シャペル・ド・ゲインシャ村にある特別な畑。自然派ワイン醸造を科学の世界から立証した研究者ジュル・ショーヴェ博士が持っていた畑。ショヴェ家から自然派の若手7名に分配した特別な畑だ。13年は幾多の困難を乗り越えた。

CHRISTOPH PACALETクリストフ・パカレ

『2013年は本当に最後まで困難が続きました。でもこんなに素晴らしい葡萄を収穫することができました。すべてに感謝です。日本の皆さんの為に自然な美味しいヌーヴォーを、これで造ります。』

 
シャペル・ド・ゲインシャ村のクリストフが持っている畑区画は雹が降った区画のはずれに位置していたので被害が軽めで済んだ。葉っぱ達は傷ついていても必死に葡萄を育ててくれた。葡萄達も最後の力を振り絞って熟成に堪えていました。

収穫直前の8月にシャペル・ド・ゲインシャ村にある元ジュル・ショーヴェ博士の畑を雹が襲った。畑の場所によっては全滅状態だ。近所の家の屋根が崩壊する程凄まじいものだった。私が訪問した8月上旬には完ぺきな状態だった葉っぱに穴があいている。
クリストフは8月のバカンスを返上して畑の世話をした。普通、8月はもう畑を耕すことはしないのに、今年は草に栄養を取られないようにできうる限りを尽くした。クリストフが現場にいることで葡萄達も元気になるようだった。お陰でこんな葡萄が収穫できた。
 

CHRISTOPH PACALETクリストフ・パカレにとって13年は忍耐の年だった。本当にドキドキの連続だった。最後の収穫も特別に慎重に行った。傷んだ葡萄の個所を綺麗に取り除く作業をきっちりやらなければならなかったからだ。 傷んだ個所一粒一粒を取り除く作業をやっているクリストフ。手間暇かかるけど、自然派の造りは、酸化防止剤(SO2)などを添加しないので絶対にやらなければならない作業だ。でも、クリストフにとっては大満足で歓喜の収穫だった。

 
収穫人にも悪い部分を取り除く作業を徹底する為に、一人一人に張り付いて指導をしていた。ここまでやらないと自然で透明感のあるグイグイ飲める 美味しい自然派ワインはできないのだ。こんな小さい事の積み重ねが自然派ワインの真髄だ。 雹でやられて粒が幸いにも乾燥して腐りが発生していない。でもこの粒を一つずつ取り除く作業をやらなければならない。大変に時間と手間のかかる作業だ。こ れを見ただけで頭の下がる思いがする。一般の醸造家なら醗酵槽に酸化防止剤を入れて済ませるのに。

 
 8月の雹が降った後、こんなに収穫できるなんて、想像だにしていなかったクリストフ。しかも、尊敬する元ジュル・ショーヴェ博士の畑を任されて初めての収穫の年だった。伯父にあたる故マルセル・ラピエールが天より応援してくれていたのかもしれない。
 

今年は強力な助っ人が収穫に参加してくれた。あのマルク・ペノさんのお兄さんがクリストフ・パカレの収穫に 駆けつけてくれたのだ。今はリヨンの街で画家として活躍している芸術家。ペノさんを自然派ワインの世界に引っ張りこんだ人だ。
クリストフにとって13年ほど嬉しい収穫はない。この笑顔は偶然にはできない。今年のクリストフ・ヌーヴォーは期待できる。11.50度ぐらいのスイスイ入ってしまう軽快なヌーヴォーになるだろう。一本はアッと云う間に飲みほしてしまうスタイルになるでしょう。

 


 

シャペル・ド・ゲインシャ村にある元ジュル・ショーヴェ博士の畑の収穫を無事終えた面々。時間はかかったけど、8月のあの悪魔の雹を乗り越えた収穫に満足の面々。ブラヴォー! 慎重に速やかに醸造所まで運ぶクリストフ。色んなことが頭に浮かぶ。4.5.6月の寒くて曇り空の悪天候からくる3週間の葡萄成長の遅れ、開花時の悪天候による結実不良、そして8月の雹、ここまで収穫できるなんて感動の瞬間だ。
 
  醸造所まで無事到着したクリストフ。『ヤッタ!って感じかな。待ってくれている日本の皆さんの為に、とびっきり美味しいヌーヴォーを造ります。そして、このヌーヴォーの飛行機と一緒に私も日本へ行きます!皆さんと一緒にやりましょう!』 今年のクリストフ・ヌーヴォーは見逃せない!!