12月6日にフランスのど真ん中の小さな町“CHATELDON”シャテルドンで大きな自然派ワイン見本市が開催された。シャテルドンとい云えば、微発泡ミネラル水で有名な町、いや町というより村と言った方がよい小粒の村。

どういう訳かそんな小さな村で、今の自然派ワインの主流の蔵元が殆ど集まる大きな見本市が開催された。もう10年も続いている。フラール・ルージュのジャン・フラソワ・ニック『10年前はほんの小さな見本市だったんだ。これがこんなに大きくなるなんて信じられない』と云っていた。


私は昨夜からオヴェルニュ地方に入った。昨夜はオヴェルニュの首都といえるクレルモン・フェランに泊まった。クレルモン・フェランと云えば、車のタイヤの生産会社のミッシェランの本社がある街である。また、日本でもお馴染みの軟水のミネラル水ヴォルヴィックのある街でもある。

昨夜はクレルモン・フェランの街で美しいクリスマス電飾を見た。街の教会広場にクリスマス用品を販売するクリスマス市場が設置されている。そこの電飾が他にはない大変豪華で綺麗な飾りだった。皆さんに写真を送ります。

明日はヴォルヴィックから40分ほどヴィッシ方面に行った村、シャテルドン村にて、12月恒例の自然派ワイン見本市が開催される。明朝は一番で見本市に入る為に今夜の内にヴォルヴィックのクレルモン・フェランに入った。こんなに美しい電飾を見れたのはラッキーだった。
 

10VINS COCHONS 見本市は朝の10時からだ。この種の見本市は朝の空いている時期に一挙に主だった蔵を周らないと進まない。午後からは身動きが取れない程混んでくる。ブースに近づくだけでも大変になる。

10:30に到着。まだ空いている。まだ到着してない醸造家も多い。この見本市は一般愛好家もクリスマス用のワインを購入にやって来る。
また、フランス中のワインビストロのも14産や瓶詰されたものを試飲購入する為に集まって来る。

パリからもヴェール・ヴォーレのシリルコワンスト・ヴィーノのギオムガード・ローブのバッべトも来ていました。フランス中の主だったワイン屋、ビストロのいつものメンバーが揃っていました。
 

LE TEMPS DES CERISES ル・タン・ド・スリ-ズ

LE TEMPS DE CERISESル・タン・ド・スリズのアクセル・プリッファを一番で訪問。超人気で中々ブースに近づけない。アクセルはもうラングドックの自然派では中心的存在になった。独立して1年が過ぎ。最近やっと自分の土壌が分かってきた。

アクセル
は1998年にドイツから奥さんとキャンピングカーでやって来た。フラール・ルージュのジャン・フランソワ・ニックラングロールのエリックについてワイン造りを修業した。2003年の独立して11年の歳月が流れた。経験が蓄積されてきた。


LA PEUR DU ROUGEラ・プール・ドゥ・ルージェ
という白ワイン。シャルドネ100%,やや濁酒の色合い、ビン内微発泡で心地よい泡があり。アブリコット系の果実味と酸が爽やかで心地よい。一仕事が終わった後にグイっとやりたいワインだ。


Les Lendemains qui chantent ル・ランドマン・キ・シャント
という赤ワイン。多くの石英石を含んだ花崗岩質土壌のグルナッシュ100%を仕込んだ。450mという高い標高の北向き斜面。葡萄がゆっくり熟す。だからタンニンが上品。自生酵母でMC発酵、ピジャージなし

PICATIER ピカティエ

ピカティエのクリストフにとって、ここシャテルドンは地元のような感覚。一山超えればコート・ロアネーズになる。COTE ROANNAISE はオヴェルニュとボジョレの中間に位置している。 クリストフは独立する前は10年間もブルゴーニュでワイン造りの修業をしていた。ブルゴーニュのビオ・ディナミの先駆者ドミニック・ドゥランで農法を習得した。2007年に自分の出身地に近いロアネーズに葡萄園を手に入れてピカチエ醸造を設立。

マドレーヌ山の麓にあり、400mという標高の高さ、葡萄栽培の限界に近い。葡萄がゆっくり熟すのピカティエのワインの特徴を創り上げている。柔らかいタンニンと淡い果実味、そしてスカッとした酸が特徴のエレガントなタイプのバランスとなる。


 ピカティエ醸造のcuvee 100%
ガメ品種100%、気軽なワイン度100%,満足度100%の意。土壌は花崗岩が風化した砂状、リモンや粘土質が混ざっている。土の部分が深い。15~30歳のガメ。セミ・MC発酵、タンク熟成、SO2は添加ゼロ。スーと入る軽くてフレッシュ。

ピカティエ醸造のGamenits13ガメニッツ。45歳の古木、花崗岩の砂状。水捌けがよいからエレガントなワイン質、地下に花崗岩版あり、根っ子が岩盤に入り込んでいるからミネラル感が強い。自生酵母でセミMC発酵。


10日後にジュースだけを抜きとってCUVEE100%の発酵槽にいれた。その後MC状態で、何んと一か月間という長期のマセラッション、SO2無添加。熟成はシュール・リ・フィンでDEMI-MUIDS ドミ・ミュイの600Lの中樽使用。

1カ月間の長期マセラッションなのにエレガントなのはこの地の涼しいミクロ・クリマとクリストフがこの畑を知り尽くして、その葡萄に合う醸造上の対応をドンピシャリに合わせる事ができるようになったからだ。


1904年に植えた110歳のガメ品種。しかも10種類のガメ品種が混植されている畑。量が少ないので1タルを立てて発酵。除梗なしで6カ月のマセラッション。プレスもしないで流れ出たワインを直接に瓶詰。ロゼのように明るく旨味ものっていてエレガント。30本のマグナムのみ。

 

JULIEN ALTABER ジュリアン・アルタべール

JULIEN ALTABER ジュリアン・アルタべールブルゴーニュの数少ない期待の新人。ブルゴーニュのビオ・ディナミの盟主ドミニック・ドランの元で10年間も働いる。ビオ・ディナミ農法に関してはもう師匠のドミニックに劣らない実力者。

ジュリアン・アルタべールは醸造に関して、色んなアイデアを持っていた。2007年に自分のワインを造りたい旨を師匠のドミニック相談。ドミニックはまず自分の畑をジュリアンに提供して、SEXTANTの名前の名で独立。アットいう間に多くのファンを勝ち取っている。

ワイン造りの原点は畑にある。農作業を必要な時に必要な事を的確にすることがワイン造りの基本中の基本。しかも自然な方法でやること。DERAINで学んだ事を確実にこなすジュリアンの葡萄はエネルギーに溢れている。


JULIEN ALTABER BOURGOGNE BLANC13 ジュリアン・アルタべール・ブルゴーニュ・白

畑が確りしているジュリアンの白は流石にテロワールを感じる。ブルゴーニュ独特のミネラル感が中心のワインだ。限りなく水に近い淡い色合いだ。ビオ・ディナミストが造る独特な土を感じる果実味がある。比較的日常的に飲めるルゴーニュ白として貴重な存在。


L’ECUME 14 レキュム14
 ポマール地区にある山の中に林に囲まれて隠れるように栽培され小さな区画の葡萄をびお・ディナミ農法で栽培。昆布ダシの様な潮っぽい旨味。今年初リリースのブルゴーニュ白。まだラベルが未完成。


SKIN CONTACTE VIN DE FANCE スキン・コンタクト
アリゴテ・ドーレと呼ばれている特殊なアリゴテ品種。10日間のマセラッションをやった。まさに黄金色、辛口ではあるが、まるで甘口のようなボリューム感、そして、まるで水のようにニュートラルな感覚が残る。タンニンが微妙な影響を与えている。


BOURGOGNE ROUGE ブルゴーニュ・ルージュ
ポマールの下にある畑。粘土質石灰質土壌。勿論、ビオ・ディナミ農法、葡萄を自生酵母のみで仕込んだ。淡い色合い、スミレのような清楚なピノの風味。比較的安い健全で自然派なブルゴーニュのピノ・ノワール。貴重な存在だ。

 ジュリアン・アルタベール、価格的にも庶民的なブルゴーニュとして貴重な存在。新ワインもあり、例えば、METISSEメティスはボジョレのガメを仕込んだワイン、MARANGEは樹齢の古いマランジュ区域のピノなど。若手ビオ・ディナミストが醸すブルゴーニュ・ピノを試してほしい。

 

FOULARD ROUGE フラール・ルージュ

FOULARD ROUGE フラール・ルージュのジャン・フランソワ・ニックはこの試飲会の父のような存在。今もう瓶詰すると同時に完売してしまうほどの世界的人気の蔵元。本当は出る必要がないけど、一段落ついたこの時期に仲間の顔を見に来たジャン・フランソワ

人生的にも、数年前よりヨヨさんと一緒に暮らして、どっしり落ち着いた生活になっている。公私共に充実の生活を営んでいるジャン・フランソワ・ニック。ワインの方も風格が出てきた。熟練度が違う。天候変化にも微動だにしないワインの酒質。液体の粒子が違う。達人の境地に。

OCTOBRE オクトーブル14 ジャン・フランソワ・ニックが造るルシオン・ヌーヴォー。新酒の本当に美味しい飲み方は、急がず、時間に縛られず、今頃ゆっくりリリースするのが最も理想的だ。ワインとしての液体の安定感があって本当に美味しいと思う。南の太陽でここまでグイグイに入るとは?!旨い過ぎ!


GLANEUSESグラヌーズ
柔らかく繊細なタンニン、イチゴやサクランボのような爽やかな果実味、全く邪魔するものがなくスーと体に染み込んでいく。何て美味しいんだ!葡萄丸ごと発酵槽に入れたら最後、手を一切ふれない。ピジャージもなし、自生酵母のみ、花崗岩のミネラル感も真っ直ぐさを演出。

 

YOYO ヨヨ

YOYO ヨヨヨヨさんもやっと念願のジャン・フランソワ・ニックと一緒になれて、今が人生最高に幸せな時期。しかし、先週、ルシオン地方に豪雨が襲った。4か月分の雨が4時間で降った。今年植えたばかり葡萄園が豪雨で流されてしまった。チョット寂しそうなヨヨさん。


 ヨヨさんジャン・フランソワ・ニックにはここラングドック・ルシオンに多くの味方がいる。この二人にお世話になっている若手醸造家が多数いる。今週彼らが集まってヨヨさんの畑に行って、流された土を元に戻す作業を突貫作業でやり遂げた。


LA VIERGE ROUGEラ・ヴィエルジュ・ルージュ
このワインはこの二人の愛の結晶ともいえる。根っから明るいヨヨと緻密かつ必要な事を躊躇なく切り拓いていくャン・フランソワ・ニックが共同で造るワイン。グルナッシュ・グリを中心に醸す繊細かつ暖かいさが伝わって来るワイン。
 

MAZELマゼル

MAZEL マゼルのジェラール・ウスリックは南ローヌ右岸のアルデッシュ地区の自然派をまとめる元締め的存在。自然派でもジャック・ネオポールの流れを継ぐ。自然派の原点を貫いている貴重な造り。酒質が綺麗になりすぎている最近の自然派とは違う深みがある。自然派玄人向けワイン。

自然派が広く飲まれるようになって久しい。広まると自然派の事を知らない人達も多く飲むようになった。これは本当に喜ばしいことだ。しかし、今、失われている部分も多い。チョット、還元風の香りがしただけで“これはダメ”とダメだしする人達が増えている。

還元臭などビオ香と云われるワインを、美味しく飲ませてくれるプロのワインビストロもある。開けてすぐ美味しいワインを提供するのは誰でも、どこでもできること。チョット、ビオ香のするワインをプロの技で美味しく飲ませてくれるプロ自然派ビストロは数少ない。玄人向けビストロも貴重な存在。

ワインも人と同じで、クセのある人に普通の人には持っていないずば抜けて優れたものを持っている人がいる。ワインもクセのあるワインの中には、物凄い深い内容を持っている場合が多い。それを単に臭いからダメ。とダメ出しれてしまうと失いものも大きい。

世に自然派ワインを提供してくれるレストラン、業務店、ワインビストロも増えてきて嬉しいかぎりです。ソロソロ 多少臭いワインでも、内容の深い部分を美味しく飲ませてくれるワインビストロが欲しいと思う。チーズをねかせたり、肉を熟成させるプロのように。


マゼル
のワインは多少ビオ香のするものがある。しかし、ワインとしての酒質のレベルはかなり高く深い。単に臭いだけでダメだししては、失うものが多すぎる。もう一度、自然派ワインの原点の深いところを評価する人達が出てきてもよいと思う。ここではマゼルは大人気だ。


CUVEE LES LECHES 12キューヴェ・レ・レッシェ
マゼルのワインの中でも特殊に近い。シャルドネとグルナッシュ・ブラン。12年はほぼ水のように透明色に近い、パンプルムースの酸を含んだ甘味が口中に広がる。今の段階では残糖があり、これから微発泡化してくる可能性がある。


CUVEE C’EST IM-PORTANTキューヴェ・アン・ポルタン
マゼルにしか見たことがない品種、ポルタン品種である。南のワインらしい太陽を感じる黒オリーヴっぽい果実味がタップリ、ポルタン品種独特の野菜っぽい爽やかさも備えている。今日はややビオ臭の香りがあった。還元だと思う。

自然派ワイン見本市“LES 10VINS COCHONS”ディ・ヴァン・コッションも午後に入ると混雑してきた。目的の醸造家のブースに近づくことが難しくなってきた。各地のワイン屋やビストロのオーナー達は小型トラックで来ている。

年末用ワインの仕入も兼ねている。 年末の恒例見本市は、醸造元にとっても年末のお金が必要な時に小銭稼ぎにも役立っている。また、熟成中の14年産のワインをフランス中のビストロ屋やワイン屋に飲んでもらう絶好の機会でもある。醸造元同士の顔合わせや情報交換も大切このである。
 

MOURESSIPE ムーレシップ

MOURESSIPE ムーレシップのアランは今日は夫婦で参加。南フランスのニームからの参加。ラングロールのエリックのところで修業を積んだアランは2003年に独立。20年間も夢だった醸造元になった。それからもう11年が過ぎた。自分のスタイルが決まってきた。


ムーレシップのアラン
は若い頃から醸造家に成りたかった。葡萄園は昔に購入していた。しかし、ワイン造りの自信がなっかたので、葡萄を農協に売っていた。ある時、ララングロールのエリックと巡り合う。超一流の醸造を実地研修をしながら学んだ。だからどこか似ているところがある。

ムーレシップのアランは独立から11年が過ぎて、自分の土壌の力、葡萄のエネルギー力がよく分かってきた。どこまでも自然に造りたいアランはエリックから習ったことを変える気はなかった。ただ、土壌が違うので同じにはならなかった。還元力が違うので時々還元が残る。でもワインの深みが凄い。

CUVEE JEUX DE BULLES キューヴェ・ジュー・ド・ビュル11 という微発泡ワイン。シャスラ品種100%という南仏では珍しい品種。良く熟したリンゴ風味の爽やかさ、軽く酸化気味の風味と泡のバランスが柔らかさを演出して心地よい。ほのかな泡。

LOU CANTOU ル・カント13  白ワインの少ない南フランスで貴重な存在。シャスラ品種50%,シャルドネ50%、まるで シードルのような香り。口中でもまるでリンゴジュースのような風味。潮っぽいミネラル感があり、野菜天ぷらなどと一緒に飲みたい。


 PITCHOUNET ピチュネ13 ニーム周辺にはサンソー品種が昔からよく植えられていた。そのサンソー品種を主体約80%、グルナッシュ20%。オレンジ色っぽい淡い色、サンソー独特の果実味が豊富なワイン。勿論、セミマセラッション・カルボで、自生酵母のみで発酵。

 

SCARABE スカラベ醸造のイザベル・フレール

SCARABE スカラベ醸造のイザベル・フレール、昨年より体調を崩していたイザベルも元気に参加していた。ドメーヌも新たな体制で、色んな問題を乗り越えて前に進んでいる。2007年より初めて7年が過ぎた。ワイン造りはフラール・ルージュのジャン・フランソワ・ニックに教わった。

NINA ニーナ2014 イザベルが造るルシオン・ヌーヴォー。14年はシラーが80%、20%分はグルナッシュのジュースをシラー発酵中の発酵槽に入れた。除梗なしのセミマセラッション・カルボ醸造。軽くて果実味が全面に出たブヴァビリテ(飲み安さ)最高のグイグイワイン。


7セット
 と云う新キューヴェ。北斗七星がラベル上に記されている。グルナッシュを60%で除梗して発酵、シラー20%,カリニャン20%は除梗なしのセミ・マセラッションカルボ醸造。濃縮感もタップリあって果実味がゆったりしている。超自然な造り、SO2も添加ゼロ。

MUR MUREミュルミュレ13 イザベルの最も人気のあるワイン。お祖父さんから引継いだ花崗岩土壌の85歳のカリニャンが85%、今年はグルナッシュが15%の割合になった。除梗なしのセミ・マセラッション・カルボ醸造、自生酵母のみ、ピジャージなし、30日のマセラッション、果実の爆発的なワイン。
 

CLOS DES GRILLONS クロ・デ・グリヨン

CLOS DES GRILLONS クロ・デ・グリヨンのニコラ・ルノは歴史学の先生だった。お父さんの友人と共にシャトー・ヌフ・ド・パップの醸造元を訪問して、ワインの世界に魅せられてしまった。結局、先生をやめてワイン造りを初めてしまった。

クロ・デ・グリヨンのニコラは、シャトー・ヌフ・ド・パップ、シャトー・ヴィエイユ・ジュリアンヌの名醸造家ジャンポール・ドーマン氏の元で研修生として働き、そして自然派の最高峰をいくラングロールのエリックのところでも修業をして2007年に独立した。

ジャンポール・ドーマンは葡萄を除梗するトラディション醸造で途轍もなく繊細で上品なワインを醸す名手、ラングロ-ルのエリックは除梗なしのセミ・マセラッションカルボ醸造でエモーショナルなワインを醸す名手。偉大な二人の良いところを吸収したニコラは最初から凄いワインを醸す。

CLOS DES GRILLONS クロ・デ・グリヨンは今、北欧で大人気のワインだ。あの世界一レストランのノマでも使われている。ニコラは最近、ラングロールのエリック親戚のような付き合いをしている。ますますエリックのワインに近づいてきた感がある。将来の自然派の中心になりえる人物。

LE PIC GRIS ル・ピック・グリ、粘土・石灰質土壌に育つピックプール・グリと云う珍しい品種100%。、酸も穏やかで舌触りが柔らかい。昆布ダシ系の旨味、潮っぽいミネラルでしめるタイプの白。和食にはピッタリの合相性。

PRIMO SENSOプリモ・センソ12、グルナッシュ・ノワール75%、サンソーが25%という割合。除梗なしのセミ・マセラッションカルボ醸造、葡萄ジュースのような果実味、液体の粒子が細かく柔らかい。色合いも薄くややオレンジ系、師匠のラングロールを思わせるロゼのような赤。


VIEUX SAGE ヴュー・サージ12
、ここではすべて手摘み、除梗なしのセミ・マセラッションカルボ醸造、勿論、自生酵母のみ、40歳のシラー品種、この南ローヌの地でシラー100%で醸すのは少ない。品種からくる果実味の濃縮感がある。昆布ダシの旨味、佃煮のような浜の風味あり。

 

VENSKAB ヴェンスカブ とうとうでました!ラングロールとの共同キューヴェだ。エリックニコラのロゼの品質に感服。ラングロールTAVEL45%とニコラロゼ・ド・グリオン55%をブレンドして完成した一本。全部で2400本のみ。世界で取り合いになるだろう。

10VINS COCHONS の会場もますます混雑してきた。自然派ワインの人気も絶大になったものだ!とつくづく感じる。フランスの片田舎のこんな小さな村で開催してもこれだけの人が集まってしまう、とは凄いものだ。真っ直ぐ歩けなくなってしまった。
 

 

PHILIPPE JAMBON フィリップ・ジャンボン

PHILIPPE JAMBON フィリップ・ジャンボン、自然派の中でも極を走るフィリップがいた。子供のような好奇心を持ち続け、より純粋なワイン造りに邁進し続けるフィリップジャンボンのファンはここフランスでも熱狂的だ。彼のワインは感情が伝わるのだろう。

 
フィリップ・ジャンボン
のワインは通常のワイン概念では語れない。醸造学の理論では説明が効かない範疇のワインだ。彼のワインを批判しようと思えば、山ほどの欠点を上げられる。しかし、フィリップがOKを出した時にはその欠点も含めて、すべてのバランスがとれている。

フィリップ・ジャンボンのルーツはスイスの三ツ星レストランでソムリエとして働いた時に始まった。その後、リヨンで亡鬼才シェフのパスカル・サンテーズと働いた当時に付合った醸造家、グラムノンダール・エ・リボのワインの影響が大きい。その当時、そこに日本の宗像シェフもいた。

日本のメリメロの宗像シェフフィリップはその当時同じ釜の飯を食べた同志、いやファミリーだ。その当時から付き合ったカトリーヌと結婚して、97年に自宅のガレージを使ってワインを造ったのがスタートだった。そこから、ますます極の世界にのめり込んでいった。


ALLEZ LES VERRES !! 13 アレー・レ・ヴェール
ジャンボンの畑は殆どが斜面にある。しかし一か所だけが平地にある、それがこの区画。ラグビー練習場の隣にある。ここは雹にも遭うことなく収穫できた。友人達が集まって収穫した区画。皆の暖かさが詰まっている。透明感が素晴らしくスーっと入っていく。勿論SO2添加ゼロ。

LES BALTAILLES 11レ・バルタイユ は二つの区画からの葡萄でできている。BALMONTバルモン区画とBATAILLESバタイユ区画である。この二つの名前を合わせてバルタイユ。11年は収穫量が極端に少なく、大変濃縮した葡萄を収穫。過去最高の力強さとまろやかさが同居したスタイル。


LES GANIVETS レ・ガニヴェ06
 この06年も雹で荒れた年で、ガメの皮にボトリティス(貴腐)がついて、果汁がかなり濃縮してしまった。パワフル過ぎてアル発酵、熟成に何とか7年も費やし、やっとバランスがとれて13年に瓶詰。フレッシュさを含んだまろやかさ、素晴らしいバランス。

LA TRANCHE LE RETOUR11ラ・トランシュ・ル・ルトゥール、2007より収穫量がなく造れなかった。4年ぶりの復活。誰もが首を長くして待っていたワイン。LEYENESレンヌ村にあるフィリップの畑の葡萄。11年は葡萄の熟度もあって、独特の生ハム風味もあってグイグイはいる。


私はジャンボン・ファミリーが大好きだ。フィリップカトリーヌも濁ったところが全くない。フィリップは家計も省みず、自分の信じた道を一心不乱に突き進んでいる。3人の子供達を育てながら奇人変人しかできないような事を平然と普通にやりきっている。

決して楽でない家計をこの笑顔で支え切っているカトリーヌには本当に感謝する。カトリーヌがいなければ今のジャンボン・ワインは存在しない。極をやりきったフィリップのお蔭でワイン学で不可と思われていたことが可能だった、という事を証明してくれている。

 

CASOT DES MAILLOLES

カソ・デ・マイヨルのアランもスペインの国境の街バニュルスから参加。アランはもう自然派のレジェンドと云ってよい。アランにたいして自然派醸造家の誰もが尊敬の念を持っている。

レジェンドのアランのルーツはコルビエールまで遡る。

トゥールーズ出身のアランはお祖父さんの影響で農業をやりたかった。でも両親に反対されて一旦は諦める。最初は農業機械の技術者としてコルビエールに移り住んだのが切っ掛けとなった。しかし夢は諦めきれなかった。


アラン
は1981年にコルビエールのパデルヌ村に7Hの畑を手に入れた。幼い頃から念願の醸造家になった。その7Hの畑は、今は伝説的ワインとして語り継げられているMAZIERESマジエール醸造の故ブイグ氏(MAZIERES)がアランの後に手に入れた畑だ。この二人に接点があったのである。故ブイグ『ワインで世界を変える。』


話を元に戻そう。1994年にパリジャンのジスレンが偶然にコルビエールを旅行中に車が故障、通りがかったアランが修理したのが切っ掛けで、この二人のアバンチュールが始まった。二人でバニュルスに畑を購入、CASOT DES MAILLOLESを設立。

厳しい過酷なシスト斜面での仕事で、屈強なアランの体と土壌のシストが一体化してるのでは、と思うほど体が土壌化している。そんなアランが醸す最近のワインは何かを超えたヴュバビリテを備えている。

カソ・デ・マイヨル、EZOエゾ ,今日はルシオン地方でも内陸方面にある平地の区画のワインを持参していた。樹齢25歳のメルロー60%、シラー40%という品種構成。よく熟したピーマン系の風味にシラーの果実味が心地よい。フレッシュさ、ミネラルで透明感さえ感じられる。


10ヴァン・コション見本市も、午後中盤を過ぎると、人の入りも多く、最高潮になってきた。少人数の楽団が入って雰囲気を盛り上げる。お祭り気分になってきた。普段は別々の地方で同じ方向に向かってワイン造りをする仲間達同志が今夜は楽しい交流会となる。その前座が始まった。

 

DOMAINE OZIL ドメーヌ・オジル

南ローヌ河右岸のアルデッシュ地方のラゴルス村にある。全フランス中で自然派醸造元同志の結束力が最も良い地方である。新人自然派が誕生しそうになると古参醸造家達も皆で援助して育てる。トーマGILLES AZZONIジル・アゾニにワイン造りを学んだ。

今、フランスで新しい自然派醸造元が顕著に増えているのは南ローヌと云ってよいだろう。農協がバタバタ倒産している地方である。世代交代期にある葡萄栽培者達は農協から離れて独自に醸造所を設立するところが増えている。トーマがまさにそうだ。


OZILオジル家では、お父さんは農協に属していた。息子のトーマとジャン・ダニエルはドメーヌを引き継いでいる最中。お父さんと同じ事をしても将来はない。近所の醸造家にはジル・アゾニジェローム・ジュレなど世界中のバイヤーがやって来る。トーマは困難はあっても自然派の世界に挑戦したかった。
 


OZIL醸造のトーマ
は、ジル・アゾニで研修した。栽培から醸造まで一通りの自然派ワイン造りを学んだ。近所にはグレゴリー・ギヨムとか先輩のジェローム・ジュレが目と鼻の先にいる。何か質問すれば親身になって教えてくれる。これがアルデッシュ地方自然派チームの強いところ。

土壌をビオ栽培に転換して、土壌中の微生物を育てている真っ最中。真っ白な石灰質の石がゴロゴロとあり、畑が生きてきている変化がよくわかる。『農作業は3倍も重労働だけどやりがいのある仕事であり、何より自分の造ったワインで多くの人が喜んでくれるのが嬉しい』トーマ

PREM’Sプレムス、マルサンヌ品種100%の微発泡ワイン。残糖もありほのかな甘味にまたほのかな微発泡が実に心地よい。最初はタンクでアルコール発酵、残糖が20gほどになった時点で瓶詰してビン内二次発酵をしたワイン。

CUVEE BOURRETキューヴェ・ブーレ、グルナッシュ・ノワール品種100%、勿論、自然栽培、収穫は手摘み、自然酵母のみでアル発酵、セミ・マセラッションカルボ醸造、圧搾機は古式木製の垂直式のもの、優しく絞って上品なタンニンと爽やかさを含んだ果実味が心地よい。

 

DOMAINE DE MAUPERTUIS ドメーヌ・ド・モーペルチュイ

DOMAINE DE MAUPERTUIS ドメーヌ・ド・モーペルチュイのジャンはここ地元のオヴェルニュ地方出身。オヴェルニュ地方の自然派ワインと云えば伝説ドメーヌ・ペイラがある。ペイラを造り上げた一人がこのジャンでもある。控えめな性格のジャンは表に出ることがなかった。

モーペルチュイのジャンは最初知った時から全く今も変わっていない。チョット、有名になったり成功してくると性格や態度が変わってくる人が殆どだ。ジャンは全くいままでどうり。自分のやるべきことを他から影響されることなく着実にこなしていく人だ。


MAUPERTUIS
の葡萄園は標高450mという高さがここのワイン性格に大きく影響している。る。葡萄が熟すのが遅い。どんなに太陽がある年でも10月に収穫となる。葡萄がどんなに熟しても12度以上になることは殆どない。軽くてフレッシュで控えめでグイグイ水のように入るワインが多い。


MAUPERTUIS
収穫は精度がかなり高い選果をやっている。収穫時に行ったことがあるが、本当に完璧に健全な葡萄しか収穫していない。ジャンの性格がよく出ている。控え目だがやる事はキッチリやる。ワインも控えめで飛び出るものがない。すべてがバランスとれて疲れない。スーっと体に沁み込んでいく。

PUY LONG プイ・ロン 土壌は泥灰土や花崗岩の混ざったオヴェルニュならではのユニークな土壌。25歳から100歳のシャルドネが混植されている。収穫量が25HL/Hと少ない。水のような透明感のあるワイン。すべてが控えめなのに、ワインの背骨であるミネラルだけは確り主張している。

NEYROUネイルー, オヴェルニュのピノ・ノワール100%、この涼しい土地だからこそピノ・ノワールの本領が発揮されている。色合いはかなり控えめ、サクランボや赤い果実風味、チョットスパイシーさもある。何よりも確りしたミネラル感がビシっとしめてくれる。薄いようで決して薄くないいミネラルからくる余韻が長い。
 

 

LES VIGNES D’OLIVIERレ・ヴィーニュ・ドリヴィエ

キラリと光る新人自然派が生まれた。2014年が初リリース。ニース出身オリヴィエだ。自然派ワインが大好きで、プイィ・フィッセのフィリップ・ヴァレット醸造にて研修をした。そして14年春に畑ラングドックに購入。

オリヴィエは今年の春から畑仕事を開始。場所はモンペリエの街から北西に山の方面に行ったところにARGELLIERSアルジェリエと云う村がある。ラングドックとは思えない程、涼しく、降雨量もある特殊なミクロ・クリマを備えた区域がある。必要な水を確保できながら、ゆっくり葡萄が熟す立地だ。
 

オリヴィエは自分が造りたいワインの方向性はよくわかっている。オリヴィエの性格は物怖じをしない。
どんな大物醸造家でも躊躇なく訪問して入り込んでしまい、最終的に可愛がられるという特殊なトクを備えた若者だ。
必要なものを吸収してしまうハングリーさは凄い。

美味しいワインを造る人が共通して持ち合わせている大切なもの、探究心、実行力、自然の中にある“時”と“場”の流れを瞬時に理解し対応する柔らかいフレキシビリテをオリヴィエは持っている。磨けば自然派の宝石になるだろう。
 

LES VIGNES D’OLIVIER14 レ・ヴィーニュ・ドリヴィエ、初リリースワイン。グルナッシュ・ノワール50%.サンソー50%の品種構成。14年はいきなり難しい年だった。臨機応変にに対応した。グルナッシュは除梗なしでそのまま発酵槽へ、サンソーは即プレスしえジュースのみ同じ発酵槽へ。

LES VIGNES D’OLIVIER14、天がまるでオリヴィエの対応力を試そうとしているかのように、収穫中に天候が崩れた。傷んだサンソーをプレスしてジュースのみを仕込んだのが結果として成功した。ヴェール・ヴォーレなどフランス中の自然派ワインバーのメンバーが即評価していた。遠くを見つめているオリヴィエのこれからが楽しみだ。


LES VIGNES D’OLIVIER14
 まるでピノ・ノワールか?と思わせるほどピノッテしている。ロゼと赤の中間色、2週間のマセラッションにも関わらず、サンソーのジュースの特徴が全面に出ている。イチゴのような果実、爽やかな酸、スーと体に沁み込んでいく。

10VINS COCHONS自然派見本市

年の瀬、醸造元達も2014年の醸造が一段落ついてホッとした頃にやるこの見本市、皆、落ち着いた顔をしていた。 2014年産の収穫量と品質が一部を除いて大体は満足のいくものだったことが大きい。
プロのバイヤー達も14年の品質に安心したに違いない。新旧の蔵が入り混じって、このような交流の場があるというのは素晴らしい事だと思う。自然派ワイン業界の15年の更なる発展が予想される見本市でした。 伊藤