自然派大試飲会 REMISE A MARSEILLE!!!

3月末は自然派大試飲会のREMISEがフランス第二の都市マルセイユで開催。昨年よりこのマルセイユで行われるようになった。マルセイユの駅は高台にあってマルセイユ全体が見渡せる。

地中海に面した大都市として活気のある街だ。ギリシャ、ローマ時代より地中海のラテン文化がフランスに入ってきた玄関のような存在の街。映画ではフレンチ・コネクションの舞台になった美しい街角と熱しやすい人情の民風。ワイン文化もここを起点にフランス中に広がっていった。その意味ではこの地で自然派大試飲会のREMISEが開催されるのは意義がある。
 

 

日本からフランスに戻った翌日にマルセイユまで移動。パリからマルセイユ駅までは3時間半。駅から歩いて10分ほどの所でREMISEが開催された。会場に着くともう熱気で溢れていた。 ルミーズ試飲会は発足当初はラングロールなどが主体として初めたグループだ。今はラングロールが卒業して中堅、若手が会を盛り上げている。 ディーヴ・ブテイユの次に巨大な試飲会まで に発展している。ローヌ、ラングドック、ルーション、オーヴェルニュ地方の生産者などが主体となっている試飲会である。
 

JOLLY FERRIOL ジョリー・フェリオル


JOLLY FERRIOLは数百年前、ナポレオン3世やイギリス王室に納めていたほど有名なドメーヌだった。 ジャン・リュックとイザベルはパリジャン。ジャン・リュックは、コンピューター情報処理システムのプロだった。一時はフランス国会、フランス裁判所の殆どは彼の開発したシステムを使用していた。2005年にルーションに放置されていたドメーヌを訪問して、“俺の人生はここだ!”と持ち前の追及心は半端でない。畑と設備を改良して8年を経て、もう自然派ワイン界の中でも話題の人。誰も造れないスタイルのワインを次々と造りだしている。
 

<Blablablanc>

ブラブラブランもシスト土壌で育つグルナッシュ・グリ品種、ミネラル感タップリで潮っぽく、和食にもピッタリだ。25l/haと極小の収量。SO2添加ゼロ、ポンプも使わない、自然派極の造り。

 

 

 

<Pet’Nat>

シスト土壌で育ったムスカ品種を発泡酒に仕込んだ。青リンゴやパンプルムスを思わせる爽やかさ、 20l/haの収量、年間4000本しか生産しない。世界中から引っ張りだこの超人気ワイン。 その外にも、グラップ・アンティエール(除梗なし)セミMCで醸す葡萄ジュースのような赤も素晴らしい。


 

POTRON MINET ポトロン・ミネ

近年、ルーションで最も輝いている醸造元の一人。ポトロン・ミネのジャン・セバスチャンは数年前まではパリで会社経営をしていた。しかしワイン造りへの夢が大きすぎてすべてを投げ打ちルーションにやって来た情熱の塊のような人。 でも、静かに燃える人、恥ずかしがり屋で謙虚な性格。目立たないけど内に秘めた情熱はメラメラ燃えている。 5年の歳月を経てコツコツ畑仕事に打ち込んできた結果がやっとワインに出てきた。南の太陽の元でロワールのようなフレッシュさ!
 

 

<PARI TROUILLAS パリ・トルイヤス13>

フランス最南端のルーション地方にも関わらずフレッシュで透明感がありグイグイ飲めてしまう絶品だ。カリニャン、グルナシュ・グリ、シラーという品種構成。ブラインドで飲んだらとてもルーション地方とは答えられない軽やかさを備えている。 典型的なセミ・MC醸造の果実味が心地よい。

 

MOURESSIPE ムーレシップ

アラン・アリエはニーム近辺の葡萄栽培家の息子。お兄さんが後を継いだ。アランはワイン造りをしたかった。 長年、ガレージスト(自動車修理技師)の仕事をしながら資金を蓄えて畑を少しずつ買い準備していた。そして、アラン自身も大好きなワインであるラングロールのエリック・プフェーリングの所でワイン造りを修業した。
 

 

<Galejade roseガレジャード・ロゼ13>

ラングロールのエリックに学んだワイン造りを生かしたワイン。サンソーとグルナッシュ品種を三日間マセラッションをして、三日後にプレスをかけて絞ったジュースを仕込んだロゼ。ややオレンジがかった桜色。果実味がタップリ、ミネラル感でしめている。なんて心地よいヤツなんだろう。

 

 

 

 

 

<Pitchounet・ピッシュネ13>

このワインもまさにラングロールのエリックのワインを思い出させるような風味を備えている。サンソーを主体にグルナッシュ、ムールヴェードル品種をたった5日間だけMC発酵したロゼのような薄目の赤ワイン。サンソーを繊細に醸すとピノ・ノワールのような一面がでてくる。グルナッシュで南の果実味を演出、ムールヴェードルで背骨を造る。素晴らしいバランスだ。


 

JULIEN PEYRAS ジュリアン・ペイラス



ラングドック地方期待の若手ジュリアン。お祖父さんが葡萄栽培家、お祖父さんの畑を引き継いだ。ジュリアンは最初から地球を汚すような栽培は絶対にしたくなかった。地元の自然派の巨匠フォントディクトのベルナール・ベラセンで修業した。 ワイン造りは約2Hの畑のみ、すべて手作業での家族全員の手助けを借りてやっている。ビオ栽培、自生酵母、SO2添加ゼロ。最初の頃は還元臭が強かった。でも今は色んな先輩から教えを得て、還元風味の残る造りは終わった。 ジュリアン・ペイラの素晴らしさは、生き方そのものが家族一丸となって、地球継続可能な方法で試行錯誤を繰り返しながら、自然で美味しいワインを多くの人に届けようという目標意識を持っていることだ。 こんな目標意識で邁進するジュリアンの将来、ワインの品質は大きく変化している。期待できる新人と確信する。
 

<L’inattendu ・イナタンデュ13 白>

最近、白を造っている。当たり前の白は造りたくなかった。ルーサンヌとクレレット品種を15日間マセラッションしたあとに絞って造った白ワイン。ややオレンジがかった色合い、完熟したパイナップル風味、洋ナシを煮詰めたような旨味と酸の絶妙なバランス、その上にマセラッションからくるアメルチューム(苦味)もあって複雑味のある奥行あるバランス。

 

 

 

<Gourmandise ・グルマンディーズ13 赤>

今、ラングドック地方ではサンソー品種が見直されている。軽快な色合いと軽やかな果実味が素材を生かした最近の料理にピッタリ相性だからだ。ビュヴァヴィリテと云われる飲みやすさも素晴らしい。それでいてしっかりしたミネラルと南の太陽をうけた果実味が心地よい。


 

FERME SAINT MATIN フェルム・サン・マルタン



フランスで最も美しい景観の葡萄園の一つ。400Mの山の頂上に醸造所があり、そこから見渡す斜面に葡萄園が広がっている。トリアス期の石灰質土壌がある。一億9千万年前の土壌がある。だからここのミネラル感は深みが違う。15年前よりビオ栽培、今は畑の50%はビオ・ディナミ農法を採用している。
2006年よりトーマがお父さんのギィと一緒に働いている。今は特に醸造に関してはトーマが担当。ワインに透明感とビュヴァヴィリテ(飲みやすさ)が表現されるようになった。まさにトーマの優しくソフトな性格がワインに表現されている。 トーマ『私達はまず自分達が好きなタイプのワイン造りを目指している。そのワインができるだけ多くの人達に喜んでもらえたら限りなく幸せです。一部の愛好家だけに喜んでもらえるような特別なワインは造りたくない。多くの人達に“これは飲みやすくて美味しいね”と云われるのが嬉しい。できるだけ多くの人達とワインを通して“喜び”を分かち合えたら最高に幸せなんです』トーマのワインには、暖かい感情が伝わってくるようなビュヴァビリテ(飲みやすさ)がある。
 

<LE BLANC ル・ブラン 白>

ルーサンヌ、グルナッシュ・ブラン、クレレット品種を10日間マセラッションした白ワイン。 今、フランス中の若手でこのマセラッションによる白ワイン醸造が行われ始めた。 黄金色の美しい色、南ローヌの太陽を浴びたマンゴを思わせる果実味、トリアス期の石灰土壌からくる潮っぽいミネラル感、辛口に仕上がった実に美味しい白だ。

 

 

 

<LA GERINE ラ・ジェリーヌ 赤>

50%グルナッシュ、25%カリニャン、25%サンソー品種。半分をグラップ・アンティエール(除梗なし)のセミMC発酵、半分を除梗したトラディション醸造。果実味が豊かでとにかくグイグイ飲める赤ワイン。ビュヴァヴィリテのワインの中にもしっかりしたミネラル感もある。

 

 

 

<LES ROMANINS レ・ロマナンス 赤>

グルナッシュ、シラー、サンソー品種。除梗をして潰さずに葡萄粒を発酵槽に入れて醸造。酵素の働きでMC発酵のような状態になる。無理な抽出の為のピジャージュなどはあまりやらない。 果実味豊で透明感があり、構成もしっかりして、かつ飲みやすい赤ワイン。


 

GREGORY GUILLAUME グレゴリ・ギヨム

プロ洞窟探検家からの転身

ギヨムはシャンパーニュ地方エペルネの出身。ここアルデッシュ地方に来たのは2000年、洞窟(鍾乳洞)探検家としての仕事で洞窟案内としてやって来た。それがワインに魅せられてワイン探検家に転身。11年に1.5haの畑で始めた。自然を愛するギヨムにとって農薬などで地球を汚すことなど考えられないことだった。最初からビオは当たり前。12年からは馬で耕している超自然派。造りも自生酵母で、SO2無添加のゼロゼロ。二年目にしてパリをはじめデンマークなどで一躍超人気自然派として仲間いりした。
 

<LOU FOROSE ル・フォロゼ>

偽ロゼという意の名前ロゼワイン。カベルネ・フラン50%、アリカンテ50%という異質な品種構成。あの果肉までも真っ赤なアリカンテを絞ってこんなに美しいロゼ色を出すグレゴリは天才だ。勿論、カベルネ・フランも絞って色を薄めている。自然酵母で、SO2添加無しの自然な果実味の爆破的な美味しさ!冷やしてグイグイ飲めてしまう。800本しかない限定ものも。見たらすぐ買うべし!絶対後悔はしない。

 

 

 

<L’EPICURIEN レピキュリアン>

地元のグルナッシュ品種100%をグラップ・アンティエールのセミマセラッションカルボ醸造。収穫して発酵槽にいれてそのまま自然に任せるノン・アンテルヴァション醸造。 グルナッシュにも関わらす淡いルージュ色、フレッシュでこれまたグイグイ入ってしまう 超自然風味のビュヴァヴィリテ100%のワイン1300本しかない貴重品。即買うべし!


 

LA PETITE BEIGNEUSE ラ・プティット・ベニューズ

アルザス人であるが、アルデッシュ地方でビオ野菜栽培や民宿を自然の中でやっていた。しかし、フィリップはワインの魅力に取りつかれてしまった。野菜は収穫したところで終わってしまう。でも葡萄は収穫して発酵することで全く別ものになってしまう。 発酵することでワインという液体にしてしまえば時も超えて保管できるし、遠い場所にも移動できる。こんな面白い商材は他にはない。07年にフィリップはすべてを投げ打ってルーション地方にやって来た。モーリ村のシスト岩盤の山,12ヘクタールを買い取った。標高350mの野性的なシスト岩山である。365度の野性的な景色を眺められる絶景の畑だ。
 


 

 

<JUSTE CIELジュスト・シエル>

マカブ、グルナッシュ・グリ品種、シスト岩盤のジュースのようなミネラル感、イオデと云われる潮っぽいタッチ。まるで水のような色調で酸もあり水のような透明感、和食に合わせて飲みたい一本だ。

 

 

 

<LES LOUSTICS 13 レ・ルスティック>

北北東の斜面にあるグルナッシュ品種90%、シラー10%。シスト土壌独特の燻製っぽい香り、焼き肉などに合わせるとよい。グラップアンティエール(除梗なし)のセミ・マセラッション・カルボ醸造からくるジュースのような果実味とシストのミネラル感のバランスが心地よい。

 

 <GRAND LARGUE グラン・ラルグ>

80~90歳の古木のカリニャン、シスト岩盤に90年も根を張って生き抜いたカリニャン。どんなに熟しても涼しさを持っている品種だ。しかもシスト土壌とカリニャンのマリアージは最高の調和をもたらしてくれる。勿論すべて自生酵母で、SO2も瓶詰時までは使用しない。フィリップとシストとカリニャン3者の傑作品だ。