自然派シャンパーニュ孤高の存在、セロス夫妻がワインのメッカ、ボーヌに来る 仕掛人は和食レストランBISSOHだ。
沢畠夫妻は5年前にボーヌの街で和食レストランBISSOHをオープン。 沢畠夫妻は自然派ワインの大ファンだ。
だからワインセレクトは大部分が自然派ワインだ。しかもブルゴーニュにあってフランス全土の自然派ワインが揃っている。各地方の自然派大物はすべて揃っている。勿論、シャンパーニュのセロスもある。
この春から沢畠夫妻は醸造元フェアー開催を決意 『フランスにいる和食料理人として自然派ワインと和食のマリアージュを真剣に取り組みたかった』と語る沢畠氏。『フランスに居るから醸造家に来てもらう事が出来るし、本当に楽しくできるのではないでしょうか?』と奥さん。第一回は大好きなシャンパーニュのジャック・セロスに相談したところ快諾してくれた。和食と自然派ワインのマリアージュを極める。
私にとってこの和食レストランは貴重な存在だ。 醸造元巡りをするのが私の仕事だ。連日のフレンチ料理が続くと消化器官が疲れてくる。そんな時、ボーヌにたどり着けばBISSOHがある。 BISSOHがどんなにか私の心身の支えになっているか図り知れない。 それに、フランスに居ながら自然派ワインと和食のマリアージュを追求できるなんて夢のようだ。自然派ワインを広めるのが私のライフワークだ。このテーマは私の永遠のテーマでもある。ホントに感謝感激だ。ブルゴーニュ醸造家も含む約30人が絶妙のマリアージュを堪能
私はPARISからの参加だ。夜の7時半からの開始予定。何としたことか腕時計が10分遅れていてTGV(特級列車)に一本乗り遅れてしまった。約45分遅れて到着。幸いにもまだ始まっていなかった。 入店した人達がアペリティフとしてEXTRA BRUT V.Oを試飲していた。 V.O. =VERSION ORIGINALヴェルション・オリジナル、毎年3600本しか出荷しない。AVIZE村、CRAMANT村、OGER村のグランクリュ100%の3村のシャルドネを仕込んだもの。繊細でミネラリーで果実味が柔らかなシャンパンだ。
セロス氏よりの挨拶で会が始まった。 ワインの中心地ボーヌでシャンパンの会を開催できて喜んでいた。人間として実に調和のとれた人物である。栽培も醸造も実に自然な造りをしている。 しかし、ビオ栽培でなければならない、ということはない。自分の子供が病気の時はチャンと薬を施して治すように、葡萄が本当に病気になって全滅しそうになったら必要な薬を撒いて全滅を避けて葡萄を生かすほうを選択する、など興味深く聞き入ってしまった。人間として実に調和のとれた話だった。
醸造に関しても、超自然な造りを実践しているセロス氏が自然派にありがちな偏ったところがない一面を話してくれた。 例えば、SO2添加についても葡萄の状態や発酵時の状態如何でSO2を必要な時は使用するとの事。偏ったところがなく、淡々と語ってくれた。 天才的なセンスと繊細な感性をもちながら、葡萄栽培、シャンパーニュ造りを重ねてきて、技も熟練された名人技に達し、年齢的にも人間としての厚みがほとばしる話に感銘を受けた。本当に大切なことを押さえている自信が語りに説得力がある。
*JACQUES SELOSSE ROSE
次々とシャンパーニュが供された。次はロゼ・シャンパーニュだ。アヴィズ村のシャルドネとアンボネ村のピノ・ノワールを仕込んだロゼ・シャンパ-ニュだ。年間6000本しか造っていない。 ワインとしての構成がしっかりしていて果実味の豊かさを備えている。 ミネラルが背骨のごとく真っすぐにしめている。 シャンピニョンのカルパッチョがロゼ色になっていて、沢畠シェフの遊び心が感じられる。
*JACQUES SELOSSE MILLESIME 1996
ミレジメ1996年が供された 。 柔らかな泡と熟成されてまろやかな舌触り、その中にもミネラルがフレッシュさを感じさせてくれる。 アスパラの天ぷら、ホタテの旨味とミネラル感が完璧だ。 次は1999年のミレジメだ。
*JACQUES SELOSSE MILLESIME 1999
力強く,豊満なシャンパーニュだ。 熟成からくる旨味の濃縮感。 常にアヴィズ村のクレエと呼ばれる 石灰岩盤からくるミネラル感が爽やかさを演出している。年代からくるスパイシーさがブレス産の鶏にピッタリだった。
料理は最後に豆の炊き込みご飯にカニが添えられていた。 和食のシメはやっぱり ご飯だ。日本人の私には 嬉しいかぎりだが、フランス人には理解できないかも?しかし、 99は最高でした。
*IL ETAIT UNE FOIS イレテ・チュンヌフォワ
デザート・ワインにセロスの リキュール・ワインが供された。 収穫した葡萄ジュースにアルコールを添加して、それを 何年も熟成させたリキュールだ。 正に、ネクターだ。 美味しいの何のって ! 胡麻風味のデザートに 絶妙に合いました。 新しいシャンパーニュが出される度に、セロス氏からの説明があった。
JACQUES SELOSSE PHOTOS ギャラリー
沢畠シェフの気合の入った料理に皆が賞賛した。 セロス氏もテーブルを廻って質問に受け答えたりブルゴーニュ人と会話を楽しんでいた。ミネラル豊富なセロスのシャンパンは、繊細な旨味がのっていてその上塩っぽさを感じる。
魚介類豊富な和食とのマリアージュは素晴らしく調和がとれていた。勿論、沢畠シェフの腕がセロス・シャンパーニュを一層引き立てたことは云うまでもないことだ。 ブラボー!シェフ。 笑顔が絶えなく素敵な奥さん、後ろ姿でも語る男 アンセルム・セロス、じっと待っていたセロスの犬
ある一線を越えた人物とシャンパーニュ、セロス哲学
10年程前に醸造元に訪問したことがある。訪問者が多くその時もアメリカ人とかパリのソムリエも一緒だった。醸造カーヴで試飲しながらセロス哲学を3時間ほど聞いた。明らかに東洋の老荘思想からくる自然感と自分がやっている栽培醸造に照らし合わせて造り上げたセロス哲学を語っていた。勿論、感銘を受けたがその時は、まだ頑張っていると云う感じだった。でも今夜はその時とは比較にならないどっしりした含蓄を感じた。ビオだ、ビオディナミだ、自然派だ、なんてことはもう超越してしまった域に達しているのを感じた。 セロス『ワイン造りで我々ができる大切なことは地中のミネラルを植物に変移することなんだ。』とスピーチを締めた。このセンテンスの中に多くのものが詰まっている。シャンパーニュも人物も進化し続けるセロスの話を聞きながら幸せなひと時を過ごせたことに感謝せずにいられない。
ありがとう!BISSOHさん
セロスに迫る次世代の自然派シャンパーニュ
1)CHAMPAGNE DE SOUSA *シャンパーニュ・ド・スーサ
ジャック・セロスと同じアヴィズ村に畑と醸造所をもっている。家族経営の小さなシャンパーニュ・メゾンだ。ビオ・ディナミを実践している。ミネラル感の中に果実味がたっぷりのシャンパーニュだ。 商業主義のビジネス・ビジネスの大手シャン パーニュメーカーがひしめく中、ホッとする暖かい家族によって造られている実に自然で、本当に美味しいシャンパーニュだ。
問合せ:★ESPOA本部:06-6386-3204
★中島董商店 : 03-3405-4222
アヴィズ村の畑で、Eric et Michelle de Sousa*エリックとミシェル・ド・スーザ
2)CHAMPAGNE JACQUES LASSAIGNE *シャンパーニュ・ジャック・ラセーニュ
シャンパーニュ地方の最南端、モング村に位置している。ジャック・セロスのあるアヴィズ村の土壌クレと呼ばれる石灰岩盤土壌がこの最南端のモング村に再び現れている。当然シャルドネだ。 若手のEmmanuel Lassaigne*エマニュエル・ラセーニュが引き継いで、自然 な方法に変えて彗星のごとく有名になったシャンパーニュだ。南に位置しているので葡萄の熟度が高い。補糖する必要もないほど熟す。 ワインとして美味しい白ワインができる立地だ。スカッとした引っかかるものが全くないクリアでグイグイいっ てしまうシャンパーニュだ。
問合せ:★クロス・ロード :03-3352-0910
★サンフォニー:03-5565-8992
エマニュエル、モングの丘斜面にある畑にて