ぶどう畑の天使、アクセル・プリュフール

彼と初めて会ったのは、ロワールの自然派試飲会場。ブースに立っていた彼は、色白で細身、とても優しい物腰で、ワインを試飲させていた。それを見た時は、この蔵元の息子が手伝いに来ているのだろうと思っていた。
どこから見ても、ぶどう栽培が似合わない、ただただ優しい雰囲気を醸し出していた。
そんな彼、アクセル・プリュフールが、このLe Temps des Ceriseを立ち上げた男であったのだ。

この、Le Temps de Cerise 、フランスのシャンソンの題名でもあるが、この地域には、数千本の野生のサクランボの木が生えており、春には、山あいが、桜色に染まるという。 そんなドメーヌのある場所は、もう国の自然公園に入る手前、フォジエールから北に向かった、ベダリュー村の近く、村にはローマ時代の水道橋が残り、険しい山に囲まれ、オーブ川が流れ、まさに野生の自然に囲まれた所である。 車で向うと、地図上では、近くても、細い山道で、高低差もあり、なかなか到着しない、まさにラングドックの秘境である。


アクセルはドイツ人である。

ドイツ人というと、身体が大きくパワフルな人種を想像するが、彼がドイツ人とは、全く信じられない。

ドイツを離れ、このラングドックの地にたどり着いたわけも理解できるような気がする。
「ドイツ人は真面目で面白くない」 やはり、このラングドックのゆったりとした時間の流れ、生き方に魅せられたのだろう。 

このドメーヌの設立は、2003年。それまでは、有名な自然派生産者、ローヌのマルセル・リショーや、ルーションのジャン・フランソワ・ニックなどのところで、いろいろ経験を積んだそうだ。

今のぶどう畑を手に入れた理由は、いろいろぶどう畑を回ったなかで、そのぶどう畑に足を踏み入れたとき、「ここだ!」という自分の共鳴する何かを感じたらしい。


そのぶどう畑は、山の頂上で、彼の区画以外は、他のぶどうの樹はなく、栗の木など森林に囲まれ、畑には、花が咲き乱れる。

彼は、「できるなら、いつも裸足で、この区画に入りたい」 という。そこに生えている花を踏みつぶさないように歩き、野生のイチゴみたいなものを摘まんでは口に入れている。 

なんだかぶどう畑と一体化しているような感じを受けるほど、この畑を想っているのであろう。

今回は、2008年ヴィンテージを試飲したが、全てがピュアで果実味あふれ、ワインというより、ぶどうジュースを飲んでいる感覚であった。 朝食に出てきても、何の違和感もなく、スーッと飲んでしまうであろう。

1)Avanti Popolo 2008
グルナッシュとカリニャンがメインのキュベ。マセラシオン・カルボニックにて発酵。
蔵元の名前のごとく、サンクラボを連想させるような果実味。ピュアで何のつっかえるもなく、喉元に入っていくワインである。

2)Fou de Roi 2008
グルナッシュ、カリニャン、サンソーそしてカベルネ・ソーヴィ二ヨン。これは、シスト土壌の区画。ぶどうの熟度を感じる。タンニンは滑らかで繊細、全てのバランスが取れている。 イチゴジャムを食べているかのような味わいである。

3)Les lendemains qui chantent 2008
歌える明日。素晴らしいキュベ名である。グルナッシュ100%。
とてもフローラルで、ヴォイオレットなどを連想させる香り、以前は、プリューレ・ロックから古樽を購入して熟成させていたが、今は樽は一切使用しない。標高450mの水晶は花崗岩の混ざる土壌。南のワインとは思えない、軽やかさを持っているワイン。

4) Un pas de cote 2008
石灰質のグルナッシュの区画。 スパイシーで深い味わい。熟度は高く、しっかりとした脂質もある、ただしタンニンは、スムーズ。これは、除梗をして、ピジャージュを行い、マセレーションの期間も他より長い。

アクセルは、ぶどうの収穫は、午前中に行い、収穫したぶどうは、カーヴの横の冷蔵庫で冷却、そして発酵中の温度コントロールは一切しない。 
また、Un pas de coteのピジャージュを除いて、りモンタージュなどの抽出作業は一切やらない。

そんな彼のワインは、ピュアでフルーティー、そして彼の優しさを感じさせるワインである。飲む人、みんなを幸せな気分にするような力が、このワインにあると思う。


アクセルは醸造においてもSO2をビン詰めまで一切使用しない。
そのため、全てのワインはVDT(テーブルワイン)となっている。
この近隣の既存の生産者達は、彼にSO2の使用を強く進める。使用しないと
AOCの認可を与えないと恫喝までするそうだ。

しかし、自然が好きで、この土地を愛す彼は、そのテロワールを尊重して、
一切の化学物質を使用しない。そんな彼のワインは、パリだけでなく、
ベルギーなどでも評判になっている。 やはり、彼のワインの良さを理解
してくれる人たちは世界中にいるのであろう。

毎日飲みたいワインは、このLe Temps des Ceriseに決まりである。
飲んだだけで優しい気分になれるワインである。

2008年ヴィンテージ全キュベ9月上旬日本上陸!!!
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