2013年ヌーヴォー情報第二弾! -LAPIERRE家のヴァンダンジュ-

自然派の元祖・ボジョレーのラピエール家が2013年の収穫を開始!

今年も世界中から若者が集まって来ました。9月26日に開始した収穫。ほぼ30度近い真夏日の快晴の天気だった。 約半分の収穫人は毎年参加のベテラン・メンバー。色々心配された13年もやっと収穫にたどり着きました。

このエネルギーの塊が自然派ワインの中心だ!

このエネルギーがラピエール家のワインの中に伝わっていく。 毎年来ているベテラン組が新人を教育しながら収穫が進んでいく。今年も収穫は葡萄の品質を見極める選別眼が必要だ。体力的に厳しい労働を励ましあいながらパワフルに進めていく。 3女のアンヌを中心にベテラン・メンバーも気勢を上げた。 これから2週間から3週間の厳しい肉体労働をする合宿メンバー仲間だ。 お互いに励まし合いながら、元気に、楽しく、確実にやってほしい。

収穫の総指揮官・マリー・ラピエール

今年もラピエール家のブドウ園での収穫指揮はお母さんのマリーが担当。それを3女のアンヌが補助している。約60人の収穫人を4グループに分けて収穫をしている。葡萄園の炎天下では30度を超す暑さ、昼食後の収穫はこの二人が気合を入れる。

2013年 初ジュースを聞くマチュ・ラピエール


醗酵槽に葡萄丸ごとを入れて下からジュースを抜き取って試飲する醸造担当のマチュ。マルセル・ラピエール亡きあとを見事に引き継ぎマルセルより美味しいワインを造る、と世界中から認められているマチュ・ラピエールだ。

 

2013年は収穫が例年より2~3週間も遅れている。4.5,6月の寒くて雨が多く、曇りがちな長い春が原因だ。開花時期が既に3週間も遅れた。しかも同じ畑でも一挙に開花することなく3週間に渡って徐々に開花していった。 同じ葡萄木の房でも開花が長期間に渡って行われたので葡萄の熟度が平均していない。収穫の決断が難しい年だ。マチュ・ラピエールは同じブドウ園を2回に渡って収穫することを決意した。葡萄の状態を見て臨機応変に対応が必要だ。 一回目の収穫では、a-良く熟している葡萄、b-あと2週間も耐えられそうにない葡萄を収穫して、2週間後の良く熟した頃にもう一度2回目の収穫にやってくる。b-の葡萄はVDPワインに回す。収穫人の選別眼が重要になる。

 

13年もラピエール家では厳格なトリアージ(選別作業)を実施

ラピエール家のトリアージ作業は間違いなくNO1の厳しさ。トリアージとは腐った葡萄や傷んだ葡萄を取り除くこと。また葡萄の悪い部分を取り除く作業のこと。葡萄全体がダメな場合は切り落す。一部の場合はその悪い部分を取り除く作業。下部を切り落とす。 ラピエール家はトリアージ作業のチャンピオンだ。繊細で上品で透明感があるワインは偶然にはできない。葡萄の一粒一粒を丹念に検品しながら悪い部分を切り落とす。こんな時間がかかる作業を徹底しているのがラピエール家だ。途轍もない手間暇のかかる作業だ。

今年も膨大な時間をトリアージに割いている


50人の収穫人全員が葡萄の一粒一粒を検品、切り落とし作業(トリアージ)を行っている。ここまで徹底しているのは、フランス中で見たことがない。 ロマネ・コンティより厳格なトリアージだ。 マチュ・ラピエールはお父さんのマルセルの教え『健全な葡萄のみを収穫』を更に徹底しただけ。
 

13年は比較的このような健全な葡萄が多い。昨年は腐った葡萄が多かった。収穫人にとっても、こんな美しい葡萄にハサミを入れる時の快感は格別だ。今年の特徴は葡萄木の生育が2,3週間遅くなり収穫も遅れた。しかし、最終的に品質上は良年といえる。

今年もミルランダージが多い

13年の特徴はミルランダージ化した葡萄が多いこと。ミルランダージとは開花時の天候不良の為、1房の中でも開花が同時に行われなく、結果として大きい粒と小さな粒が混じった葡萄房が形成されること。果皮の面積に比較して果汁が少ないので濃縮したワインができる。結果的に品質的には良年となる。

 

収穫時の3人の大切な役割 1-運び屋 2-トリアージ専門屋 3-ムードメーカー屋


収穫時には、葡萄を採る人とポルトゥール(運び屋)がいる。ポルトゥールとは収穫人が採った葡萄を籠に入れる。その籠を葡萄園の端に準備してある箱まで運ぶ人のこと。運びながら葡萄の品質をチェックする。悪い葡萄が籠に入っている場合は収穫人に選別作業のやり方・基準を教え込む。大切な仕事だ。 だからベテランが担当する。かなりの重労働である。1日に運ぶ重量と歩く距離は半端ではない。屈強な体力も必要だ。
 

ポルトゥールが運んできた葡萄を更に再度、葡萄の品質を検品して悪い葡萄粒などを取り除く作業(トリヤージ)をする人がいる。この部分はベテランの人がやる大切な仕事。彼女はオランダ人でもう13年前から毎年収穫にやってくるベテランだ。

項目ラピエール家 3女のアンヌ

一日の終盤になると、体力的に疲れて精神的にも参ってくる。誰かが歌を歌ったり。ジョーダンを飛ばして、気分を抑揚させる必要がある。ムードメーカーが必要だ。ボーとしてくると注意力が緩慢になって悪い葡萄を収穫してしまう。夕方は要注意だ。たったチョットしたことで、一年の畑仕事が台無しになってしまうからだ。

 

2013年の状態をあらゆる角度からチェックするマチュ・ラピエール

マルセル・ラピエールが残した大切な宝

マチュ・ラピエールにはお父さんのマルセルが30年間、書き残した収穫・醸造記録がある。突然に美味しい自然派ワインはできない。父から息子へ、代々の栽培・醸造記録が蔵の歴史である。その歴史があって今がある。 マチュは記録を調べていると。今年は2006年と2007年の中間的な葡萄の状態・品質に似ている。流石マルセルだ。かなり詳しく記録していました。マチュにとって、その年にマルセルがどんな醸造をやったか、大変なヒントになる。マチュは13年の醸造のシミュレーションを展開できる。
2013年は幾つかの難関を越えながらも結果としてかなり高品質になる可能性を秘めている。解禁日が決まっているヌーヴォーは早く収穫しなければならないので軽めのグイグイタイプ。通常ワインは収穫を遅らせて葡萄を十分に熟成させて収穫ができる。 その意味では今後、収穫中の天候状態が13年の品質に大きく左右することになる。

 

収穫も4日目、着々と葡萄が醸造所に運び込まれてくる。収穫を始めてから28度の夏日が続いている。葡萄の熟度が日に日に上がっている。このまま晴天が続けばかなり高い品質のワインとなる。この天候の中、ポリフェノールが順調に熟成している。

レセプション係の大切な役割だ

醸造所に運び込まれた葡萄を細かくチェックして糖度などを記録しておくレセプションの専門家をラピエール家では設置している。
 


次々と運び込まれる葡萄をチェックして、収穫された葡萄園区画と収穫責任者の名前を記録しておく。 どんな事が起きてもトレサビリテを 追及できるようになっている。

 

収穫した葡萄を一晩冷蔵庫で冷却


温度が涼しい午前中に収穫した葡萄は、ダイレクトに醗酵槽に入れても問題ない。気温が上がった午後に収穫した葡萄は雑菌が繁殖しやすいので。畑に設置してある冷蔵庫に一晩、入れて冷やす。酸化防止剤を混入しない自然派の造りには重要なことだ。この作業も今となってしまえば、単純なことだけど、一昔前は、まだ醸造中に雑菌が繁殖したり、お酢になってしまったタンクが多かった。特に酸化防止剤(SO2)などをあまり使用しない醸造の場合には多かった。この方法は自然派醸造を研究していたジュル・ショーヴェ博士が考案・実証してマルセル・ラピエールに伝えた作業だった。今は世界に伝わっている。
 

ラピエール家の醸造蔵

 
 

ラピエール家13年、トロンコニック型と呼ばれている木製の醗酵槽が並ぶ醸造所。整然としてスカッとした蔵内、天井にはドゥニ・ペノ氏(マーク・ペノのお兄さん)が描いた太陽と微生物を表現した絵が描かれている。床はピカピカに清掃されている。醸造所に入る時は、靴の底、ブーツを水洗いしてはいる。自然派ワイン醸造の大敵は雑菌だ。 醗酵の音を聞くマチュ・ラピエール。自生酵母ピチピチ。まるで遠くで聞く波の音のようだ。毎年、醗酵は始まるまではやや心配になる。13年は比較的早く醗酵が始まった。13年の自然酵母は元気だ。

 

マチュ・ラピエールは毎年、自生酵母の形を見るために故マルセルの知人の微生物研究家、ルネ・ボワッソンさんに来てもらっている。毎年、形が違うようです。マン丸だったり楕円刑だったりするようです。私の見た酵母菌はマン丸でした。今年はどんな風味をワインに映しだしてくれるのだろう。 毎年20種類ほどの自生酵母が存在して、その種類は毎年、葡萄園の湿気だとか温度などの変化によって違う自生酵母が育つ。その酵母達がその年の風味と土壌をワインの中に映しだしてくれる。自然派ワイン造りにとっては超大切な仲間、同志達と云ってよい。マチュは毎年顕微鏡を使って自分の肉眼で観察し記録している。ここまでやる醸造家は少ない。
 

収穫2週間後のラピエール醸造蔵、自生酵母がフル活動中!

 
 

2週間後の10月12日に再度訪問。収穫も後半に入っている。厳しい選別・収穫が思ったより時間がかかっており予定より収穫のスピートが遅れている。土日も休まず連日の収穫が続いている。収穫と同時に醗酵も順調に進んでいる。 今年の自生酵母は結構最初から順調に働いてくれている。最初の低温時に働く酵母群がワインの香りに大きな影響を与えてくる。蔵中にいい香りが漂っている。 収穫初期から中期まで晴天が続き、実に順調に葡萄が熟成してきている。納得の品質が得られている。初期のマチュの表情に比べると安堵している気がうかがえる。 しかし、ここ2日前より天候が崩れだして、気温が一挙に下がってきた。2日前まで25度前後あった気温が昨日の朝は何と3度まで下がり、日中でも8度と低い。もう、収穫を遅らせる理由は全くない。収穫人を更に増やして一挙に終了させる戦略に変えた。 ジョージア(東欧)から要請あって、14か所の醸造所で自然派ワイン指導をしてきた妹のカミュが昨日戻ってきた。マチュにとっても心強い。

 

デキュヴェゾンの時期の到来


デキュヴェゾン(かもしが終わって、タンクからマールを取り出し、プレスにかける)が行われる時期になった。セミ・マセラッション・カルボニックの醗酵槽の蓋を開けて葡萄房を取り出してみた。果実粒の内側で酵素が働き果皮に含まれていた成分、果実味、旨味、色など諸々の成分が果汁の方に浸透されている。果皮の色が透明に近くなっている。食べてみると、甘くてタンニンも感じられてワインに変身しつつある果物という感じだ。もうこれ以上、カモシを続ける意味はない。デキュヴェゾンしてプレスにかける時期の到来だ。

 

ラピエール家のデキュヴェゾン作業

X 今朝はマールを醗酵槽から出して圧搾する作業をやらなければならない。まず、タンクからフリーラン・ジュース(半ワイン)を抜き取る作業から始まる。プレス機は勿論 古式の垂直圧搾機だ。マセラッション・カルボ醸造の葡萄丸ごとを圧搾するには、この垂直式が重力を使って無理なく自然に圧力をかけられるからだ。
 



 

醗酵槽に満杯に入っている 葡萄丸ごとマールを手作業でかき出す作業だ。体力と腕力が必要な重労働である。醗酵槽の上は醗酵温度もあり、アルコールが蒸発していてホワット温かく、やや酸素も薄めだ。作業を始めるとすぐに汗がにじみ出てくる。 自生酵母達に包まれながら醗酵の息を感じられて何故か心地よい。 マールの量が減ってきて体が醗酵槽に段々沈んでくると、ますます酸素が薄くなってくるのを感じる。危険な場合もあるので白いホースで酸素を送り込む。息がしやすくなる。

 

マチュ・ラピエール

『私はこの作業が好きなんです。時間にして約1時間足らずの作業ですが、色んなことを感じることができる。収穫時期は同時に色んなことを考えなければならなく、頭の中が飽和状態になってくる。そんな時、この作業をやると何故か?頭がニュートラルになるんです。この作業は最後に近づくとシャベルをより高く上げなければならなくなって、よりハードな作業になる。でも一心不乱にやって槽がカラになった時、自分の頭もニュートラルになるんです。ホントに気持ちが良いですよ。それに酵母達の“息”にも触れられる。』

 

2013年収穫も最終段階-結果的にかなり高品質な素材を収穫できた年

   
 
休日もとらずほぼ3週間の収穫作業で、収穫人の疲れも溜まってきた。天候も傾きかけて、気温もグンと下がり始めた。 近所の醸造元も収穫を終えたところが多い。終えたところから収穫人を集めて人数を増やしてあと2日で終わりにしたいマチュとマリー。 9月26日に始まった2013年の収穫。後半にカミュも戻ってきて家族全員がそろった。13年は結果的に良年といってよいミレジムだ。素材としての葡萄の品質がかなり高い。 例年より長い時間をかけて葡萄が熟した分、色んな要素が加わって厚みのある果実味と同時に酸も共存する素晴らしいバランスに仕上がるだろう。
 

マリー、 アンヌ、マチュ、カミュ 全員集合