自然派ワインがいよいよワイン界の主流になる!
昨年、夏に自然派ワインのトップを走るフィリップ・パカレの事をLE MONDE ル・モンド紙(フランスで最も権威ある新聞)が掲載した。
« L’HOMME QUI VEUT SAUVER LA VIGNOBLE FRANCAIS » « フランスのブドウ園を救う男 » というタイトルで何と一紙面・全ページを使って取り上げた。
世界の政治経済を語る権威と信頼のあるル・モンド紙がである。パカレ氏について1ページを割いたのである。
何故、無名のフィリップ・パカレなのか?
フィリップ・パカレはワイン造りにおける葡萄木の概念を今までと全く違う発想と捉え方でもっている。彼の葡萄木に対する考え方は、今、普通に行われているワイン造りを根幹から覆すのではないだろうか?と投げかけているのである。ひょっとしたらワイン造りの最も重要なことであり、多くのことを変えられるのではないだろうか? ル・モンド紙が今のフランス葡萄園や葡萄木の現状・実態についてのパカレ氏の持論をここに紹介している。ここで何故?フィリップ・パカレなのか?何故、シャトー・ムートン・ロッチルドやペトリュスやロマネ・コンティでもなく、 フィリップ・パカレなのか? 非常に大切なところである。今の現実に起きている葡萄園の状況を変えるのは全く違ったアプローチが必要だと判断したからなのだろう。今の一般的な企業経営システムを取り入れている葡萄園経営では何も変わらないだろう。 多くの有名ブランドワイナリーは企業として利益至上主義に化し過ぎた姿になってしまっている。
利益を上げることは決して悪いことではない。むしろ健全といってよい。しかし利益至上主義が過ぎるとワイン造りには問題が出てくる。 第一にワイン造りは地球の一部である畑を使うということ。 企業化し過ぎた体質のワイナリーにとって、畑は利益を作り出す工場である。経費削減と効率化を追及した結果が、農薬や化学物質の多用を招き、地球の一部である葡萄園を痛めてしまう状況を造り上げてしまった。 第二にワインはまず人間の体内に入るものであること。 企業経営として、外面的な美味しさを毎年安定して造り続けなければならないことが至上命令となる。天候不順な年も絶対に失敗は許されない。栽培上も必要とあれば許される範囲で最大限に化学農薬を使うことを辞さない体質。そして栽培上の欠点を補う為に、ワイン醸造中に葡萄以外の化学物質を添加して味覚を整えてしまう体質も含んでいる。
勿論、農薬も添加物もワイン法で許されている範囲内ではあるが、本来やらなくても済む自然破壊に繋がっている。また人体への悪影響も出てきている現状がある。たかが一企業の利益追求の為に地球の自然や人間に悪影響を与えるようなことは避けた方が良いに決まっている。これはワインの世界に限らずすべての分野で云えることである。本来のあるべき健全な姿に戻すように指摘すべきことである。 しかし、ワイン業界のオピニョン・リーダー達にはその自助清浄能力はない。 何故なら、業界紙も業界人もどちらかといえば、業界の利益追求企業と何等かのかたちで繋がっているからである。
今回、ワイン造りの葡萄園・葡萄木について一般高級紙の権威であるLE MONDEル・モンドが取り上げたことに大きな意義がある。 LE MONDEル・モンド紙は自然派ワインの象徴とも云えるフィリップ・パカレを取り上げて、教養ある一般人にワイン造りの原点である葡萄の根幹の内容について記事にしたことは非常に貴重なことである。この根幹な部分から自然派ワインのすべての理論が構築されているからである。そして、何よりLE MONDE ル・モンド紙の一流記者達が自然派ワインを認知しているということが凄いことである。ワイン専門記者、ソムリエなどのワイン業界のプロももっと現実をしっかり見つめてほしいものである。有名好きのアメリカでは、このル・モンドの記事を大々的に取り上げて既にフィリップ・パカレがヒートしている。
2014年も自然派ワインの躍進傾向が続くだろう!
昨年13年を境に次元の違う世界に突入した自然派ワインの世界。この一年の自然派ワインの広がりは凄まじいものがあった。益々自然派ワインの醸造元が増え続けている。世界中に自然派ワインのファンが増え続けている。 今まで自然派を支えてきたのは外国だった。しかし、近年特に13年はフランス国内での浸透が着実に進展した。 自然派ワインという区切りが無くなるほど一般ワインの中に溶け込んできた。一般の人達が単に美味しいワインとして評価し、日常的に自然派ワインを楽しんでいるといった状況になりつつある。 この自然派ワインの躍進の傾向は2014年も更に拍車がかかっていくことになるだろう。 この傾向の理由の一つに、自然派醸造家達が各地方で実施している自然派ワイン見本市、祭典の影響が大きい。小規模の見本市を数えればほぼ毎月のごとく、フランスのどこかで行われている。 この祭典は業界人向けのみでなく、地元の一般消費者の人達も対象になっており、多くの一般人が自然派の美味しさに目覚めたと、云うことになる。プロの世界でも、ワイン屋で自然派を一本も品揃えしていないところは,殆どないと云ってよい。また、ソムリエの世界でももう自然派ワインを無視して通り過ぎることができなくなった。自分達よりお客さんの方が現実のワイン事情に詳しいことが多くなってきた。現場の近くに住む一般人は、どちらが本物で、何故美味しいか、がわかりやすい。 この自然派ワイン躍進の原動力になったフランス各地に点在する地方組織の草の根啓蒙活動は本当に素晴らしかった。 それぞれの地方の醸造家間の人間的繋がりも実にまとまっている。 それではこの機にフランス各地で開催されている自然派ワインの祭典、試飲会、見本市のいくつかをレポートしよう。
FESTIVAL VIN NATURE フェスティバル・ヴァン・ナチュール ラングドック、ルシオン地方
夏一番の初夏、6月に行われる。毎年、主催者が選出され、その醸造家の近所で行われる。ラングドック、ルシオン地方の自然派醸造家30社程が集まってくる。朝から晩までテースティングと昼食を共にしながら、音楽バンドも入って一緒に踊ったり、語り合いながらひと時を自然派ワインとともに楽しむスタイルの祭だ。南フランス地元の自然派ワイン愛好家が家族や友人たちと一日中楽しむフェスティバルだ。
この南フランスの自然派ワイングループを積極的にまとめているのはこの人、ル・トン・ド・スリーズLE TEMPS DE CERISE醸造のアクセル・プリファーだ。 途轍もなく美味しい南仏自然派ワインを醸すアクセルは、穏やかな性格と柔らかな人当たりの人物。人が彼の元に集まってくる。南仏自然派の中心的人物の一人だ。
13年は、レーモン・ルコック氏が幹事となって南仏で最も美しい村の一つ、ロック・ブランで行われた。
レーモンは地元醸造家・ジャン・ジャックと組んで美味しい南仏自然派ワインLOU CARIGNANル・カリニャンを造っている。
こんな大物醸造家が参加して共に楽しんでいた!
ルシオン地方のバニュルスの巨匠 アラン・カステック !地中海を見下ろす世界一美しい葡萄園。強烈なシスト土壌、濃縮から上品・繊細へと進化してきた CASOT DES MAILLOLES カソ・デ・マイヨル。 同じく、バニュルスの底抜けに明るい BRUNO DU CHENE ブルノ・ドゥシェーヌも参加。 どんなに熟してもスーと入ってしまうワインを造ってしまう。
人気急上昇の女性醸造家ミレーヌ・ブリュ。
素晴しく美味しい南仏白 レディー・シャスラを醸す。
FONTEDICTO フォント・ディクト醸造のベルナール・ベラセン。
一口ワインを口に含むと宇宙が浮かんでくるようなワインを醸す。
若き期待の星JULIEN PEYRASジュリアン・ペイラ、FONTEDICTOフォント・ディクトの一番弟子。素朴でピュアーな土壌風味がタップリなワインを醸す。人気上昇中。 サン・シニアンに彗星の如く出現した若き大物THOMAS ROUANETトーマ・ルアネ。BOMBADILONボンバディロンという名の恐ろしく美味しい赤ワインを醸す。
学校の先生からワイン造りに転職したFONTUDEフォンチュド 遅咲きの新人。真っ赤な鉄分を含んだ火山岩土壌からピュアーな果実味タップリのワインを醸す。
その他多くの有望な新人自然派が誕生している南フランスは これから、本当に楽しみな地方の一つだ。
これら新人の中から。明日の自然派を背負っていく人達がすでに育っていることが頼もしいかぎりだ。
約30社ほどの南仏の自然派醸造家が集まるこのフェスティバルには数百人の南仏の自然派愛好家が家族連れで集まって来る。初夏の太陽を浴びながら、ゆったりと一日中を楽しむ祭典だ。
こんな自然派の祭典の時には、 必ずこの人が献身的な役割を演じてくれる。“食”の街LYONで フレンチ・レストランを経営している石田さんファミリー!数百人分の料理を準備する。