15
Mar

丘の上の雲

ワインを愛する気持ちがこの仕事を選ばせたのか、この仕事に就いたからワインを愛するようになったのか、エメ・コメラスは50歳を越えた頃から半生を振り返ってはそのように哲学的な自問に対する答を探すようになった。 具体的な示唆があったわけではなかった。兄がボルドー大学の教授であったことも何処かで影響があったのかも知れない。 だが、彼がお金に不自由ない生活を確保し、余生のことを考え始める時期になってそのようなワインに対する特別な愛情が膨らんできたというのは運命というよりは宿命と呼んだ方がよいだろう。 エメは、ワイン生産地としては知名度の低いラングドック地方の農協組合長だった。 実直な人柄で、多くの人たちから信頼されていた。 安物ワインというレッテルも、数で勝負とばかりワイン最大消費国の底辺の礎を担うのだと自分に言い聞かせて来た。 ところが壮年期の真っ盛りに、ふとこれで良いのだろうかと考えるようになった。 それは、このラングドックという土壌に日々暮らす者として、また誰よりもワインを愛する者として、この故郷の土壌が持つだろう無限大の可能性に挑戦したいという願いが心の扉を叩くからであった。 底辺から頂点への挑戦。 もしかしたら、ずっと以前から分かっていたことなのかもしれなかった。 それなのに無理矢理心に蓋を落としていたのは、矢張り生産者たちへの遠慮があったからであろう。 エメが考える高品質への挑戦は、即ち生産量の激減と結びつくからであった。 しかし自分の大いなる夢を現実化させることこそがラングドック地方の発展を牽引する原動力になると確信したエメは、一軒一軒農家を説得することを決心した。 エメの説得は、徒労に終わった。 初めから結果は容易に想像出来たのだが、それでも自分の意見をぶつけたかったからだ。 彼が提案した内容は、例えば一本のブドウの木から摂れるぶどうの房をこれまでの平均30房から8房程度に減らしてテロワール(土壌の風味)を凝縮するとか、除草剤は一切使用せず雑草駆除は人間の手で行うとかであった。 安いワインを大量に売り捌いて生計を立てていたラングドック地方の造り手たちにとって、この提案は正気の沙汰ではなかった。 何故なら、生産量は約四分の一に減少し、それにも増して人件費は増える。 量り売りが一般的なラングドックのワインでは想像も出来ない贅沢なやり方であったからだ。 しかしエメは徒労と知りながらも、毎日農家を訪問しては説得して廻った。 やがて一年の月日が経ち、賛同者は一人も得られなかった。何度も来るエメに対し、最初の頃は農協組合長として敬服して聞いていた農家たちも、仕舞いには愛想が尽きてしまい、そんなにやりたいのならば自分でやればいいではないかと言い出す者が出てくる始末であった。 エメは流石に落ち込み、長い間心の中の暗い淵を彷徨った。 しかしエメの愛すべき長所は、諦めた後は只管前向きに前進するというところであった。 農協組合長という名誉職を辞任するまでに長い時間は必要なかった。 誰も賛同してくれない以上は、自分でやり遂げるしかない。そう決意した翌週、エメは辞任した。妻も年頃の一人娘も、黙ってエメの決断を見守った。 それからというものエメは、金策と土地探しに明け暮れる毎日を過ごした。 そして1984年、ラングドックのブドウ畑を歩き回った後でエメが白羽の矢を射したのは、AOC コトー・ド・ラングドックで最も自然環境が良いといわれるモンペイルーの25ヘクタールのブドウ畑であった。 自分の持つ財産全てを抵当にいれ、銀行からお金を借りて購入した畑は、前のオーナーがブドウ造りに無頓着な人であったことが寧ろ幸いし、人の手が殆ど加わることのない荒れ果てた自然のままであった。 エメが最初にしたこと。それは一本一本の木に対して語りかけることだった。 彼は来る日も来る日も木に話しかけ、会話した。 見る者たちは怪奇の視線を送ったが、彼は畑の中で実に満足していた。 そうして体力の無い木や病弱な木、そしてやる気の無い木には謝りながら間引きしていった。毎朝日の出と共に畑へ行き、日没まで其処で過ごした。 雑草取りさえも、彼は誰にも手伝わせなかった。そうして3年もの間、エメは只管土壌と木の手入れのみに専心した。 漸くワイン醸造を手がけようとした頃、偶然エメと畑へ行った愛娘はその光景に自分の目を疑った。 そして醸造という格闘が始まった。 エメは、本当に美味しいワインの味というものは十人十色で意見が違うと信じ、地元でもワインの味に煩い者ばかり40人を集めて尊属のモニターとして契約し、シラー、グルナッシュなどの品種毎にどのような味が美味しく感じるかを意見させ、全てを網羅する味というのをそれらから逆算し、農作業から醸造までそれに見合うように調整しようと試みた。 勿論理論的な部分は実兄であるボルドー大学教授が活躍した。 二人三脚で行った試行錯誤のワイン造りは、完成するまでに3年間を要した。 つまり、土地を購入してから6年もの間、ワインは市場に出ることはなかったのである。 エメのワインは、地元モンペイルーでは瞬く間に名声を得た。 営業活動をする時間さえ惜しんで畑へ行くエメにとって、地元で買ってくれる人がいればそれでよかった。 しかしある日、ソムリエ世界チャンピオンのフォール・ブラック氏がラングドックへ来て昼食時に偶然エメのワインを口にする機会を得た。 そしてブラック氏はそのままエメに会いに行ったのである。家族に来訪を伝えると、エメは畑にいるという。 待たせてもらうと言えば、夜まで戻らないという。 仕方なしにブラック氏は自ら畑へ向かった。そこで彼は、衝撃的な光景を見た。 木が喜んでいる・・。木が尻尾を振ってエメらしき人物に寄り添っている。 そんな馬鹿なことが。ブラック氏は目を擦ってもう一度凝視した。 木は動かない。いや、動くだろうが、人間の肉眼ではその動きは見て取れない。 果たして木は固定されていた。 否、しかし木は矢張り喜んでいるように見えたのであった。 ブラック氏の後ろから、道案内について来たエメの娘がその光景を見て、自分が数年前に感じた驚愕を思い出していた。 ブラック氏がその後、公の場でエメのワインのことを賞賛した時の言葉が残っている。 「フランスを代表するワインだ。」 王様のブルゴーニュ、お妃様のボルドーでもない、名も無い南のラングドック地方。 […]

13
Nov

笑顔率100%!レミー・スリエと楽しい一時を!DOMAINE SOULIE – ST CHINIAN, LANGUEDOC

香草畑の景色が目の前に広がっていく中、予想もしていない場所にポツンと建っているモダンな家が一軒。田舎のど真ん中なのに何てオシャレ!ここで400年前から有機栽培をしているドメーヌがあるという。 早速尋ねてみると、ニコニコな笑顔で出迎えてくれたRémy Soulié*レミー・スリエさん。初対面なのにジョーク連発、とても親しみやすく、絶対に嫌うことの出来ないほど優しくて面白い方! まだ41歳ですがもうすでに23回目のヴィンテージ!自分の職に自信を持ち、人生を楽しんでいる、まさに『Dont’t Worry, Be Happy 』、『心配はいらない、幸せになろう!』と言う言葉がピッタリと当てはまる人です! Domaine des Soulié*ドメーヌ・デ・スリエとは1610年から存在し続ける造り手です。当時は化学物質などは当然無く、醸造家は皆有機栽培で植物を育てていました。この栽培方法を、このドメーヌは化学の発達に影響もされずに長年守り続けてきたのです。 土壌は全て粘土石灰質。この岩と回りに生えている香草がワインに綺麗なミネラル感とスパイシー感(野性のタイム、ローズマリー・・・)を与えているのです。 レミーのワインはとても繊細でフレッシュ。自分が興味を持っているブドウを育て、ワイン造りを楽しんでいる彼。 お父さん、Jean-Paul*ジャン・ポールさん曰く、 『レミーは昔から陽気だ。だから彼のワインも陽気なんだ!ワインには造った人の性格が出ている。このドメーヌのワインは全てが軽い弾みで飲める、生き生きとしてサッパリとしたワインが多いんだよ!』ですって! でも本当に仲良しなんでしょう、2人共笑顔が耐えないです! ランチにしよう!と、テーブルに座った瞬間、栗を見つけたオザミの菅野さん。即行リクエストに答えようと、庭の暖炉で栗を焼いてくれるレミーさん。 ←『これは、ブニェット*Bougnette だよ!豚肉とパンの身で作ったシニャンの名物なんだ!一度食べたらやみつきになるから!』と嬉しそうに教えてくれるレミー。 → こちらが焼けた後。本当に美味しく、カリカリしていながらもトローと蕩ける感触がグー!確かにワインのおつまみには抜群かも! レミーのワイン、マルサンヌ100%に漬けてあるキノコのおつまみです。とても酸味が利いていて美味しい! 待っていました、プリップリな手作りソーセージ!ジューシーで香ばしい〜! お父さんのオリーブ畑で朝収穫して来たオリーブの実です。やはりスーパーなどで買うオリーブとは味も色も全然違う!歯応えがあり、香ばしさもあり、香草の香りがとても染み込んでいます。 シンプルですが最高に美味しい様々な料理に、皆さんも手が止まらなくなります。 そしてお料理と一緒に頂いているドリンクは・・・・ フルーツの香りが口に広がるキュべ・マルサンヌ 07*Cuvée Marsanne 07(マルサンヌ100%)と、熟成感たっぷりのメルロ07*Merlot 07(メルロ100%、樹齢35−40年)です。 他にも、キュベ・レミ 07*Cuvée Rémy 07 サンソー80%、シラー20%、樹齢35−40年 とてもミネラルが含まれているフレッシュなロゼ!酸味とアルコールのバランスがパーフェクト!フルーツの甘さは控え目だけれども存在感がしっかりとある、繊細な味わいです。 伊藤さんとレミーは仲良し! 見てください、2人の笑顔!一体何を話していたのでしょうか・・・? 彼には不思議な力があります。彼といると、誰もが自然と笑顔になっていくのです!まさに心を安らげてくれる存在ですね! そしてデザートには先ほど焼いておいた栗と、オザミ限定ワイン、キュベ・ブーが登場!このマリアージュがまさに最高!どうしてこんなに合うの?!とビックリするほどの美味しさ。   キュベ・ブー 08*Cuvée Bou 08 サンソー100%、樹齢35−40年 2008年のキュベ・ブーは前年に比べ、より繊細で爽やかです。しっかりとした酸味もあり、パワフル感もあり、ミネラル感たっぷり!サンソーなのにピノのような味わいがとてもエレガント!アペタイザーなどに、グイグイといけちゃいそうなワインです! お腹もいっぱいになった所でレミーの醸造所へレッツ・ゴー! とても大きい醸造所。とそこには今年のブドウで詰まった立派なステンレスタンクがキレイに並べてあります。その中にはサンソーやシラーなど様々な品種が発酵中! 収穫後、厳しい選別を終えたブドウ達は、重力の法則でタンクの中に流れ込んでいくのです。この作業も実はとても重要な役目があるのです。ここでブドウを優しく扱わないとブドウの実は潰れてしまい、粗いタンニンや風味が出てきてしまいます。そうするとワインの出来は悪くなってしまい繊細さにも欠けてしまいます。せっかくキレイなブドウを収穫したのに、丁寧に段階を進めていかないと全てが無意味になってしまうのです。 シラーを試飲中の杉野さん。彼の真剣さが伝わってきます。でもポーズにし、やはり決まっていますね! 木樽の中身は発酵中のブドウでいっぱい。このブドウはマルベックの品種です。新樽で1週間発酵させた後は、2年間の間樽熟成させます。そうしたら酸味が残り、さらに存在感のある味わいと仕上がります! そしてレミーさんの『宝の部屋』、カーヴへと侵入。ここで眠っているのは、繊細でミネラルな今年のピノ・ノワールや、フルーツ感たっぷりで甘いグルナッシュ!彼が収穫するブドウは熟成度が高い。それは南仏の気候の特徴でもあるが、熟成度が高いと、当然ブドウ内の糖分の量も多い。そうすると、全ての糖分がアルコールに変わり終えるまで、時間が掛かる。しかもレミーの醸造方は全てが自然方法。そのせい、マロラクティック発酵がなかなか起きない場合もあるのです。この第二次発酵が起きるまで、樽の中でワインになりかかっているブドウ果汁を保存しておくのです。 オザミの皆さんへと急にキュベ・ブーを瓶詰めし始めるレミー。 そしてオザミの杉野さんも負けずにと初瓶詰めに挑戦! キュベ・ブー今年の初一本完成!そして2人の幸せそうな笑顔を記念にパシャ! […]

9
Oct

文明から孤立する孤高の仙人、PAUL・LOUIS・EUGENE

ポール・ルイ・ウジェンヌ復活 『ポールに逢いたい。』 僕は運転席の伊藤さんに言った。思えば、伊藤さんと出逢った10年前に初めて飲ませてもらった自然派ワインがポールのアビリ(HABILIS)で、それが切っ掛けでこの世界に陶酔した。それもあり、どうしてもポールに逢いたかった。しかし、遠慮していたのも事実である。何故なら、ポールには個人的事情があったからだ。収穫の時期に合わせてミネルボアとコルビエールで蔵元巡りをしないかと誘われて取材することになり、ナルボンヌ駅で待ってくれていた伊藤さんの車に乗り込んで少し経った時のことである。 伊藤さんがポールと知り合ったのは、偶然の賜物。伊藤さんがミネルボア地域の蔵元巡業をしていた時、山手にあるシラン村へ行こうと車を走らせていたら、道に迷ってしまった。随分山奥まで入り込んでしまい、不安になりそろそろ引き返そうかと思った頃に突然眼前にぶどう畑が現れたのである。地図にも載っていない山奥にあるぶどう畑。引き寄せられるようにそのまま車を降りて、一つだけポツンと建っている小屋へ向かった。 その小屋の住人であり、ぶどう畑のオーナーであったのがポール。見知らぬ東洋人の突然の来訪に戸惑ったが、ワインのネゴシアンだと名乗ったその東洋人にワインを振舞ってくれた。その時の伊藤さんの驚きは言語に絶する。酒を口に含めば、当然酒の味がする。古今東西どんな酒でもそれは同じ。酒の種類によって違いはあれど、ワインも例外ではない。ところがポールのワインを口に含んだ伊藤さんが感じたのは、酒でありながらも同時に体液だった。つまり違和感がない。 伊藤さんは思わず取引を申し出た。ポールは一言だけ言って快諾した。 『俺のワインは、ここに辿り着いた者にしか売らない』 ポールはその山小屋に住んでいた。聞けば、自給自足の生活だという。確かに見渡すと、ぶどう畑の他に野菜畑、養鶏、養豚まで手がけていた。下界に下りて買い物するものといえば、塩と洗剤、歯磨き粉等、極限られたものだけだと言っていた。 興味深い逸話がある。伊藤さんが醸造元によくする質問を投げかけた。美味しいワインを造る三つの秘訣を教えて欲しいと。するとポールから返って来た答は意外なものだった。『必要なのは一つだけ。貧乏に耐えることさ。』秘訣は山ほどある。美味しいワインには美味しい理由が絶対にある。この質問をすれば、99%の蔵元は自慢げに長々と語るのが常なのに、ポールは違った。その貧乏に耐える」という短い言葉の中に、ポールが如何に命を懸けているかが窺えた。剪定では枝毎に一つしか芽を残さず、肥料、農薬は全く使用しない。つまり、冷害や病気によるリスクの回避は全く行わない。そればかりか、醸造したワインも自分が納得するレベルになるまで出荷しない。 つまり、気に入らなければ何年も出荷はされずに樽の中に眠ることになる。最低限に絞り込んだ生産量で最高の品質を求め、しかもその出荷はいつになるか例年決まっておらず、そして来た者にしか売らないわけだ。これではお金が回転するはずがない。伊藤さんはこの偶然の出会いをもたらしてくれた神に感謝した。 ところが21世紀を迎えて間もない頃、そんなポールに不幸の神が舞い下りました。詳しい理由は本人以外知らないのですが、大切な畑の所有権を失ってしまったのです。それはまるで羽を捥ぎ取られ奈落へと落ちる絶望の最中に、大鷲の鋭い嘴に喉の肉を啄ばまれるような試練でした。 ポールを復活させたダニエル

2
Oct

La Tour Boiséeでお腹いっぱい !!!

2008年のフランスの天候はカタストロフィック(壊滅的)、大雨や雹、収穫量も激減、さらに収穫時期になってもぶどうの糖度がなかなか上がらず、苦労している。 そんな中、コルビエールや、ラングドックでもカルカッソンヌよりの地区では、乾燥。7月、8月と雨がほとんど降らなかったそうだ。 そういうわけで、今年も、La Tour Boisée のヌーヴォー用ぶどうは、順調に収穫され、醸造も順調に進んでいる、プドゥーさんも満足気だ。 収穫前の樹齢60年のカリニャン ちょうど、この時期、代官山のパッションさん家族が、パッションさんの故郷であるカルカッソンヌにヴァカンスで滞在されているということで、一緒に写真撮影。この、1週間後には、パッションさんのお店のお客さん15名がボワゼにブドウの収穫にくるそうだ。 <レストラン パッション> 東京都猿楽町29−18、ヒルサイドテラスB1  TEL : 03−3476−5025 今年のヌーヴォー(新種)を一足先に試飲。 まだ、発酵が終わっておらず、残糖がある状態であったが、 今年のぶどうの熟度を感じる、果実味豊かな出来であった。 ここから、マロラクテティック発酵が終わり次第、清澄作業をしてビン詰めである。 今年のブドウ品種は、メルロー70%、シラー30%。 プドーさん、パッションさんは、この地方の名物料理、カッスーレの会のメンバー。 カッスーレといえば、フランス人でも、そのボリュームにびっくりするほどの料理。 毎年2月に、日本のパッションさんのお店でカッスーレの夕べが開催され、ボワゼのワインとともに、料理をみんなで堪能しているそうだ。しかし、今回の料理はカッスーレではなく、トリップ(内蔵の煮込み)。 ブーダンや、ソーセージ、パテ トリップ(内蔵の煮込み)、これが後引く旨さ トリップの苦手な人用の豚肉のロティ プドーさんの畑のぶどう。チーズとともに                       ワインのキュベ名にもなっている2人の娘さん Mariel et Frédérique( マリエル・エ・フレドリック)、 奥さん Marie-Claude( マリー・クロード)。 今回の料理にはぴったりのワインでした。 La Tour Boisée のワインの輸入元 *株式会社 MOTTOX  東京03−5771−2823 大阪06−6723−3133               *La Tour Boisée ホームページ(英・仏)http://www.domainelatourboisee.com/ Plantation1905 のぶどう畑

29
Sep

ミネルボアの自然派マゾヒスト!ジャン・バティスト・セナ – Jean Baptiste Sénat 

コルビエールにマキシム・マニョンが居れば、ミネルボアにはジャン・バティスト・セナあり! このセナの凄いのは、とにかく自分をとことん追い詰めるということ。マゾって、正しい表現ではないかもしれないけれど、でも見ればそう思ってしまう。学者が学問を何処までも追及するように、セナは只管ぶどう栽培の探求に明け暮れて来ました。そう、まるで学者。だってセナも奥さんも二人共、ワイン農家になる前はパリで学校の先生をしていたのです。しかしワインへの情熱が二人を突き動かし、気付いた時には教職を辞職しここミネルボアのぶどう畑にたっていました。 お祖父さんが所有していた畑を引き継いだのですが、平地の畑が多かった。平地の畑からできるぶどうの品質に不満を感じていたセナは、叙叙にそれらを売却しては山間の急な斜面ばかり買い漁るようになりました。それらは勿論ぶどう栽培には難しいといわれる場所であり、放っておいてもぶどうが完熟する恵まれた自然環境のミネルボアではまさにマゾ的存在に思われています。セナに直接理由を聞いてみました。彼から返って来た返事は、こんな自然環境の良い場所でぶどうを栽培してワインにすると喉に引っ掛かるほど力強いワインに仕上がってしまうからだそうです。 それがミネルボアの特徴だとも思うけれど、でも彼は飽くまでもBuvabilite(= 飲みやすさ)を限りなく追求するために、敢えて標高が高く、痩せた土壌の北側斜面ばかりを選んでいるのだそうです。つまり、養分が行き届きすぎないことが果汁過多の水ぶくれぶどうにせず、皮の厚い引き締まったぶどうに仕上げ、また北側斜面にすることで太陽による日焼け過多を防いでいるのです。 全体で15ヘクタールあるセナのぶどう畑。栽培している品種は、カリニャン、グルナッシュ、ムールベルド、サンソー、シラーがあります。 平均樹齢は50年。 その中でもセナが特に力説するのが、カリニャン。 「カリニャンはラングドックを代表するぶどう品種だと思う。元々はスペインから来たこの品種は、通常大量生産の安物ワイン用だと思われていることが多い。でも栽培で数を絞って丹精込めて育てればとても高品質なものが出来る。特にこの辺は乾燥しているわけだが、カリニャンは乾燥にとても強い品種でもある。まさにカリニャンこそこの地域では王様なんだ。」 さらに彼はぶどう畑を先導し、誇らしげにその出来映えを見せてくれた。 情熱的な太陽が降り注ぐミネルボアだからこそ、勿論剪定はゴブレ方式。 「栽培指導の先生たちは兎角太陽に浴びせろと説明するけれど、その加減は各地域の自然条件によって当然変化する。そんな簡単なことも学者さんたちは解らないんだ。」 そう言い切るセナは一房のぶどうを指差して、ぶどうの粒さえも房の中で適当な間隔を空けていることを自慢した。 もし房の中でぶどうの粒がびっしり詰まっていたら、接触した部分から病気になったり腐ったりする可能性があるらしい。 この粒と粒の間隔が適度に出来る理由も、偏に土壌がしっかりしている(痩せている)からだという。 収穫するセナのチームは、皆楽しそうだ。セナが一人のおじさんを指差して、彼はスペイン人でずっとセナを手伝ってくれていて、一日に3リットルのワインを飲むのだと紹介してくれた。おじさんはそう言われるとはにかんだ照れ笑いを浮べていた。 皆で笑っていたら、今度は浅黒い肌をした若者がトラクターに乗ってこちらへ近づいて来た。 セナが子供のような表情で運転を代わり、1971年製のトラクターなんだと言って微笑んだ。 二年前、斜面の畑を運行中に一度横転して死に掛けた逸話があるとか。 「こいつとは腐れ縁で、運命共同体なんだ。 」そう言うと少年の様な目で見ている伊藤さんも座席に乗せて記念撮影。 ところで100%手摘みに拘るセナを尻目に、周囲の畑を見渡すと機械摘みばかりが目に入る。セナにそれを指摘すると、待ってましたとばかり講釈が始まった。 「ミネルボアでは昨今90%以上が機械摘みになってしまった。機会摘みして傷つけたぶどうをトラクターの荷台に詰め込んでその重さで下層のぶどうが押し潰されて空気に触れて酸化して、その結果多量のSO2を入れるはめになってしまう。しかもそういう輩たちはタンクに入れる際にポンプで吸い上げるので果汁の分子構造が崩れてしまい、結果的に粗悪な品質のワインに仕上がってしまう。少なくともそんな環境の中で、手摘みに拘る少数派であることに強いモチベーションを感じる。たとえ何十倍も労働しなければならないにしても、高品質なワインを造るのだという強い意志を貫徹して行きたい。 」 放っておいてもそこそこのワインが出来てしまう恵まれた環境。 そんな環境で敢えて厳しく己の仕事に真価を問いながら成長し続ける男の姿が美しかった。

26
Sep

コルビエールに現れた期待の新星!マキシム・マニョン

パリからTGVに揺られて4時間余り、ナルボンヌ駅を降りると夜だというのに生暖かい空気に身を包まれた。パリでは日本の晩秋を彷彿させるような気候が続いているのに、僅か数時間電車に乗るだけでここまで寒暖の差があるとは流石は南仏である。この一帯こそ、我等の伊藤さんが自ら「庭」と呼ぶ地域である。フランスには多くの自然派造り手が存在するが、この辺りはその密度が特に高い。理由は、特に何もしなくても自然なワインが出来ることにある。化学薬品に汚染されていない恵まれた土壌、潤沢に注がれる黄色い太陽。放っておいてもぶどうたちは自然に完熟する。 そんな地方のコルビエール村に、数年前から自然派の異端児が颯爽と姿を現した。 その名は、マキシム・マニョン。35歳の彼は、細面で優しいマスクと強い心の持ち主。ボジョレーのマルセル・ラピエール等に学んだ若き才能は、自分の可能性を開花させる為の舞台を自分には全く縁も所縁もないこのコルビエールという南仏に選んだ。理由の一つは金欠という悲しい現実、もう一つは放っておいても(敢えて大きな努力をしなくても)自然派になるという土地で最大限努力した誰にも負けない自然派ワインを造ろうと思ったことである。マキシムは、ぶどう農家や醸造元ではなく、普通のサラリーマンの家に産まれた。しかし幼い頃からワインに興味を持ち、両親を説得してディジョン市のワイン学校に進学した。ワイン学校に通う他の生徒たちを見ると、自分以外は全員父親が醸造元だった。所謂コネがないマキシムは、貪欲に著名な造り手の蔵元にコンタクトし、研修させてもらう機会を貪った。その結果、シャンパーニュ地方のジャック・セロス、そしてボジョレーのマルセル・ラピエール等で研鑽出来たのである。 僕達が待ち合わせのカフェで寛いでいると、マキシムは小型トラックに友達を数人乗せて到着した。僕は勿論今回が初対面であるが、伊藤さんもマキシム以外は知らないと言った。聞くと、丁度収穫に行くところだという。一年で最も緊張し、一年で最も重要な収穫の日に連れて行ってくれると聞いて僕達は感激した。マキシムの話では、収穫は昨日までで約三分の一が終わっていて、後十日程で終わるそうだ。今年のぶどうは最高に良い出来映えだということで、是非楽しみにしていて欲しいと胸を張った。 現場に到着すると、先発隊がすでに作業を始めていて、僕達もすぐさま作業に取り掛かった。ここの土壌はシスト土壌に石英質の石がごろごろしている。大昔は火山だったようだ。 この痩せた土地が良いぶどうを育てる。理由は、肥沃な土地であればぶどうに栄養が行き届きすぎてしまい、皮が薄くなって果汁が増えてしまう。一見理想的だと錯覚してしまいそうだが、実は美味しいワインに変身するぶどうはそれではいけない。生食用のぶどうとはメカニズムが違うのである。 ワインの旨みに変身する重要要素は、果汁も大事だがそれ以上に種と皮にある。大きな種と分厚い皮、それらが醸造の後複雑な味わいに変化するのだ。グルナッシュ・グリ(白ぶどう)は既に収穫済みで綺麗に刈り取られていた。今日は赤ぶどうのグルナッシュを収穫する。現在では多くのぶどう農家が品種毎にぶどうを植えるようになったが、昔はこのマキシムのように色々な品種を同じ区画で栽培した。コルビエールの古い畑を購入したマキシムにとっては自然なことである。 マキシムの畑に見られる特徴の一つとして、ゴブレ方式という剪定の方法がある。これは意図的にぶどうの房に葉っぱで日陰を作るものだ。聞いた時、正直疑問に感じた。何故なら、ぶどうの房には通常太陽の光を元気一杯浴びさせないといけないからだ。例えばボルドーでは、ぶどうの木の横に棒を立て、その棒にぶどうの枝を針金で結びつけてぶどうの房を一直線に伸ばす。これは全てのぶどうの房に出来るだけ均等に多くの太陽光線が当たるように考慮されたものだ。無論、ここコルビエールでも隣接する畑の多くはそのようにしている。反対にマキシムのようなゴブレ方式を採用している農家は実に少ない。しかしマキシムに言わせると、コルビエールのように強い太陽が降り注ぐ地域では、ぶどうも人間と同じく焼けすぎに注意しなければいけないそうだ。むやみやたらに肌を焼くと醜く焼け、健康も害するのと同じように、ぶどうも焼けすぎると健康を害するという。 日射量の少ない北の地方からすれば贅沢極まりない悩みだろうが、そうしないとマキシムの理想とするワインは出来ないと豪語する。つまり、北の地方の課題は日射量の少ない中、如何に完熟させるかであり、南の地方のそれは日射量が多すぎる中、如何に酸を残すかであるからだ。ワインとは、どんな地方で造ろうとも酸と糖のバランスで出来上がる。シーソーの両端で酸と糖がバランスを取って出来るものである。ぶどう品種や日射量、土壌、造り手の心の波動、色々なものでそのシーソーの中心点は右に振れたり左に振れたりするのだが、ここコルビエールでは殆どの農家が日射量の多さをいいことに酸が殆ど残らないぶどうを栽培してしまっている。いや、酸を残す努力をしていないというのがマキシムの言い分だ。 現在マキシムの畑は所有するものと借りているものがあるが、合わせると約11ヘクタールになる。今回のレポートを読むだけでは簡単そうに聞こえるかもしれないが、ここまで来るのに5年の月日を要した。言わずもがな、コルビエールは田舎である。田舎とは、概して新参者には厳しい所である。マキシムは、そんな環境に馴染むために当初は毎朝村民たちが集うカフェへ行き会話に交じり、農協へも毎日のように脚を伸ばして人間関係構築に邁進した。自分にしがらみも何もないからこそ出来た営業活動である。ちなみに今年のぶどうの出来映えを聞いてみた。 『2008年はフランス全体的に湿気が多くてミルデュー(ベト病)が多く発生したが、ここでは全く乾燥しているのでそういった被害はゼロだ。自分の中で最高の年と言っても過言ではない。普段は4つあるキュベだが、今年は特に出来映えがいいので特別に1つ追加してMort Redon というグルナッシュ100%のものを用意する。楽しみにしていて欲しい』 収穫後、醸造所へ連れて行ってもらい何種類か試飲させてもらった。 今月7日、9日に収穫したばかりのグルナッシュ・グリやムスカ等、発酵途中の酵母菌が溌剌としたものばかりだった。伊藤さんと一緒に、Buvabilité  (= のみやすさ)と感嘆した。その本来の意味は、体液に近く違和感がないという意味である。

16
Sep

“ヤドカリ”女性醸造家 カトリーヌ・ベルナール

新聞リベラションの元ジャーナリストから自然派醸造家へ 初リリースの2005年から3回目の引っ越し 2005年は農協の一角を間借りして、06、07は友人醸造所に間借り、そして08の今年はピック・サン・ルーのドメーヌ・ド・ラ・サラダへ間借りしての醸造となる。数個の樹脂製タンクを抱えてどこでも移動できるヤドカリ醸造家だ。 今回の引越先、風光明媚で地場に力があるピック・サン・ルーだ。 彼女を知る元新聞社時代の人たちが語る 『彼女の性格は、楽天的、情熱家、行動派、常にハイテンションな女性だ。』 そんな彼女が騒雑とした記者の仕事とパリをあとにモンペリエに引っ越し、約3ヘクタールの畑を購入して醸造家としの生活に転身した。 既に地元や自然ワイン業界では話題の人だ! ロワール地方ムスカデ地区の出身だ。小さい頃から農業が好きだった。 記者の仕事としてモンペリエに来て、ラングドックのピック・サン・ルーの土地を知り、一目惚れ。小さい頃からの夢を実現すべくモンペリエに移住。決めたら即実行のカトリーヌ、約3ヘクタールの畑を購入、しかし醸造所まで購入する金銭的余裕はない。知り合いの醸造所の一角を間借りしながら4年目になる。40歳、2児の母、聡明で活発で魅力的な女性だ! そんなカトリーヌが造るワインは素晴らしく美味しい!! 新壮大な地球の変動期を感じさせてくれるピック・サン・ルー 日本なら神社ができているほど冷厳なパーワーを感じる岩山

28
Juil

クロ・レオニンへ – Clos Léonine

今日はラングドック・ルシヨンに在るクロ・レオニン(Clos Léonine)へ行ってきました! 葡萄畑&宿泊所を管理しているステファン・モラン(Stéphane Morin)さんが出迎えてくれました。 ここは何かアット・ホームで和気あいあいしています。 子供、大人、動物、皆一緒にバカンスを過ごしていて、和やかな雰囲気です。 土壌には海岸が近いのもあって、貝殻などが含まれています。 南仏では気候が暖かいので葡萄の実も大きいです!

25
Juil

Laurent Miquel – Primeur 2008

2007年は特にシラー、黒葡萄の品種についてはとてもデリケートなヴィンテージとして知られています。概してこのような状況の翌年は葡萄が多くなるという傾向があります。収穫の最後の統計を見ると、若い葡萄畑において多くの葡萄を収穫していることが分かります。それに対して樹齢が古い畑はそこそこの収穫でした。これらの反応を観察するのは大変興味深く、我々は樹齢の低い葡萄畑の区画において、ヴァンダンジュ・アン・ベール(摘房)を行っています。 6月は雨が多く降りましたが、葡萄畑に病害はありませんでした。実は、この湿気の時期が乾いた風が吹く時期の後にやってきたため、少し変わったヴィンテージとなっています。 葡萄が成長するこの時期の雨は葡萄畑にとって恵みの雨となり、成長を促しました。5年ほど前から地球温暖化が進んでおり、葡萄畑にとってこの状況はよくなかったので水が必要だったわけです。葡萄畑は大変いい状態です。

9
Juil

ASAMI – 初めての訪問 – ラングドック編 – ル・ブ・デュ・モンド

『ル・ブ・デュ・モンド』とは『果てしない地』と言う意味。雅にその通り。今日訪問した醸造元は、山の奥に住んでおり、一体どこまで行くの?!こんな場所に人なんて住めないよ!という場所まで行かないと見当たらないドメーヌです。山を登りトラモンタンヌ(ピレネー山脈を越えて吹く山風)に耐え、やっと辿り着いたその瞬間・・・目に入った景色はもう息が止まるほど綺麗で自然そのもの!言葉に出来ないくらい感動する眺めでした。 そこで出迎えてくれたのがエドワール・ラフィットさん。南訛りの喋り方とクシャと崩れる笑顔が印象的でキュート!若くてもてるだろうな〜と思っていたら子供が3人もいると聴いてビックリ!今日も娘の発表会なんだと嬉しそうに話していました。優しいパパなんでしょうね! 山の奥に存在する為、すごい斜面が急な土地に葡萄の木が植えてあります。けれどもその分風通りも抜群で葡萄の病気もほぼ無いと。こんな場所に馬を連れて土を耕しているなんて凄すぎる!本当に尊敬します・・・! 実も他の地方に比べたらもう全然大きいです!他で見た葡萄よりもほぼ3倍位成長が早いような・・・太陽の光が畑全面的に当たっていて抜群なロケーションのようです!食べれるかな〜とジックリ見ていたらまだまだ無理だよと・・・味見してみたかったのにな・・ 土壌の質はほぼシストか片麻岩質です。触ってみると、大きな破片がボロボロと崩れ落ちてきてビックリしてしまいました。エドワールも『あんまり触らないほうが・・・』とアドバイス・・・危ないんですか??! そしてエドワールの醸造所へ。ここでもミネラル感たっぷりの美味しいワインを試飲しながら、彼の手作りおつまみ、タプナード(オリーヴ、アンチョビ、にんにくを潰してパンに付けて食べる南仏料理)、チーズクリーム、生ハムを摘んでお腹いっぱいに!エドワールは料理も上手!!これからも危ない中美味しいワインをお願いします!

8
Juil

ASAMI – 初めての訪問 – ラングドック編 – ラヴァネス

今日はドメーヌ・ドゥ・ラヴァネス、マルク・ベナンさんの元にやって来ました!ボルドーワイン醸造大学を最高点で卒業した彼は醸造家の中でもインテリ度ナンバーワン!それだけあってやっぱりオーラも凄い・・・一緒に喋っていると色々興味を示してくれて頼りになるお兄さん的存在!気さくでサービスマンでとても気を使ってくれる優しい人です。 棚にはマルクさんのワインがずらり・・ハーフボトルから限定マグナムまで数多く並べられています。壁には賞がいっぱい。しかも全てが有名なコンクールで勝ったものばっかり。やっぱりこの人はただ者ではない・・! これが今日試飲したワインです。ボルドーのようなラングドックワイン、素晴らしいです!食事と一緒に飲むのがベスト。深みがあって豊富で、『大人の味』がするワイン・・・ラヴァネスを味わっていると、少しリッチなレストランでディナーを楽しんでるような気がしてきます。悪魔でも妄想ですが・・・いつかきっと叶うはず! 特にロゼは最高!この季節にはピッタリです。色もキラキラしていて結構飲みやすいです。隣に置いてあった花束と、ロゼの色がちょうどマッチしていたので思わずパシリ!!何となく雰囲気が出ていると思いませんか・・・? 社長と竹下さんの真剣な表情に注目・・・隣で見守るマルクさんも真剣な顔で二人を見つめています。この後二人は同時にこう呟きました:『美味しい !!完璧なワインだ!!』 これを聞いてマルクさんも嬉しそうでした! マルクのお父さん、ギーさんがご馳走を持って降りてきました!喋りだしたら止まらないおじいちゃん・・しかもマイペース過ぎてマルクも『困っているんだ・・』と耳元でボソボソ・・・今も息子と醸造していて元気元気!でも記憶が少し曖昧な所も・・・愛犬2匹、猫??匹(食事の時間になると色んな所から猫が集まってくるそうです)に囲まれて楽しそうです! さてさて、待っていましたランチ・タイム!せみの音がミーンミーンと響く中今日もテラスでご馳走です!ハムと卵のキッシュ、ライス・サラダ、野菜サラダなど、暑い中で食べるには最高な料理です!後忘れてはいけない、赤ワインと言ったらソーセージですよ! おじいちゃんの昔話しを聞き、おじいちゃんとマルクのやり取りを楽しみながらのどかな時間が過ぎていきました。 庭にはこんな物発見!ギーさん、マルクさん、そして昔飼っていたワンちゃん、ビルの手形!ハリウッドっぽく真似して見たとか・・・でも犬の手形(と言うか足型?!)もちゃんと残ってるって可愛いですね!やっぱりペットは家族の一員だと自覚しました。 そしてマルクさんの事をずっと待っていて離れないワンちゃん。大きな体に大きな心、マルクさんが言うには『世界で一番優しい犬』だそうです。(失礼します、ちょっと親ばか入っていませんか・・・?!)確かに人懐っこくて可愛かったです! ラヴァネスのワインは少しアルコールが高め。結構楽しんでいたら、時間はすでに午後の4時・・・ラテン国ではお昼寝の時間です・・・日陰で一休みしていきたいところですが次へ行かなければ・・・眠いのを我慢して出発!美味しい料理に美味しいワイン、どうも有難うございました!

7
Juil

ASAMI – 初めての訪問 – ラングドック編 − ビオゲット

今日はラングドックに在るビオゲットを訪問です!まだ経営して3年しか経っていないのに、世界中に売られている有名なワインです!キュベは全部で5つ、どれも美味しくて最高です! 元々パリに住んでいたジル・ヴァレリアニさん。元情報科学者であるだけビジネスマンのオーラーが漂ってきます。けれども話してみるととても感じの良い人!色んな話しをしてくれて、全てに興味津々。笑ったら優しい顔になるジルさんです!足を怪我していて大変なのに私達を喜ばせようと色々頑張ってくれて、本当に有難うございました。 オフィス内にはボトルがずらりと飾られています。多分ここは試飲室に使ってる感じです。グラスも用意されていて完璧じゃないですか?!横に飾られてある古いレジも味が出てナイス!他の醸造元に比べたらモダンな雰囲気でちょっぴり殺風景な感じもするのは私だけでしょうか・・・? 小さな醸造所に入ると、ステンレスタンクがボンボンボンと並んでいます。ここは工場ですか?と思いきや、奥の方に木樽発見!でもこれは個人のワインだそうです・・残念、美味しかったのに・・・ ここでお勉強タイム!竹下さんの懸命な説明を聞きながら片手にはペン、もう片手にはワイングラスを持ちながら皆必死にノートを取っています! 瓶詰め室です。全てが整っています。機械もモダンで全て自動にやってくれるそうです!動いているところを見れなかったのが残念・・・奥には空瓶が大量に積んであります。 ビオゲットで有名なのは、このリモネード式のボトル!ふたが閉められるようになっています。これは長年保管してもワインが空気に触れないようにとジルさんのこだわりだそうです。私も一本貰っちゃいました!使いやすいし可愛いボトルです! ジルさんの共同経営者、アラン・クモンさん登場!何かスピーディでアクティブな人です。ワイン大好き!自分のワインも大好き!!という思いがすごく伝わってきます。『美味しいでしょう?どう?美味しくない?最高でしょ?!』と聞き繰り返してくるアランさん。確かに美味しかったです! でもこのアランさん、実は大物なんです!世界的有名なビオパン屋さん、『Le Pain Quotidien』=『日常茶飯事』の創設者!私も昔から好きで、結構行き着けのパン屋です!この人が創ったなんてビックリ!このパン屋は使っている食材全てがビオ、しかもパンの種類も豊富でオリジナル!他では味わえない菓子パンがいっぱい!特にナッツ入りシナモンロールパンは私のお勧めです! 『Le Pain Quotidien』ではフランスでは数少ない « ブランチ »を出しています。アメリカ風で大きなテーブルに皆でワイワイと食事をするというコンセプトが大人気。サンドイッチ、サラダ、スープ、ケーキなど、数多くの美味しい料理があります!もちろんはワインはビオゲット!いつも人がたくさんで賑わっています!

20
Juin

”プリウレ・サン・クリストフ”、アルプスを望むテロワールが生む神秘

サヴォアのワインはかなりマイナーな部類に入ると思うが、実は優れたワインがある。それは、大統領晩餐会にもサービスされた、「プリウレ・サン・クリストフ」だ。 1948年にこの地で生まれたミッシェル・グリザール氏は、1972年から複合農業をしていた家族からブドウ畑を引き継ぎワイン造りを行うようになった。 このドメーヌに行くとまず圧倒されるのは、素晴らしい風景だ!起伏のあるブドウ畑の先に見えるのは、雪を頂いたアルプスの山々だ。この風景を見るだけでサヴォア独特のテロワールを感じさせる。意外なのはことのほか暖かいことだ。昼にボーヌを発って三時間ほどで到着したが、ボーヌよりだいぶ暖かい。この地は寒暖の差が大きく、これも高品質ワインを生み出すひとつの要素になっている。

5
Juin

命と引き換えて手に入れた畑・COKALIERES – DOMAINE D’AUPILHAC訪問

シルヴァン・ファダとコカリエールの畑(すり鉢状になった北向き斜面) 〜 コカリエール物語 〜 シルヴァンはこの畑にくると眼つきが子供のように輝きだしてしまう。この畑を開墾する為に、あまりにも多くのものを犠牲にしてきた。常識人なら絶対にやらない挑戦だった。当の本人も途中で躊躇しかけたことも何度かあった。 山の精に取りつかれたのではと誰もが思った。 この地は地質学的には大変興味深い場所だった。太古の昔、火山の火口跡であり、後に湖があった場所だ。すり鉢状になっている地形だ。彼にとっては、子供の頃から村の羊飼いのおじいさん達から聞いていた特別な場所なんだ。 『シルヴァン、あの山の奥には特別な植物がいつも生息している場所があるんだ。』 シルヴァンは羊飼いのこの言葉を忘れることはなかった。 この地は乾燥した土地だ。だから植物が絶えずあるということは地下水なり水源があるということである。 この辺の山は、低雑木草のガリグとよばれる野生樫の木か野生のタイムやローズマリの低雑木草しか生息できない。木が高くなるとタラモンターヌと呼ぶ強風がなぎ倒してしまう。この風の影響もあって乾燥度が厳しく、極度に痩せた土地だ。栽培できるのは生命力の強い葡萄木かオリーヴの木ぐらいしかない。 〜 開拓中、畑から取り除いた岩盤のほんの一部 〜

28
Avr

ラングドック4月の夏日

なんとラングドック4月26、27日は日陰で27度まであがった。当然、浜辺の炎天下では30度を軽く超える気温となった。土日と云うこともあってまるで夏の海水浴浜辺のようだった。 モンペリエに近いカルノンとグランド・モットの間の浜辺だ。 地球温暖化は単純ではない。 CLUB PASSION DU VINではフランスワイン産地の各地方の天気と気温をHPにて報告することにした。 地球温暖化が表面化している現在、ワイン造りには大変重要な要素となっている。 このHPで3月2日にすでに海水浴を楽しんでいる様子をお知らせしたことがある。しかしその後フランスに寒波が到来して4月初旬にパリ、アルザス、ジュラ、では雪が降った。 西南部地方では3月の温暖で芽がすでに出ていた為に霜被害にあったところもある。他の地方では冷春の為に、発芽が例年並みもしくわ遅くなっているのが現実だ。先週、ブルゴーニュ、ボージョレ、ローヌのぶどう園を廻って来たが、ブルゴーニュでは桜が今満開であり葡萄の目はまだ固かった。ボジョレでは少し出かかっている状況だった。さすがにローヌ地方では、すでに芽が立派になっていた。地球温暖化は実際には気温が上がったり急激に下がったりで複雑な現象となっている。 南ローヌ4月24日撮影

12
Mar

Maxime Magnon bien dans ses Corbières

Ses parents sont ouvriers, il n’y a pas de vignes dans la famille et pourtant très jeune Maxime décide de devenir vigneron. Après des études mouvementées (quelques problèmes liés aux filles, que maxime aime tout particulièrement !!) et un BTS viti-oeno décroché au lycée viticole Davaillet à Dijon, Maxime part chez les autres puisqu’il n’a […]

15
Fév

ラングドックのグランヴァン、アルキエとわいわいワイン会!

新鋭の生産者が多いラングドックでは珍しい1800年代から続く歴史ある蔵元であり、三ツ星レストランでのオンメニュー常連ワインの生産者として定評のあるドメーヌ・アルキエのジャン・ミッシェル氏とマダム・ヴェロニクが2度目の来日。今回の滞在のの最終日にあたる1月17日、以前から親交のある世田谷のエスポアナカモトを訪問、ワインファンと一緒にワインを楽しみました。 当日はナカモトスタッフの作ったプロ級のメニュー、リエット、マリネ、魚介のキャベツ包み、手羽先のワイン煮、ローストビーフなどと共に、アルキエのワイン8種類を堪能。2006年までフランスに滞在していた中本店長がドメーヌ・アルキエを訪問した時の写真を見ながら、出席者全員で夫妻とのコミュニケーションを楽しみました。 「自然のままのぶどう畑には季節ごとに草もいっぱい生えるけど、それも毎朝のサラダに大活躍さ」 「イノシシは美味しく熟したぶどうから食べちゃうけど、美味しいものは分け合わなくちゃね」 「畑が自然だから生態系も自然。てんとう虫は害虫を食べてくれる頼りになる仲間だよ」 アルキエ夫妻が説明するごとに、一同、感動のため息・・・。この夫妻あってのこのワインとの意見があちこちで盛り上がります。 「旨い!有名どころのエルミタージュもびっくりのこの味でこの価格でいいの?」 「バランスが最高。早速、買って帰らなくちゃ」 「これこそラングドックのグランヴァンだ!」 「この柔らかな旨み、造る人の人柄がでてるよね」 美味しいワインと手造り料理を囲んで、お隣との会話もはずみます。 アルキエ夫妻も、リラックス。店長秘蔵の96年を試飲、99年、2000年と続くヴィンテージを見て、 「ナカモトにはフランスよりヴィンテージが揃っているね。買って帰りたいくらいだよ」 とご満悦です。 最後にはサイン入りのボトルのプレゼントもあり、満場の大喝采の中、楽しいひと時は過ぎて行ったのでした・・・。 美味しい自然派が買えるお店 ESPOAナカモト                        東京都世田谷区弦巻4-2-25 TEL : 03-3426-0038  自然派直輸入ワインが沢山あります。 現在、店長中本氏は、フランス。ラングドック首都のモンペリエに3年滞在してワインを究めたプロ中のプロ。 やさしい性格の真面目なランッグドッカ−です。 南の自然派には滅法強いですよ!           どうぞ来店ください!!