フランスで最も霜被害の多い地方の一つがロワール地方。
ロワール河の影響で冬でも時々は温暖になりやすいこともあって、葡萄の芽が早く芽生えやすい。
しかし、北に位置しているので春先の寒波も来やすいことが問題。

特に昨今の温暖化からくる暖冬が、葡萄の生態に大きく影響を与えている。
ほぼ毎年の如くに“霜”被害の危機にさらされている、といってもよい。

特に、今年の4月の寒波は期間が10日間という異常に長かったのが被害を大きくした原因だ。
マイナス6度という朝が10日間も続いた。

場所によっては90%以上もやられた畑がある。

規模の小さい5ヘクタール以下の蔵では、思い切って剪定を遅くやって、葡萄の樹勢を押さえて発芽を遅くする、という対策をとることが可能。

小規模な醸造家は最小限の被害で逃れたところがある。
でも、湿気の多い地区では、例外なしに90%以上の被害になっている。
非常に厳しい状況であることはまちがいない。

けなげにも10日間のマイナス6度という寒波に見事に耐え抜いた芽達に
“よく耐え抜いたな!頑張ったな!”と思わず声をかけてしまった。

人間にも忍耐強い人、屈強の人がいるように、葡萄にも同じ条件の苦難にも見事に耐え抜いた、運よく生き残った芽がある。
色んなことを考えていました。

こんな苦難を乗り越えた2021年産のミレジムは凄いに違いない。