<ドメ―ヌの歴史>
オステルタグ家は、ライン河に沿ったアルザス地方で長い歴史を持つ一族で、ドメ―ヌは、1966年に設立。
現在は、2代目André Ostertag – アンドレ・オステルタグ氏が経営しています。ドメ―ヌ名にもなっている、苗字オステルタグは、昔の言葉で「パックの日(復活祭)」を意味し、復活祭にちなんだ羊が家紋であり、ドメ―ヌのロゴにもなっています。

<アルザス地方>
アルザス地方のぶどう畑は、220キロに渡り、ヴォージュ山脈にそって南北に広がっています。昔は、この地域は、ドイツの黒い森までつながる、一つの大きな山だったのですが、それが長い年月を経て、陥没、侵食して、そこにライン河が流れるようになり、この複雑で多様性のある地形と土壌を造り出したのです。
アルザスには、7つのぶどう品種、そして、この複雑な地形、土壌があり、そこで辛口から甘口まで多様性に富んだワイン造りをしているのです。

<オステルタッグのカーヴとぶどう栽培>
オステルタッグのカーヴは、ストラスブルグの南の村、エピフィグに所在し、現在所有のぶどう畑面積は、14ha。
全部で5つの村(Epfig,Nothalten,Itterswiller,Ribeauville,Albe)の100の小さな区画で構成されています。
栽培品種は、シルヴァネール15%、ピノ・グリ20%、ピノ・ノワール5%、リースリング30%、ゲヴェルツトラミネール18%、ミュスカ2%、ピノ・ブラン10%。ぶどうの樹齢は最高77年と非常に古く、地中深く入り込んだ根が土中のミネラル分を吸収します。1996年より部分的に、そして1998年より全区画で、ビオディナミ農法を実践し、テロワールの特徴を最大限発揮するようにしています。

<2代目当主 アンドレ・オステルタッグ>
2010年現在51歳。緻密で自然なワイン造りを行うアルティザン(職人)でありながら、創造的な要素も取れ入れる、アーティスト(芸術家)でもある。前世は日本人では無かったのかと思わせるほど、立ち振る舞い、食の好み、考え方が日本人的であり、見た目「禅僧」のようでもある。 ビオディナミの本質を日々突き詰め、ぶどう畑、カーヴ、そして造る人間のエネルギーまでもが、ワインに繋がっていくという。アンドレの趣味は詩。20世紀前半のフランス詩人「ポール・エリュアール」の作品が好きだそうだ。芸術家の奥さんの絵と合わせた詩集なども発刊している。奥さんは、ぶどうの樹をモチーフにした絵を描き、アンドレは、その絵に詩を寄せている。

<3つのカテゴリー>
オステルタッグはワインを3つのカテゴリーに分けています。

「Vin de Fruit(果実のワイン)」
ぶどうの果実味が前面にでたワイン。通常に収穫し、6~9カ月熟成。
若いうち、5年以内に飲むワイン。
ボトルの色、ラベルの色調は、植物をイメージした緑色。
ラベルには、ぶどう品種名がメインで記載される。

「Vin de Pierre(石のワイン)」
テロワールの味わいが強いワイン。その区画の深い底にある岩盤質の特徴が前面に出ているワイン。
収穫は遅め、11~18カ月熟成。熟成ワイン(10年~20年)。
熟成度の応じて、その場その場で楽しめる。
ワインのボトルは、暗い色で、ラベルはクリスティーヌ夫人の描いたぶどうの株をイメージしたもの。
テロワ―ルの名前を大きく表示、ぶどう品種名は小さく表示。

「Vin de Temps(時のワイン)」
ヴァンダンジュ・タルディヴとセレクション・グラン・ノーブル。
これは、収穫までの時間(Temps)もかかるが、その年の気候(Temps)にも左右される。
年によっては、粒ごとの手摘み収穫もある。9~12カ月の熟成。長期熟成(20年~50年)。
高い糖度によって、長期間(Temps)の熟成ができる。
ワインの色合いと熟成状態が分かるように透明瓶にビン詰め。

○Vieille Vigne Sylvaner 2009
平均樹齢50年。(33年~75年)粘土石灰質土壌。
アルザス料理にも使用される、日常楽しむテーブルワイン。 
青リンゴのような酸味、マスカットのような果実味など、ミネラル感もあり、バランスの良いワイン。2009年はトロピカルなニュアンスも。

○Pinot Blanc Barrique 2009(バレルティスティング)
樽発酵、樽熟成。(新樽5%)味わいはリッチで、やさしい丸みのある味わい。
くるみや、はしばみのようなナッツ香も感じられる。

○Pinot Gris Barrique 2007
平均樹齢35年。樽発酵、樽熟成(新樽20%)
しっかりとした凝縮度と酸を併せ持つ。
2007年は、ゆっくりと熟度が上がったため、アルコールの強さも感じられるが、全体のバランスが取れている。スズキなどの白身の魚、ヒラメのムニエルなどに相性が良い。

○Pinot Noir d’E 2009
粘土と石ころの混ざる土壌の区画と泥土質の区画。1部樽熟成(樽25%、ステンレスタンク75%)
12日間のマセレーション。リモンタージュではなく、デルスタージュにて、ぶどうに優しく、ぶどうの旨みを抽出する。2009年は熟度が高く、カシスやサクランボのような赤い果実や黒い果実のニュアンスが強い。繊細でバランスの取れた味わい。

○Riesling Vignobles d’E 2008
総面積3ha。砂質と石ころの混ざる区画と、砂質と粘土の混ざる区画の二つの区画。
マスカットや、青リンゴのキャンディーのようなアロマ、口中では、シトロンの様な柑橘系の綺麗な酸を感じる。2008年は、通常年より長期熟成も可能な素晴らしいミレジムである。

○Clos Matis 2007
この区画は、オステルタッグの栽培責任者、ユベール・マティス氏が所有する区画。
オステルタッグが造るワインの区画では、一番南に位置し、石壁で囲まれた0.6haのリボ―ヴィレ村の南東向きの険しい斜面に段々畑になって広がっています。
土壌は、花崗岩で、平均樹齢35年。
日照量が多いものの、斜面を吹きぬける涼しい風によって、熟度がありながら、
酸とフィネスを合わせ持つワインを造り出します。

クロマティスは、気品の良い、長期熟成向きのクオリティーの高いリースリングを生み出します。若いうちは、その良さを隠していますが、熟成によって、上質の酸、タンニン、ミネラル感を保ちつつ、高貴な味わいを表現してくれます。

○Fronholtz Reisling 2007
石英、白い砂、粘土、泥灰土の混ざる土壌。
クリスタルような透明感、繊細さを感じるワイン。
口中で涼しくやわらかい。
そして、最後に強いミネラル感を感じる。
月のように、時として冷たく、時として熱さを感じさせる。

○Heissenberg Riesling 2007
ハイセンベルグとは、「熱い山の意味」。
他の区画より、やや高温のミクロクリマからくる。
Nothalten村に位置する真南向き急斜面。土壌はヴォージュ山脈のローズ色の砂岩。平均樹齢35年。
フロンホルツとは対照的な、太陽の炎のような熱さを持ったワインを造り出す。
味わいは、はちみつのような甘さ、柑橘系の酸、ミネラル感が強い。
脂質もしっかりとして、余韻も長い。

○Muncheberg Riesling 2008
ヴォージュ山脈のロゼ色の砂岩に、火山岩の堆積層や石灰質土壌の地層が組み合わさった土壌。
ミュンシュベルグとは、「修道士の丘」と呼ばれ、12世紀から、彼らによってぶどうが栽培されてきた。
砂岩から来る、女性らしさ、火山岩から来る男性的なニュアンスを併せ持つ。
平均樹齢50年。(最高樹齢70年)
いぶしたような、火打石のような香り。
また、白い花、ぶどうの花の香り。
アタックは、柔らかく、やさしく、余韻に口中がしびれるような強さ、ミネラル感を感じる。長期熟成型ワイン。

○Gewurztraminer Vignobles D’E 2008
バラやライチ、白い花の香りなどとてもアロマティック。
アタックは柔らかく、繊細で、後味に心地よい果実味が残る。
残糖50グラム/リットル。
遅摘みで熟度のあがったゲヴュルツをセレクションして収穫、
ぶどうを丸ごと、ゆっくりと時間をかけプレスし、タンクで発酵させる。
ゲヴェルツに関しては、長い熟成はさせず、その果実味を残したままビン詰めする。
残糖があるため、オリ引きを2回行い、2回目の低温により清澄作業のとき、若干量の
SO2を添加する。

<オステルタッグのぶどう畑>

FRONHOLZ フロンホルツ
所有面積:3.3Ha
Epfigの丘の腹部から頂部に広がる南西向きの斜面に立地。
日照量が多く、通気性の良い区画。
土壌は、水晶、白い砂、粘土や泥灰土など。
植樹されているぶどうは、リースリング、ミュスカ、ピノ・ノワール、ピノ・グリ、ゲヴェルツトラミネール、シルヴァネール。
水はけのよい白い砂質土壌には、リースリングを、軽い粘土質土壌の区画には、ゲヴェルツトラミネール、重い粘土質土壌区画には、ピノ・ノワール、ミュスカを植えている。
このフロンホルツのワインは、爽やかな酸味とミネラル感の富み、熟成とともに上品なアロマが現れてくる。

ZELLBERG ゼールベルグ
所有面積:0.3ha
Nothalten地区の丘の中腹に位置する南東向きの区画。
ヴォージュ山脈のロゼ色の砂岩が多く混ざる粘土石灰質土壌。
Hermitageエルミタージュという意味。
ピノ・グリとシルヴァネールが植えられている。
ワインは、デリケートなアロマでボディのある官能的な味わい。

HEISSENBERGエイセンベルグ <HEISSENBERGの区画で、ぶどうの樹の手入れをするオステルタッグ親子>
所有面積:0.75ha
名前の由来は、「熱い山」。他の区画より高温のミクロクリマから来る。
リースリング100%。
ヴォージュ山脈のロゼ色の砂岩の土壌。Nothaltenの真南向きの急斜面の区画。
ワインは、脂質があり、ミネラルでアロマティック、エキゾチックな味わい。

MUENCHEBERGミュンシュベルグ
グランクリュ。17haのうち2.2haを所有する。(50の所有者がいる)
ヴォージュ山脈の山麓に位置する、Nothaleten地区内にある、すり鉢状の南に大きく開放された、ぶどう栽培に最高の条件を備えた区画。標高200~300m。
12世紀には、すでに「修道士の丘」と呼ばれ、ぶどうが植えられていた。
土壌は、ヴォージュ山脈のロゼ色の砂岩に、火山岩の堆積層や、石灰質土壌が組み合わさった地質。
栽培品種は、リースリング、ピノ・グリ。
ワインは気品にあふれ、とても長い余韻が特徴。彫が深く奥行きのあるワイン。

<Muencheberg(修道士の丘)の名前に由来となった修道館が今でも現存する>

A360P。。。
オステルタッグのワインのキュヴェで、
A360Pというキュヴェがある。それは、グランクリュのMuenchebergで栽培されたピノ・グリである。アンドレ氏は、ピノ種(ピノ・ブラン、ピノ・グリ)は、樽との相性が良いとの考えから、ピノ・グリを樽発酵、樽熟成させる。
アルザス特有の、厚みがあり重々しいピノ・グリではなく、脂質のある辛口な、洗練されたワインを造るべく、周りの生産者とは異なった造りをしている。その樽の使用による、ワインの味わいが、他のMuenchebergのピノ・グリとは違いすぎるとの理由で、AOCの認定をされない年代が多々あった。
ビオディナミを実践し、テロワールをより表現しようとしているのに、AOCの認定から外されてしまうのだ。
そこで、アンドレ氏は、このキュヴェにA360Pという、ぶどうの土地台帳記載の区画番号をキュヴェ名としたのだ。
より明確なテロワールを表現するために。
このキュヴェのラべルには、奥さんの絵とともに、アンドレ氏の
「ロゼ色の砂岩の真ん中にある1本の古い樫の樹のように、孤独だが自由である.」 
Solitaire mais libre comme un vieux chene au Coeur du gres rozeという詩がアンドレの強い思いを込めてうたわれている。

アンドレ・オステルタッグの「本物のワイン」を目指しての終りなき挑戦はまだまだ続く!!!


オステルタッグのワインのお問い合わせは、
輸入元:株式会社 JALUX まで
TEL:03-6367-8755 FAX:03-6367-8758