香草畑の景色が目の前に広がっていく中、予想もしていない場所にポツンと建っているモダンな家が一軒。田舎のど真ん中なのに何てオシャレ!ここで400年前から有機栽培をしているドメーヌがあるという。

早速尋ねてみると、ニコニコな笑顔で出迎えてくれたRémy Soulié*レミー・スリエさん。初対面なのにジョーク連発、とても親しみやすく、絶対に嫌うことの出来ないほど優しくて面白い方!
まだ41歳ですがもうすでに23回目のヴィンテージ!自分の職に自信を持ち、人生を楽しんでいる、まさに『Dont’t Worry, Be Happy 』、『心配はいらない、幸せになろう!』と言う言葉がピッタリと当てはまる人です!


Domaine des Soulié*ドメーヌ・デ・スリエとは1610年から存在し続ける造り手です。当時は化学物質などは当然無く、醸造家は皆有機栽培で植物を育てていました。この栽培方法を、このドメーヌは化学の発達に影響もされずに長年守り続けてきたのです。

土壌は全て粘土石灰質。この岩と回りに生えている香草がワインに綺麗なミネラル感とスパイシー感(野性のタイム、ローズマリー・・・)を与えているのです。

レミーのワインはとても繊細でフレッシュ。自分が興味を持っているブドウを育て、ワイン造りを楽しんでいる彼。
お父さん、Jean-Paul*ジャン・ポールさん曰く、
『レミーは昔から陽気だ。だから彼のワインも陽気なんだ!ワインには造った人の性格が出ている。このドメーヌのワインは全てが軽い弾みで飲める、生き生きとしてサッパリとしたワインが多いんだよ!』ですって!
でも本当に仲良しなんでしょう、2人共笑顔が耐えないです!

ランチにしよう!と、テーブルに座った瞬間、栗を見つけたオザミの菅野さん。即行リクエストに答えようと、庭の暖炉で栗を焼いてくれるレミーさん。

←『これは、ブニェット*Bougnette だよ!豚肉とパンの身で作ったシニャンの名物なんだ!一度食べたらやみつきになるから!』と嬉しそうに教えてくれるレミー。

→ こちらが焼けた後。本当に美味しく、カリカリしていながらもトローと蕩ける感触がグー!確かにワインのおつまみには抜群かも!

レミーのワイン、マルサンヌ100%に漬けてあるキノコのおつまみです。とても酸味が利いていて美味しい!

待っていました、プリップリな手作りソーセージ!ジューシーで香ばしい〜!

お父さんのオリーブ畑で朝収穫して来たオリーブの実です。やはりスーパーなどで買うオリーブとは味も色も全然違う!歯応えがあり、香ばしさもあり、香草の香りがとても染み込んでいます。

シンプルですが最高に美味しい様々な料理に、皆さんも手が止まらなくなります。
そしてお料理と一緒に頂いているドリンクは・・・・

フルーツの香りが口に広がるキュべ・マルサンヌ 07*Cuvée Marsanne 07(マルサンヌ100%)と、熟成感たっぷりのメルロ07*Merlot 07(メルロ100%、樹齢35−40年)です。

他にも、キュベ・レミ 07*Cuvée Rémy 07
サンソー80%、シラー20%、樹齢35−40年
とてもミネラルが含まれているフレッシュなロゼ!酸味とアルコールのバランスがパーフェクト!フルーツの甘さは控え目だけれども存在感がしっかりとある、繊細な味わいです。

伊藤さんとレミーは仲良し!
見てください、2人の笑顔!一体何を話していたのでしょうか・・・?
彼には不思議な力があります。彼といると、誰もが自然と笑顔になっていくのです!まさに心を安らげてくれる存在ですね!

そしてデザートには先ほど焼いておいた栗と、オザミ限定ワイン、キュベ・ブーが登場!このマリアージュがまさに最高!どうしてこんなに合うの?!とビックリするほどの美味しさ。

 

キュベ・ブー 08*Cuvée Bou 08
サンソー100%、樹齢35−40年
2008年のキュベ・ブーは前年に比べ、より繊細で爽やかです。しっかりとした酸味もあり、パワフル感もあり、ミネラル感たっぷり!サンソーなのにピノのような味わいがとてもエレガント!アペタイザーなどに、グイグイといけちゃいそうなワインです!

お腹もいっぱいになった所でレミーの醸造所へレッツ・ゴー!
とても大きい醸造所。とそこには今年のブドウで詰まった立派なステンレスタンクがキレイに並べてあります。その中にはサンソーやシラーなど様々な品種が発酵中!

収穫後、厳しい選別を終えたブドウ達は、重力の法則でタンクの中に流れ込んでいくのです。この作業も実はとても重要な役目があるのです。ここでブドウを優しく扱わないとブドウの実は潰れてしまい、粗いタンニンや風味が出てきてしまいます。そうするとワインの出来は悪くなってしまい繊細さにも欠けてしまいます。せっかくキレイなブドウを収穫したのに、丁寧に段階を進めていかないと全てが無意味になってしまうのです。

シラーを試飲中の杉野さん。彼の真剣さが伝わってきます。でもポーズにし、やはり決まっていますね!


木樽の中身は発酵中のブドウでいっぱい。このブドウはマルベックの品種です。新樽で1週間発酵させた後は、2年間の間樽熟成させます。そうしたら酸味が残り、さらに存在感のある味わいと仕上がります!

そしてレミーさんの『宝の部屋』、カーヴへと侵入。ここで眠っているのは、繊細でミネラルな今年のピノ・ノワールや、フルーツ感たっぷりで甘いグルナッシュ!彼が収穫するブドウは熟成度が高い。それは南仏の気候の特徴でもあるが、熟成度が高いと、当然ブドウ内の糖分の量も多い。そうすると、全ての糖分がアルコールに変わり終えるまで、時間が掛かる。しかもレミーの醸造方は全てが自然方法。そのせい、マロラクティック発酵がなかなか起きない場合もあるのです。この第二次発酵が起きるまで、樽の中でワインになりかかっているブドウ果汁を保存しておくのです。


オザミの皆さんへと急にキュベ・ブーを瓶詰めし始めるレミー。

そしてオザミの杉野さんも負けずにと初瓶詰めに挑戦!

キュベ・ブー今年の初一本完成!そして2人の幸せそうな笑顔を記念にパシャ!
本当にいつも笑っているレミーさん、こっちまで楽しくなってきます!


今日は初体験が多い杉野さん。瓶詰めの後は、コルクの押し作業です!

こんなに古そうな、シンプルな機械でコルクを瓶の口元に押し込むのです。

最後はお父さん自慢のオリーブ畑でお散歩です。
オリーヴの木は平和を表しているらしいです。
オリーヴの葉っぱは枯れず、年中いつも緑です。小さな頃からここに来るのが好きだったレミー。
気持ちが落ち着いて、安らげる場所なんですって!
先ほど食卓に出てきたオリーブはここで摘んできた物。


『醸造家とは共同作業というより個人主義の仕事だよ。それぞれ、自分が感じたようにワインを造れば良いと思う。皆別々な人間なんだ。だからやり方や考え方に違いがあるのは当然なこと。そこが面白い所でもあるし、そのお陰で、皆 自分の個性を生かしたワインが造れる。どのワインでも、グラス一杯の中に、造った人の性格が出ていないと平凡なワインとなる。僕は僕なりに、楽しいワインを造っているつもりだ!』と熱く語るレミーさん。
確かに彼のワインには笑いや幸せ感がビッシリと詰まっている感じがする。一杯飲んだ後、ホッとする気持ちはレミーさんの存在そのものなのかも知れませんね!