ブルゴーニュの大物自然派生産者にも引けを取らない新星登場!!!

DOMAINE PICATIER ドメーヌ・ピカティエ


レ・クラパスでのお祭りの翌日は、ローヌ・アルプ地方、ロワール県(42)、サン・タオン・ル・ヴュ[Saint Haon Le Vieux (42370)]のドメーヌ・デュ・ピカティエ(Domaine du Picatier)を初訪問。クリストフとジェラルディーヌが温かく迎えてくれた。ドメーヌ自体は何年もの間生産者が替わりながらも存在してきたが、2007年に2人が買い取ったドメーヌである。ドメーヌを取り巻く自然環境、生活環境に大いに魅了され、彼らが自らのドメーヌを立ち上げることを決心してから場所選びに2年の歳月を費やした末にようやくこの地を選んだのであった。もともとクレルモン・フェランで景観整備の勉強をしていた2人がワインの道に入ったのは、ジェラルディーヌの仕事がきっかけで1999年にブルゴーニュへ引越したことに始まる。クリストフはコート・シャロネーズのビュクシー(Buxy)協同組合にブドウを売るブドウ農家の下で働いている間にワイン造りに興味を持ち始めた。ボーヌの学校で醸造を学びながら、7年間ポマールのドメーヌ・ラエ(Domaine Lahaye)で畑作業、醸造、瓶詰めまで全て行っていた。ある日、丁寧な畑仕事、天然酵母の賜物である率直、ピュアで自然なワインを親友に飲ませてもらって以来、徐々に自然なワイン造りに対する情熱がわいてきた。ドミニク・ドゥランとの出会いも決定的だった。ドミニクからビオディナミ栽培について多くのことを教わった。そして、自分達のワインを造って新しい人生を楽しみたい!と言う思いが強くなっていったのだった。「ワインへのパッションが私達の血を巡るようになり、自分達のワイン造りをして新しい人生を踏み出したいという欲求に抗うことができなくなったんだよ!(La Passion du vin se répand dans nos veines et difficile de résister à l’envie de s’installer ensemble et de commencer une nouvelle vie!)」というクリストフの言葉が印象的である。

ドメーヌの概要


ローヌ・アルプ地方、ロワール県[Loire(42)]のオーベルニュ地方、ブルゴーニュ地方との境界にドメーヌは位置している。南はサン・ジョゼフとコンドリウの畑、西はコート・デュ・フォレズの畑、東にはボージョレの畑、そして北にはコート・ロアネーズの畑に囲まれている。標高は400m。栽培面積は2007年当初は、7ha(ガメイ 5 ha + シャルドネ 1 ha + ピノ・ノワール 1 ha)だったが、2009年には、新たに3品種(ヴィオニエ 0.60 ha + ルサンヌ 0.30 ha + アリゴテ 0.30 ha)の栽培を開始した。この新しい3品種で造られるワインは、2012年が最初のヴィンテージになるだろうとのことだが、まだ詳細は未定。現時点では、白のキュヴェがひとつ、赤が3キュヴェ造られている。

ブドウ畑の概要

2007年以来、有機栽培およびビオディナミの原則に従いながら土壌と植物を大事にした作業(機械を使わない耕作作業、収穫作業)を継続している。寄生虫に対するブドウ樹の自然抵抗力を高めるために、植物性、動物性、ミネラル(トクサやシリカ)をベースにした調合剤を使用している。2011年から、ビオ認証を受ける。2人の言葉を借りれば「私達のワインは、つまり喜びと同義語であり、ブドウ畑での丁寧な作業と土壌を大事にすることで、ワインを通じてテロワールを表現できる」のである。

醸造の概要

テロワールを最大限に表現するために、ブドウ栽培の過程のみならず醸造の過程でも、手を加えるのは最小限にとどめている。収穫の際に、(最大でも30kgの)小さな容器を使用することによって傷の無い完全な形で手摘みしたブドウを天然酵母で発酵させる。そのために、SO2は瓶詰め時にごく少量使用するにとどめる。発酵が終わった後、瓶詰めまで、細かい澱と共にシュール・リ熟成。

ヴィンテージ毎の特徴

2009年:
 気温が高く、太陽タップリの年。水が不足した。綺麗な熟成度。熟成度が高いため、通常より長めのマセラシオン。この年の9月は気候に恵まれ、最高の収穫時期(9月19日から27日)。
2010 年:
 雨が多く、太陽が少ない年。最高な熟成度に至るまで時間が掛かった。収穫時期は、10月9日から15日。
2011年 :
 訪問時点(8月3日)では、ピノ・ノワールの方がガメイよりも熟成が進んでいた。シャルドネは、ガメイよりも開花が一週間ほど遅い6月3日だったため、シャルドネの区画は収穫が最後になりそうな模様。

4つのキュヴェの説明

★ル・ブラン(Le Blanc)2009

品種:シャルドネ100%
土壌:花崗岩+粘土質(5%)
樹齢:26年
醸造・熟成:
 半日のマセラシオン後(2010ヴィンテージは1日半)、圧搾。デブルバージュ(不溶成分を沈殿させて上澄みだけを発酵させるために、前清澄、発酵前に行う果モロミの澱引き)を行った後、樹脂タンク内で10ヶ月間発酵。樹脂タンク内で5ヶ月間のシュール・リ熟成。ちなみに、2010ヴィンテージは酸が多いため樽熟成。コラージュ無、フィルター使用無。
瓶詰め:2011年3月18日(SO2 Total:< 30mg/L) 味わい: 綺麗なミネラル感を備えた、とてもフレッシュな辛口ワイン。羊、ヤギのチーズ、魚料理と好相性。 ★キュヴェ100%(Cuvée 100%) 2010 品種:ガメイ100%(3,5ha) 土壌:ピンクの花崗岩・砂質 樹齢:15~40年 醸造・熟成:  ブドウを除梗せずに、天然酵母で1ヶ月間キュヴェゾンを行う。SO2無添加、18℃から25℃でマセラシオン・セミ・カルボニック(ブドウから自然発生する炭酸ガスを利用した炭酸ガス浸漬)を行った後、樹脂タンク内で、4ヶ月間のシュール・リ熟成。コラージュ無、フィルター使用無。 瓶詰め:2011年3月18日(SO2 Total:< 10mg/L) 味わい: フレッシュで繊細、フルーティでスパイシーな余韻があるワイン。フレッシュさと繊細さとを兼ね備えた典型的なガメイの特徴を十分に引き出すことに成功している。サラダ、シャルキュトリー盛り合わせ、魚料理にばっちり。

★ラントロ(L’Intro )2009

品種 : ガメイ100%(1,5ha)
土壌:白い花崗岩
樹齢:30年
醸造・熟成:
 1/3除梗+2/3除梗無のブドウを天然酵母で1ヶ月間キュヴェゾンを行う。SO2無添加、18℃から25℃でマセラシオン・セミ・カルボニックを行う。複数回、ピジャージュ(果もろみの発酵を均一化するため、櫂棒で果帽を液中に突き崩す作業)した後、圧搾。樹脂タンク内で18ヶ月間のシュール・リ熟成。コラージュ無、フィルター使用無。
瓶詰め:2011年3月18日(SO2 Total:< 20mg/L) 味わい:ミネラル感があり、胡椒のようなスパイシーな余韻を特徴とする。赤身の肉とよく合う。

★オーベル・ナット・ノワール(Auver Nat Noir) 2009

品種:ピノ・ノワール100%  
土壌:ピンクの花崗岩・丘陵
樹齢:45年
醸造・熟成:
 ブドウを除梗せずに、天然酵母で1ヶ月間キュヴェゾンを行う。SO2無添加、18℃から25℃でマセラシオン・セミ・カルボニックを行った後、1998年の樽で15ヶ月間のシュール・リ熟成。コラージュ無、フィルター使用無。
瓶詰め:2011年3月18日(SO2 Total:< 20mg/L) 味わい:  綺麗な熟成度。黒コショウやよく熟したグリオットなどの赤フルーツの香りがタップリ。赤身の肉料理と合う。 今回の訪問での樽試飲 GRAND BOURGOGNEか?と思わせる、大物!ピノ・ノワール

2012年春に瓶詰め予定のオーベル・ナット・ノワール(Auver Nat Noir) 2010(ピノ・ノワール)を樽試飲させてもらった。完成度は非常に高く、既に熟成感を感じる。ブルゴーニュの大物自然派生産者のピノ・ノワールかと思わせる程の出来であり、リリースが楽しみである。2010ヴィンテージは5樽のみ。
 ドメーヌ訪問の後は、近くの人気レストランでオーベル・ナット・ノワール(Auver Nat Noir) 2008のマグナムを味わった。この地方の特産であるシャロレ牛のステーキとの相性は抜群だった!

ドメーヌ・デュ・ピカティエのワインについてのお問い合わせは、こちらまでお願いします。

日仏商事(株)  Tel/07-8265-5840  Fax/07-8265-5846  http://www.nichifutsu.co.jp