人生の苦難を乗り越えて、気丈に自然なワインを守りぬくマリー・エレーヌ

ラグビーのフランス代表選手だった亡きドミニックの大ファンであり妻でもあったマリー・エレーヌ。
10年前、愛する夫ドミニックの突然死を経て、ドミニックの意思を、一人で気丈に葡萄園を守り抜くマリー・エレーヌ。

『昼間は近所に住む娘や息子、孫たちが時々遊びに来てくれる。勿論、畑仕事も手伝ってくれる。でも夜になると時々淋しくなるわ』
マリー・エレーヌ
『でもドミニックが命をかけて造っていたワイン造りを継続することで、元気が出てくるの。』
今でも、壁にはドミニックの写真が至る所に貼ってある。
白黒の写真はベジエのチームがフランス・チャンピオンに
なった時の写真。マルセーイユ出身のマリーエレーヌはドミニックの追っかけだった。

110歳のカリニャンでトビッキリ美味しいコルビエールを醸すマリー・エレーヌ。

今日は年に一度の、日本からのお客さんがやってくる日。
山田恭路さん率いるSTCグループのメンバー20名だ。

もう20年前からSTCグループとの付き合いだ。
毎年、9月のこの時期にやって来る。

故ドミニックとのいつも話していた。
『いつか二人で日本に行こう。』

来年、3月にSTCの20周年記念祭が行われる。
長年の夢だった日本行きが実現する。

もう多くの日本の小売店のメンバーがここにやって来た。もう親戚のような関係だ。

山田恭路さんにとっても大切な蔵元である。
サンジャン・ド・ラ・ジネストは除草剤を使わず栽培、自然酵母で発酵する自然な造り。それで1000円前半で販売できる価格帯のワインがある。
STCの小売店グループの基幹ワインの一つでもある。

LA CALINE DE MARIE
ラ・カリーヌ・ド・マリー
このワインが1000円前後で販売できる価格帯。
15年前、山田さんと故ドミニックが話し合って開発したワインだ。ドミニックは当時、バルクワインを超安価でネゴシアンに販売していた。そのワインを山田さんが試飲してあまりもの美味しさに驚いた。このバルクワインを
瓶詰してSTCで買い取りを契約。こうして超安価の自然ワインが誕生した。

皆、乾燥したコルビエールの畑を自分の足で歩く。
100歳を超える葡萄の古木に触れてみる。実際に葡萄を食べてみる。
初めてフランスに来た人が8名、フランス滞在初日から、いきなりコルビエールの畑に立つ。
暑い!乾燥度がすごい、肌がカサカサしてくる感じ、太陽の日差しが刺すように痛い感覚。

今年の乾燥度は特別で、草まで水不足で枯れてしまっている。
でも日蔭に入ると涼しい。
こんな事は、現場に来ないとわからない。

毎日、自分の店で販売しているワインが、こんな環境の中で育ったことを体感している。

日本の夏も暑いけど、全く別の暑さ。
すべてが初めての体感だ。驚き、感動。

写真、マリーエレーヌの説明をメモする。すべて、自分が経験したこの感動をお客さんに伝える為だ。