今年もアルデッシュでの試飲会’La Nature a horreur du vide’の季節がやってきた。今年の会場は、自然派ワインに対するパッションが溢れるジェロームのドメーヌ、レ・クラパス(Les Clapas)だ。  今年は、主催者であるジェロームに多大なる影響を与えたジェラールのドメーヌ、ル・マゼル(Le MAZEL)、アヴェロン、オーヴェルニュを代表する生産者たち、ニコラ・カルマラン(NicolasI CARMARANS)、ジャン・モペルテュイ(Jean MAUPERTUIS)、パトリック・ロルズ(Patrick ROLS)をはじめとして、今大人気の14生産者が集まった。 良く晴れてはいるが、日差しはさほど強くない快適な天気の下で開催されたこのイヴェントは、ヴァカンスど真ん中の時期だけに、「試飲会」というよりも「お祭り」と呼んだ方がいいかもしれない。会場脇では、既に午前中から、夜の宴に向けた準備が着々と進められているのであった。 レ・クラパス(Les Clapas) 2006年に独立してから5年で早くもアルデッシュの地で今回のような大規模な試飲会を開催できるほどのジェロームの人望、情熱は相当なものだ。  この日は、以下の3キュヴェを試飲することができた。 ・パ・サ・パ(Pas à Pas) 2010 (2009は瓶詰めがまだ) 品種:カリニャン70% アリカント25% グルナッシュ5% 土地:粘土質、石灰質、0,6ha 樹齢:カリニャン55年、 アリカントゥ35年 生産量:45hl/ha、手摘み 醸造・熟成:  除梗したブドウを5000リットルのステンレスタンクで18-25度で15日間醸造。ステンレスタンクで数月間熟成。SO2無添加、コラージュ無、フィルター使用無。 ・ラブリ(L’Abrie) 2010 (11月以降、出荷可能) 品種:カベルネ・ソーヴィニョン100% 土地:粘土質、石灰質、0,75ha 樹齢:34年 生産量:35hl/ha、手摘み 醸造・熟成:  除梗したブドウをステンレスタンクに入れ、果汁を抜き取って15日間醸造。ステンレスタンクで6-7ヶ月熟成後、樽で5ヶ月間熟成。SO2無添加、コラージュ無、フィルター使用無。 ・オン・ナヴァン・ドゥットゥ(En Avant Doute) 2010 品種:グルナッシュ100% 土地:粘土質、石灰質、丘陵、350-380m 樹齢:30年 生産量:30hl/ha、手摘み 醸造・熟成:  除梗したブドウをステンレスタンクで3週間醸造。その後、瓶詰めまで澱と共に6ヶ月間熟成。SO2無添加、コラージュ無、フィルター使用無。 ル・マゼル(Le MAZEL) 自然派の元祖、ジュール・ショヴェ先生の直弟子の一人、ジャック・ネオポール氏に教えを受けたジェラールのワインは、コクがありながらもスイスイ飲めて、何の料理でも合わせやすい万能選手!昼食の時間とちょうど重なったので、試飲ではなく、たっぷり注いでもらって、テリーヌ、タジンと一緒にじっくり味わった。 ・ブリアン(Briand) 2010 品種:グルナッシュ100% 土地:粘土質、石灰質 樹齢:50-65年 生産量:30hl/ha、手摘み 醸造・熟成:  除梗せずにステンレスタンクで6-12度の低温で1ヶ月マセラシオン。木の垂直プレス機でゆっくりと圧搾。バリックで12ヶ月間熟成。SO2無添加、コラージュ無、フィルター使用無。 ・ラルマンド(Larmande) 2010 品種:シラー100% 土地:粘土質、石灰質、南向、1,35ha、標高260m 樹齢:40-60年 生産量:33hl/ha、手摘み 醸造・熟成:  除梗無。ステンレスタンクで6-12度の低温で4週間マセラシオン。木の垂直プレス機でゆっくりと圧搾。バリックで10ヶ月間熟成。SO2無添加、コラージュ無、フィルター使用無。 ニコラ・カルマラン(Nicolas CARMARANS) ミディ-ピレーネー地方、アヴェロン県(12)北部の村、カンプリエス(Campouriez)村のさらに外れにニコラの畑はある。標高450メートルのその畑で、ニコラは、土着品種5品種[ポルテュゲ・ブル(Portugais Bleu)、ルスル(Roussellou)、ネグレ・ドゥ・バニャール(Négret de Banhars)、フェー・サルヴァドゥ(Fer Servadou=マンソワMansois=ブロコルBrocol)、ジュランソン・ノワ(Jurançon Noir)]を含む12品種(他には、アブリュー、アリカンテ、シュナン・ブラン、シャルドネ、ミュスカデル、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニョン)のブドウを栽培している。 今回は、セルヴ(Selves) 2009とモヴェ・タン(Mauvais Temps) 2010を試飲させてもらった。 ・セルヴ(Selves) 2009 品種:シュナン・ブラン100% 土地:花崗岩、南西向の段丘、1ha 樹齢:25年 生産量:30hl/ha、手摘み、畑で選果 醸造・熟成:  除梗無。直接圧搾。澱引きの際にSO2を1g/L添加。バリックで18ヶ月間熟成。コラージュ無、フィルター使用無。 瓶詰め:2011年9月末 味わい:  しっかりしたボリュームがありながら、綺麗な酸味とのバランスが良く、スイスイ飲めてしまう一本。 ・モヴェ・タン(Mauvais Temps) 2010 品種:ネグレ・ドゥ・バニャール40%+フェー・サルヴァドゥ40%+カヴェルネ・フラン20%+カヴェルネ・ソーヴィニョン20% 土壌:花崗岩 樹齢:26年 生産量:30hl/ha、手摘み、畑で選果 醸造・熟成:  除梗無。15hlの樽(tronc conique)で24-25日間マセラシオン・セミ・カルボニックを行った後、バリックで8ヶ月間熟成。コラージュ無、フィルター使用無。 味わい:  パワフルでスパイシーな赤。赤身の肉料理と合わせたい。 ジャン・モペルテュイ(Jean MAUPERTUIS) パリでも大人気のジャンのワイン。この機会にピンク・ビュル(Pink Bulles) 2010とピエール・ノワール(Pierres Noires) 2010を久々に飲む機会を得た。 ・ピンク・ビュル(Pink Bulles) 2010 品種:ガメイ100% 土地:泥灰土、石灰質、0,5ha 樹齢:50-70年、最も若いブドウ樹でも40年 生産量:25hl/ha、手摘み、畑で選果 醸造・熟成:  除梗無。直接圧搾。セメントタンクで発酵後、熟成。SO2添加無、コラージュ無、フィルター使用無。 ・ピエール・ノワール(Pierres Noires) 2010 品種:ガメイ100% 土地:火山岩、北向、1,5ha 樹齢:50-100年 醸造・熟成:  ブドウを除梗せずに、天然酵母で1ヶ月間キュヴェゾンを行う。セメントタンクで3週間マセラションを行った後、6ヶ月熟成。コラージュ無、フィルター使用無。  ジャンのワインは生産量が少ないうえに人気が高く、既に2010年ヴィンテージはどのキュヴェも蔵元に在庫が無いため、残念ながら来春まで2011年ヴィンテージのリリースを待たねばならない。透明感があり、果実味たっぷりのジャンのガメイが待ち遠しい。そして何と、2011年ヴィンテージでは初のピノ・ノワール(1,5ha)のキュヴェ(バリック熟成)が登場するそうだ。ジャンが手掛けるピノ・ノワール、また楽しみが一つ増えた。 パトリック・ロルズ(Patrick ROLS)  パトリックの畑の土壌は、シスト(結晶片岩)土壌(薄いスレート状の石の層から成る痩せた土地)である。ブドウの根がシスト岩盤の隙間に入り込んで地中深くに伸びるので、土壌中のミネラルを吸収して、ワインにミネラル感を与える。この日は、5つのキュヴェを味わうことができた。 ・ラ・ヴァンゼル ロゼ(La Vinzelle rosé) 2010 品種:カベルネ・フラン100% 土地:シスト、南向、1,5ha 樹齢:7年 醸造・熟成:  1晩マセラションを行った後、8-10ヶ月バリックで発酵・熟成。コラージュ無、フィルター使用無。 ・ル・プティ・キュリウ レ・ザンシアン(Le Petit Curieux les anciens) 2009 品種:メルロ50%+カベルネ・フラン25%+ カヴェルネ・ソーヴィニョン25% 土地:シスト、南向、1,5ha 樹齢:7年 醸造・熟成:  除梗したブドウをステンレスタンクで18-20日間発酵。ピジャージュを行った。オーク樽で3ヶ月熟成。コラージュ無、フィルター使用無。 ・ラ・コキーユ ルージュ(La Coquille rouge) 2010 品種:メルロ+カベルネ・フラン+カヴェルネ・ソーヴィニョン      シラー 土地:シスト、南向、1,5ha 樹齢:8年 生産量:35hl/ha 醸造・熟成:  除梗無。ステンレスタンクで16-18日間マセラシオン・カルボニックを行った後、タンクで8ヶ月熟成。コラージュ無、フィルター使用無。SO2を1,5g/hL添加。 ・ラ・コキーユ ブラン シュナン(La Coquille blanc chenin) 2010 品種:シュナン・ブラン100% 土地:シスト 樹齢:8年 生産量:35hl/ha 醸造・熟成:  デブルバージュのため、ステンレスタンクで12時間、5℃に冷却。2-3年のオーク樽で10-14ヶ月熟成。コラージュ無、フィルター使用無。SO2を1,5g/hL添加。 ・ラミュゼット(L’Amusette) 2010 品種:シャルドネ100% 土地:シスト、段畑、南向、1ha 樹齢:7年 生産量:22hl/ha 醸造・熟成:  1晩タンクで醸造後、8-10ヶ月バリック熟成。コラージュ無、フィルター使用無。SO2を瓶詰め時に2g/hL添加。 ここで、「試飲会」は終了。今から宴会の準備となるが、この時点で既にこれだけの空き瓶が・・・。この後の展開は、ご想像の通り日付が変わっても飲み会は続くのだった。ちなみに、仔豚の丸焼き4頭も10時間ほどかかって何とか焼き上がり、参加者全員でワインと共に美味しくいただいた。 ★レ・クラパス(Les Clapas) ワインについてのお問い合わせは、こちらまでお願いします。 野村ユニソン株式会社 TEL : 03-3538-7854 FAX : 03-3538-7855 MAIL : wine@nomura-g.co.jp http://www.nomura-g.co.jp ★ル・マゼル(Le MAZEL) ワインについてのお問い合わせは、こちらまでお願いします。 ディオニー株式会社 TEL : 03-5778-0170 FAX : 03-5778-0278 www.diony.com ★ニコラ・カルマラン(NicolasI CARMARANS) 、ジャン・モペルテュイ(Jean MAUPERTUIS) 、パトリック・ロルズ(Patrick ROLS) ワインについてのお問い合わせは、こちらまでお願いします。 株式会社イーストライン TEL / FAX:054-205-4181 MAIL : lavigne4181-shizuoka@tokoseika-group.jp http://tokoseika-group.jp/index.html