ロワールの帝王・ナディ・フコーファミリー
ロワール地方で最も美しいカベルネ・フラン

1663年から存在するこのドメーヌでは、フランス一のカベルネ・フランが味わえると言う。なんでもボルドーのトップ・シャトーの関係者もその秘密の鍵を見つけ出すため、ドメーヌを訪問しに来るという大物醸造家なのです!早速その伝説的なカベルネをテースティングする為、ソミュールの町でワイン造りをしている第8代目のナディ・フコーさんの元へ行って来ました!彼は兄弟のチャーリーさんと共に曾祖父さんの教えを今でも守り、尊重しているのです。

『正確なワインを造ることは皆が想像しているより難しい事ではないんだよ。ただ単に、完熟しているブドウを、絶好なタイミングで収穫するだけなんだ。熟成していないブドウはカベルネフラン独特の青臭いベジェタルな香りが強くなってしまうし、逆に熟成しすぎているとワインが重くなってしまう。』


とびっきり優れた土壌

まず最初に驚いたのは建物です。この地区での土壌は地表には砂や雲母に覆われていて、地下には石灰質で出来た白亜の真っ白な岩盤なのです。この岩盤を切り取った岩石で殆んどのロワール地方のシャトーや建物が造られています。もちろん、クロ・ルジャールのカーヴもローマ時代に掘られたもので、迷路の様に長く、夏でも低温でしかも湿気が完璧なのです。ワインを熟成させるには最良の条件を備えています。このカーヴのなかで樽熟成がゆっくり行われる。低温で最適な環境のカーヴは3年間眠り続けるワインを守っているのです。


しかもこのカーヴの壁の表面はフワフワとして柔らかく、硬貨など物が簡単に埋め込めるのです!カーヴの入り口には何年も前から訪れてきた人々の思い出でいっぱいです!

硬貨でメッセージが描かれています。中には貝殻など、ユニークな思い出を残していった人もいます!

そして10haに広がる畑にも、30cmの粘土石灰質とケイ質の土壌の下にはこの同じ岩盤地質が隠れているのです。この土壌は排水力が強く、ブドウ達が水を吸収してしまう前に雨水を排水してくれます。そして乾燥している時期には、ブドウ木の根は岩石の割れ目を伝わって根が岩盤の中深く入り込んでいて岩盤に含まれている水分やミネラルを補給するのです。土がしっかりと耕されているからこそ根っ子はグングンと深く伸びる事が可能なのです。

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〜古典的な栽培 & 醸造方法〜

どちらかと言えば大西洋気候のロワールでカベルネ・フランを醸造する事はとても難しい。殆んどのワインが青臭くベジェタルで、ごわごわとしたタンニンが特徴的のワインに仕上がってしまう。その中何故クロ・ルジャールのワインはとても繊細で上品で華やかなのだろう?その答えは古くから伝わる伝統に潜んでいました。

『第一に大切なことは、完璧な熟成度を達したブドウを収穫する事。その為、収穫する日はとても重要だが、更に収穫量を低くする必要がある。私達が目標としている収穫量は35hL/haなんだ。この地区での通常の半分にしか達していない。そして第二は、健全で綺麗なブドウのみ選別して収穫すること、その為、絶対に収穫は手摘みで行う。収穫時の葡萄園でまず一回目のブドウ選別を実施する。その後、醸造所に着いた段階でエグラパージュ時に再び選別作業を行う。ともかく健全なブドウをセレクションする事が最も重要なんだよ。除梗・破砕した後、ステンレスとセメントタンク内でのアルコール発酵と長いマセラシオンがおこなわれるんだ(略3〜4週間)。健全な葡萄のみを使用しているので長いマセラッションをしても繊細なタンニンなんだ。もちろん亜硫酸はこの時点では一度も添加していない。』

『アルコール発酵が終了したら、今度は木樽にワインを移し、マロラクティック発酵が始まるのを待つ。樽は新樽と、シャトー・ラトゥールもしくはシャトー・マルゴー使用の一年樽を使っているんだ。

カーヴ内では湿気がとても多いのでワインは蒸発しにくいが、略24〜30ヶ月間熟成している為、定期的に補酒(ウイラージ)をしている。そして最後のスティラージュの際にワインの安定を保つ為、ごく少量の亜硫酸を足している。もちろん白ワインはコラージュもフィルターも必要以外掛けていないよ。』  

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〜2008年の出来、そして今後発売される2005年はどうですか?〜


『今年は寒くてブドウの木が凍結してしまった・・・1Haもの畑がダメになってしまったよ。収穫量も10〜12hL/ha位かな。今年は1991年4月21日に起きた凍結に似ていたな。けれどもその年は綺麗に全てを失ってしまった!悲惨だったよ。2008年の夏の気候は最悪だった。しかし幸に9月中にお日様が戻ってきてとても良い天気の日々が続いたので、2007年に比べるとリッチなブドウが収穫できた。』


〜2005年はまれにみる完璧な年だ!〜

『2005年のヴィンテージは本当にトップ・レベルなワインが出来たよ!この年はまさに1989年と1990年のヴィンテージを合わせたようなものだ。1989年特徴の綺麗な酸味と繊細なタンニン、そして1990年特徴のリッチ感、骨格のしっかりさとまろやかさが全て2005年ヴィンテージに含まれている。完璧に近いヴィンテージだね!』

『偉大なワインには欠かせない物が2つある:濃縮さと繊細さです。
しかし!!ここで間違えてはいけない事がある。
濃縮さは過度の抽出ではなく、繊細さは希釈ではないことです!
クロ・ルジャールのワインは樽内、そして瓶内で2〜3年ほど熟してあるので、すぐにでも楽しめます!
しかし忍耐力がある人は是非5年後位に飲んでみてください。
きっとまた新たなワインへと変化しているでしょう。。。!
どのように?それは飲んでからのお楽しみです!』

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               〜試飲したワイン〜


Le Bourg 2005*ル・ブール 2005
品種:カベルネ・フラン100%
樹齢:35〜75年
地質:粘土石灰質
栽培面積:1ヘクタール
収穫量:20hL/ha
醸造:6週間のマセラシオン
熟成:30ヶ月間100%新樽での熟成。タンニンをよりまろやかに仕上げる為、通常より長め。

アロマがとても豊富で完熟されたブドウの香りがフワーと漂ってきます。とにかくパワフルで真直ぐなワイン!カベルネにも関わらずとても繊細なタンニンにはビックリ!樽香も一瞬にして他のアロマに溶け込み、より複雑さを与えています。

Les Poyeux 2005*レ・ポワイユ2005
品種:カベルネ・フラン100%
樹齢:25〜50年
地質:粘土石灰・ケイ質
栽培面積:2.7ヘクタール
平均収穫量:35hL/ha
醸造:4週間のマセラシオン
熟成:24ヶ月間1年樽での熟成。

ル・ブールに比べるとこちらのキュべのはよりフレッシュでとてもミネラル!果実身が強くとてもフルーティー!しかしそれだけではありません!花の香りやミントの匂いもフンワリ感じられ、食欲をそそってくるワインです。

Le Clos Rougeard 2005*ル・クロ・ルジャール2005
品種:カベルネ・フラン100%
樹齢:15〜70年
地質:粘土石灰・ケイ質
栽培面積:4.5ヘクタール
醸造:4週間のマセラシオン
熟成:18ヶ月間1年と新樽での熟成。

ル・クロは様々な区画をブレンドして出来上がったワインです。赤フルーツの果実と爽やかさが良い具合にマッチされてとにかく舌が蕩けてしまいそう〜!最後にはしっかりと酸味が味を引きしめてくれます!2005年は特にリッチで骨格がしっかりとしている出来具合です!


Le Brézé 2005*ル・ブレゼ2005
品種:シュナン100%
樹齢:40年
地質:粘土石灰・ケイ質
栽培面積:1ヘクタール
醸造:ゆっくりと低温で、樽内でのアルコール発酵
熟成:24ヶ月間の樽熟成。
フルーツの甘さ、テロワールのミネラル感、そして何といってもボリューム感が凄い!濃厚なのに後味の酸味が良いバランスを保っていて、とてもピュアに感じるワインです!

Clos Rougeardのワインについてのお問い合わせは:
野村ユニソン株式会社TEL : 03-3538-7854
FAX : 03-3538-7855
MAIL : wine@nomura-g.co.jp
http://www.nomura-g.co.jp

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               〜カーヴ内の風景〜

長くて暗い廊下はちょっとしたお化け屋敷のようです・・・

中には40年前に使用していた木のプレス機がクモの巣に塗れて飾ってあります・・・

樽の奥に保存してあるワインのボトルも何か埋まっています・・・
しかしまだ飲めるって言うのですから凄いですね・・・この奥を拡大すると、このようにビッシリと埋まっています。