CHRISTOPH PACALETクリストフ・パカレの無事収穫を終えました。マルセル・ラピエールの甥にあたり、フィリップ・パカレの従兄という自然派ファミリーの中心的存在。マルセル亡き後の自然派精神の真髄継承と自認しているクリストフ。人当たりのソフトさが心地よい人物。 料理人よりの転身。若い頃は南半球のフランス領の島でレストランをやっていた。30代にフランスに戻ってマルセル・ラピエールの後押しもあって醸造所を立ち上げた。大きな視野をもったゆったり感がワインに表現されている。 クリストフが焦ったところを私は見たことがない。人生、何か悟ったところがある。若い頃、フランスを脱出して世界を見てきたことが、大きく彼の生き方に影響を与えているのだろう。 9月17日より収穫を開始して、一週間で終了した。12年はクリストフにとっても難しい年だった。クリストフはそれでも普段の態度と変わらず、やるべきこと、できることを最大限に実行した。収穫人も近所の良く知っているメンバーのみでやった。 晴天に恵まれて、ブルイ山の斜面での収穫。2012年の収穫量はここでも少なかった。でも葡萄自体の品質は良質だった。和気あいあいの雰囲気の中で収穫が進んでいた。やはり、健全な葡萄を選ぶ選別を注意深く指導していた。
クリストフの醸造所はモルゴン村からコート・ド・ピの丘の横を走る山道を通って10分ほど南に移動するとある。 醸造所から見る景色がこの写真だ。ボージョレ中にエネルギーを送っているコート・ド・ブルイ山だ。今日はこの中腹で収穫をやっている。 ブルイ山の斜面は結構な急斜面だ。収穫は常に下から登りながら行われる。上までたどり着くと、再び歩いて下がり、登りがら収穫を始める。この方が腰が疲れなく収穫しやすい。かなりの重労働だ。上までたどり着けばひと休憩が入るのでそれを目指して頑張っている。 収穫人は各自バケツをもって収穫する。そのバケツが葡萄で一杯になるとポルトゥールと呼ばれている運び人が一杯になったバケツを中腹に設置してあるカジェット(箱)まで運んでくる。このは運び人の仕事があ実に重労働なのだ。葡萄が一杯になった斜面を往復しなければならないからだ。 葡萄を醸造所まで運ぶこのカジェットは15Kg前後の葡萄が入る。下の葡萄が潰れない重量になっている。除梗しない葡萄房を丸ごと発酵槽に入れる自然派の造りには大切な入れ物だ。葡萄が潰れると雑菌が繁殖してしまう危険性が増えるからだ。 12年は開花時に雨が降った為、ミルランデールと呼ばれる小粒まじりの葡萄房が多い。収量は極端に減るけど濃縮感のある良質のワインができあがる。まさに2012年を象徴するような葡萄房だ。 葡萄園から醸造所まで運びこまれた葡萄。例年なら冷蔵庫に入れて一夜冷やすのが自然派の造り。葡萄自体の温度が高いまま発酵槽に入れると雑菌繁殖や酸化の危険性が増えるからだ。今年は朝の気温自体は8度と低い為、その必要はなかった。 葡萄選果を徹底したお陰で健全な葡萄が運びこまれた。クリストフもホットして喜んでいる。2012年はボジョレ中の醸造家が収穫を諦めなければならないか?と思うほどの状況だった。そんな中、収量は例年の50~60%の量になるだろうが、こんな美しい葡萄が最終的に収穫。 嬉しさのあまり、葡萄をくわえてバッカスの真似をするクリストフ。こんなお茶目なとこを持っているのもクリストフらしい表現だ。クリッストフ『この写真を日本の皆さんに送ってくれ!』よほど嬉しかったに違いない。 クリストフ・バッカス

今日は収穫の後、醸造所に皆、集まって一杯を交わした。厳しい斜面の収穫も終えてホットしたところ。このひと時がたまらなく楽しい。ここは近所の人達が集まった気心を知った人ばかりだ。クリストフらしいホワットした自然な雰囲気だ。 近所の醸造家、ニコラ・テスタが遊びにやって来た。ニコラはプリューレ・ロックでパカレの後、醸造長を3年務めあげた人物だ。近所なのでアペリティフの時間頃になると時々やって来る。ニコラのワインはピノッテして限りなくピノに近いガメを造る名人だ。 クリストフもトロンコニック型の木樽を発酵槽に使っている。自然派の造りには柔らかさが表現される。 プレス機は勿論100年以上も経った垂直式圧搾機。グラップ・アンティエール・MC発酵の圧搾にはも最も上品に絞れる必需品。どちらも独立する時にマルセル・ラピエールより寄付されたものだ。 クリストフが最も信頼している仲間です。結論として50~60%減の低収穫量ながら厳しい選果作業を徹底した醸造家のみが、品質の高いワインできる年。自然派の造りは、厳しい選果をやらざるをえない。ことしこそ自然派の品質の高さが分かる年になるだろう。 最後にクリストフの畑から見た美しいリヨン方面の全貌、リヨネ山が遠くに見える。こんな景色を見ながら育った葡萄が我々に感激を届けてくれる。