まだ寒い2月の上旬。関西自然派然派ワイン軍団、ナジャの米沢さん、ワインショップFUJIMARUの藤丸さんをはじめとするロワール横断弾丸ツアーを開催した。
L’Ange Vin への訪問は、すでにホームページにもアップしたが、今回の訪問は、もちろん、それだけではない。ロワールのミュスカデからサンセールまで横断走破した弾丸ツアーであった。

2月4日AM5:00 まだ真っ暗なパリを出発。前夜、レストランで遅くまで食事をしていた、関西自然派ワイン軍団のリーダー、藤丸さん、ナジャの米沢さん、マツケン食堂松本さん、小原さん、うずら屋の宮本さん、そして独立開店前の徳大寺さんたちには、ホテルに戻って、マバタキをしたら、さあ、出発!
というような、出発からハードな旅となった。パリからナントまで約500km、高速を使って4時間、一路、ミュスカデの偉大で謙虚な生産者、セネシャリエールに向かった。

**Domaine de la Senechaliere**

この時期のフランスの日の出は遅い。8時でも、まだ暗い。
到着時間の9時前頃から、やっと陽が昇り、朝焼けの中のすがすがしい訪問となった。

ドメ―ヌに着くと、すでにぶどう畑の中を
興味深そうに歩きまわっているマルク・ぺノさんがいた。

たかがミュスカデ、されど、このミュスカデは、そこんじょそこらのミュスカデと違うのは周知の事実。

シスト質の岩盤と粘土質も混ざる土壌、その下は、ミカシストといわれる、とても硬い岩盤で、もともとは太古の昔、この辺は、ヨーロッパの中でも相当標高の高い山岳地帯だったそうである。 ぶどう畑を歩くと、石英や、火打石などが、多く転がっていて、ミネラル感あふれるワインの根源が理解できる。

また、除草剤や化学肥料を使わない、ぶどう畑は、活き活きしており、なんと70種類の違う植物が共生しているという。

ワインの品質などとは関係なく、他の理由で一度は倒産してしまったドメ―ヌが、日本の熱烈的なファン達のおかげで、今、また再起を始めている。

2009年は、収穫量は少なかったが、とても熟度の高いぶどうが収穫できたという。
通常のこの地区の生産者は、早めに収穫をして、酸を残し補糖をしてアルコールを上げるなどするが、なんと彼の2009年のフォールブランシュの糖度は11.5度になったという。この熟度とミネラル、これがセネシャリエールの持ち味である。


2009年のFolle Branche、Boheme、Miss Terre、Nuitageをタンクから試飲したが、Folle Brancheは、とてもアロマテックで、チャーミングな脂質を持っていた。
Bohemeは、まだ全て発酵が終らず、残糖が10グラムあった。工業的な造りでは、通常3週間ほどで終わるアルコール発酵であるが、ここでは、自然酵母でゆっくりと6カ月かけて発酵を行うのである。このいろんな自然酵母の動き、時間をかけた無理のない発酵が、セネシャリエールの優しい味わいとなるのである。
Miss Terreは、さすが樹齢が古いミュスカデのぶどうらしく、感熟度を感じる凝縮、素晴らしい!2009年の収穫量はたった20hl/haだという。
Nuitageは、あまりアロマの無いミュスカデというぶどう品種から、ぶどうの皮にある旨みを最大限引き出したワイン。 ガスも残っており、それがフレッシュ感を与える。旨い。。。 

まだビン詰めしていない2009年だが、日本入荷が待ち遠しい!

そのほか、ビン詰めをしている2007年ヴィンテージ、なんとChapeau Melonの初インテージ2001年も試飲させてくれた。
カラフェをして飲んだが、心地よい酸化傾向の香りに、ミネラル感、熟度が高く、厚みもあり、素晴らしいワインであった。ありがとう!マルク・ぺノ !!!あまりに商売気のないそのよどみのない瞳、ピュアな姿、ワイン造りにかける情熱に全員が感動した。

大半の時間をぶどう畑で過ごし、冷え切った身体だったが、温かいマルク・ぺノの受け入れと、ナチュラルなワインが、身体をほっとさせてくれた。

そして、ミュスカデに分かれを告げ、次は、アンジュの生き方も、ワインも超自然派、レ・グリオットに向かった。今日は、3軒の訪問なのだ。急がねば。。。。

**Les Griottes**

午後1時にグリオット到着。
セバスチャンとパトリックが笑顔で迎えてくれた。
1月末から、サロン・ド・ロワールや、ディブ・ボテイユなど試飲会ラッシュであったが、彼らはどの試飲会にも参加せず、ヨーロッパ各国から試飲会にきたお客を、全員自宅で、食事を食べながら歓待したそうである。人ごみ溢れる試飲会のブースで試飲はできても、ちゃんと話はできない、だから自宅で、食事をしながら、ワインを飲みながらコミニケーションを取ることが大切なんだとパトリック。
これがグリオットスタイルというわけだ。
そして、今回、日本人グループの到着ということで、この自宅イベントの最終顧客として迎えられたわけだ。

この日のランチの食材は、全てこの村周辺で取れたもの。しかも有機栽培。この村では、村長自ら、日本でいう地産地消の活動に熱心で、地元の人間も、出来得る限り自分達の地区で採れた野菜、果物や、地元の小麦で作ったパンを食べるようにしているという。
ワインは、もちろんの事である。 
ということで、今日のランチは、地元で採れたニンジンのサラダ、地元で採れたねぎをハムでまいてグラタン風にしたもの、付けわせは、ソバの実。

 

いやあ全てが素朴で美味い。
みんなが地元の物を食べることによって、地元にお金が回るし、野菜はじめ、自然栽培にてワインを造る生産者のワインを飲むことによって、環境も守れる、だから、みんなもっと、もっと自然派ワインを飲まなくていけないと、パトリックは熱弁をふるっていた。 
ヴォルヴィックを1本買うと、アフリカの砂漠地帯に井戸が、というようなプロモーションもあったが、自然派ワインを飲むことで、環境を守ることに協力できるんだということである。 なるほど。

ワインは、できたばかりのムーサイヨン、グリオット2007、2008を飲んだが、ムーサイヨンは、例年よりミネラル感が多く、かついつものごとくナチュラル、グリオットは、2007年も美味いが、2008年は、果実味あふれ、かつエレガントで美味い !!!

アペリティフに他の生産者の作ったシュナンのペティヤンも飲んだ!!(写真右端)

いつでもどこでも仲良しパトリック&セバスチャンコンビ

ここは、ワインはもちろん、人間がナチュラルな蔵元である。一緒にいると、自分も家族の一員になったような気がする、このグリオットワールドのファンがいたるところにいるわけである。

グリオットのワインのお問い合わせは、
オリゾン事務局     TEL :03-5565-5884
有限会社クロスロード  TEL:03-3352-0911

**Benoit Courault**

そして本日最後の3軒目の生産者への訪問だが、夕方5時を過ぎ、だいぶ周りも暗くなってきた。訪問先は、同じくアンジュの若手生産者の中でもずばぬけた信念とワイン造りの腕を持つ男、ブノワ・クーローである。

                          
この男、何が凄いって、まだ28歳なのに、自分の生き方をすでに知っているのである。50を待たずして天命を理解しているのである。もともとワイン造りに興味のあったブノワは、ソムリエを経験後、シャンボール・ミュジニ―のある生産者のところで修業をしていたが、その工業的なワイン造りに疑問を持ち、まだ確固とした考えがないなか、本当のワイン造りを求め南下、そこで、出会った男が、ラングロールのエリックである。エリックの自然なぶどう栽培、ワイン造りを学んだ彼は、独立を目指し、新天地アンジュへ移動する。
そこで、彼を待ち受けていたのは、グリオットのセバスチャンや、パトリック、そしてオリヴィエ・クザンなどの、同じ意志を持つ仲間達だったのである。そして、やっと自分のぶどう畑を手に入れ、このアンジュでワイン造りを2006年にスタートさせたわけである。


2009年現在、ぶどう畑は6,5ha所有。
栽培はクザンと同じく、ビオディナミにて、自分で調合剤も作る。
もちろん、ぶどう畑は、愛馬で耕す。
ブノワの父は、馬の調教師だったこともあり、馬を使ってぶどう畑を耕すことは、すぐに実践できたそうだ。   

ビオディナミを始めてから、年々土壌が生きかえってきたという。
その土壌の復活とともに、ワインも年々エレガントな、繊細な味わいへと変わってきた。
この日の試飲は、
1)Le petit Chenin 2008及び2009(樽から試飲)
ぶどうはシュナン100%。熟度が高く、ミネラル、けして重くなく、ほどよい爽やかさを持つワイン。

2)Gilbourg 2008
樹齢60年から100年のシュナンで造ったワイン。樽発酵、樽熟成。
ミネラル感あふれ、酸もしっかりとしている。ほどよいヴァニラ香があり、まさにブルゴーニュのグラン・ヴァンスタイル、まっすぐな線の通ったワインである。

3)Les Tabeneaux 2008
カベルネ・ソーヴィニョン/カベルネ・フラン60%/グロロ40%
アロマティックで、快適なタンニンがあり、バランスの良いワイン。
2008年は、全体的に酸が強く感じるが、それが清涼感を感じさせる。

4)Les Roulieres 2008
カベルネ・フラン100% 
セミ・マセラシオン・カルボニックと除梗した通常醸造とをアッソンブラ―ジュしている。
しっかりとしたタンニン、凝縮度のあるワイン。

5)Elegantine Rose
グロロ50%、カベルネ50%
果実味あふれ、まさにぶどうジュースのような味わい、どこか和三盆を思わせるような、きめ細かい甘み。

白は、ミネラル、赤は凝縮度がありながら、どちらも繊細な味わい。ロゼは、淡い甘みでなめらか。
空気のような軽い甘みである。 どのキュヴェも絶品である。

そのうちに、グリオットのパトリックのセバスチャンが合流。
飲み会となった。。。。 
ロワール横断弾丸ツアー1日目は、やっと夜8時を過ぎ無事終了。。。。お疲れさまでしたあ。
さあ、今から晩御飯だあ!!!

ブノワ・クーローのワインのお問い合わせは、
ディオニー株式会社 京都本社 TEL :075-622-0850
           東京支店 TEL :03-3538-7854