自然派ワインは身体に優しいから…と思っていたら、自然派×天然素材とダブルになると、身体だけでなくハートと味覚に素晴らしく優しいことに気付いた今回のフランス産地巡り。行く先々での美味しいめぐり合わせに感謝!

<サンソー×マグロのタルタル>

ところはラングドック、モンペリエの街から北西に30km行った辺りにある小さな村、レ・マテル(Les Matelles)。我らがアネゴのカトリーヌ・ベルナール(だって40歳過ぎてからたった一人でワイン造りを始めて、しかも超旨くて、その上ハイテンション!!)のお気に入りレストラン「ル・ぺ・オゥ・ディアーブル(Le Pet au Diable)」に着いたのは正午もずいぶん回った頃。テーブルに着くなり、まずは持ち込みのカトリーヌのワイン、赤3本を試飲してようやく腹ペコのランチタイム。カトリーヌいわく「あー、お腹空いた。ねぇねぇアントレ、どうする?今日は魚の気分。何か魚、ない?」赤しかないのにぃ?まあ、いっか。

登場したのはバジルにパプリカ、オニオン、シブレット、松の実などを混ぜ合わせたマグロのタルタル。ボリューム満点、で、エイヤッとひと口。間髪いれずに『グレナディンシロップみたいな香りの軽やかで辛口の赤ワインを造りたいの!』という彼女の思い通りの仕上がりのサンソーをグビリ。これがよいのです。大き目のサイコロ状のマグロの食感に心地よいフルーティなサンソーのちょっとピノっぽい、ほんわり柔らかな口当たりがお見事!オリーヴオイルももちろんだけど、マグロのほのかな脂身が軽いながらも存在するタンニンと溶け合って・・・。
さっき見てきたでっかいピク・サン・ルーの岩山みたいに、大きくてゆったり気分になったテーブル一同だったのでした。

*Catherine BERNARD*カトリーヌ・ベルナール Cinsault 2007
*Le Pet au Diable Les Matelles TEL 04 67 84 25 25

<サン・ロマン×揚げ出し豆腐>

ボーヌのスーパー美味しい和食のお店はフィリップ・パカレなど地元の生産者はもちろん、我らがムッシュ・イトーの行きつけの店、「媚竈(BISSOH)」。オーナーはワイン大好きのミキヒコさんとサチコさん。ワインの品揃えは垂涎モノ、オマケに料理も抜群とあってグルメにもお墨付き。さてっと、1日中生産者めぐりで疲れた体にエネルギーを詰め込むぞっ!
ワインはサン・ロマンといえば…のかのティエリー・グイヨを受け継いだラッキーな従兄弟、ルノー・ボワイエのサン・ロマン2006の白。厚みがあるのにしなやかで、ミネラルが心地よい…貝の酒蒸しにぴったりだわん、ムフフ。

そこに登場したのがキノコが載った熱々の揚げ出し豆腐!? この両方がそれぞれサン・ロマンと見事なまでのマッチングゥ。だし×だし=天国の組み合わせという結果になったのでした。つまり、貝を蒸したスープや揚げだしのお汁はおだしの旨みがたっぷり、そこにサン・ロマンのだし以上に濃縮した旨みが重なって、口中いっぱいの幸せになったというわけでした。「いやぁ、このワインの旨さはまさにだしだねぇ、旨いっ」思わず唸るムッシュ・イトー。あの満面の笑みが忘れられない!

*Renaud BOYER*ルノー・ボアイエ  St-Romain Blanc 2006
*媚竈(BISSOH) 1,rue du Faubourg Saint-Jacques 21200 Beaune TEL 03 80 24 99 50

<アルザス白×ホタテのタルタル>

この日はアルザスで今、グングン頭角を現してきている新進醸造家ローラン・バルツを訪問。2004年が初ヴィンテージのニューフェイスながら、マスコミの評価はアルザスの大物並みの得点を付けているから、なかなかの本物。ワインは人を表すというけれど、真面目で素朴なローランのワインもどれも素直でナチュラルな優しい味わい。これが癒されるんですねぇ。グッとくる味わいとでもいいましょうか…。試飲、畑回りとひと通り終わったところで、さあ、ランチ。ローランの蔵のあるCOLMAR郊外の BENNWIHR村から車で走ること15分。TURCKHEIMは古い町並みが残るかわいい村で、ローランお勧めのレストランは「ア・ロム・ソヴァージュ(A L’HOMME SAUVAGE)」。アルザスはグルメで有名な土地だし、どうしようかなぁ…と迷いつつ、ランチメニューのホタテについつい。海は遠いし、地元の特産じゃないけど、好きなんだもん。で、アルファルファにチコリにサラダにミニトマトやシブレットがてんこ盛りのホタテのタルタルは鮮度抜群でフレッシュ。そこにローラン・バルツ ラシーヌ・メチス2007。

ピノ、シルヴァネール、リースリング、ミュスカの混醸でこちらもフレッシュ、果実味いっぱいでフレッシュの二乗。ホタテの甘みと潮味がワインの柔らかな酸味とミネラルにぴたりと寄り添って、爽やかなマリアージュってところでしょうか。これはお寿司なんかにもいいに違いない!ナチュラルさが身に沁みるランチタイムと相成りました。

*Laurent BARTH*ローラン・バルツ Racines metisses 2007
*A L’HOMME SAUVAGE 19,Grand’rue 68230 TURCKHEIM TEL 03 89 27 56 15

<シュナン・ブラン×生ガキレモン>

ロワールはアンジェの自然派といえばラブレー村のドメーヌ・デ・サブロネットのメナール・ジョエル。25年以上のビオ実践者で、とにかくワイン造りに熱心で人柄も最高にいい人、ちょっと早口だけど。そんな彼、最近、3時間かけてキュートで優しい奥様クリスティと友人とで時々、ブルターニュの海へ出かけるのだとか。海の雄大な景色を見てリフレッシュするのが気持ちいいそうで…。試飲と畑巡りにお邪魔したこの日の前日も、ブルターニュに行っていたとかで、大きな袋にいっぱいの牡蠣が…。ランチタイムの前菜は牡蠣にしたいけど…とのこと。大歓迎!「日本人って牡蠣食べるの?これ、海の浅場にいっぱいくっついてる天然の牡蠣だけど。大きすぎて、嫌?」トンでもございません!こんなに大きい岩牡蠣なんて、日本の料理屋さんで食べたら1個1000円はするし、日本人っていうか、私は牡蠣大好きだし。ここで牡蠣に会えるなんて!さあさあ…。

ワインはレ・ジュネ2006。シュナン・ブラン100%、フローラルナ香りでボリュームがあって酸味のきれいな白。「牡蠣には何付ける?僕たちはそのままかバターかな」そりゃ、レモンでしょ。試してみて。「レモンもいいね。さっぱりするし、潮の濃さが和らいでいいバランスだ」いざ。ワインにボリュームがありすぎなのでバターがいいのかしらんと思いきや、レモンひと絞りくらいの方が牡蠣のパワフルで濃いミルクのような濃縮感に、完熟したぶどうを使ったエネルギッシュなコクがビシッと応えて、抜群のコンビネーション。潮味にワインのきれいなミネラルもいい感じ。あー、至福…。もう1個、食べていい?…がついつい続いてしまった昼下がりだったのでした。アンジェに来てヨカッター!!

*Domaine des SABLONNETTES*ドメーヌ・デ・サブロネット Les Genets 2006

というわけで、自然派ワインに魚介やら野菜やらの素材そのまま、ナチュラルな素材を組み合わせることで旨みや味わいがますます増して、これぞ!!というスッゴイモノになることを体感した毎日…。今日も飲もっと。

*上記ワインの問い合わせ先:
株式会社イーストライン 
〒486-0812 愛知県春日井市大泉寺町大池下443−147
TEL:0568-82-1955 FAX:0568-82-1524