クリストフ・パカレは雨が降ることを信じていた。いや賭けていた。
収穫を遅らせていた。
9月初旬に雨、続いて必要な量だけが降った。
降りすぎることなく、それ以下でもなかった。
まるで神様が雨の量を決めていたようだった。

今年、クリストフのところでは、フルーリーとムーラン・ナ・ヴァンの区画は雹に酷くやられた。
まだ、何が起きるか? 実際に収穫して発酵槽にいれるまでは安心できない。

初日の収穫は慎重に、注意深くやった。
雹が当たった部分を細かく切り落としながらの収穫だった。

収穫が進めば進むほど思っていた以上に葡萄達は健全で無傷のものが多かった。
クリストはチョット安堵した。