29
Oct

ギリシャ時代からの財産!ムレシップへようこそ!

今日訪れたのは、アラン・アリエット*Alain Allierさん の元、ドメーヌ・ド・ムレシップ*Domaine de Mouressipeです! ローヌ地方とラングドックの境界にあるこのドメーヌでは、ギリシャ時代から伝わるムレシップ丘が有名。このエネルギーが満ち溢れている丘には、未だにその時代の硬貨などが見つかるらしいです! 優しい笑顔に天然パーマーとその渋い髭が印象的なアランさん。彼は何代もブドウを栽培醸造する家庭に生まれました。けれども実家は彼の兄が引き継いだ為、アランは25年前、自分の区画を購入して、その畑に新たにシャスラ、グルナッシュ、ムルヴェードルなどを植えたのです。2003年までは収穫したブドウの約80%を協同組会に売っていたのですが(残りの20%は自分用のワインを造る為取っておいたのだそうです)、2003年から、皆さんに飲んで喜ばれるようなワインを造りたいという意思で、このドメーヌを建て上げました。 彼のカーヴは自分の家のガレージ!小さいけれど、醸造するスペースは十分!けれどもこんなに少量だったらすぐ彼のワインは完売してしまうのでは・・・! 今年は雨が多かった年。彼のお父さんも、この町でこんなに降ったのは80年間生きていて初めてだ!とビックリ。雨のせいでアランは70%ほど収穫量が減ってしまいました。けれどもそんな事ではめげないアラン!量が減ってしまった分、残ったブドウの栽培に倍以上の手入れを兼ね、アルコール発酵もスムーズに進み、今年の出来具合は結構良かったと喜んでいました! ムレシップの山 早速試飲開始です! ジュ・ドゥ・ビュル*Jeu de Bulles シャスラ・ヴィエイユ・ヴィーニュ100%、樹齢100年 土壌:粘土石灰質、青泥灰土、砂利少々 炭酸ガスを残すように瓶詰めをしてあるため、ブドウの果実がそのままシュワーっと口いっぱいに広がる感じが魅力的!とても爽やかで飲みやすく、アルコール度数も低めです。アペタイザーなどに嬉しいワインです! キュベ・ル・トラカシエ*Cuvée Le Tracassier エグラパージュをしたグルナッシュ100%、樹齢10〜35年 土壌:粘土石灰質、青泥灰土、砂利少々 トラカシエとは、『 おっちょこちょいな人、世話を焼かせる人』 と言う意味。 2007年が初ヴィンテージ!南仏のワインなので熟成度も高いのですが、スーっと体に染み込んでいくような、柔らかいワインです。 キュベ・ギャラピア*Cuvée Galapia アリカンテ100%、樹齢10〜35年 土壌:粘土石灰質、青泥灰土、砂利少々 ギャラピアとはオック語で『大食いな人、』という意味。 2007年のギャラピアはシラー、サンソー、グルナッシュも入ったアセンブラージュだったのですが、今年はアリカンテ100%!普段は色が濃いワインなのですが、今年は薄紫で綺麗〜!ブドウの果実と酸味がしっかりと感じらる、フレッシュでフルーティーなワインです。 キュベ・カク*Cuvée Cacous グルナッシュ70%、シラー30%、樹齢10〜35年 土壌:粘土石灰質、青泥灰土、砂利少々 カクとはオック語で『カッコつける』という意味。 スパイシーで濃厚ですが、飲みやすくフルーティーなワインです。 キュベ・ルー・キャントゥンヌ*Cuvée Lou Cantoun シャスラ100%、樹齢100年 土壌:粘土石灰質、青泥灰土、砂利少々 カクとはオック語で『部屋のかどっこ』という意味。 今年は8月3日と20日、2回に分けて収穫されたシャスラを使用。気候のせいで収穫量が減った分、残ったブドウの熟成度が早かったそうです。シャスラの酸味がキリッと利いていてとても繊細なワイン!少々ドライなワインです。 他にも、今年初収穫したシラー100%ワインもありました。この畑は彼の家の隣に在り、今年購入したのだそうです。シラー100%ワイン、もしくはアセンブラージュ・ワインにするか、まだ迷い中のアラン。けれども新しいキュベが増えるので楽しみです! とても話しやすくて少しシャイっぽいアラン。彼の今後の目標は、新たに区画を購入し、グルナッシュ・ブランや、彼の町と同じ名前の珍しい品種、サン・コムズを植える事です。 『私は自分のワインを造ることが幼い頃からの夢でした。その夢が今やっと叶いました。ですから私は自信を持ちながら、愛を込めてワインを造っています。私はブドウ栽培を手伝ってくれている皆、このドメーヌを最初から応援してくれている友達にとても感謝をしています。私がいつも思っているのは、私のブドウ畑は自分一人で栽培しているのではない。80%は友達が栽培してくれているのだ!ということです。本当に皆さんに感謝しています。』 とてもピュアで心の優しいアラン。今後も美味しいワインを造って下さいね! 最後は皆で記念写真! オザミワールドの菅野さん、杉野さん、土居さんと。

18
Juin

DOMAINE MARCEL RICHAUD- PART 1

鶴の恩返し,マルセル・リッショ− 6月6日、南ロ−ヌに自然派の波をもたらしたリ−ショを訪問(レブルスカ−ドの畑にて)。 マルセルが20代前半の頃、ワインを造り始めたばかりの時、醸造所が無かった。マルセルのお父さんは葡萄栽培家だったが、収穫をした葡萄をすべて農協に売っていた。だから醸造する場所、設備は一切無かった。 マルセルは自分で栽培したワインを農協に持ち込みたくなかった。1年間苦労して自然栽培した葡萄を他の 葡萄とゴチャ混ぜにして醸造してしまう農協のやり方に納得がいかなかった。 こんな事を続けなければならないのなら葡萄栽培を止めようと悩んでいた。 解決策のない壁に悩んでいる時、子供の頃から顔見知りの近所のお爺さんに会って、この事を相談した。 『マルセル、俺の醸造所を使いなさい!』と気持ちよく醸造所の片隅を貸してくれたのであった。 このお爺さんのお陰でマルセルはワイン造りを始められたのだった。マルセルはこの“恩”を忘れることが無かった。しかし、しっかりしたお礼を云えないままお爺さんは亡くなってしまったのだった。 30年後、近所の若い女性がマルセルの門を叩いた。 エロディ 『ムッシュ・リッショさん、あなたの醸造所でワイン造りの研修をさせてくれませんか? 』 マルセル 『君の顔は見たことあるけど、名前は? 』 エロディ 『エロディ・バルムです。 』 マルセルは驚いた。バルム・・・・バルム、あの世話のなったお爺さんのお孫さんだ! バルム爺さんの顔や当時自分が八方塞がりの苦しい状況にいたことなど色んなことが頭に浮かんだ。大きな瞳で真っ直ぐ見つめているエロディを見つめ返した。 マルセル 『勿論だよ!』快諾した。 でもマルセルはお爺さんとの過去のことを口に出さなかった。 エロディ・バルムの2年目のワインを飲んでディスカッション マルセルは約30年かけて自得してきたことを惜しみなく伝授した。エロディは1年間はマルセルの醸造元に 入り込んで研修した。その熱心な姿と姿勢にマルセル自身も感動したし、影響された。 マルセル自身はある程度のところまで到達してしまった。若い頃のワインに対する情熱が冷めかけていたところだった。そこに若きエロディが登場して、その熱心な姿に若かった時の自分を見るようだった。 ドンドン成長していくエロディを見て、世話になったバルム爺さんへの“恩”返しができていることに感謝の念が止まらなかった。マルセルは本当に嬉しかった。 今日はエロディが独立して2年目の2007年産ワインを一緒に飲んだ。正直云ってマルセルは驚いた。 自分が約30年費やしてたどり着いたワインの境地に、たた2年で近づいてきたエロディをみて本当に心から嬉しかった。次々に質問を畳み掛けてくるエロディに、的確に次々と答えていくマルセル、2人の師弟関係は横で見ていて美しさを感じた。 エロディに刺激されたマルセルは今、 次の世代の為に葡萄の植樹を始めた。 現在の自分があるのは先祖や先輩達が植えた葡萄があるからだ。感謝と恩返しの念をこめて、60年後の後輩達の為に植え始めた。しかも伝統マサル方式の苗木の作り方弟子達に伝授しながらである。

29
Mai

CH−VIEILLE JULIENNE -AOC CH-NEUF DU PAPE訪問

パーカー2度の100点満点 5月23日 CHATEAU NEUF DU PAPE のシャトー・ヴィエイユ・ジュリエンヌを訪問した。 フィロキセラを乗り越えた100歳を超える古木  ここの特徴は何と言っても樹齢100歳を超えた葡萄木が沢山あることだ。しかもフィロキセラの被害を逃れたヴィーニュ・フランセーズといわれる正真正銘のフランス産原木の根ッ子をもつグルナッシュ品種の古木が現存している。ヨーロッパ内でも僅かしか残っていない。 その他の葡萄をいれても平均樹齢60歳という例外的な樹齢の古さが特徴だ。 葡萄木の一本一本が彫刻の芸術だ! 醸造所の前にあるのが104歳の古木だ。葡萄木に魂が宿っている感がある。葡萄園に立つとエネルギーを感じる。 葡萄木と土壌が永い付き合いの夫婦関係のようだ。 何があっても微動だしない不動の信頼関係を感じる。 奇跡を起こした砂質土壌 ヴィーニュ・フランセーズ“純粋フランス産葡萄木”を生存させてくれた土壌は偉大だ。奇跡と云ってもよい。 フィロキセラ以前の葡萄木の性質、それからとれる葡萄そしてその土壌に育った自然酵母、それらで醸されるワイン、どれをとっても興味をそそられる。 ガレ・ルレとよく云われる大きな丸型の石があるシャトー・ヌフ・ドゥ・パップの土壌ではない。 海の砂より細かな砂質の土壌の中に、小さなガレ・ルレ(丸石)が少しだけ混じっている土壌である。

26
Fév

美しきは人生、それって容姿にも反映するなり!?

2月16日土曜日 今朝はアルデッシュのレ・クラパスへ。 ジェローム・ジュレは2006年に自分のワインを初リリースしたばかり、もうすでに話題の生産者のひとり。 ここの何がすごいってコート(丘陵)の畑。コートはコートでもちょっとやそっとの丘と思ったら大間違いの秘境中の秘境、四駆でも必死のでこぼこ山道を登っていくと、そこは急斜面の段々畑なのです。17世紀からぶどう畑があったという書簡が残っている由緒ある土地らしいけど、あまりの不便さ大変さに放置されていたというのが実情。なんていったって、昼間というのに畑で狐と会っちゃったくらいの秘境なんだから、ビックリ。 そこを借りて毎日毎日超ハードな作業をして蘇えらせたのがジェローム・・・なんていうと、いかついおやじと思いきや、フォトジェニックなんだな、これが。まあ、それは良いとして秘境の畑からカーヴ、自宅まで何でも自分で作ってしまう努力家で頑張る人のジェローム、そこはそう、やっぱりワインもなかなか! リリース2年目にして2007年ヴィンテージは2月現在、全くSO2を使っていないとのこと。素晴らしくスムースで果実味豊か、素直できれいなワインだこと!  なんで、こんなにステキなんだろう・・・でも、その疑問は30分後にスッキリ。というのも、あまりにも豊かで楽しい暮らしをしているのが、ランチをご馳走してもらったお家やファミリーの雰囲気からわかったから。こういう生活してれば、きれいになるもんなんだ、やっぱり。