ボジョレでここまで繊細に葡萄・醸造の世話をしているところを私は知らない。すべての段階で細部に渡って気配りをTOPの状態で作業している。一つ一つの作業を見ただけでも“ウーン”と唸ってしまう。理にかなっている。それだけでも尊敬の念を持ってしまう。
年齢的にも一通りの経験を積んだ。暑い年も、大雨が続いた年も、雹でやられて一年の仕事が全滅した年も経験した。
 人格的にも非常にバランスのとれた人物である。ジャンクロードが、文句や批判を云っているのを聞いたことがない。
サッパリしたスポーツマンタイプのいい男だ。
 若い頃、パリの消防士として特殊部隊に所属していた時に、体を極限まで鍛えたらしい。『その時の筋肉がいまでも葡萄つくりに役立っているよ。』とジャンクロード。
 Jean Claude LAPALUの葡萄は毎年どこよりも早く熟す。ブイイ山の南東に位置して特殊なミクロクリマがある。
いつも自然派では最も早く収穫するのに最も濃縮感のあるワインに仕上がるのもジャンクロードの特徴だ。
 今年も自然派では最速8月26日に収穫を始めた。既に十分熟している、これ以上待つ必要はない、と判断。腐った葡萄は皆無だった。素晴らしく健全な葡萄を収穫できた。

風光明媚な絶景を見ながらの収穫


 

今日はコート・ド・ブルイ地区のブルイ山の斜面にある風光明媚な畑。左奥ニレニエ地区の丘、真ん中から右にフルーリ、モルゴンの葡萄園の丘が見渡せる。ここは100歳の古木多くある。生産量が極端に少ない。
 ジャンクロード・ラパリュは自分自ら葡萄園に入り収穫をやる。一緒にやらないと大切なことを見落とすからだ。
区画ごとに葡萄の状態が微妙に違う。それらをチェックしておく必要もある。


 また収穫時の温度なども実際に葡萄園にいないと判断できないことが沢山ある。自然な造りはSO2(殺菌・酸化防止剤)を添加しないので収穫時の温度は大切だ。
 収穫人が疲れてくると、熟していない葡萄を入れてまったり、葉っぱが入ったり仕事が雑になりがちになる。
要注意だ。
ジャンクロードは時々考え込んでいるときがある。一年間育ててきた結果がすべてこの日の収穫で決まってしまう。
 最後のこの瞬間を間違えると一年間の仕事がすべて台無しになってしまうからだ。

 
 ジャンクロード・ラパリュのワインはガメ品種とは思えない繊細さ、上品さ、フィネスを備えている。作業の一つ一つの心遣いの積み重ねがそのフィネスを生み出す。その一つに葡萄運搬用のケースだ。底が薄いので葡萄が潰れることが絶対にない。ここまで細心にやっているところは少ない。
 この小単位での運搬作業だけでも2、3人必要になる。人件費をかけても実行。目に見えない大切な真実。

この元気・陽気なエネルギーがワインの中に! 収穫時の“喜び”は超重要ポイント!