ワイン造りを初めて25年の歳月が、ROMANEAUXのエルヴェ・スオ

ワイン造りを初めて25年の歳月が、ROMANEAUXのエルヴェ・スオ

歌舞伎役者の“睨み”のような眼光をもっている。目に力がるエルヴェ・スオ。
出身はパリ、つまりパリジャンだった。妻のベアトリスの実家がある北ローヌにきた。
1990年にリヨンにてワイン醸造の勉強をしていた当時にフィリップ・パカレに巡りあった。フィリップ・パカレはビオ・ワイン機関で働いていた。知り合ってすぐにフィリップはPrieure Rhocプリューレ・ロックで畑らき出した。
フィリップに色々聞きながら91年より買い葡萄で少量の試作ワインを造り始めた。
フィリップはロックの仕事で忙しくなってきたので、エルヴェに助言した。
『近所のDard et Riboのルネ・ジャンのところへ研修すべきだ。』と勧められた。
92年にダール・エ・リボ醸造で一年間の研修をした。
93年より正式に自分のワインを造りだした。つまりエルヴェはルネ・ジャンの造りとフィリップ・パカレの二人のワイン造りの流れを継承している。
奥さんのベアトリスの家系は、サン・ジョゼフと北ローヌに畑を所有していた。
北ローヌの山間部に醸造所付きの小さな城をもっていた。
450から480mという標高の高いミクロ・クリマを備えている。
土壌は花崗岩、表面は花崗岩が風化してできた砂で覆われた土壌。標高の高さからキリットした酸、砂質の層から繊細なタッチがワインに表現されている。
最近のRomaneaux ロマノのワインはこの特殊なクリマを真っ直ぐに表現している。何段階もレベルが上がっている。
自然派の超美味の域に入ったROMANEAUXロマノのエルヴェ

Romaneaux ロマノがあるArleboscアルルボスク村までは、エルミタージュより25kほどの距離。
日本の箱根のような温泉場へ行くような山間、谷、沢の景色を見ながらクネクネの山道を越えて行く。
まさかこの山間の先に葡萄園があるとは想像もつかないような風景を通り過ぎるとチョットした台地があって、そこに小さなアルルボスク村がある。
その村の入口にお城のような大農家の館がある。
そこがドメーヌ・ロマノである

今日は、日本のインポーターであるDIONYのメンバーとやって来た。
DIONY社は年に数回はフランスまでやって来る。
しかも毎回、メンバーを替えて、できるだけ多くのスタッフに現地経験を積んでもらおうとのことだろう。
一軒は百聞に如かずを実践している企業だ。
素晴らしい社風だ。

来仏したのはもう10日以上前、それにもかかわらずメンバーが皆元気だった。

今回は美人女性が二人メンバーに加わっていて明るい雰囲気。
各自がキッチリと役割が決まっている。通訳に専念する人、
運転と全体を観る人、醸造元の一言一言を筆記する人。
素晴らしいチームワーク。
折角現場で体感したこと、感動したことを帰って日本の皆さんに伝えたいとの意欲が凄い。

銘醸テロワールとHerve SOUHAUTエルヴェ・スオ
ここアルデッシュ山間部はガメ品種が昔から主力だった。
ローヌ河右岸のアルデッシュ地方は、130年前までは、つまりフィロキセラ以前は葡萄が至る所で一面に栽培されていた。

フィロキセラ以後、復活せずに野生化してっしまった葡萄園が多い。その中でも、勇気をもって、葡萄栽培を続けていた農家が点在している。ただその葡萄をキッチリと醸造する人が今までいなかった。
だから、アルデッシュのワインの名前は誰も知らなかった。

標高の高く、熟すのも遅いので近所のエルタージやコルナスにようにアルコールが高い濃縮ワインにはならなかった。90年台からの濃縮ワイン至上主義の時代には忘れ去られていた北アルデッシュ山間部であった。

ところが、近年になって繊細、上品さが評価されるようになると、まさに最高のミクロ・クリマを備えている地方だったのである。ただ造り手がいなかった。

RomaneauxのHerve SOUHAUTエルヴェ・スオ登場は、偶然ではないだろう。
フィリップ・パカレとダール・エ・リボの造りの流れを継承したエルヴェは、この北アルデッシュ山間部の土壌の価値を世に知らしめる為に生まれてきたと云っていいだろう。テロワール(花崗岩、高い標高)、葡萄(ガメ)天、あとは人(エルヴェ)が揃えば、凄いことになる。ダイヤモンドも磨かなければただの石ころ。エルヴェはダイヤ原石の様なここの土壌に磨きをかける為にやって来た人だ。
この土地のもつ能力を引き出す役割を引き受けたエルヴェ。
エルヴェエは8h程、畑を借りている。この北アルデッシュ山間部には元貴族の後裔が小さな城と畑を持っている。このアルルボスク村にもそんな貴族の子孫が住んでいる。彼らも最初の頃はよそ者としてエルヴェのことを見ていたが、最近ではエルヴェのやっている事を認めている。畑所有者の方から自分の畑をエルヴェに任せにやって来る。エルヴェ『彼らはお金をとらない
いんだ。』代償はできたワインを欲しいようだ。
ワインは予約で一杯で、やるものがなくて困っている様子。
アルデッシュにはこの地方独特のガメ品種が生存している。
葡萄房の粒が小さいのである。
上質なポリフェノールが期待できる。しかも、標高が高いために、最終の葡萄熟成がゆっくり
である。上質のタンニン、果実味となる。
エルヴェのガメの繊細さは、ここに由来しているのである。この時期でまだ色付いていない。

美味しくなるには、色んな条件が必要になる。
熟成倉庫は実に大切な要素の一つ。
ロマノの館の地下は、花崗岩版を切り抜いた地下層になっていて、樽熟成には完璧な条件を備えている。

さあ、2015年産のテースティング。
ディオニのメンバーはその前に聞いておくべき
事をチェック。
エルヴェの言葉を一成さんが訳すと即、皆が
ノートにとる。

Romaneaux Blanc 15
醸造所に一番近い畑
93年に植えたヴィオニエ品種とルーサンヌ品種、23歳となった。当時、エルヴェはDARD ET RIBOで修業していた。その合間の時間に植えた。ある日、ルネ・ジャンもやっていきて、花崗岩土壌を見てアドバイスした。
『ルーサンも植えた方が良いよ。』ルネ・ジャン。
エルヴェはヴィオニエのみ100%植える予定だった。
このルネ・ジャンの言葉で50%がルーサンヌになった。
ルネ・ジャンはルーサンヌのスペシャリストだ。マルサンはあまり好きではない。この土壌と450mという標高を考慮にして、ルーサンヌが適していると判断した。
23年の月日が過ぎて、それが証明されてきた。花崗岩の風化した砂質の土壌に深く根を張りその下の花崗岩盤の中にも根が到達してきた近年、このロマノの白はミネラル感と酸の調和の具合がドンピシャリで素晴らしい。ほどよい塩っぽさは、和食、刺身には完璧だ。

門の横にある大きな木の木陰で試飲を続けた。
適度の風が吹いて心地よい。
ROMANEAUXの15年産を試飲した。15年産は例年より濃縮感がある。
15年の太陽がこのアルデッシュ山間でも強かった。
でも、濃縮しても常に涼しさが残るのがエルヴェの造り。
上品さは変わらず。何ていう液体だ。

LA SOUTERONNE ラ・スートロンヌ
私はSouteronneスートロンヌが個人的に大好きだ。
60~80歳の古木の北アルデッシュのマサル方式のガメ品種。
これぞ。このアルデッシュ独特のガメを味わってほしい。
花崗岩の土壌。樹齢が古いので常に酸が伴っている。
除梗なしのグラパップ・アンティールでMC発酵。
勿論、自生酵母のみ。

Les Cessieux レ・セシユ1 5
奥さんのお祖父さんが開拓した畑、12年までは長期契約で貸していた畑を取り戻した。AC ST JOSEPHサン・ジョゼフの原点だった区画。今でこそ畑が増えたけど、ACに制定された当初は極少なかった。
レ・セシユは最初から存在していた区画。まさに“ザ・サン・ジョゼフ”と云って良い。この区画をエルヴェは長いこと待ちに待った。長期貸付契約が12年の終わって、畑を整備して3年目の作品だ。素晴らしい液体だ。
LES MARECOS のMICHEL、マレコスのミッシェル

70歳を超えて子供のような目の持ち主
また、近所の新しい畑のオーナーが是非エルヴェに醸造してほしいとの依頼。元建築会社、社長のミッシェルだ。
ミッシェルは7O歳を超えても子供のような輝いた目の持ち主。
一代で石造りの家を造る建築会社を造った人。現在は引退してけど、仕事が大好きミッシェルはじっとしてられない性格。
昔から大のワイン好き人間。
エルヴェの近所に家を構えて、エルヴェのワインを飲んで、その美味しさに驚愕。好奇心旺盛なミッシェルは葡萄園の開拓を決意した。畑を造ってエルヴェに醸造してもらいたかった。
家の周りにある斜面の林を開拓して畑を造っている。
ずっと、石と共に仕事をしてきたミッシェルにとって石を移動することはお茶の子さいさい。林の木を抜いて、石をどかして段々畑を造って、エルヴェの援助もあってマサル方式の葡萄を植えている。

突然の大雨の中をめげずにミッシェルの造った畑を見学に出た面々。
ミッシェルが一人でブルドーザーを使って石を組み立てて、段々畑を造っているところを観て驚いているDIONYの面々。

途方もない、大仕事を、ブルドーザーが倒れて大怪我をしながらも、めげずにニコニコ子供のような好奇心旺盛な目で黙々と畑を造っているミッシェル。
そんな、ミッシェルの畑のワインが14年から日本にも入ってきました。美味しいよ! 当たり前です。エルヴェが醸造しています。

LES MARECOS レ・マレコス

そのミッシェルの家で試飲も兼ねて夕食。
ワインは人だ。70にして飽くなき好奇心旺盛なワイン愛好家、ミッシェルが命を削って造る畑。

醸造を引き受けたエルヴェ・スオー。
エルヴェの醸造の技も磨きがかかっている。
美味しいに決まっている。
この品質にして価格的にもリーズナブル。
試す価値ありですよ。
何十年前もから、北ローヌ、北アルデッシュのワインを飲み続けてきたワイン愛好家のミッシェルの話しは、尽きなかった。
興味深い話しを一杯聞きました。
ミッシェルの途方もない仕事を貫徹するエネルギーが
伝わってくるようなワインだ。元気になるよ!!