1月17日、パッション・ド・ヴァンの銀座事務所でプロ向けのフィリップ・アリエ試飲会を行いました。オーナーのフィリップ・アリエは1978年から祖父を手伝ってAOCシノン地区、クラヴァン・レ・コトー地区のドメーヌで栽培・醸造を始めた。一見して朴訥なおじさんの風貌なのだが、彼の手にかかれば、シノンもまるで別物になってしまう。シノンのトップシャトーにまで導いた、まさに見事な指揮者である。


<栽培改革とは・・・>
1985年に後を継ぎ、高品質なワインを目指した栽培改革が始まった。まず、除草剤等の化学物質の撒布を一切やめて自然農法に切り替えた。収穫量を抑える為に1本の木に残す芽は5個から6個にし、それ以外の芽は摘んでしまう。葡萄の生育中、芽かきや摘芯をして葡萄の旨味がアップするように、コツコツと丹念な農作業を続けたのである。
もちろん畑は全て自分の手で耕しており、収穫量は極端に落ちてしまうが、ワインの凝縮度を高めるためには欠かせない作業である。

<家族との共同作業>
1994年、南向きの斜面で粘土石灰質土壌である「コトー・ド・ノワレ地区」を手に入れたが、この畑はものすごい斜面で、作業が困難であった。フィリップは妻のクロードと2人でこの畑を植替え、徐々に改良していったのである。1996年には、別の畑に1haのヴィエイユ・ヴィーニュ(V.V.=古木)を取得し、99年にこれを2haに拡大した。現在のV.V.の畑は4ha、コトー・ド・ノワレは3haになっている。


<飽くなき探究心>
1年に2,3回ずつボルドーのグラン・クリュ畑を見て回り、熟成技術を見習い、より構成のしっかりしたワインをつくろうと試みた。幾度も失敗を繰り返したが、根気強く挑戦を続けて、徐々に収穫量を減らしていき、1993年、ついに樽熟成に耐えうるワインを完成させたのである。熟成に使用する樽は、以前はシャトー・マルゴーとシャトー・ラトゥールから買ったものを使用していたが、現在では自ら選んだ樽を使い、新樽はコトー・ド・ノワレに。その後の樽をV.V.用に使用している。 フィリップ・アリエ氏と妻のクロード

赤ワインの産地としてフランスで最北の地域にありながら、カベルネ・フランを100%使用した、熟したピュアな果実味を持った見事なワインを生み出している。野菜っぽさなどみじんも感じさせない豊かな果実味、緻密さは他に類を見ない域に達しているといっても過言ではない。

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レ・クラヴィエ・ヴィエイユ・ヴィーニュ ・Cuvée Vieilles Vignes
フィリップ氏曰く「絹のように滑らかな、フレッシュで繊細なワイン」。豊かで混じりけのない果実の香り。若いうちからでも滑らかな口当たり。艶やかで旨味が前面にあふれている印象。余韻が実に上品である。
まろやかなぶどうができる古木から造っていて、フィリップ氏の手作業による見事な作品といえよう。


コトー・ド・ノワレ ・Coteaux de Noiré
カベルネ・フランの見事に熟した果実味は特筆すべき!エレガントで豊かな赤い果実のアロマ。カカオ、ロースト香やバニラの風味が複雑さを出している。アタックはまろやかでスムーズな口当たり。驚くようなきめの細かさは他に類を見ないほど。ワインの構成がしっかり取れていてバランスがとても良く、10年の超熟タイプと言えよう。その素晴らしい味わいは、まだ若木ながら既にロワールの№1赤ワインの風格を見事に漂わせている。この土地最良の南向き斜面に植えたぶどうは、まだ若木ながら既にトップワインのワインを生み出している。今後更なる向上が大いに期待できる。

〜垂直試飲のコメントは以下の通り(ビストロ・ヴィヴィエンヌ 吉川ソムリエコメント)〜

シノン レ・クラヴィエ・ヴィエイユ・ヴィーニュ

ヴィンテージ 1995 品種 カベルネ・フラン
熟成を感じさせる紅茶の香り。きれいな酸が後々まで続く。まだまだ若々しい印象。
ヴィンテージ 1996 品種 カベルネ・フラン
ややベジタル、スパイス、ユーカリの香り。若々しい印象。酸が柔らかく、タンニンも滑らか。きれいな熟成をしている。
ヴィンテージ 1999 品種 カベルネ・フラン
力強い香りが特徴的。葡萄の完熟感がある。
ヴィンテージ 2000 品種 カベルネ・フラン
香りはやさしい印象。99年ヴィンテージよりはやや飲みやすいが、果実味がある為に、味わいに立体感がある。タンニンは滑らかな印象。
ヴィンテージ 2004 品種 カベルネ・フラン
果実味があり、カベルネ・フランの特徴がよく表現されている。余韻に柔和な果実味を感じる。
ヴィンテージ 2005 品種 カベルネ・フラン
ジャムのような甘い香り、ユーカリ、樽のロースト香。果実味が強く、タンニンとのバランスがいい。酸もしっかりあり、余韻が長く続く。

シノン コトー・ド・ノワレ

ヴィンテージ 1996 品種 カベルネ・フラン
ベジタルな香りと、熟成から感じられる紅茶の香り。味わいに深みを感じる。
ヴィンテージ 2000 品種 カベルネ・フラン
全体的にバランスは非常に良く取れていて、エレガント。ヴィエイユ・ヴィーニュ2000と比べると柔和な酸味や果実味といった印象。
ヴィンテージ 2002 品種 カベルネ・フラン
熟した果実の甘い香り。きめの細かいタンニンでボリューム感を感じる。
ヴィンテージ 2003 品種 カベルネ・フラン
ジャムのような甘い香りで、このワインの力強さを感じる。更なる向上が期待できる。
ヴィンテージ 2004 品種 カベルネ・フラン
ベジタルだが複雑な香り。辛口なタンニン。全体的にやさしい印象。
ヴィンテージ 2005 品種 カベルネ・フラン
黒い果実の小さな粒を食べた時のような果実味。上品なロースト香。しっかりとした酸が後味を引き締めている。
     

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