東京・世田谷区弦巻の酒販店“ナカモト”が愛好家と共にフランス醸造元巡り


東京・世田谷区弦巻の酒販店“ナカモト”がワイン愛好家と共にフランス醸造元巡り。ナカモトでは店内でワイン・スクールをやっている。そのお客さんと2年に一回フランスツアーを行っている。飲み手と造り手が顔を合わせるという夢のツアーだ。

ESPOAナカモト酒販店では,自然派ワインを積極的に販売している。食品などでも有機栽培や極力自然なやり方で、美味しくて、健康にもよく、地球環境にも貢献している商品を提供している。単にお金儲けだけではない商売をしている。

そんなナカモト店には、ナカモト・ポリシーに共感するカルチャー・クリエーティヴ層のお客さんが多い。
中本さん
『いつもお客さんが飲んでいるワインを造っている蔵元を見てもらいたかった。自分が感動して、購入した理由を知ってもらいたかった。』
12人ものお客さんがやって来た。
 『規模が小さくても、畑作業が何倍も大変な自然栽培をして地球を汚すことなく葡萄を育てているMYLENE BRUミレーヌ・ブリュの葡萄園をお客さんに見てもらいたかった。人生のすべてをかけて、本当に楽しそうにワイン造りに没頭しているミレーヌさんを見てもらいたかった。』中本さん

 一見は百件に如かず。葡萄園を歩いて、乾燥した空気、風、野生香草の香り、馬で耕したフカフカの土壌、土壌にはミミズも微生物イキイキしている。 ワインの本当に大切な部分は、すべて“畑”にあることが理解できる。

日本でどれだけの酒販店がこんな夢のようなツアーを実行できるだろうか?中本さんの日頃からの誠実な商売のやり方がお客さんからの信頼を得ているのだろう。造り手も売り手も飲み手も同じような佳き人達が集まった。
 

葡萄園にテーブルを囲み造り手、売り手、飲み手が楽しくひと時を過ごす

夢の一期一会

 

お客さんの中には、ジャズ・シンガー、パイロット、元スチュアーデス、デザイナー、コンピューター技師など普段は全く別の分野で活躍するカルチャー・クリエーティヴな人達がワインを中心に集まってフランスの葡萄園で、楽しく素晴らしいひと時を過ごした。

ミレーヌの親友の料理研究家のイザベルさんがシンプルで美味しい手料理を作ってくれた。サンソー品種の葡萄の枝を焼いた炭でソーセージをグリエした。特別な燻製化があって最高に美味しかった。


ミレーヌさん
の手料理は南フランス典型的な夏料理のラタトゥイユをソーセージに合わせた。シンプルな料理だけど愛情のこもった味わいに一同感激。どんな星付きレストランでも、葡萄園でこんな風に出される料理にはかなわないだろう。絶対に出せない旨味がここにはある。

 デザートはイザベルが手造りのミラベル・タルト。ワインはミレーヌさんの初リリースの2008年のBORD GUEボーグを開けてくれた。857本しか造れなかった貴重な一本だ。


造り手のミレーヌから直接に話を聞きながら飲むワインは格別だ。葡萄園の風を感じながら、飲んでいるワインが生まれた現地で、葡萄が育った環境の中でのワインは特別に葡萄の気持ちが伝わってくるような感じがする。 忘れられない一期一会だった。

人生一度だけ!夢、やりたいことを実現中の進行形!

ワイン造りが楽しくて!今が最高!


ミレーヌさんコルビエールの葡萄栽培家の家に生まれて育った。小さい頃からお祖父さんと葡萄園に一緒に行き、いつも葡萄園で遊んでいた。その頃からワインの造り手になりたかった。しかし、両親から反対されて夢が実現できなかった。 ワインの勉強は確りやって、パリでワインの先生をしたり、ソぺクサで働きながらチャンスを狙っていた。離婚を契機に故郷のラングドック地方に戻ってきた。

葡萄園を探しに車で走っていた時、この畑に巡り合った。ラングドック地方の大都市モンペリエからたった20キロ程の所に、信じられないほど野性的な風景と環境を備えた畑だった。小さい頃、お祖父さんに連れていってもらった故郷のコルビエールの景色に似ていた。しかも、小さな畑区画を手作りで丹念に畑仕事をしているのが分かる。手間暇のかかるゴブレット株仕立てである。ちょっと歩いたところにシャスラ品種の区画があった。ミレーヌ『その畑に立った時、“ここだ!”』と体中に電流のようなものを感じた。景色がコルビエールそのものだった。

その足で村の役場に行って台帳を調べて所有者を確認した。 オーナーのクリスチャンさんは14歳の頃からこの山の木を抜いてコツコツ開拓して、葡萄木を植えて育ててきた。丁度その時 クリスチャンは大病にかかって入院していた。ミレーヌさんは病院まで行って、この畑を購入したい旨を伝えた。体力が弱っていたクリスチャンは承諾した。その後、元気になって今でも畑仕事を手伝ってくれている。色々アドバイスもくれる。

 

小さい頃から日本大好き人間だったミレーヌさんは、

1年前に日本にやって来た。

小さい頃からの2つの夢、一つはワイン造り、二つ目は日本へ行くこと、もっと日本を知ることだった。
 ミレーヌ『日本人は繊細で本当に佳いのもを理解する能力をもっている国民である。』

『芸術の世界でも、職人の世界でも日本が最初に認めて、その後に世界中が認めるようになるケース多い』

福岡市のフレンチレストラン、コキーンヌにて


『日本の酒販店や愛好家の人達に自然派ワインの造りを分かってもらいたかった。美味しいワインを造る為に敢えて困難なリスクの高い栽培や造りをやっていることを説明したかった。私達のやっていることは、単に美味 しいだけではなく、飲む人の健康にも、地球 のことも考えて継続可能な世界造りをやっている事  も知ってもらいたかった。』
ミレーヌ


大阪の自然派ワイン・ブラッセリーブーにて


⇚ 東京神田の居酒屋・天狗にて

  日本食と自分のワインの合性も色々発見できた。 ワイン造りのヒントにもなった。 自分が想像していた以上に日本という国が素晴らしい国だということも理解できた。

⇓ 東京・有楽町のブラッスリ・オザミにて

特に日本人の国民性には驚いたとのこと、まず人間性が根本的に優しいこと。違う文化のものでも、いいものを認めて理解しようとする心があることに本当に驚いたとのこと。 いいものが分かる繊細な心があることを再確認した。
 

2014年LADY CHASSELAS レディー・シャスラ用のシャスラ品種の花が満開

2014年、葡萄の花の開花が始まった。昨年はフランス中の葡萄園の開花時期の天候が悪く収穫量が激小だった。
地方によっては2年連続でマイナス50%という厳しい収穫量だった。
今年は皆が普通の収穫を願っている。
こんなに完璧な満開の花を見たことがない。
2週間前までは水不足でやや葡萄木も疲れていた。
 一週間前に降った恵みの雨のお蔭で完璧な開花なった。
あと110日で葡萄が熟して収穫となる。 2014年は期待できそうだ。


0.7ヘクタールの約70歳のシャスラ品種。 セレクション・マサルの苗木。石灰質岩盤のミネラルをタップリ含んだ潮っぽいミネラル感が心地よい。昆布ダシのような旨味が乗っている。 年間1200本程度しかない貴重なシャスラ白ワイン 早朝の涼しい内に手摘みで収穫、小さな垂直式の圧搾機でゆっくり搾る。 小型タンクで自生酵母のみで発酵。熟成もシュール・リでタンクの中で6か月間熟成。 ミネラルからくる潮っぽさとミネラル感でバランスをとっている。 昆布ダシ系の旨味があるので、和食にはピッタリ


RITA  リタ

カリニャン品種100% 、樹齢50歳、粘土石灰質土壌,粘土質でもサラサラして水捌けがよい。土の部分が浅く20センチ下は元海底だった石灰岩盤。 ゴブレ方式の剪定。畑は馬によって耕作作業をしているビオ栽培。 収穫は手摘み、収穫人による厳しい選別を実施。収穫後葡萄を冷やし、翌日に発酵槽にれる。グラップ・アンティエール(除梗なし)の葡萄房丸ごと発酵槽へ。セミ・マセラッション・カルボ醸造。勿論、自生酵母のみによる醸造。

ミレーヌ にとって、カリニャン品種は特別な存在である。何故なら故郷のコルビエールの主力品種なのである。ラングドックの気候風土に最も適した品種である。セミ・マセラッション・カルボ醸造独特の果実味、カリニャン品種独特の涼しさ、石灰岩盤のミネラルからくる潮っぽい旨味がある。

リタという名前はミレーヌが好きな2人の女性のタイプからとった。過酷な人生や絶望的な状況にある人達を助ける聖女RITAの名前、もう一人はハリウッド女優リタ・ヘイワース、ギルダという映画の中で妖艶に踊りながら赤い手袋をとるシーンがあった。その手袋をデザインしたラベル。 安ワインの品種と誤解されているカリニャンの厳しい状況を覆すワイン。


FAR-OUEST ファール・ウエスト

ミレーヌは色んな困難を乗り越えて葡萄園を手に入れてワインを造り出している。 今でも、毎日、色んな問題が出てくる。農機具が壊れて不慣れな修理もしたり、思いがけない天候で葡萄が大量にダメになったり、今でも自分の未知らないトラブルにぶち当たる日々が続いている。常に限界を打ち破って前進する開拓精神が必要だ。そんな不屈の気持ちをアメリカの西部開拓精神になぞらえて付けたワイン名。不屈の精神が必要な時は、このワインを飲んで勇気づけましょう。

ミレーヌのもっている全区画の葡萄を少しづつアッサンブラージしたワイン。グルナッシュ、カリニャン、シラー、サンソーなどの品種が混ざったワイン。
収穫量は17/Hと少ない。果実味豊かで、グイグイ入ってしまうワイン 。


FRANQUETTE フランケット

久々に再会の小林さん。 このワインは日本のみ発売の特別キューヴェ。ミレーヌが日本に行った時、試飲会に参加していたワイン愛好家の小林真生さんが書いていた絵を見て、この人のデザインしたラベルで特別キューヴェを造ろう!と決断。

ミレーヌが新たな醸造方法に挑戦。葡萄を除梗してアルコール発酵をした。その除梗方法は、葡萄粒が壊われたり潰れない為に、除梗機を使わずに手作業で葡萄果実の粒をとるという手間暇かかる作業をやった。 完璧な葡萄粒のみを発酵槽に入れてマセラッション・カルボニックのように酵素が働き葡萄皮からタンニンや色、旨味成分が果肉の方に優しく溶け込んでいく醸造方法をとった。単なるマセラッション・カルボニック醸造より深みがワインに演出される。品種はグルナッシュ、カリニャン、シラー。果実味が豊でワインとしての深みもあり。


ミレーヌは不思議な人だ。行った場所、逢った人を次々と味方につけてしまう特殊能力を持っている。人と人を結びつける力がある。ワインも同じ。 ミレーヌのワインを中心に遠い日本から集まった。 ミレーヌのような自然派がより広がってほしい。楽しい人達が集まって世がもっと明るくなり、地球も優しくなりそうだ。