*** 2月23日~24日 ***
ノルマンディー地方、ドーヴィルの町。ここは夏、最もパリジャンが多く、高級地区で有名な港町。海が見わたせる会場で今年もLa Dive Bouteille*ラ・ディブ・ブテイユが行われました!今年でちょうど10周年記念を祝うこの試飲会は、『ヴァン・ナテュール』を愛する人には欠かせない大イベントです。伝説とも言われているマルセル・ラピエールやマルセル・リショーをはじめ、新世代の若手醸造家まで120人もの自然派醸造家が集まるとても素晴らしい試飲会です。
この会の開催者、シルヴィー・オジュローさん曰く:
『自然派ワインを知って貰い、自然派ワインとは何かと皆様に伝えたい気持ちで開催しました。セミナーや討論会などを通して皆さんに分かって貰いたいです。テロワールは研究室で生み出されるものではない!悲しくも一様化しようとしているワイン業界では、とても重要な事なのです。』
自然派ワイン以外にも、偉大なシェフ達のクッキング披露や様々な講演、またラジオの収録などが、この2日間の間、広く綺麗な会場で行われています。
そのため、世界中から人が集まり、バイヤーやカヴィスト、レストラン業界の人たちやジャーナリストで大盛り上がりです!
*** 初日・オープニング開始! ***
オープニング時間の少し前に到着した私達。しかし会場内にはまだ誰もいない寂しい空気が・・・しかしここから徐々に生産者達が集まって用意をし始め、1時間後にはもうすでに人で埋まっている状態に・・・!
*** ここで試飲会スタート! ***
各地方に分かれているので、テンポ良く試飲出来るというのが印象的。
しかし私達が知っている醸造家は半分以上!
気合を入れてまず最初に向かったのは、ボジョレーのテ-ブル!
Christophe Pacalet*クリストッフ・パカレ
ラベルも新しく変わり、よりポップスになりました!
『ボジョレー地区ではガメイしかないので、テロワールの違いがとても重要です。しかもガメイとはとても辛辣な品種なので、やせた土地でないと栽培しにくいのです。』
Nicolas Testard*ニコラ・テスタール
新しいキュベが2本も!!
とてもフルーティーで酸味が綺麗なやさしいロゼ、ピンク・ラビットと6ヶ月間熟されたガメイで造ったガメイ・プリュス・ガメイです!
可愛らしいラベル対セクシーな感じでおしゃれです!
Geoges Descombes + Damien Cloquelet*
ジョルジュ・デコンブ + ダミアン・クロクレ
ジョルジュさんの息子、ダミアンの初キュベ!
シルーブルで栽培されたブドウを、一つはセメントタンクで、もう一つは樽で熟成した2本を紹介!ジョルジュさんのワインのようにとてもフレッシュでフルーツ感が溢れる一品です。
フランスで、鶏はコックといいます。
彼の名前が「コック」に似ていた為、ラベルに鶏の絵を取り付けたそうです!
Jean-Claude Lapalu*ジャン・クロード・ラパリュ
彼こそボジョレーの神です!繊細で真直ぐなワインを生み出すジャン・クロード氏のオーラーは自信と誇りで輝いています。
彼のブドウは100年以上のヴィエイユ・ヴィーニュが多いのです。ヴィエイユ・ヴィーニュには枝が多く、そして小さなブドウが実るので、2/3はエグラパージュ(除梗)しないと青っぽい味が強調されてしまうのです。
しかしやはり複雑で果実身が強く、長く後味が残る彼のワインは最高です!
Marcel, Matthieu, Marie Lapierre*マルセル、マチウ、マリ・ラピエール
とてもフルーツ感が強く、繊細でありながらもリッチ感で溢れているマルセルのワインは、別世界に跳んでいってしまいそうな美味しさです!
モルゴンには綺麗な酸味が、ヴァン・ド・ペイ・デ・グイユにはイギリスアメのような甘くて居心地良い香りが、ボジョレーに関してはとても真直ぐな味わいがと、全て違う味わいですのでとても楽しめます!
しかし皆さんに試して貰いたいのはAOCボジョレーのカンボン07です!とても綺麗なバランスのこのキュベで、マルセルはシンプルなボジョレーでもここまで美味しいワインが出来る事を証明しています!
Arnaud Combier*アルノー・コビエ
柑橘類と樽の木のアロマのコンビネーションが何とも言えないリッチ感と爽やかさを与えています。特にGoutte du Charme*グット・ド・シャルムはまろやか感も足し加えられ、とても美味しい!真直ぐでピュアな彼のワインは一度味わったら忘れられないです!時が経つにつれ更にレベル・アップしているアルノーの飲みどきワインはこちら:
Les mandeliers 07*レ・マンドゥリエ07
Les barnaudières 06*ラ・バルノディエール06
Goutte du charme 06*グット・デュ・シャルム06
Philippe Jambon*フィリップ・ジャンボン
彼のワインはとにかくナチュール!
ナチュール以外何も無い!という感じのジャンボンさんです・・・・!
*** ここで一息お昼ご飯! ***
白ワインと言ったら魚介類!と当たり前のように、会場内にはカキ職人がスタンバっていました!もちろん皆さんお気に入りの醸造家の元でワインを購入し、取立てで新鮮なカキや貝をほおばっていました!
ここでAOC認証取得に付いて、 マリ・ラピエールさんが計画した熱い討論が行われました。
醸造家たちの怒りの声や、同意する人たちの拍手の中、自然派ワインの生産者にとってこの問題がどんなに深刻かという事が伝わってきます。
この変革に付いてはのちほど説明致します。
*** そして再び試飲に戻ります!今度はブルゴーニュ地方です! ***
Cyril Alonso*シリル・アロンゾ
彼のワインを飲まず、ブルゴーニュは語れない!というほど繊細で果実が強いワインです。
特にロゼのLA Scie Rose*ラ・シ・ローズは絶品です!
Philippe Valette*フィリップ・ヴァレット
2003年のマコン・シャントレを見つけてビックリ!『これって試飲用?それとも売っているの?』と聞くと、いつもの笑顔で『売っているよ!』と答えるフィリップ。
『2003年はとても暑かった年。ブドウもとても熟成していて、砂糖の数値もとても高かった。そのため、自然酵母の動きが止まってしまい、アルコール発酵はゆっくりとゆっくりと進んでいった。18ヶ月間熟成した後、少量瓶詰めをしたが、まだ残糖が残っていたので、再びアルコール発酵が再発してしまったんだ。そのままカーブで保管して、48ヶ月間の間樽で熟成し、残糖が無くなるのを待っていたんだ。』とてもアロマティックで濃厚なワイン!甘いフルーツと柑橘類の香り、そして口に残るミネラル感が最高!他では味わえない驚くべき2003年ワインです!
Catherine Montanet, Domaine de la Cadette*
カトリーヌ・モンタネ、ドメーヌ・ド・ラ・カデット
濃厚なフルーツと、爽やかな酸味がこのドメーヌの特徴です!
とにかくテロワールに含まれたミネラル感が凄い!
Fanny Sabre*ファニ・サーブル
まだ20代なのに、もうフェラーリのように飛ばしている彼女!父の死の後、パカレ氏のアドバイスを受け、ドメーヌを引き継いだ彼女。引き継ぐのならば全てを変えよう!とラベルにはピンクを付け加え自分の名前を目立つように披露し、そして何といっても女の手から造られたというエレガンスさが特徴的なワインが誕生しました!彼女のワインは何といってもミネラル感が凄い!まろやかで繊細なタンニンとフレッシュ感がグッド・マッチング。特にポマール・プルミエ・クリュは骨格もしっかりとしていて、喉越しも気持ちいい~!彼女のワインこそピノ・ノワールを最大限に表現したワインです。
続いてはアルザスで醸造しているBruno Schueller*ブリュノ・シュラーさんのスタンドです!
フルーツそのままのアロマにミネラル感が足され、
とても飲みやすく気持ちい良いワインです!
特に残糖が残っているものは絶品!
後味に残る酸味と甘さのバランスが最高です!
ここでモンプリエでル・ジャルダン・デ・サンスというレストランを経営しているプルセル兄弟のセミナーが開始されました!
フランスの代表的なこのレストランでは、歓喜的なサービス、バロック式で雄大なインテリア、口の中で弾ける風味と色豊かな料理が楽しめます。
Le Jardin des Sens
11 avenue St Lazare 34000 Montpellier
TL : 04 99 58 38 38
SITE : www.jardindessens.com
*** そしてドーヴィルといえば
カジノが有名! ***
試飲会第一日目を終え、とりあえずドーヴィルのカジノのバーで一杯!
キラキラと光る高級な建物の中ではスロットやコイン・マシーンで賑わっています!残念ながら撮影は禁止となっており、皆様に見せられる写真は取れなかったです・・・
← 先日日本から帰ってきて、そのまま試飲会に参加したマーク・ペノさん。疲れているはずなのにこの2日間ずっとハイテンションだった彼。そうとう日本が好きで満足したんでしょうね!
→ 陽気で優しいパスカル・シミュノティさん。彼のワインは « シミュノティ 風味»が出ていてとてもファンキーです!ラベルも挑発的です!
*** 2月24日、試飲会2日目!ローヌ地方へレッツ・ゴー! ***
Antoine Joly, Domaine de la Roche Buissière
*アントワンヌ・ジョリス、ドメーヌ・ド・ラ・ロッシュ・ブイシエール
『今年のメルロは綺麗な骨格にキリっとした酸味が感じられます。力強く、後味が長く残るワインとなると思いますよ!グルナッシュに関しても、スパイスの香りがほんのりとするデリケートで繊細なワインと仕上がっています。熟成度が高く、酸味が綺麗。そしてなんといっても爽やかですね!バランスが綺麗に整っているので、日本の皆様、期待していてくださいね!』
Christophe Comté, Domaine des Vigneaux
*クリストッフ・コンテ、ドメーヌ・デ・ヴィニョー
濃厚でパワフル、なおかつまろやか感があるワインと言ったらこの人のワインです!
Gérald Oustric, Domaine Le Mazel
*ジェラール・ウストリック、ドメーヌ・ル・マゼル
『今年は開花期の前にブドウ木がべと病に罹ってしまい、カリニャンとグルナッシュは全滅、カベルネ・ソヴィニョンも半分以上やられてしまいました。そして何といっても今年は雨が多かった年です。ですがミストラル(海から来る風)のお陰で、ブドウは乾燥し、醸造しやすくなりました。シラーとヴィオニエに関しては、結構良い収穫が出来たし(各30hL)、アルコール発酵も完璧に終了しました。』
Hervé Souhault, Domaine Romaneaux-Destezet
*エルヴェ・スオー、ドメーヌ・ロマノー・デストゥゼ
『エコセールなどのビオ公的機関への登録申請などには興味も無いし意味も無いと思っています。ビオ栽培でブドウを育てていても、醸造中には様々な化学物質を足していたら意味が無いのでは?ビオ公的機関へ登録すると世間に受け入れて貰いやすく宣伝にもなります。商売的意味から公式登録をする人はたくさんい、あす。ただの流行と同じです。私は栽培も醸造も自然に行い、表面だけではないありのままの自分のワインを気に入ってもらいたいんと思っています。』
Marcel Richaud*マルセル・リショー
マルセルは醸造家達の中でもスポークスマンな存在。ここでもアペラシオンの改革に付いてラピエール氏とミッシェル・イサリ氏(ガイヤック)と共に熱く語っていました。ナテュールな自然醸造家にとって、この改革は各ワインの特徴を無くすと同じ意味です。全てが似た商品になってしまい、テロワールの特徴も消えてしまうという事なのです。
そうはさせない!とワインのアイデンティティーの大切さを懸命に説明していました。
Domaine Chaume-Arnaud*ドメーヌ・ショーム・アルノー
Domaine Jérome Jouret, Domaine Les Clapas
*ジェローム・ジュレ、ドメーヌ・レ・クラパス
彼の赤ワインはフルーツのポテンシャルを最大限に引き出す為、全てマセラシオン・カルボニックを行っています。この醸造方法により、さらに果実身が強くて飲みやすく、とてもフレッシュなワインが完成できるのです。
*** 南西地方でもやはり自然派ワイン代表的な蔵元達が揃っていました! ***
Cathy Le Bihan, Mouthes Le Bihan
*キャティー・ル・ビアン、ムット・ル・ビアン
『私達の目標は出来るだけ手を加えず、自然に任せたワイン造りをすることです。』
彼女のワインは完熟されたブドウの香りと、カベルネが引き出す後味の長さが印象的です。長年保存した挙句試飲するととっておきに美味しいですよ!と教えてくれました!
Elian Da Ros*エリアン・ダ・ロス
長い熟成期間を終えた彼のワインはアロマの複雑感、果実身の強さ、パワフルさ、そしてフレッシュさが見事にマッチされています。
綺麗な後味が長く残る真直ぐなワインです。
Franck Pascal, Chateau Jonc Blanc
*フランク・パスカル、シャトー・ジョン・ブラン
フランクは今年初めてこの試飲会に参加しました。『ディブに参加するという事は、自然派醸造家として認められたようなものなんだ。』と笑顔で話す彼。ベルジュラックは世界的に知られているサン・テミリオンからとても近い為、あまり名乗り出ていないアペラシオンです。しかしシャトー・ジョン・ブランのワインは負けないぐらい美味しい!繊細なタンニン、そして石灰質のテロワールが最大限に表現され、熟成されたブドウの甘さと爽やか感も味わえるので、最高なバランスのワインです!
Maxime Magnon*マクシム・マニョン
毎年品質が良くなっているマクシムのワインは、2-3年前よりとても落ち着いた真直ぐなワインになっています。
各キュべの特徴が強調され、La Démarrante*ラ・デマラントはよりフルーティーに、Rosetta*ロゼッタはより繊細に(今年はサンソーを入れ加えたそうです!)そしてCampagnès*カンパニェスはよりしっかりと! «昔よりも自分のブドウ木が分かってきたし、しっかりとした畑作業のお陰で綺麗なブドウが出来た。今年で7年目のヴィンテージだが、毎年様々な事を学び、来年の為に直すんだ。そして・・・私自身も変わったんだ!』
Bruno Duchêne*ブリュノ・デュシェンヌ
彼のワインは、テロワールの違いを引き出す為に全て同じ醸造方法を行っているのです!グラップ・アンティエールのブドウ、そしてマセラシオン・スミ・カルボニックを行い、フルーツの甘みと飲みやすさを特徴としているのです。今年のニュースはピノと間違えるくらいスパイシーでミネラル感たっぷりなグルナッシュです!コライユに使用されているブドウと同じ区画に在るブドウなのですが、この一部だけヴィエイユ・ヴィーニュが植えてあり、2008年は特別に出来が良かったのでスペシャル・キュベを造る事にしたのだそうです!
Jean-Baptiste Sénat*ジャン・バチスト・セナ
Château Roquefort, Raimond de Villeneuve
*シャトー・ロックフォール、レイモン・ド・ヴィルヌーブ
Casot de Maillol,Alain Castex*キャゾ・ド・マイヨル、アラン・キャステックス
*** そしてロワール地方のテーブルでラスト・スパートです! ***
Jean-Pierre Robinot, L’Ange Vin*ジャン・ピエール・ロビノ、ランジュ・ヴァン
彼のワインはいつ試飲しても独特な味です!この謎は最低36ヶ月間も樽熟成されている事だったのです!
『私はワインの裏の味を引き出す為に長い熟成をしているのです。その方がより複雑感が出て、テロワールの本質の味が引き出せるからです!』
Catherine et Pierre Breton*カトリーヌ・エ・ピエール・ブルトン
彼女のブブレーは最高!まろやかなのにしっかりとしていて、一口飲んだだけで蕩けてしまいそうです!
Sébastien Riffault*セバスチアン・リフォー
彼の白ワインはマロラクティック発酵を行っているのでとろみ感があってまろやかです!
飲みごたえがありフレッシュ!ジュースの感覚で飲めるので最高です!
Alexandre Bain*アレクサンドル・バン
ドメーヌが小さく、本数も限られているのが残念!
プイ・フュメの新しい醸造家、アレクサンドルは先験的な考えは持ち合わせていません。伝統と現代性をマッチして、新しい世界を開こうとしている彼のワインは とにかくエレガント!食欲をそそる彼のワインは凝縮した果実身と石灰質のミネラルが感じられ飲みやすいです!
この2種類の石灰は水を濾過しやすく、日中の太陽の暑さを吸収しやすいので、ブドウ木も育ちやすいのです。
Sophie et Jérôme Saurigny*ソフィー・エ・ジェローム・ソリニィ
シスト土壌で育てられたブドウは、綺麗な酸味をワインに与えています。
Benoit Courault*ブノワ・クロー
彼のTシャツにはシルヴィー・オジュローさんのキャッチフレーズが!
« 何人もロワールを知らないとはみなされない»
(元々は« 何人も法律を知らないとはみなされない» から作られたフレーズ)
Sylvain Martinez*シルヴァン・マルティネズ
オリヴィエ・クザンの下で働いている彼は、2007年の初ヴィンテージを紹介しに来ていました!ヴィエイユ・ヴィーニュのブドウから造られたこの初キュベはとても繊細でアロマたっぷりなワインと仕上がっています!来年からはガメイも栽培すると張り切っていました!
Marc Pesnot, Domaine de la Sénéchalière
*マーク・ペノ、ドメーヌ・ドゥ・ラ・セネシャリエール
彼のワインに溢れているミネラル感は、魚介類にピッタリ!
白のペティヤンもとても繊細な泡が口に広がり美味しい~!
Noella Morantin*ノエラ・モロンタン
彼女の初ヴィンテージワインには繊細と優しさで満ち溢れています。とても女性的なワインでまろやか!ラベルもハートがモチーフとなっていて可愛いです!
そして終了時間に近づき始まると、醸造家達はそれぞれのスタンドを飛び出し、他の生産者の下でテスティングをしたり、アドバイスをし合ったりでワイワイと盛り上がっていました。
ここではパスカル・シミュノティ氏がグレゴリー・ルクレール氏と世間話中をキャッチ!
皆さん満足げな顔でこの2日間も終了し、本当にお疲れ様でした!