7月のある午後、とても穏やかな様子のエリックは微笑みながら畑を案内してくれた。
タヴェルに位置するこの伝説的なドメーヌの先は明るい。
先頭に立ってドメーヌを経営するティボーは大きなプロジェクトを進めている。
『この地域には木が足りない。ワイン畑ばかりになってしまい、風景が同じでバラエティーに欠ける。』とふと悲しそうに言った。

しかし、彼らは多様な生物が共存できる環境に戻していくため、ワイン生産者としてできることを実践していくことを決意した。
それは生態の多様性を活性化し、畑から離れてしまっていた鳥や虫が戻ってくるように畑には果物の木を植える。

また、二酸化炭素の排出を削減するため、トラクターの使用をやめ、車の行き来を要する離れた区画は手放す予定である。
環境保全のために何かを犠牲にしなければならないこともあるが、全ての人が環境保全に取り組まなければならない、とピフェリン家は考えている。
もちろん生産者として美味しいワインを造ることが職であるが、彼らの目標はそれをはるかに超える偉大なものである。
自然を尊重し、生態の多様性を復活させることを決意して、新たな進化への挑戦が始まっていた。
三代目の誕生もあり、ラングロール醸造は明るいニュースで溢れていた。

Par Enzo