ドメーヌ・サーブルは従来、最高のとも言ってもよい自然派生産者であるフィリップ・パカレがコンサルティングをしており、ワイン造りもパカレが担当していた。ところが2006年からはパカレのコンサル契約を終了し、独自でワイン造りをするようになった。それを知ったとき、実はというと“大丈夫かな”と少々心配になった。というのも、マダム・サーブルに以前お会いしたとき陽気でいい人だと思ったが、反面、ボーヌの街の中心地にブティックを作るなどして商売人だなと感じたからだ。
ところが今回の訪問で、それは取り越し苦労だということが分った。
現在、ワイン造りを担当しているのは、マダム・サーブルの娘のファニー・サーブルさん。何とまだ若干23歳だ!学校を卒業してから2001〜2005年の5年間、パカレにぴったりくっついて、このドメーヌでナチュラルなワイン造りを栽培から瓶詰めまでみっちり仕込まれた。
畑の見学からカーヴでの試飲まで、ファニーに案内してもらったが、スラリと背が高く、浮付いたところのないしっかりした語り口からは、23歳とはとても思えないしっかりとした個性を感じる。
同行した日本酒の蔵人の方の「ひとりでワイン造りをしていて不安はないのか?」との問いにも、きっぱり「ない!」とのこと。パカレと一緒にやってきたワイン造りの経験が、自信に繋がっているようだ。また、2004年に発酵がうまく進まず1樽だめにしたことも、大きな経験になったという。
一通り試飲をしたが、どれもパカレのワインにとても似ていると同時に、各アペラシオンの個性がよく表れている素晴らしい品質だ!
ドメーヌ・サーブルに対する心配は、これで一切晴れた!
しかし恵まれているのは素晴らしいアペラシオンの畑をこれだけ多種持っていることだ。列挙すると、ボーヌ・ブラン、ボーヌ1級“シュアシュー”、ムルソー“スー・ラ・ベル”、ムルソー1級“レ・シャルム”、サヴィニー・レ・ボーヌ、ポマール、ポマール1級“レ・シャポニエール”、アロース・コルトンなど。