アルデッシュ自然派ワイン祭り


アルデッシュ地方はフランスで最も美しい地方の一つに挙げられる。ローヌ河の右岸に位置する。


アルデッシュと云えば、自然派ワイン大御所のMAZELマゼルのジェラールがいる。そして、中堅的存在になったDOMAINE LES CLAPASドメーヌ・レクラパスのジェロームがいる。第1回目の昨年はマゼルでやった。今年の第2回目はジェロームが中心になって、レ・クラパスの醸造元の敷地に巨大テントを張って夜の食事会の為に準備した。テースティングは青空のもと外で朝10:30から開催された。

自然派ワインが急増中


ジョセリヌ・マゼルとステファニ・レクラパス

フランス中の地方で、自然派が急増している。自然派の新旧が一緒になって自然派を盛り上げている。もう自然派という言葉を使う必要がないほどに広まっている。このローヌ地方ではワイン農協がバタバタ倒産している。当たり前のワインが売れなくなっている。飲食するものに対するトレサビリテーへの関心がますます強くなっている。自然派が急増するのは理解できる。

自然派ワインの蔵元の明るさと親しみやすさ


元ワイン農協の農家が世代交代の時期に新世代の若者達が
自然派ワインを造りだす傾向がますます多くなってきている。しかもジェラールなど熟練者は惜しみなく若者への援助や技術指導をしている。こんな会での情報交換が新規の挑戦者や若者達に勇気と安心感を与えている。

アルデッシュ自然派祭に400から500人が集まった。


10時半から始まって、お昼は仕出し屋さん(ジェラールの村のレストラン)お昼は外にテーブルを出して20ヨーロの定食、ワインは勿論、出店ワイナリーの自然派ワイン100%。出店ワイナリーはアルデッシュ地方とオヴェルニュ地方の16社、、他の地方からも遊びに来ている醸造元をいれれば30社ほどの自然派ワイナリーが来ていた。
訪問者は私のような海外向けの輸出者・輸入者、フランス中のワイン屋、レストラン業者、愛好家、バカンスの時期だけにフランス中から集まってきました。


温度の27度前後の大変気持ちが良い気候だった。豚の丸焼きを5頭を一日中かけてじっくり炭焼き、炭も引き抜いた葡萄木を焼いて作ったもの。最高に美味しい風味がでる。田舎でなければできない祭だ。
このような自然派ワイン祭りはマルセル・ラピエールが20年前よりフランス革命日の7月14日に毎年開催されている。毎年500人近い人たちが集まってくる。この会は超有名になっている。私も毎年参加している。やはり5匹の豚を丸焼きにする。3日間かけて自然派に関わる人達が集まってくる。こんな自然派祭がこのアルデッシュで始まったことに無上の喜びを感じる。このアルデッシュにはジュル・ショヴェ先生の直弟子であるジャック・ネオポールも住んでいる。
ここで始まったのは偶然ではないだろう。

お昼を食べ終わってからは、木陰で昼寝をする人、延々と試飲を続ける人、醸造元同士で情報交換をする人、私は他の国へ輸出している人達と情報交換をした。癒し系ミュージックの演奏者も入って、南フランスしか聞けない蝉の声を聴きながらの昼寝は最高だ。
なんて心地よいひと時なんだろう!!時間が止まったようなひと時だった。世の喧騒から離れて、気の合った人達と大好きな自然派ワインを飲みながらの瞬間は格別なものだ。夜は巨大テントの中で大フィーバーだ。

こんな素晴らしい人達がいました。

MAZEL マゼルのジェラール・ウストリック


一見すると岡本太郎に似ているジェラールは本当に愛すべき性格の人物だ。純粋で真っ直ぐで、人情熱い暖かい性格だ。近所の若者達を惜しみなく援助している。畑まで与えて自然派ワイン造りを指導している。彼にはジャック・ネオポールが近所にいる。時々顔を出してくれるようだ。始めた当初はよく教えを受けていた。ジュル・ショヴェ仕込みの自然派ワインを知りたければ、このマゼルのワインは絶対にはずせない。自然派の原点と云って良い。

今日の祭を主催してくれたLES CLAPASレ・クラパスのジェローム・ジュレ


質実剛健、ジェロームに浮いたところが全くない。決めたこと着々とジックリと進めていくタイプの性格だ。自然派ワイン造りを始めた時も、いきなりSO2を添加しないような造りを恥じなかった。試作を何年もかけて実行して、自分が確信もてるようになってから世に出した。こんな実直な彼の性格が認められて、ヴィルヌフ・ベルグ村が所有する16世紀には有名だった山の段々畑、フィロキセラ害虫より野生化していた畑を再生するように村役場より依頼があり現在再生中である。5年前、フィリップ・ジャンボンと日本に来日した。当時はまだ初めてそう時間がたっていなかった。今はフランスでも外せない重要なポジション評価を得ている。

MAUPERTUIS モーペルチュイのジャン

今は幻となってしまったオヴェルニュ地方のドメーヌ・ペイラのメンバーだった人物だ。ペイラが人気絶頂の中、消滅せざるをえない状況となって、ジャンは自分独自の醸造元を打ち立てた。優しいタッチのワインの性格はペイラに似ている。ジャンの優しい性格がワインに反映されていて、自然派独特の優しい果実味とオヴェルニュ地方の優しい太陽らしい低アルコールの心地良さは他の地域では決して味わえないタッチである。今ではペイラ時代と同じくらい超人気ワイン蔵となってしまった。

ROLS ロール

フランスの中心部オヴェルニュ地方からさらに南に下がってミロー橋の手前を大西洋側にちょっと移動したところにある。西南部地方にはいるアヴェイロンでは珍しい自然派ワイン。シャルドネ、シラー、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー品種などが植えられている。赤は実に柔らかなタンニンとホワッとした優しさ、軽めのアルコールと心地よい酸がフレッシュで良い。

NICOLAS CARMARNS ニコラ・カルマラン

元パリで自然派ワインのビストロ経営していたニコラ。お祖父さんの実家がアヴェロン県にあった。オーリャックにも近く、フランスでは最も寒い地区の一つでもある。子供の頃から夏休みになるとお祖父さんの家に来て遊んでいた。お祖父さんから『この村には昔葡萄園がいっぱいあったんだ。』という話を聞いていた。自分でワインビストロを経営していて、自然派の醸造家との知り合いが増えた。フィリップ・パカレ、マルセル・ラピエール、エリック・プフェーリング(ラングロール)2007よりパリの生活を終わりしして、この地に移り、ワイン造りに専念している。除梗なしのセミ・MC醸造で完全自然派タイプ。

その他こんな醸造家が来ていました。

ムーレシップのアランとル・ブー・ド・モンドのエドワード

グリオットのパトリック

マス・リビアンのエレーヌ

こんな人達も参加していました。

リヨンの石田さん

在仏日本人で自然派ワインを語る時、この人を外しては語れない存在。マルセル・ラピエールとは家族の付き合いをしていた。自然派醸造家に愛されている名シェフ。

パリのヴェール・ヴォレのソムリエのリョウさん夫妻

パリで自然派ワインを語らせたら右にでる人はいません。控えめで実直な人。多くのパリジャンに愛されている。

アルデッシュ真夏の夜の祭典


半日かけて焼き続けた豚5頭が食べごろに焼けてきました。ジェロームが先頭を切って豚の解体を始めました。皆待ちきれずテントの中では飲み会がはじまっている。


石田さんは毎年、ラピエールの自然派祭りの際、豚の解体を担当している。ほとんど食べている時間がない。今夜は飲んで食べる側に身を置いた。今夜はゆっくり飲みましょう!

よく飲んで!よく食べて!よく楽しむ!自然派ワイン大好き人間400人が集まった。ワインは各醸造元が提供してくれた。みんな楽しく飲ん、食べて、最後は音楽が入ってダンスが始まった。自然派とは人生を楽しむことだ!ますます自然派が増えていく。地球にとっても、飲む人間にとっても幸せなことだ。