美食の街PARIS・舌の肥えた大物著名人を包丁一本で和の味覚で魅了していた大野シェフ

今夜は大阪から東京へ新幹線で移動、旅行鞄を持ったまま“大野”に直行。
フランスに住んでいる私にとって、いつも和食に飢えている。日本でも美味しい和食に美味しい自然派ワインが飲めるレストランが少ない。
本当に残念でならない。とびっきり美味しい和食を造るシェフは沢山いるけど、腕のいいシェフほどワインには無関心な人が多い。ミネラルのきいたイオデな潮っぽい自然派ワインは、和食の美味しさを何倍にもひきたたせてくれるのに。繊細な技の和食ほど最高のマリアージなのに。残念でならない。
でも、東京・銀座に、この大野さんがいる。

大野さんとは、彼がフランス・PARISの幻の和食店“伊勢”の和食部シェフをやっていた時代からの知り合いだ。 あの高田KENZOさんが自分の食堂のように通っていた店。その他にも、フランスの銀幕の大スター・カトリーヌ・Dさんなど映画俳優や仏国トップ政治家など多くの著名人が出入りしていた名店“伊勢”で腕を振るっていたのが、この大野さん。思い通りの食材が手に入らない状況の中で、フランス現地で手に入るもので試行錯誤を繰り返して、和の味を追究し、美味しいものを知り尽くした人達を魅了していた大野さんの技は和を超えた何かを感じる。
私は日本に来た時は、時間の許される限り寄ることにしている。
東京都中央区銀座7−2−20 電話:03-3571-4120

日本滞在記―TOKYO- 和食・大野
今夜のソワレは楽しいメンバーが集まりました。来日中の自然派ワインの世界でレジェンド的存在のDARD ET RIBOのルネ・ジャン・ダール夫妻、フランソワ・リボ夫妻。今、東京でビストロでは予約が取れない新進気鋭のビストロBISTRO SHINBAの菊池さん、同じく、長蛇の列で有名なお好み焼“きじ”のトップ戸田さん、最近、銀座にAUXAMIビルを建てた丸山さん、自然派ワイン・インポーター・ラヴニール大園さん、CLUB PASSION DU VINの竹下とまどか、以上の飛びっきり楽しいメンバーで和食、大野を楽しもうというソワレだ。
気配りの大野さん、今夜の特別メニュを達筆な筆で作成してくれた。

日本滞在記―TOKYO- 和食・大野
美食の街PARISの舌の肥えた大物著名人を、包丁一本で和の世界にひき込んで魅了していた大野シェフの技。

海のもの、山のものがちりばめられた逸品にはダール・エ・リボのSAINT JOSEPH 白12年を合わせた。

花崗岩土壌のルーサンヌ品種が主体の白。12年は穏やかな太陽だった。酸が心地よく残り、よく熟した葡萄しか仕込まないダール・エ・リボの白には残糖ゼロでも味覚上には常に、メモワール・ド・シュークルと云われるほのかな甘さが感じられる。
これが“和”の味覚にピッタリ調和する。そして、大切なのは花崗岩からくるキリッと締まった、やや塩っぽさを感じるミネラル感も海の幸にも山の幸にも調和をとることができる逸品だ。

世界の築地に近い銀座、魚の鮮度は抜群。
刺身にもSAINT JOSEPH 白であわせた。
ウーン、メモワール・ド・シュークルのほのかな甘味が
白身の爽やかな旨味に合わさると素晴らしい相乗効果となって舌をとろけさせてくれる。

和食・割烹で自然派ワインが普通に出てくる銀座・大野

ソロソロ白から赤へ、ソムリエの丸山さんがフランソワ・サン・ロのOn l’aime nature!オンレイム・ナチュールを注いでくれた。
マグナムを片手で軽々とサービス指定くれた。

白から赤への中間にはもってこいのワインだ。
ヴィーフな酸、軽めなアルコール、スカットした透明感、魚介類の多い。和食にピッタリの赤である。
ルネ・ジャンもフランソワも本格的な和の世界に大喜びだ。
桜の花が入ってた山菜鍋 C’est le printemps 14
フタを開けると桜の香りがホワリと立ち昇ってきた。山菜鍋にはル・プランタン14をやった。カモシ期間の短い爽やか造りのシラーはキノコと煮野菜に合う。軽めの造りでも花崗岩のミネラル透明感が口中をニュートラルにしてくれる。

旨味のかたまりの日本のカニは私の大好物。
丹念に身を掘り出してくれていて、あとは食べるだけ。

このスタイルのカニはフランスにはない。
旨いもの好きの皆のほほが緩み笑顔が自然に出てくる。

日本滞在記―TOKYO- 和食・大野
さあ、本日のメーンイベント!! 特性 すき焼き !!
今日の会は、ルネ・ジャンがすき焼きを食べたい!と言い出したのが切っ掛けとなった。初来日のフランソワ夫妻はまだ薄切りの和牛も、すき焼きも食べたことがない。そこに大野さんの技が加わって飛びっきり美味しい好き焼きが実現。
大野さんが鍋と霜降り和牛をもってやって来た。

今夜は鍋奉行が沢山いる。奥のテーブルはビストロ・SHINBAの菊池さんがいる。

フランソワ・リボも薄切りの霜降り和牛を見てびっくり。フランス人にとっては和牛を食べるのが一つの夢。もう目が肉に集中。生でも食べそうな雰囲気。

フランソワはこのすき焼きの事を一生忘れないだろう。

同じ鍋を、仲間達と一緒に分け合いながら食べる日本の鍋文化は、まさに“和”の世界そのものではないだろうか。鍋奉行、食べるスピード、分け合い、鍋を囲むだけで
メンバーの気持ち、性格が分かってくる。

それぞれの分野で走っている人達が,一部屋に集まって、飲んで、食べて、話し合うこの時間が素晴らしい。飲むもの、食べるものもエモーション・感情が伝わってくる。
体も精神もレストレ・再生されていくのを感じる。BON VIVANT !!

日本滞在記―TOKYO- 和食・大野

DARD ET RIBが日本で飲まれで20周年記念。
全国を周っている最中のひと時の晩餐会。
良く笑い、よく食べ、よく飲んだ一夜でした。
大野さん、演出有難う。忘れられないソワレでした。
佳き食べ物、佳きワイン、佳き友、佳き瞬間、
全部揃って人生の一コマ。
元気100倍。
明日への英気を蓄えました。