PUR NOUVEAU 天才肌のシリルと重戦車フロリアンの合体!ピュアー・ヌーヴォー


 


シリルの泉の如く溢れ出るアイデア、それを着実に実践・実行に組み立てていくフロリアン。最強の二人が合体した。
シリルが目指すのは、自然派ワインの祖、ジュル・ショーヴェ博士が実践してきたことを再現すること。
ジュル・ショーヴェ氏の実家はボジョレーのシャペル・ド・ゲーシャ村でワイン商を営んでいた。科学者としての研究の仕事と実家のワイン商としてのワイン造りも実践していた。
フランスの英雄大統領シャルル・ド・ゴールが自宅で飲むワインはジュル・ショーヴェ氏の造ったワインだった。
シリルのお父さんはジュル・ショーヴェ氏の隣村でレストランを営んでいた。マルセル・ラピエールを中心に自然派醸造家が集まる溜まり屋的な存在の店だった。
シリルは小さい頃から自然派の人達に触れていた。ある時、大人達の会話の中でジュル・ショーヴェ先生の話を聞いた。化学剤を使わず昔ながらの本物ワインを安全に造る方法を研究・開発して実践している話だった。


 

マルセル・ラピエールやジャンフォワヤールなどの醸造家たち皆がジュル・ショーヴェを師と仰いで尊敬していた。
シリルはジュル・ショーヴェのようになりたかった。 つまり、栽培家から葡萄を買って独自の方法で醸造していたワイン商としてのジュル・ショーヴェ氏の仕事に興味をもっていた。
PURの会社を設立する時、住所をジュル・ショーヴェ氏がいたシャペル・ド・ゲーシャ村にした程である。
限りなくピュアーにワインを造りたかった。だから、社名をPURピュアーとした。

 

屈強なポーランド人ファミリーによるPUR NOUVEAU収穫

 
 

二つのスタイルのヌーヴォー

PURピュールでは今年14年は白ラベルと黒ラベルの二つのボジョレー・ヌーヴォーを醸すことにした。 シリルがここ数年蓄積してきた経験とガメイ品種の二つの側面をこのヌーヴォーで表現したかった。 普通の醸造家はヌーヴォーに関しては一種類しか造らない。ここがシリルの普通ではないところである。
 

1) 軽快で繊細な果実味・エレガントなヌーヴォー

一つ目はザ・ヌーヴォーのスタイル。つまり軽快で水のようにグイグイ飲めてしまうヌーヴォー。 爽やかで軽快と云ってもシッカリ果実味が乗ったスタイルにすること。単に薄いワインではないことが重要だ。 その為に、普通より収穫を遅らせて、より熟した葡萄を収穫したのである。単なる薄目の軽いワインにしたくなかったのである。 つまり、葡萄のポリフェノールをより熟させて収穫したのである。エレガントな薄めのタッチでも果実味をシッカリ表現したかったのである。

 

薄さと濃さの臨界点を知るシリルの芸術的センス

普通、葡萄が熟せば濃いワインになってしまう。 しかし、シリルの芸術的醸造センスの手法では濃くならない。 心地よい繊細な果実味だけをワインに表現できる。 収穫した葡萄を除梗なしで丸ごと発酵槽に入れて、一切  触らない。セミ・マセラッション・カルボ(MC)発酵でも普通と違うところは、ピジャージュを一切しないこと。
 




ピジャージュによる必要以上のタンニンや色素が抽出されることを避ける為だ。 大切なことはマセラッション(カモシ)の期間である。今までのシリルの経験が生きる。醸造家としての腕の見せ所。 シリルはこの時期は発酵槽に張りついて、テイスティングを一日に何回も繰り返す。このカモシをやめるタイミングが数時間遅れるだけでも、一挙にワインが濃縮してしまうポイントがある。そのピンポイントを見極めるテイスティング能力とセンスが天才的と云える。 ピジャージュを一切しないので、結果的にカモシ期間は普通よりもやや長くなる。今年は8日間だった。それでも、色は淡く、繊細な果実味が乗ったエレガントなスタイルになる。 決して濃厚なスタイルにはならない。その臨界点を知るシリルのセンスが光る。抜群に美味しいヌーヴォーだ。

2) 濃縮感があってミネラル感もある筋肉質なヌーヴォー

二つ目は黒ラベルの男性的なスタイル。ボジョレ土壌の花崗岩のミネラル感がキッチリのっているスタイル。花崗岩独特のスパイシーさがある。男性的と云っても決して粗々さがないフィネス・上品さを残したワインがシリルとフロリアンの狙いだ。
ここで特筆すべきは、除梗したことである。 セミ・マセラッション・カルボ醸造からくる果実味が強調し過ぎることを避ける為だ。 花崗岩質土壌で育ったガメイ品種の深いところで眠っているミネラル感をより表現したかった。 除梗してもフラージ(潰す作業)をしてない。一粒一粒の葡萄の実がそのまま入っている。まるでキャビアのようだった。空気とは触れない密閉状態のまま発酵、当初は,一粒一粒の実の内部でMC発酵と同じことが行われている。 つまり、皮の色素やタンニンなどが果肉の方に移動している。 これで控えめで過ぎることがない果実味を得られることになる。 そして、アロザージを3回ほど実施した。タンクの下部から抜き取ったジュースをタンクの上から、まるで花に水を撒くように優しく、どこまでも優しく撒くことである。 こうすることによって、ガメイ品種のタンニンを優しく抽出することができる。また酸素を注入することで酵母菌も元気に動き出す。 このアロザージはガメイ品種の奥に眠っている良質なタンニンを 十分に抽出できる。かつ粗々しくならないのが特徴だ。 ここでもマセラッション(カモシ)の時期が実に大切だ。 ある臨界点を過ぎると一挙に粗々しいタンニンが出てきてしまう。ここではフロリアンのテイスティング能力がものを云う。 今年は白ラベルより短い7日間でカモシを終えた。
 

二つのタイプの2014PUR NOUVEAUを比較しながら楽しんでほしい

水のようにグイグイ飲める軽快・繊細なタイプ。ガメイの奥深さ・ミネラル感がタップリな男性的タイプ。どちらもこの二人が一年かけて練りに練って狙った究極のヌーヴォーだ。 シリルとフロリアンのパッションが詰まった作品。旨いよ! 楽しめるよ!

 

収穫時の写真