自然派ワインビストロ・Brutalブリュタル

もう、私もKishoもJunさんもまるで催眠術にかかったかの如くにオリオル・アルティガスOriol Artigasのワインに魅されてしまった。
私は仕事がらビストロにくると、色んな造り手のワインを試すのが普通。でも今日はそんな理性が働かなかった。

3本目は El Rumbero エル・ルンベロ

Oriolオリオルさんが今借りている醸造所マス・ペリセールMas Pellisserの周りにある畑の葡萄を仕込んだもの。
花崗岩土壌に育つ17歳のメルローを、ダイレクトプレスしてブラン・ド・ノワールのジュースをとり、シラー品種とグルナッシュ品種を5日間マセラッション(カモシ)したものを、合わせて醸造したワイン。
メルローの爽やかさにシラー、グルナッシュの果実味、僅かなタンニンで、まるで水のように喉を通り過ぎていく凄い奴。

全く違う造りのワインやジュースを組み合わせて醸造するという発想の造りが凄い。
最近の若手の間で頻繁にやられている造り。今までの造り手にはなかった発想。

その昔、日本で新しい世代の事を“戦争を知らない子供達”と呼んだことがある。
この自然派新世代のことを、“マルセルを知らない子供達”と呼びたくなってしまう。

Marcel Lapierreマルセル・ラピエールは化学剤や人為的な妙なテクニックで化粧されたワインに対して、Vin Natureという言葉で表現した。
今の若手は、もうそのスタードは過ぎている。
自然が当たり前で、最初から次の段階のことを考えている。
こんな造りのワインに触れる度に、ある時代が物凄いスピードで進化しているな、と痛感する。

毎日、移動しながら色んなワイン、色んな造り手と出逢いながら、この自然派ワインの世界がどんな方向へ、どんな形になっていくのか、あれこれ思考しながら楽しめるのが最高に嬉しい。

豚とコシのある海藻を合わせてソーテした一皿にピッタリ、そしてほぼ生に近い牛に合わせた。
それは、もう格別でした。