確実性の男・ジェロームDOMAINE LES CLAPAS

南ローヌ・アルデシュ地区の確実性の男・ジェローム・ジュレ
DOMAINE LES CLAPAS  ドメーヌ・レ・クラパス


アルデッシュといえば自然派の大御所マゼル・やジル・アゾニがいる。自然派が育つ人的土壌が存在する。二人の大先輩の影響を享けて、今、アルデッシュを代表する自然派醸造家に成長しつつある確実性の男ジェローム。
何故、確実性の男か? ジェロームには浮いたところが一切ない。ここまで来るのに充分な準備と経験を己に架してきた。自分が確実に行けると思うまでは試行錯誤を繰り返し研究を続行する。ジェロームが動いた時は、確実に本当に美味しいワインがそこにある。安心してワインを飲むことができる。よく自然派醸造家にみる還元臭ビンビンとかやや酸化気味というようなことはない。自然派独特の果実味がたっぷり乗っていて、なおかつクリアーでしびれるほど美味しい。いつ飲んでも満足度の高いワインを造りだしてくれる。

6年間の修行時代を超えて積み重ねた現在


独立する前は、6年間のあいだコート・デュ・ローヌ、ボジョレー、ブルゴーニュ、ボルドーのいろんな産地で働き、生産者から現場で教わりながら経験を積んだ。自然派ワインに興味を抱くようになったのは、ローヌ地方南部を代表する二人の自然派ヴィニュロン、ジル・アゾーニと、マゼルのジェラルド・ウストリックに出会ったからである。

また、ボジョレのフィリップ・ジャンボンとも大の仲良しだ。それでも、一歩一歩しか進まない、(PAS A PASパ・ザ・パ)、その姿勢がそのままワインの名前になっている。

3月に入り剪定も最終段階のレクラパス


PAS A PASに入るカリニャン

レ・クラパスの醸造所に最も近い畑“ラブリ” 。ここにはカリニャン、グルナッシュの古木、34歳のカベルネ・ソーヴィニョンがある。区画の横のイビリ小川が流れていて、比較的遅熟の畑区画である。カリニャンとカベルネ・ソーヴィニョンはお父さんが植えた。グルナナッシュはお祖父さんが植えたものだ。先代達が残してくれた畑で、ジェロームは今、美味しいワインが醸せる。

剪定は樹液が上に登りだす頃が最もよい。
最近は収穫が終わるとすぐ剪定を初めてしまう醸造家が増えている。しかし、11月はまだ樹液が下に向かっている時期である。切り口から樹液と一緒に菌が根まで入りやすい。病気にかかりやすい。3月は右の写真のように樹液が登ってきている。この時期に剪定するのが最もよい。理想的だ。菌が内部に入る心配がない。

L`ABRI ラブリというここの畑区画が名前になっているワインがある。お父さんが1976年に植えた自慢のカベルネ・ソーヴィニョン100%を仕込んだワインだ。左がカベルネ・ソーヴィニョンの葡萄。

ジェロームのトラックでレクラパスの畑巡り

標高が高いフェスキエ区画

この区画はお父さんが1980年に開拓して植えたグルナッシュが植わっている。ここからはEN AVANT DOUTE アナヴァン・ドゥットという名のワインを醸している。
グルナッシュ100%のSO2なしの果実味豊かでグイグイ飲めてしまう感動的なワインだ。


この区画のグルナッシュに特別な感情を持っているジェロム、観察する目が違う。


ジェロームはこの区画が大好きだ。
何故なら、ここのグルナッシュが最も健全に完璧な葡萄が収穫される区画だからだ。
自分が狙っている自然な造りを思うように挑戦できる確実性の高い区画だ。

フィロキセラ以来中断していた歴史的テラス式葡萄園を復活させたジェローム


COTEAU DE SAINT GIRAUD コトー・ド・サン・ジロ区画

村役場も歴史あるこの葡萄園の復活を模索していた。若いやる気のある醸造家を探していた。ジェロームが6年間の修行を終えて村に帰って来た時だった。ジェロームにとってまたとないチャンスに恵まれた。結局、ジェロームがこの歴史あるコトー・ド・サン・ジロ区画を栽培・醸造することになった。

ジェロームが多きな期待を寄せるメラニ区画とファントリー区画のシラー品種


この二つの区画は斜面続きで上下に隣り合わせになっている。最も風通しがよく、水分も土壌に蓄積されていて、どんなに乾燥した年でも酸を確保できる土壌だ。ジェロームはここにシラー品種を植えた。北ローヌと南ローヌの中間に位置しているアルデッシュでもここならシラーが素晴らしくなると確信した。

素晴らしく複雑性を備えた土壌

粘土石灰質土壌の20センチ地下には太古の昔、元海底だった頃の石灰岩盤の層があり、場所によっては貝類の化石が地表に転がっている。根っこは岩盤の割れ目に沿って地中深く伸びている。10メートル上下に歩くと土の色が全く変わってしまうほどバラエティーに富んだ土壌だ。

さあ、醸造所に戻ってテースティングだ。

なんと2009、2010と2年分のミレジムは発酵・熟成中だ!


2009年は非常に乾燥した年で4月から一切雨が降らなかった。だから非常に濃縮された葡萄が仕込まれた。自生酵母のみで発酵させる自然派の造りは、こんな乾燥年はアルコール発酵が大変ゆっくりだ。09がまだゆっくり発酵している。冬の寒い時期はアルコール発酵が止まってしまい、3月に入って発酵が再び始まってきた。
非常に危険を伴う醸造方法をあえてとっている。あくまで自生酵母と妙な人的テクニックを使って早く発酵を終わらせようとはしない。これが、自然派の人達の見えないところで大きなリスクをおいながら、自然を尊重してワイン造りをしている大切な事実だ。

★ソーヴィニョン・ブラン10
92年に植えた若い木、10年は開花時期に霜にやられて50%しか収穫できなかった。6樽しかない。25HL/Hの収穫量、まだ発酵中で濁っているけど、キリットしまった酸が心地よい、旨味も乗っている。
★シャルドネ1010年のシャルドネは6月の雹の為に壊滅的な被害を蒙った。たった1タル分しかなかった。まだ、残糖が多く甘い状態だった。収量が少なかった分濃縮感のあるスタイルに仕上がりそう。
★ヴィオニエ10
これはかなり発酵がすすんでほぼ残糖が感じられなかった。南のヴィオニエ独特の過ぎた果実風味がなく実にスカットしたスタイルに仕上がっている。酸もヴィーフと言ってよいほどスカットしている。
★ユニ・ブラン09
ほぼアルコール発酵が終わっていた。収量が少ない分、濃縮されているが、品種独特のスッキリ感がある心地よいスタイルだ。

★シャルドネ09
まだ、わずかに残糖が残っている。今は発酵もストップしている状態。まだ一回もスーティラージをしていない。つまり、1年以上もシュール・リ状態である。その為か、かなりグラな脂質を感じさせている。その上、ミネラル感も素晴らしく締まりもある。仕上がりが楽しみなシャルドネだ。
★カベルネ・ソヴィニョン10
CUVEE L`ABRIラブリ用のCSだ。樹齢34歳となりずっと自然栽培のおかげで根っ子も深く伸びていてミネラルも酸もバランスが良くなる頃合いだ。09は残念ながら揮発酸が発生してしまったから出荷はしない。
そのかわり10年は素晴らしい品質となっている。まだ熟成中ながら濃縮感と酸のバランスが抜群で爽やかな果実味のバランスとなっている。グイグイ飲めてしまうカベルネ・ソーヴィニョンとなるだろう。ジェロームも過去最高の品質だと思うと満足している。でも09年の失敗を踏まえての10年の成功といえるだろう。10年は除梗を一部実行している。グラップ・アンティエールの難しさを経験しているからの成功といえる。

★PAS A PAS パ・ザ・パ09
やっと09のパ・ザ・パが4月にビン詰めされる予定だ。すでに品種間のアッサンブラージが済んでいた。アルコール度数11.50の上に果実味がたっぷりでグイグイ飲めてしまうザ・シゼンハのワインだ。
カリニャン、グルナッシュ、アリカントのアッサンブラージ。
アリカントのお蔭で色調は薄くはない。アタックでグルナッシュとアリカントの果実味が広がって、次にカリニャンの涼しい果実味と旨味、爽やかさが広がり、実に心地よいグイグイ・タイプのワインだ。
★EN AVANT DOUTE アナヴァン・ドゥト 09
グルナッシュ100%、この蔵でも最も健全に葡萄が育つフェスキエ区画の畑の31歳のグルナッシュを仕込んだもの。果実味の濃縮感が素晴らしい。ミネラルからくる旨味がたっぷりである。心が躍るほど美味しい。全生産量が3000本しかない。売りに出せばすぐ完売となるだろう。

★L`IBIE リビ 09
ラブリ区画の最も川に近いところに栽培されているメルロー80%、とシラー20%。03並みに乾燥した09ならではの濃縮感があるスタイルとなった。アルコール度も14度とレ・クラパスでは強いワインとなった。
その他、試作中のワインを色々テースティングした。
★VENDANGE TARDIVE ヴァンダージ・タルディヴ06
ヴィオニエのボトリティスがも混じったもの。4年間アルコール発酵が続いているもの。70gの残糖で、SO2無添加の甘口ワイン。1樽しかない。
★VIN DE PAILLE ヴァン・ド・パイユも試作中 など

家族を大切にしているジェローム


訪問中にお母さんがやって来た。
ジェロームの悩みは家族と過ごす時間をあまりとれないことだ。
自然派ワインの醸造と経営はなかなか難しい。
09年は2年間の発酵が続き出荷できない。
失敗にしないように最善を尽くすと家族との時間がとれない。
2人の娘がいる。今日は上の女の子の10歳の誕生日だった。
奥さんもシンプルで自然な気持ちの良い人だ。
幸せな家族を守っているジェロームの自然派を応援したい。

3年前に親友のフィリップ・ジャンボンと日本にやって来た。

オザミ・ブラッセリーでのひと時

日本のワインファンと接して本当に嬉しそうなジェロームでした。

心からお勧めできる人物であり。
心が和む美味しいワインです。

日本での問い合わせ先

野村ユニソン社  
東京都中央区銀座1-10-19銀座一ビル7階  03-3538-7854

1-PAS A PAS パ・ザ・パ
2-EN AVANT DOUTE アナヴァン・ドゥト
3-L`ABRI ラブリ
4-LA CLE DES CHAMPS  ラ・クレ・デ・シャン