2016年9月、Domaine des Soulié*ドメーヌ・デ・スリエ醸造に行った。収穫前のピノ・ノワールの畑があった。
まだ、完熟してない状態だった。
南仏ではピノを完熟させない方が、酸が残る。
完熟させるとアルコール度数が高くなってピノらしさが消えてしまう。

少量のピノの試作をやらせて貰ってもいいか?Rémy*レミーに聞くと
『小さいタンクが余っているから、どうぞ。』と承諾をえる。

岩ちゃんがピノを仕込んだ。

今回、その熟成中のピノを利く。

発酵中にさわったのは、一回の柔らかなルモンタージのみ。
アンフュージョンのように、優しく抽出した。
熟成はステンレスタンクでつい最近まで。
その後、一部を樽に詰めて熟成中。
まずは、ステンレス・タンク熟成のもから試飲。

まだ、マロラクティック発酵が完全には終わっていない。
リンゴ酸の酸味を感じる。
それを引いても、南仏のピノ・ノワールとは思えないフレッシュさが残るだろう。
ここAssignanアシニャンのテロワールは、石灰質度合が大変強く、ワインにかなりのミネラル感を与える。
強いミネラル感に、その上に酸が加わると、さらに締まった印象になる。
まだ、熟成途上の今のテースティングでは、その締まった感じが表面に出ている。

岩ちゃんが一週間前に試飲した時は、今より果実味が全面に出ていたとのこと。
ここのところ、天候の変わり目が激しかったので、またワインが締まったのだろう。

今度は、蔵の奥にある樽倉庫に移動して、樽からピノ・ノワールを試飲。
やはり同じワインでも、樽熟成した方が、熟成が進んでホワッとした優しさがある。
樽の木目から超僅かな酸素が入って、熟成がすすむ。

こちらも、マロラクティックがまだ終わっていない為に酸味が強い。
同じように、マロが終わっていないことを考慮しても、このフレッシュさは狙ったとうりで満足している。

これから暖かくなってマロラクティック発酵が終わってくれる事を願うばかりだ。
こればかりは、微生物に話しかけるしか手はない。
(多くの一般的なワイン造りでは、テクニックを使って、強制的にマロを終わらせてしまう。)
泣くまで待とうホトトギス。
どう変わるかが楽しみだ。忍耐、忍耐。
Soulié*スリエ醸造のRemy*レミーさんに感謝、感謝である。
この蔵で自由にやらせてくれて、なおかつ色々な面で援助をしてくれる。
こんな人はなかなかいない。どんなに感謝しても、足りないくらいだ。

さあ、先程、ブジーグ村で買ってきた牡蠣でもあけてアペロでもやるか!
勿論、ワインはここSouliéスリエの白。Cuvée Mathildeキューヴ・マチルドェ

スリエ家の歴史は400年、400年前から一切の化学物質が畑に入ったことがない土壌で育った葡萄。
グルナッシュ・グリ、80%と主体にして、マルサンヌ、ルーサンヌを10%づつ。
魚介類の化石が固まってできた岩盤土壌で育った白葡萄を仕込んだもの、牡蠣と全く同じ磯の風味がある。

南仏の白とは思えないサラッとした口当たり、キレイな酸が南仏とは思えない。
和食、牡蠣、アサリなど魚介類にピッタリのヨード風味があり。
そして、価格が安い。
ビストロ、レストランのハウスワインとして、こんなワインが出されたら嬉しい人が多いと思う!!