14
Nov

モルゴン村の一番高い丘に構える“熊”のような存在ジョルジュ・デコンブ

George Descombes 自然派ワイン発祥のモルゴン村の存在感抜群の男George Descombesジョルジュ・デコンブ。 ボジョレの皆からはヌーンと呼ばれて愛されている。 多くは語らずドッシリしていて強面の“熊”のような存在。でも人間としての“心”の中がとてもやさしい男。 ヌーンの愛称は大きな“縫いぐるみの熊”という意味あいで皆から愛されている。 自然派ワインの初期、モルゴンのマルセル・ラピエールが頑張って広めている時代から、マルセルの元で学び共に戦ってきた貴重な人。私もジョルジュとの付き合いはもう30年ほど経っている。 1995年11月、デコンブのボジョレ・ヌーヴォを空輸で明後日の飛行機で日本に運ぶという時に、ボジョレのAOC協会がこのジョルジュ・デコンブ・ヌーヴォに対して難癖をつけてAOCヌーヴォの認可を拒否していた。 当時は、まだボジョレの有力者達が自然なワイン造りに偏見を持っていて、自然派のワインに嫌がらせをしていた時代だった。   今でこそは、笑って話せますが。もう飛行機は予約済だし、日本のインポーターも、飲食店様も皆、到着を待ってヌーヴォーを盛り上げようとしていた。 ヌーヴォが着きませんでした、なんてことが許される時代ではなかった。 私とジョルジュはお互いに顔を見合わせて、“どうしよう?!”無言の???を繰り返していました。 ジョルジュは突然に立ち上がって、 『ITO心配するな!俺はこれからAOCオフィスに行ってサインをもらうまで動かない!』 その顔は、もう真剣そのもの、静かなジョルジュも心の奥で燃えたぎっている怒りを抑えているのがわかった。 当時の若きジョルジュの熊のような体から“凛とした”湯気のようなもの立っていた。 相当な覚悟・決意を持ていたに違いない。 数時間後、許可のサインをもらって、帰ってきた。 もう私は、安心するとい同時に、“この男の気迫の凄さ”に関心した次第だった。 その後、マルセル・ラピエールと共に、ジョルジュ・デコンブの備えつきバーで、祝杯を挙げた夜のことを思い出す。 今では、ここボジョレのAOC協会は非常に協力的に動いてくれている。 今のように、美味しい自然派ワインが無事に日本までたどり着くようになったのは、マルセルやデコンブのような古参の造り手達が頑張って努力してくれたお陰なんです。もう感謝しかないですよね!! そんな自然派ワインの初期の頃の話を、体験してきた貴重な存在の一人がこのジョルジュ・デコンブなんです。 ―――――― ジョルジュ・デコンブのワインのスタイルは、独特の“酸”にある。 ビシっと締まった酸は、たまらない魅力である。 そして、背骨が真っ直ぐなるミネラルとしっかりした酒質(ワイン質)だ。 まるでジョルジュ・デコンブの精神、あの時の“動かない“凛とした”精神力が表現されている。 でも当然ながら精神力だけでは酸とミネラルはできない。当たり前のこと。 ジョルジュ・デコンブの畑はすべて標高の高いところばかり。 どの区画も、ボジョレ中を見渡せるほど標高が高いところばかりだ。 あの心地よく、料理にピッタリと寄り添ってくれる酸はこの標高なのである。 標高が高いから、葡萄が熟すのにチョット時間がかかる。だからジョルジュ・デコンブの収穫の開始はボジョレ中で最も遅い。 仲間の醸造家達が終わった頃に収穫を始めるくらいである。 今年も皆の収穫が終わった頃の9月15日に収穫開始した。 勿論、私も立ち会った。 夜明け前に収穫人達が集まって来て、小型のバスで葡萄園に向かい、ちょうど到着する頃に太陽な昇る。 日の出と共に収穫か開始する。 葡萄園での日の出は美しい! 葡萄園はシーンと静かで、まだチョット薄暗く、チャキチャキと葡萄を切るハサミの音だけが響いてくる。 何とも異次元の世界だ。 23年の収穫が次々と運び込まれてくる。 今年の葡萄の状態を見て思わず笑顔が飛び出すジョルジュ・デコンブ。 狙ったとおりの熟度と酸が感じられる葡萄だった。 2023年デコンブ・ヌーヴォーは? もう30年以上ワインを造り続けてきたベテランの技は、一朝一夕には出せない深味を備えている。 そして、目の前がパァーと開けて明るくなるような“酸”がヌーヴォーに常に表現されている。 デコンブ・ヌーヴォーを飲む度に、1995年の出荷時のことが私の頭を良き思い出として通り過ぎていく。 デコンブ・ヌーヴォも美味しいよ!外せませんよ!

24
Oct

動かざること山の如しDESCOMBESデコンブ醸造のジョルジュ・最も遅い収穫

周りの醸造家が9月最初から収穫を初めていても、ヌーン(ジョルジュ)は動かなかった。 じっと自分の葡萄が熟すのを待った。 デコンブの畑は殆どが標高の高いところにある。 葡萄が熟すのが遅い。朝と日中の温暖差が大きくなってから2週間ほど待つ。 酸を残しながら葡萄がほどよく熟した9月中旬を過ぎた16日から収穫を始めた。 もう多くの生産者がもう終わった頃に始めるのが常のデコンブ醸造。 だから、デコンブ醸造のワインの酒質はしっかりしている。 勿論、酸を残しながらである。 タンニンも果実味もタップリありながら、同時に爽やかな酸が存在するスタイルがデコンブ流義。 収穫は夜明け前に蔵を出る。今年は小型バスを借りて移動に使っている。 全員は乗り切れないので、車に分乗する。 朝日が昇る前に葡萄園に到着。 Fleurieフルーリーの高台から観る朝日が格別に美しい!!思わず、手を合わせてしまう。 今年は、屈強なポーランド人チームを導入したデコンブ。 皆、2週間前から他の醸造元で収穫をしていたチームなので、すこぶる慣れていて、もの凄いスピードと確実さで収穫が進んでいく。 ポーランド人ファミリーがグループを作って、出稼ぎにボジョレにやって来る。 リーダー格の男が指揮をとっているので、やりやすい。 濃縮感ありそうな葡萄が実っている。標高が高いので5月のマイナス5度の寒波にも耐えられた。 ジョルジュが狙った通りの品質の葡萄が収穫された。小一時間でトラックが一杯になった。 涼しい朝一番で収穫した葡萄は冷やさないでダイレクトに発酵槽に入れることができる。ジョルジュは醸造所まで即走った。 ★DESCOMBES NOUVEAU デコンブ・ヌーヴォー ジョルジュ・デコンブのワインは、例えヌーヴォーでも、毎年、酒質が確りしている。 熟成にも耐えられるヌーヴォーと云うことは、デコンブ・ファンなら皆知っている。 何と2007年のヌーヴォーを開けてみた。 まるでブルゴーニュのピノ・ノワール風味となっていて、まだ酸と果実味のバランスが素晴らしかった。 軽くてスイスイ体に入っていくスタイルもいいけど、酒質の確りしたデコンブ・ヌーヴォーも捨てがたい!! ★私がデコンブ醸造で最もお勧めのワインはこれです!! ジョルジュ渾身の一本!!ボジョレを超えたガメ。 もう、ボジョレのグランヴァンです!! ミレジムを問わず、是非、一度試してみてください!! (問合せはテラ・ヴェール社)

6
Oct

ダミアンの収穫開始は、ボジョレでは最も遅い9月13日

Damien COQUELET ダミアン・コクレ2017年モルゴン村-NO2 ジョルジュ・デコンブ一家の一員のダミアン。長年お父さんと一緒に働きながらワイン造りを勉強してきた。 デコンブ家では葡萄はキッチリ熟してからの収穫が基本。今年はお父さんのデコンブと同じ9月13日に開始した。 9月初旬に降った雨のお蔭で、乾燥し過ぎていた葡萄実に水分が供給されて、光合成が活発になってしばらく時間を置いての収穫となった。雹による自然な青刈りとなって葡萄の房が少ない。 雹のショックで熟成がストップしていたので酸が残っている。 ここで収穫を遅らせて果実味、ポリフェノールが理想的に熟すのを待った。 雨から10日間ほど遅れて収穫を開始した。 もともと、ダミアンのスタイルは、果実味がタップリあって、タンニンも比較的しっかりしながら酸がビシっと利いている素晴らしいスタイル。 今年は、このスタイルがより強調された酸と果実味の熟度の差が大きく凹凸がハッキリしたスタイルになるだろう。 楽しみなミレジムになりそう。 今年も去年と同じポーランド人ファミリーが家族総出で収穫に来てくれた。 25名で約1週間ほど続く。 ポーランド家族のリーダーが先陣で収穫指導をしながら進めてくれるのでダミアンも安心。 雹の直後は全滅と思っていたコート・デュ・ピィが50%ほどのマイナスで済みそうなので、 やや安心のダミアン。 あの絶望の時は、ここまで回復できるとは思わなかった。 葡萄の生命力は凄いものだ。 独立して10年目にして、また新しいことを学んだダミアン。 ますます、これからが楽しみな醸造家だ。

6
Oct

ヌヌーンことジョルジュ・デコンブは月に一回パリまで配達に行く -No3

Parisでは、あまりボジョレ・ヌーヴォーフェアーをやるところが減ってしまった。 何故?一時期、 余りにも美味しくないボジョレ・ヌーヴォーが氾濫して、悪いイメージがパリジャンについてしまったからである。 しかし、デコンブ・ボジョレ・ヌーヴォーは相変わらず人気ヌーヴォーとしてビストロで扱われている。 このラベルが物語っている。 ジョルジュ・デコンブは若いころからオートバイが好きでモトクロスバイクのチャンピョンにもなったことがあるほどである。 そのバイクに乗ってパリまで運んでくる絵がヌーヴォーとなっている。 フランス語でバイクのことをMotoモトという。パリではデコンブ・ヌーヴォーの事をモト・ヌーヴォーと読んでいる。 皆がこのモト・ヌーヴォーを待っているのである。 Parisでモト・ヌーヴォーと呼ばれて人気者のデコンブ・ヌーヴォー デコンブ・ヌーヴォーは、酒駆がしっかりしている。今、流行の薄ウマなスタイルではない。 ヌーヴォーと云えども、しっかり食事と合わせても飲めるコクを備えている。 このスタイルを好きなファンも沢山あり。 数年寝かせてもいける。 先日、16年のヌーヴォーを開けたけど、まるでピノ・ノワールのような果実味になっていました。 薄ウマもいいけど、しっかりヌーヴォーもお勧めです。 解禁日のパリ、ジョルジュのモト・ヌーヴォーの到着を待っているパリジャンが多い!!  今年は、モト・ヌーヴォーで突っ走りましょう!! 日本中のライダーの皆さん! ヌーヴォーはこれですよ!! 最後に、美味しいワインには、いつも女性がいる。 縁の下の力持ちジスレンヌがいるからこのワインがある。

3
Sep

MORGONモルゴン村の熊ヌヌーンこと  ………… Georges Descombesジョルジュ・デコンブ

    今年の収穫もあと一週間とせまった8月28日に訪問。 今日も35度を超す猛暑、この夏のボジョレを象徴するような好天候だ。 35度超す日が何度あったことか、それほど太陽には恵まれていた。 お蔭で葡萄園が乾燥していて病気が一切ない。 腐った葡萄も皆無の健全な葡萄達ばかり!! 逆にここにきて乾燥し過ぎるくらいである。葡萄粒が小さく濃縮している。 チョット雨が降ってくれれば最高である。 3日後に雨の予報がでている。ここで雨が降れば理想的な状態になるだろう。 デコンブ醸造には有名な自前のビストロがある。 ここに入ったら最後、酔っ払うまで出れない。 入ってしまった。 今日はジョルジュのお兄さん達と一緒だからチョットいいかな。   

23
Août

H2O Végétal-Part-14 ボジョレ軍団の若大将…….. Damien Coquelet ダミアン・コクレ

スペインの自然派に混ざってフランスからも数社参加。 毎年、このH2O Végétal見本市に参加しているボジョレの若手軍団。 その大将がこのダミアン。 このカタロニアに来ても、この一角だけはボジョレ・エネルギーと空気が漂っている。 のりの良いジョークと笑いが絶えない。 ワインも難しいことは言わずグイグイ!これがボジョレだ。 2009年に独立して8年目のDamien Coquelet ダミアン・コクレ ダミアンのワインファンは多い。果実の濃縮感とキりッとした酸が同居している。 テーブルにおいて、食事しながらグイグイ飲めてしまう。殆どの食事に合ってしまう。 なんて心地よいスタイルなのだろう! 今、ボジョレで最も元気のいいファミリーは、Georges Descombe ジョルジュ・デコンブ。 Kekeことケヴィンもお父さんの蔵を手伝いながらも、独自の醸造元も設立した。

29
Août

デコンブ・ヌ−ヴォ− – Descombes Nouveau

モルゴン村 “熊” デコンブ・ヌ−ヴォー 熊のような体格、シンプルで優しい心の持ち主ジョルジュ モルゴン村にはあのマルセル・ラピエ−ルがいる。そしてマルセルの薫陶を受けたジョルジュがいる。ボジョレのモルゴンを語るとき絶対に外せない男である。多くを語らない男である。もくもくとやるべき仕事をこなしていく。日本のサムライ的な心を持ち備えた人物である。葡萄園にいると熊が歩いているようだ。大きなわりには動きが軽ろやかで驚いてしまう。決めたことは、何があっても実行してしまう。どんな壁があろうともズッシリと前に進んでいってしまう。彼はあえて、自分のワインを自然派などと口に出したこともない。当たり前のごとくに自然栽培、自然醸造を実行している。 どんなリスクを負っても決めたことを着実に実行してしまう 『俺はただ当たり前の事をしているだけだよ。地球を汚すような行為はしたくないし、人の体に悪いような造りをしたくないだけだ!ここではお爺さんの頃から変わっていないだけさ!』 AOCの組織から嫌がらせが毎年のごとくきている。AOC BEAUJOLAIS NOUVEAUを何度も落とされかけている。 3年前も出荷直前におとされた。しかも全く理屈にならない理由をつけてだ。彼は絶対に引き下がらなかった。直談判に行って役人達を説得してきた。そんな事を力まず普通に実行してしまう。 熊をしっかり支えている奥さん“ジスレン”の存在は大きい