~毎年恒例の自然派ワイン祭~

フランス革命記念日前夜祭の日にフランス全土より自然派醸造家が集合した。
本当は数日前からマルセルのところに寝泊りして準備活動をしている若手醸造家が何人もいる。何せ500人程の人が集まるので準備だけでも大仕事となる。

会場となるマルセルの敷地に巨大テントを幾つも張ったり、ミュ-ジシャンの為の舞台を造ったり、大テントが大食堂となって500人が一斉に会食するので、一週間前より準備がかかる。当然みんなボランティアである。大祭りは7月13日の夜行われた。

~自然派ワイン造り情報交換会議~


前日の12日は、恒例の自然派ワイン講座というか情報交換会というか持ち回りでそれぞれの地方を代表する自然派醸造家が各地方の違った条件の中での自然派ワイン造りの経験を発表するのである。これは特に若手醸造家には貴重な情報収集の機会となる。
今までやった講師は、ジュラ地方のオヴェルノワ氏、ルシオン地方のカソドマイヨ、アルザス地方のヴィネル氏などである。それぞれの地方の微気象、土壌の違いに合わせて、自然派造りの問題点がことなり、それぞれが工夫を重ねて発見した対応策は自然派を目指す醸造家にとって貴重な情報となる。特に若手には本当に貴重な財産となる。
朝から葡萄木を燃やしたスミ造り

~そして、マルセル・ラピエ-ルによる10年ミレジムの垂直テ-スティング~

1998年より2007までのマルセル・ラピエ-ルのワインである。各年代とも3種類がある。
1-SO2添加ゼロのもの 
2-10mgのSO2添加したもの
3-30mgのSO2添加したもの
これは大変興味深いテ-スティングである。SO2無添加のワインは熟成に耐えないとよく批判される。しかし、マルセルの無添加ワインは若々しくまだまだ熟成ができるものばかりである。私は数回89年を飲ませてもらったことがある。
完璧なブルゴ-ニュのグランヴァン・ピノ・ノワ-ルを彷彿させるワインだった。また、ほんの僅かなSO2添加の差がどのくらい味覚に影響するか?を知ることは重要な経験となる。
4頭のブタの丸焼きを朝から準備。

~皆、ムッシュ・自然派・マルセル・ラピエ-ルの周りに集まってくる~

フランス全土の自然派レストラン、愛好家など集合
夕方から人がぞくぞくと集まりだしてきた。今夜飲むワインはすべてマルセルのワインオンリ-だ。太っ腹マルセルの提供である。
なんせ、500人分のワインだから恐ろしい量だと想像する。有難う、マルセルである。
そして、、色んな人達がボランティアで準備参加してくれている。まるでマルセル王国だ。今夜は参加者皆が王国の住民だ。近所の肉屋さんもいる。近所のレストラン経営者や皆が喜んで手伝いにやってくる。

マルセルの人物の大きいところは、自然派醸造家のみならず、ボジョレの普通の醸造家も招待している。いつもマルセルは言っている
『皆、どんな醸造家もそれぞれ存在理由があって存在している。』マルセルは自分だけが正しいことをやっているとは思っていない、ところが凄い。こんな人物が存在することに喜びを感じる。感謝!

料理のリヨンの日本人フレンチシェフとして有名な石田さん


石田さんは自然派の良き理解者であり自然派の醸造元から愛されている人物。
リヨンEN METS FAIS CE QU’IL TE PLAITアンメ・スキルトゥプレと云うレストランを経営すオ-ナ-シェフだ。気合の入ったトラディション・フレンチだ。
そろそろ焼き具合も良い頃だ!

~さあ、皆お腹が空いてきた。石田さんの出番だ!~


アペリティフがわりにマルセル・ラピエ-ルをグイグイとやりながら色んな人としゃべっているうちにお腹がグ-グ-鳴り出してきた。

石田さんとモルゴン村の肉屋さんが動き出した。

500人分のブタの丸焼き解体は格闘技だ。ほぼ2時間の格闘が続いた。しかも目の前に皿を持った人が並んでいる。石田さん、汗を拭く間もなく格闘が続いた。お陰で皆、美味しいワインとブタを頂きながら色んな人との出会いを楽しんだ。

まずは、ロックバンドの演奏が始まった。
真夏の葡萄園でのロックコンサ-トだ。しかも、自然派ワインをグイグイやりながらだ。
そして、次は太鼓ミュ-ジック!?真夏のモルゴン村に響く太鼓、まるで日本の夏まつりだ!

50人ほどの太鼓隊の音は迫力がある。踊る舞台も設置されている。
皆が踊りだした。そのエネルギ-は凄かった。

最後は太鼓隊も踊り台に入り混じっての大フィ-バ-だ!それぞれ、話し込む人、踊る人、ただ黙々と飲む人、皆自由に吹っ切っていた。
そんな中に、醸造元が入り混じって一年に一度の祭りを楽しんでいた。昨年の厳しい年を忘れて今年にかける彼らの意気込みは燃えていた。

今年、ヌーヴォ日本初デヴュ-するクリストフ・パカレ

ヴァレットとジャンボンの両フィリップ

自然派には欠かせない人、オヴェルノワ氏も

お疲れさんでした、石田さん!
隣はあの偉大な料理人故アラン・シャペルの息子さん。
マルセル・ラピエ-ルが自然派になる切っ掛けをつくったのは、アラン・シャペルだった。80年にマルセルを偉大なるジュル・ショ-ヴェ先生に紹介したのがアラン・シャペルだったのだ。
彼のお父さんが居なかったら今の自然派は存在しなかったかもしれないのである

 夜も更けて、何と朝4時まで続いたとのこと。
若手はそのまま現場で寝ていたそうです。
私は1時ごろに引き上げてモルゴン村のホテルに帰った。
楽しい夜でした。とてつもない自然派のエネルギ-を感じた夜だった。
マルセル・ラピエ-ル氏の精神力と実行力とすべてを包み込む大きくてシンプルな人柄に感謝!

燃えろ!!PASSION!!燃やせ!!PASSION!! 伊藤  PARIS