの偉大なるテロワールを発見させて頂いた。心から感謝すると共に、こんなワインを日本の皆さんへ紹介できることを光栄に思う。
お昼に近くなって来た。ペットナットを開けてアペロをやった。ムスカ品種を使って醸した自然微発泡のペットナットは爽やかでアペロには最高!
特に、その葡萄が育った葡萄園でやる一杯は格別だ。

CREMANT D’ALSACE Double ZERO, クレマン・ダルザス、ドゥーブル・ゼロ
貴重な葡萄園散策を終えて醸造所に戻ると、アルノーが奥から大事そうに抱えて持ってきたボトル、そうゲシクト醸造が自ら手作業で丹念に造った自慢のクレマン(発泡酒)だ。超人気のクレマンである。スカッとして旨味もあってとびっきり美味しい発泡ワイン。
SO2添加ゼロ、2次発酵の補糖もゼロ。ダブル・ゼロのクレマン、Double ZEROである。

  

土壌は粘土・砂・石灰質、花崗岩も混ざっている。
50歳のピノ・ブラン品種50%、30歳のシャルドネ50%
を収穫後のプレス機内でゆっくりと混プレスして、大樽(フードル内で混醸造した白ワイン。そのまま大樽で一年間シュール・リ熟成。
翌年の秋に収穫した糖度タップリの葡萄ジュース(ピノ・ブラン、シャルドネ)を足してビン内2次発酵をする。この段階で砂糖の混入はしないゼロ。これで名前がダブル・ゼロ(Double ZERO)。
ビン内2次発酵・熟成に一年間、デゴルジュマンもすべて自分であやる。 
これがあれば、もうシャンパーニュはいらない。と思う程美味しいクレマンである。ガンガン飲んでもSO2ゼロだから翌日スッキリ。

6 Pieds sur Terres シス・ピエ・シュール・テール
醸造所の庭で収穫時の昼食で食べるようなアルザス名産の軽食を頂きながらの試飲となった。
このワインが最もこの醸造元の名を話題にしたキューヴェ。
アイデアが良い。この蔵で栽培している6種類の葡萄を均等に⅙づつの割合に使ったワイン。土壌はも6種類の区画のものを仕込んだもの。
品種は、リースリング、ゲベルツトラミネール、ムスカ、ピノ・オクセロワール、ピノ・グリ、ピノ・ブラン。
Ammerschwihrアメルシュヴィル村の丘の下の部分の区画のテロワール。砂混じりの粘土、風で運ばれてきた堆積石灰質、石英石など小石混じり、花崗岩も混じっている。つまり、アメルシュヴィル村のテロワールをすべて内蔵している、ザ・アメルシュヴィルのテロワールを表現したかったワイン。どこまでもやさしく、上品な酸、繊細でキメの細かい液体。石灰土壌からくる潮っぽい旨味。和食、京都料理に合わせたいワインだ。

  

プレス内で混プレス、フードル(大樽)にて自生酵母のみで発酵、そのままシュール・リで18カ月熟成。オリの旨味が溶け込んでいる。醸造中は一切SO2は混入しない。
私はPARISの和食店、YUZUにて何回も和食に合わせている。

 

Grand cru Kaefferkopf グランクリュ カエッフェコッフ
ゲヴェルツトラミネール60%、リースリング30%、ピノ・グリ10%
プレス機内で一緒に混プレス、フードルにて自生酵母のみで混醸造・発酵、そのまま一年間シュール・リ熟成。
グランクリュ区画内で石灰質と花崗岩が風化して砂状が混ざっている土壌。
ゲヴェルツトラミネールのスパイシーさ心地よい。でも60%もゲヴェルツトラミネールとは思えないワイン質、品種より土壌の方が全面に出ている。
ミネラル感タップリ、潮っぽさと 酸のフレッシュさのバランスが良い。

 

Pinot noir ピノ・ノワール
Ammerschwihrアメルシュヴィル村の丘の下の部分の区画のテロワール。砂混じりの粘土、風で運ばれてきた堆積石灰質、石英石など小石混じり、花崗岩も混じっている。
30~60歳のピノ・ノワール 100%。50%は除梗し、50%はグラップ・アンティエール(葡萄ふさ丸ごと)を発酵槽へ。フードルにて自生酵母のみでセミ・マセラッション・カルボニック発酵。2週間のカモシ。
セミ・カルボ醸造からくるピノの果実味がで過ぎることがなく、ミネラル感のしまりがあって実にバランスがよい。抜栓ご時間が経つと果実味が開いてくる。

その他にも多数テースティングしました。
共通しているのは、繊細で上品なワイン質と確りしたミネラル感が基本になっていることです。長年のビオ栽培の効果が全面に感じられる。根っ子が確り地中深く伸びているので酸がハッキリしている。
ミネラル感の締まりが素晴らしい。除草剤、化学肥料をまいた畑では絶対に出てこないワイン質である。

最後に、先代が造った1990年をあけてくれた。KISHOの誕生年でもあり、感動のKISHO。

そして、最後の最後にフレデリックがお茶をいれてくれました。
テースティング疲れした舌がホッと癒されました。
この細かな心遣いが、葡萄栽培にも醸造にも生かされているのだろう。
ゲシクトは素晴らしい。

Merci Fréderic et Arnaud. Merci Kyoji YAMADA et Masako .
Ca va créer beaucoup de bonnes choses à cette rencontre. Ca va fermenter !

有難う。フレデルック、アルノー。有難う。山田さん、聖子さん。
この出逢いのお蔭で多くの素晴らしいことが生まれてきます。発酵してきます。