二人のBUDOの達人の遭遇・ブルゴ-ニュの1日


フィリップ・パカレ氏 (葡萄の達人)     藤原康弘氏(剣道の達人)

月のとある日、日本より藤原氏フランス行きの電話がはいった。藤原氏は剣道7段、8年前に剣道指導の為に1年間フランスに滞在したことがある。剣風といい人柄といい正に達人だ。フランスに多くの熱狂的なファンが多い。私もそのファンの1人でもある。おまけに藤原先生はワインが大好きだ。
偶然にも私がリヨンにいる時にリヨン近辺に滞在しているとのこと。私は直ぐフランスのワイン造りの達人フィリップ・パカレと遭遇できないか、と考えた。
分野が違うこの二人の達人には共通点があり、この遭遇はきっと何か良い気が創造されるだろ。

フィリップとはもう17年来の付き合いだ。一緒に日本にも4回ほど行った。彼の天才ぶりにはいつも驚かされている。日本語が解からないのに、人から質問されたことを通訳する前に答えてきたことが度々あったからだ。一つの事をあるレベルまで成し遂げている人の共通したヒラメキのようなものがある。藤原先生の剣道も一味違う。剣道は相手がいて、何故かわからないけど一緒にやっていて気持ちが良くなる剣風と、気分が悪くなる剣風の人がいる。別にこれは、打たれたとか、負けたとかいう勝ち負けの問題ではない。対人関係と同じようなもので、一緒にいて不愉快になる人、愉快になる人がいるのに似ているのかもしれない。
藤原先生とやると気分爽快になってしまう。自然派ワインのようだ。スーと元気になってしまう。

真っ直ぐで、明るくて、濁りがない

藤原先生の剣道は“真っ直ぐで、明るくて濁りがない”。これはフィリップ・パカレのワインと一緒じゃないか。

フィリップはいつも云っている。
『シンプルなのが一番だ。真っ直ぐなワインを造るのは難しい。最も美味しいくテロワ-ルを表現できるんだ。』

藤原先生も云う『剣道は真ん中を真っ直ぐいく面一本がベストです。』

ワイン造りも、剣道もゴチャゴチャ無駄なテクニックを使わずに、シンプルに徹することが一番のようだ。
言うは安し、である。勝ちたいとか、もうチョット濃縮させるとか、もうチョッとリスクを回避したい、色んな邪念が入り混じる中、それらを振り払ってシンプルさに徹する価値と困難さをこの2人は体験的に悟っているのではないか。最も大切なものだけを残して、あとのこだわりを捨てきる決断、この辺が共通のように思う。

フィリップの収穫に何度か立ち会ったことがある。チョットでも腐っている葡萄は躊躇なくすべて捨てさる。普通ならもったいない感覚や、経済的にももう少し量を増やしたければ多少腐っていても使ってしまう。これを躊躇なく捨て去る、この決断と実行に驚いた経験がある。だから、『邪念のない面』のようなワインになるのだろう。


藤原先生と剣道していて、私のような下手な者とやっていても、真剣に面を真っ直ぐにくる。私を打ち負かすことなど、簡単なことだけど、妙なテクニックは一切使わず兎に角真っ直ぐに面にくる。勝ち負けなど関係がない、だから時々出ばな小手を打たせてもらえるけど、撃った私の方が恥ずかしくなってしまうような気持ちになってしまう。勝ち負けをふっ切っているのだ。
ワイン販売の達人を目指せ!
これは商売でも同じなのかもしれない。自分の儲けばかりこだわっていたら、最も大切なものを失ってしまう。前後左右、周りの人たち皆をハッピーにする商品、売り方がきっとあると思う。みんなが感動して、皆に喜んでもらえるような商売、生き方をしたいものだ。よく見極めて捨て去るものは躊躇なく捨てる。達人のように真っ直ぐに、最も大切なものに絞り切るシンプルさが必要だ。
商売には色んな邪念が渦巻いてる、楽に売れて、儲けの多いものを皆欲しがる。特にこの時期は兎に角安いものを欲しいとよく言われる。品質など2の次で少しでも安く儲けるもの、そんなことにこだわり過ぎていると、最後にはトンでもない品揃えのワインばかりになって、客の信頼を失ってしまうだろ。やはり本物ワインを真っ直ぐに濁りなく、クリヤに販売していかなければと思う。複雑な販売技術を使い過ぎず、本物をまっ直ぐに売れるようになりたい。販売技術も所詮はテクニック、剣道もワイン造りもテクニックを使い過ぎるところに邪念が入ってくる。真っすぐに真ん中をシンプルな技術で!難しけど達人を目指すには必要なことだ。ワイン販売の達人・・大切なものを見極めて・・あとは邪念を捨ててシンプルに。まだまだ修行が足りない!フィリップのワインは益々世界中の人たちから愛されている。藤原先生と一緒に剣道した人達は皆ファンになってしまう。活人剣だ。今日は色々勉強させて頂きました。感謝!!

今、ボーヌで最も人気上昇中のワインビストロ“TONTONS”トントン

住所:22、Rue du faubourg madeleine 21200 BEAUNE TEL :03-8024-1964


私はパカレ氏とボーヌでよく食事をすることが多い。マリアのREGAlADEか、和食のBISSOHもしくはこのTONTONSだ。
最近、このトントンが進化を続けている。店も改装して明るい雰囲気になった。そして何より自然派ワインの品揃の充実が素晴らしいものになってきた。地下のカーヴを整備してストック兼販売も出来るようになった。店内に入店して右側の壁はワイン棚になっており、そこでもワイン販売をしている。そこでワインを選んでテーブルに着くことも可能だ。


ペピータの料理は心・喜びがこもっている!
料理担当は奥さんのペピータだ。料理が好きで、好きでたまらない女性だ。『私は料理をする為に生れてきたの!』
本当に楽しそうに料理をしている。調理場が透明ガラスで仕切られているので、彼女の料理姿が見られるようになっている。本当に楽しそうだ。2010年の今年にミシェランの星が一つ付いてしまった。ペピータの料理の質の高さから云えば遅すぎるくらいだ。でもあまり有名になり過ぎて私たちが来れなくなってしまうのがチョット心配だ。

パカレの醸造所カーヴで2009年産を樽から試飲した後にこのトントンにやってきた。
2009年産は勿論まだ熟成中だ。ホントに凄い年になっていた。09のエシェゾーもシャンベルタン・クロ・ドベーズもマニフィックで繊細でミネラルの旨味が乗った出来上がりだ。シャブリもタップリのミネラルでまさにザ・シャブリのスタイル、ムルソーはパワフルなシャルドネの中にミネラル爽やかさが詰まった感じだ。カーヴでたっぷり食前酒を飲んでここに到着した。


料理はペピータがもう準備してくれていた。
まず、MINESTRONE DE LEGUMINEUSE AU FUME DE CORAIL D`OURSINSウニ風味の濃厚な有機野採スープ、


Coq du Louhanais au Vin Blanc et Verveine,Cocotte de Persil Racine = ルアネ産鶏、白ワインと香草で煮込んでパセリの根っ子をココットで煮込んだものを添えてあった。ワインはPACALETのシャンボール・ミュージニを合わせた。

料理人の人達の為に昼のメニュを載せておきます。

黄色の線が本日食べた前菜とメーンだ。その後、フロマージと簡単なデザートを食べた。

食後は主人とペピータと色んな話をした。改装してまだ一カ月しかたってない。お客が増えていること、最近予約でほぼ満員になってしまうらしい。これだけ美味しいので当然だ、と思う。

自然派ワインばかりの品揃えだ!

螺旋階段を下りると自慢のカーヴがある。フランス中から集めた自然派ワインのスターが勢揃いだ。 

←店内の販売棚
ここで買ってテーブルで
飲める。

   地下のワインカーヴ 

幾つかのワインを紹介しよう

ルシオン地方の自然派スター

LE BOUT DU MONDE
ルブド・モンド
今、自然派レストランで超人気の蔵元だ。
自然な果実が素晴らしい。

           
FOULARD ROUGEフラール・ルージュ
大スターのジャン・フランソワ・ニックのワインだ。
もう、ルシオンのカリスマ的存在だ。
南フランスの自然派を作り上げた人物と云ってよい。   

TEMPS DES CERISES                    
タン・ド・スリズ
“桜の季節”という、まさに今の季節のワインだ。
果実味の爆発といってもよいほどの心地良い果実味だ
自然派レストランの常連だ。

真っすぐで、明るくて、濁りがない、すーと入ってしまうワインばかり

FONTEDICTO フォントディクト
完全ビオ・ディナミ農法で馬も自分で飼って、馬で耕している。自然度な150%と云うか、何かを超えてしまった存在だ。パンも自然酵母で自分で焼く。野采も自分で栽培している。ほぼ自給自足の生活だ。
このワインは一口飲んで宇宙を感じる不思議なワインだ。または、自分の唾液に最も近いワインだ。自然度が高い。


L`ANGLOREラングロール
今。自然派ワインを語る時、もうラングロールをはずしては語れない存在になっている。エリックがやっている一つ一つの作業がそれほど繊細な注意を払ってほぼ完ぺきを狙って実践しているからだ。誰も彼のマネは出来ない、ことを皆が認めている。


DARD ET RIBO ダール・エ・リボ
もう自然派の伝説的古参になってしまった。日本への登場も自然派では最も古い。当初から比べると還元臭が消えたことかな。皆、進化している。変わらないのは美味しいこと、そして、量が相変わらず少ないこと。ルネ・ジャンとフランソワがいつも仲が良いこと。ワインはマニフィックだ!


MAZELマゼル
ジェラールも自然派の古参の一人だ。そして自然派の原点ジル・ショーヴェ博士の直系をくむジャック・ネオポールの流れを得ている貴重な醸造元だ。
ワインは古典自然派だ。何とかこの古典スタイルを続けてほしい。
素晴らしい人間性とワインの品質だ。


PHILIPPE VALETTE フィリップ・ヴァレット
マコン・シャントレ村に位置して、素晴らしくミネラリーな力強いシャルドネだ。自然派ワイン屋には必ず品揃えされている蔵だ。
マコン・シャントレ、フイィ・フィッセは本当に上手い。
塩っぽさを感じる旨味は日本食にピッタリだ。


DOMINIQUE DERAIN ドミニック・ドゥラン
パカレ、ロックの次くるブルゴーニュは何といってもドゥランだ。ドゥランの存在は大きい。そこ抜けに明るい性格、いつも笑いを振りまいているドミニックは醸造元仲間の間でも人気者だ。栽培もビオディナミック農法を実践してもう長い。根っこが地中深く入り込んでいる。彼のサントーバンの白は天下一品だ・。

PRIEURE ROCH プリューレ・ロック
説明のいらない醸造元、自然派ブルゴーニュといえば、ロック、パカレは不動の存在だ。何にも代えがたい風味がこの両者に共通している。
ロックから自然派に興味を持った人がいかに多いことか。

剣道の達人、葡萄の達人、そして美味しい料理、美味しいワイン


藤原夫妻、パカレ夫妻、トントン夫妻、心地よい食卓のひと時を共有させていただき感謝!!

2次回に近所のワイン屋へ一杯やりに寄りました。

60年代以前はすべてのワインが自然派だった!
フィリップは、除草剤や化学物質がまだ存在しなかった時代の古い年代ワインを飲む! 

ワインを飲むのが大好きだ。というより、『昔はすべてのワインが自然派だったんだ。』と云う。
『そんなワイン達ももうじき無くなってしまう。だから機会があるごとに飲んでは記憶させておくんだ。』

ボンヌマール1962
ニュイ・サンジョルジュ1921
古い年代ワインを飲む!

ボーヌのTONTONセレクション・ワインを日本でも買える!お問合せ先

1-LE BOUT DU MONDEル・ブード・モンド
株式会社サンフォニー 
東京都中央区銀座4-13-15-5F
TEL : 03-5565-8992 FAX : 03-5565-5886

2-FOULARD ROUGEフラール・ルージュ 
BMO株式会社
東京都渋谷区恵比寿1-15-9 DAIYUビル1F
TEL : 03-5459-4243 FAX : 03-5459-4248

3-TEMPS DES CERISES タン・デ・スリーズ
株式会社サンフォニー
東京都中央区銀座4-13-15-5F
TEL : 03-5565-8992 FAX : 03-5565-5886

4-MONT CALMESモンカルメス
株式会社サンフォニー
東京都中央区銀座4-13-15-5F
TEL : 03-5565-8992 FAX : 03-5565-5886

5-FONTEDICTO フォントディクト
(株)イースト・ライン LA VIGNE事業部
静岡県静岡市葵区紺屋町17-2 1F
TEL : 054-205-4181 FAX : 054-205-4181

6-L`ANGLOREラングロール
BMO株式会社
東京都渋谷区恵比寿1-15-9 DAIYUビル1F
TEL : 03-5565-8992 FAX : 03-5565-5886

7-DARD ET RIBO ダール・エ・リボ
野村ユニソン株式会社
東京都中央区銀座1-10-19 銀座一ビル7F
TEL : 03-3538-7854 FAX : 03-3538-7855

8-MAZELマゼル
ディオニー株式会社
京都市伏見区奈良屋町408-1
TEL : 075-622-0850 FAX : 075-601-5744

9-PHILIPPE VALETTE
BMO株式会社
東京都渋谷区恵比寿1-15-9 DAIYUビル1F
TEL : 03-5565-8992 FAX : 03-5565-5886

10-DOMINIQUE DERAIN
株式会社サンフォニー
東京都中央区銀座4-13-15-5F
TEL : 03-5565-8992 FAX : 03-5565-5886

11-PRIEURE ROCH
野村ユニソン株式会社
東京都中央区銀座1-10-19 銀座一ビル7F
TEL : 03-3538-7854 FAX : 03-3538-7855