若いヴィンテージや、ちょっぴり個性の強い自然派ワインをより美味しくいただきたいとあれば、抜栓後に空気としっかり触れ合わせるアエラシオンがお役立ちの手。ドボドボ激しくデキャンタをするのが一番、という輩もあれば、フィリップ・パカレやマルセル・ラピエールのように物理学者が設計した運動エネルギーの法則に従ってワインが活性化するという、魔法のランプ風物体(オヴァリウス)を使う向きもある。もちろん、そのまんまが美味しいんだから・・・というご意見はごもっとも!
そんでは、最近のパリの自然派大好きワインバーではどうか・・・っていうと。何にも言わなければボトルのまま出てくるパターンがほとんど。そんな中、昨年秋にオープンしたRacine(パリ2区メトロGRAND BOULEVARD駅近くのパサージュパノラマ内)でのひとコマ。ギャルソンにワインをオーダーすると、彼、ワインと一緒に一般には水用の口の大きいカラフを手に登場。「する?」と聞かれたので、「して」とお返事。ギャルソン君、一気にカラフに移すと、おもむろに掌で口をフタして振る振る・・・。あらあら、掌真っ赤。まあ、自然の摂理だけど。「どうぞ」なんて、さりげなく、そしてスマート・・・(もちろん掌は真っ赤のまま)。
いやあ、イマドキのアエラシオンは掌なんですなあ。