今、南仏で最も光っている若手の造り手といえばジョエ・シャンドリエ – Joe Chandelierだ。

どうしてもワイン造り手になりたくて、モンペリエのワイン学校で栽培・醸造を勉強して、13年に卒業。
シャトー・ヌフ・ド・パップの蔵で研修を行ったあと、全く違うテロワールと造りに興味あって、オーストラリアに渡り違ったタイプの3軒の蔵で修業した。

18年より22年までの4年間は、Alain Allier – アラン・アリエの MOURESSIPE – ムーレシップ醸造で働きながら、その場所を借りて自分のワインも造っていた。

この二つの経験が、ジョエのワインに対する視野の広さと深さを造り上げている。

ジョエの造りたいワインは、軽めでも、濃縮でも、しっかりテロワールと果実味を表現されているスタイルのワイン。

ジョエは昨今、自然派によくある薄旨のスタイルでもしっかりテロワールが表現されていないものは評価しない。
逆に濃縮していても、同じくテロワールと果実味の表現がないワインも評価しないし、造りたくないスタイルなのである。

ジョエが狙っているワインは、薄くても、濃くてもテロワールからくるミネラルがキッチリあって、果実味を中心にした“Digestifディジェスティフ”なワインなのである。

“Digestifディジェスティフ”とは?
最近、自然派ワインの表現でよく使われる。
入りやすい、浸透しやすい、飲みやすい、消化しやすい、という意。

つまり薄くても濃くても、ミネラルがしっかりあると透明感があり、スーっと体に入っていくワインになる。
そんなワインを“Digestifディジェスティフ”と表現する。

Joeジョエの、この辺のワインに対する視野の広さと深さが単なる始めたばかりの若手醸造家とは違う。
ジョエは今年からスヴィニャルグ村に引っ越してきた。7.5ヘクタールの畑となって本格的に独立
今年からここで醸造しているけど、醸造所はまさに建設中というか改装中である。

モンド・マリー醸造のティエリー家自宅の隣の大きな建物である。ジョエ一人では大きすぎるので、ティエリーと半々にして買って分けて使用することになった。

諸々の醸造設備も最初から理想的なものは買えない。優先順位で、まずは、樹脂のグラスファイバーの発酵槽では、あまり思うようなワインが造りにくいのでコンクリート槽を購入した。

コツコツ整えていく予定。
樽は、あのロワールの名門Clos Rougeardクロ・ルジェアール醸造の古樽を購入していた。

さて、折角なので23年ミレジムを、熟成中の樽やキューヴから試飲させてもらった。

*いきなり感動したのは、グルナッシュ・ブラン40%, ヴェルマンティーノ40%, サンソー20%のロゼ・ワイン。
限りなく白に近いロゼワイン。シュール・リで寝かせている最中、すでに旨味がワインに溶け込んでいた。

*そして、今年はピノ・ノワールを友人から買って造っていた。もうこれは、ヤバイです。
除梗なしの全房で、マセラッションは4日間、ピノってしていて果実味も酸もあって繊細で上品なピノでした。

*赤の醸造方法は、グラップ・アンティエールでディジェスティフなスタイル、果実味も酸もあって大変心地よいワイン達だった。

今年は、収穫量が極端に少ないので、3つの区画別からのワインをブレンドするかもしれない。
まだ、はっきりは決めてない。

比較的、濃縮感のあるワインもあるけど、すべてに共通しているのは、まさに“ディジェスティフ”でした。

これからのジョエ・シャンドリエの進化が楽しみ、このようなスタイルが、これからの未来系自然派のスタンダード
になるのではないだろうか。