Salon de vin “Indigenes” ワイン見本市アンディジェンヌ Part-8

ワイン産地でその地の歴史を変えるのは、いつも他の地方からやってきた異邦人だ。
葡萄栽培、ワイン造りの伝統は、長く深い歴史の上に成り立っている。
この伝統を変えることができるのは、よほどの頭の柔軟な人で、繊細な感性を持っていないとできない事だ。


ジェラール・ゴビーは仏系カタルーニァ人であるルシヨン地方の土着の人。
まさにアンディジェンヌ。
ジェラールは物凄い勉強家で、歴史の流れのことをよく知っている。
ある時、日本の話しになり、武士の徳川時代から平和的変革した明治維新のことを詳しく知っていたのでビックリしたことがあった。
特に、時代の流れには敏感な感性をもっている。

フランスの全醸造家が濃いワイン造りを目指していた90年代。
このゴビーも濃厚なワインを造っていた。
しかし、敏感で鋭い感覚を持っていたジェラールは既に97年ごろから繊細なワインのスタイルに移行し始めていた。


彼のMONTADAモンタダも90年代中盤までは超濃厚なスタイルだった。
栽培方法、醸造方法もラディカルに変えていった。
伝統に埋もれている人達にとっては、このゴビーの変化に驚いた人達が多かった。

そのモンタダも、今では、色も薄めで繊細な上品なスタイルになっている。
カタロニア地方土着の人間で、自ら変化できたのは、このゴビーのみだ。素晴らしい感覚の持ち主。

結果的に、今の自然派の最先端のスタイルと限りなく近づいてきている。
全く違う方向から、“よりよく”を目指して突き詰めてきた人達が接近してきた。