ジェローム・ギシャールは子供の頃、プイイ・フィッセで最高のシャルドネを醸す醸造家フィリップ・バレットの隣に住んでいた。

ジェロームはフィリップのお父さんによく葡萄園に行って手伝ったり遊んでたので、土や緑に関する仕事をするのが夢だった。

ジェロームの家系は普通のサラリーマンでした。

大人になったジェロームは土や緑に関する仕事として、マコン市役所の造園技師として働いていた。

しかし、ジェロームに人生を変える決定的な出来事があった。

2007年、ジェロームは夏のバカンスを秋にとり、葡萄収穫をやることにした。

それが、ボジョレのナチュールの最も濃い醸造家のフィリップ・ジャンボンのところだった。

フィリップのナチュールに人生をかけて打ち込んでいる生き方に触れて、すべてが変わってしまった。

葡萄栽培、自然醸造に精神力、体力の限界まで、自分の選んだ道に邁進しているフィリップに感動したジェローム。

それ以後、市役所の仕事をやりながらも、時間を造ってフィリップ・ジャンボンの蔵に入り込んで手伝っていた。

そして、ついに2011年に、当時、自然栽培者としてマコン地区で第一人者だったギー・ブランシャールをフィリップより紹介されてた。そのギー・ブランシャールは引退を考えていたのである。

すかさず、ジョロームはその畑を引きついで独立したのでした。

もうあれか15年が過ぎようとしている。

日仏商事の庄本さんは、ジェロームの初期のミレジムから彼のワインに興味をもって日本に輸入している。

今日はそのメンバーがやって来た。

日仏商事は現在、ローワール地方で自社畑をもっていて素晴らしいワインを造っている。

今日は、日本のワイン責任者の庄本さんとロワールの醸造メンバーがやって来ている。

ジェロームにとっても大変重要な日である。

この15年間、自分がやって来れたのは、庄本さんのような、支えてくれた人達がいたからである。

自然度が高いジェローム・ギシャールのワインは、時として、不安定だったミレジムがあった。

そんな難しかったミレジムも含めてずっと輸入を継続してるありがたい存在。

自然度の高いワインと長く付き合っている人達しか、解らないことがある。

不安定だったナチュール・ワインが、落ち着いた時の、何ものにも代えがたい“特別な美味しさ”を庄本さんは知っている。

これはホントに“超希少な美味しさ”である。

これには、インポーターとして長いスタンスでのビジョンをもっていなとできないことである。

時々試飲したりしながらのプロとして作業が必要とされている。

ジェロームのような造り手が存在できるのは、日本の日仏商事のようなプロ中のプロの人達が支えてくれているからである。

だからジェロームにとっては、今日は貴重な日なのである。

15年の間には、天候上の変化、それに伴うテロワール上のやるべき農作業上の変化など、日本の皆さんにしてもらいたいことが山ほどある。

特に大切なのは、葡萄木と他の植物や木との共生性を重視した“ヴィーニュ・フォレスチエールと呼ばれる農法をとっていることである。これは、葡萄園に、普通の木を植えて葡萄木と共生を図ることである。

それぞれの区画によって、状況が違うので大切な区画を三か所ほど見てもらいたかった。

今、ジェロームににとって、自分の夢を実現している最中で、自分ができうる限りを尽くし、全身全霊をかけて仕事をしている。

ジェロームは、最近の仕事内容を庄本さん達に見てもらいたかった。

この地区では、最も早くから自然栽培をやっていたギー・ブランシャールの時代から何十年も自然なテロワールは、イキイキしたエネルギーに溢れていてワイン作りに大切な元気な微生物が育っている。

こんな畑とすべてを賭けて打ち込んでいるジェローム・ギシャールのワイン達は貴重な存在。