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自然度200%・自然派の極を走るフィリップ・ジャンボン PHILIPPE JAMBON

今回は自然な造りのトップを走るジャンボン、昨年の収穫レポート中心にジャンボン像の一隅に光りを。 ブルゴーニュ・ボジョレ中で最も遅い収穫をするジャンボン 10月5日、ブルゴーニュ、ボジョレ中の誰もが収穫を終えてアルコール発酵も終わってプレスをかけている時期、流石、極を走るフィリップ・ジャンボン!やっと腰を上げてブルゴ-ニュ中で最も遅い収穫を開始した。ワイン造りのすべての点において、絶対に妥協をしないフィリップ。 畑仕事、収穫、醸造、熟成、それぞれの段階で極限まで理想を追求するフィリップは自然派の世界遺産と云っていいだろう。醸造元仲間の間でも『そこまでやるか?!』と云わせるほどの“極”を走る。極を走らないと分からないことが沢山ある。フィリップは開拓者だ!貴重な存在である。常人には極限までやる勇気はない。『醸造上そこまでやっても大丈夫なんだ!エッ?』という事を実践で証明している。アルコール発酵を5年間も続けたり、揮発酸が発生してもフィリップは動かない。 数年後にはちゃんと飲めるワインになってしまう。 夢追い人・フィリップ・ジャンボン 畑仕事も完璧にやりたいフィリップにとって4ヘクタールは多すぎる。完璧にやる為には、畑を減らさなければ、と考える。減らす為に、葡萄木を抜いてしまっている。当然減らせば収穫量も減る。勿論、収入も減る。でも、フィリップにとってはそんな事は重要なことではない。普通の人の経済的観念は持ち合わせていない。究極にピュアーなヴァン・ナチュールを造りたい!夢追い人のフィリップがいる。 朝日が昇るジャンボン畑、早朝の収穫・近隣の自然派が応援にやって来た 早朝の朝靄がかかった畑に朝日が昇った。なんて幻想的な空間なのだろう。 フィリップ・ジャンボンの畑はボジョレの最北端、プイィ ・フィッセに限りなく近いマコネとの境界線上にある。今日はジャンボンの畑の中では唯一平坦な畑だ。 他のすべての畑は丘の斜面に位置している。そちらの方の畑は、今年は寒波と雹にやられて50%の収穫減だ。2008,09,10と3年連続で雹にやられて30%ほどしか収穫がなかった。昨年、12年はやっと普通の収穫量30hl/hが収穫できた。また、今年は50%の収穫減だ。夢追い人も正念場に差し掛かっている。厳しい生活となりそうだ。やや心配になる。 近隣の自然派醸造元の仲間も心配になって応援に駆けつけてくる。フィリップのお陰で勇気づけられて自然な造りを始めた醸造家が多い。 また、熱狂的なフィリップ・ジャンボンワイン・ファンも応援に駆けつけていた。 何とか持ち堪えてほしい! Guichard Jérômジェローム・ギィシャール、Guy Blanchardギィ・ブランシャールの二人も応援にやってきた。この二人もフィリップ・ジャンボンから絶大な勇気をもらって自然なワインを造り始めたのだった。 日本からは、オザミ東京の田中さんも応援に駆け付けた。 5年前にフィリップが日本にやって来た時、連日連夜のようにオザミ店で飲み明かした。 高き理想・誇り! 武士は食わねど高楊枝! フィリップを支える人々! 佳き友と佳き妻(カトリーヌ)に囲まれて夢を追い続けるフィリップ・ジャンボン。 二人の間には息子2人と娘の3人の子供がいる。 カトリーヌは云う 『家には4人の子供がいるようなものよ!』 にっこり笑い飛ばす明るい カトリーヌ。彼女がいるから フィリップは夢を追い続けることができる。 カトリーヌ・ファンも多い。 朝、7時に始めた収穫、10時に一休みがはいる。 シャクトリー(ソーセージ、生ハム類)チーズ、パン、勿論ジャンボンのワイン、チョコレートなど甘いもの、等が提供される。 皆、友人ばかりなので暖かい空気が葡萄園にたちこめている。 昨夜、飲んだワインがまだ若干残っている。体を動かすことで 体内のアルコールが物凄いスピードで消えていくのを感じる。 2012年産のフィリップ・ジャンボン収穫完了 醸造家仲間や熱狂的なジャンボン・ファン達と愛情あふれる雰囲気の中で 通年の50%の収穫量とは云え、無事に収穫が完了した。 収穫中の葡萄園に流れるこの暖かい空気は、他の醸造元では絶対に存在しない“愛情”で詰まっている。葡萄果汁にも、自然酵母にもこの暖かさが伝わっているのだろ。ジャンボンのワインには他では絶対に味わえないホワッとした心が落ち着く暖かみがある。 オザミ東京の田中さんもこの暖かい空気の中にすっかり溶け込んでいた。 オザミのお客さんの中にも、このフィリップ・ジャンボン・ワインの熱狂的ファンがいるのを田中さんは知っている。この暖かさがワインの中にあって、 お客さんにも通じているのだろ。 この暖かさの原点を、田中さんはこの葡萄園で収穫しながら発見した。 ←収穫された葡萄はポンプを使わず、人力で発酵槽の中に入れられる。 発酵槽の上から落とし込むこの作業も実に大切なことである。 収穫を終わった後は、延々とアペリティフが続き多くのワインが開けられた。 それぞれの醸造家が自分のワインを持ち込んで皆で楽しんだ。 そして、最後はカトリーヌの手料理を皆で分かち合った。 何の世界でも、手作りしか出せない希少な価値が存在する。一点の濁りのないプュアーな ワインの中に、多くの愛情が詰まったワイン、 それがフィリップ・ジャンボンだ。

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Oct

究極の超自然派 PHILIPPE JAMBON フィリップ・ジャンボン 2011年収穫

栽培も、醸造も、自然を極める! 自然派仲間の中でも“そこまでやるか?”と云われるほど極を行っている自然派の造り手だ。 畑に草を生やしてより良い葡萄を栽培する為に20%分の葡萄木を抜いてしまったり、自分の思うような味わいになるまで樽熟成を5年も7年も続けたり、醸造学の先生達が見たら腰を抜かしてしまうような事をやりきっているフィリップ・ジャンボンだ。 自分の理想に真っ直ぐ進むジャンボンだ。 彼の思いに濁りが全くない。お金、名声など彼にはとっては屁のような存在。 09、10の2年間は全く収穫が無かった。不運にも雹で壊滅的打撃を受けた。2年間の収入がゼロである。普通の神経なら気が狂いそうになる。でもジャンボンは動かない。自分の理想は絶対に曲げない。収穫が無かった畑を今年も黙って畑作業を続けてきた。 今日は収穫の真最中、夕方に訪問。3年ぶりの収穫だ。やはりジャンボンも人の子、笑顔がでる。収穫した葡萄の糖度を図っていた。今年の葡萄はどうですか?『ジュースがこんなに色が濃いのは初めてだよ。マチュリテー・フェノリック(ポリフェノールの熟度)が高いのだろう。』 『今年は葡萄の量も品質もかなり高いよ。』こんなに嬉しそうなフィリップを見るのは久々だ。こんなに嬉しそうなフィリップを見ていると、こちらのほうまで嬉しくなってきた。ジュースを一緒に試飲した。ドロップキャンディ―のような果実味と爽やかさが口中に広がった。旨い! ジャンボンの畑は葡萄、雑草、昆虫たちの住む小宇宙 PHILIPPE JAMBONの畑は葡萄、雑草、微生物、昆虫たちの住む小宇宙だ!まるで草と葡萄が会話を楽しんでいるようだ。微生物、ミミズが葡萄木の成長を助ける土壌を活性化してくれる。葡萄木が日陰で陽だまりを作り微生物達を助ける。小宇宙の自然相互援助システムがある。 ジャンボンの葡萄園は不思議なエネルギーが充満している。イルージョンの畑では収穫を待つシャルドネを最後までセッセと宇宙の光を集めて光合成をフル回転させながら葡萄にエネルギーを与え続ける葉っぱ達がいる。一年最後の仕事に力を振り絞って働いている。 この畑にいると、本当に宇宙から草、微生物まですべてが繋がっていてその多様なものが寄り集まって1房の葡萄を作っていることを実感する。 ジャンボンの畑には野生のサラダが一杯とれる。タネを蒔いていないのにバラエティーに富んだ草、花、サラダが生きている。訪問する度に食事用のサラダをフィリップの子供達と葡萄園に採りに行く。美人の奥さんカトリーヌがドレッシッグと美味しい料理を作って待っている。 フィリップ・ジャンボンは毎年子供と家族全員で収穫をやる日を設けている。フィリップの理想の中に家族も含まれている。自然派の極の人にありがちな奇人変人では決してないところがフィリップの凄いところだと思う。これには勿論カトリーヌの理解が絶大だ!『家には子供が4人いるようなものよ。』とニコっと笑う、明るいカトリーヌがいる。 フィリップ・ジャンボンは典型的なマルセル・ラピエールの薫陶をえた自然派醸造家だ。グランプアンチエール(除梗なしの房丸ごと)発酵槽の中に入れる。勿論自生酵母のみで発酵。だから葡萄の健全度は超重要、ケースは絶対葡萄が潰れない底の浅いもの使用。勿論、SO2(殺菌・酸化防止剤)完全無添加、自生酵母のみ。 PHILIPPE JAMBOMのところには熱狂的ファンが遠方かやってくる。今日も自然派ワインを広めた一人クリストフ・ピケボワッソンのお兄さんピエールがロワールからやって来た。ワインを直買いに来たのだ。予約したはずのワインがなくなる原因はこのような人が多いからだ。 友が来るとブラインド飲み会をやらずにはいられないのがフィリップだ。ボトルを袋に詰めて次々と出してきた。3本ほど開けたところで、フィリップのお爺さんとお婆さんが収穫状況を見にやってきた。これで完璧に飲み会になってしまった。まだ仕事がいっぱい残っているのに。 2年間収穫のないフィリップを先輩達が心配している。フィリップも尊敬しているゴネさんがフィリップに提案した。ゴネさんはもう結構高年齢だ。何十年も最初からビオ栽培だ。ゴネさん『俺は疲れたから君が俺の畑でとれた葡萄で造ってくれないか?』 ル・トランシュがもうじき出る。 7年間も熟成したバタイユが今年末までには出てきそうだ。自分が納得する品質になるまでは絶対に出荷しない。2005年だ。濃厚な色、グルナッシュを思わせるほどスパイシー、ミネラルの旨味、プイサン力強い。フィリップ『30年は自信もって熟成できるよ』7年の歳月かかった。