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PIERRE OVERNOY & EMMANUEL HOUILLON
静かな山あいの『熱く賑やかなワイン会』 生産地 :ジュラ・サヴォア地方 生産者名:ピエール・オヴェルノワ&エマニュエル・ユイヨン 栽培面積:5.5ha 設 立:1968年 輸入元 :野村ユニソン株式会社 CPV5分類:自然派 フィリップ・パカレが日本に来た時に「最高のもてなしを受けた」と喜んだワイン、「ピエール・オヴェルノワ」のヴァン・ジョーヌ。 いつだったか、ワイナリー達と盛り上がった時の締めくくりがやっぱりこのヴァン・ジョーヌだった。 そのワインを口に運んだ時だけは、みんな無言。瞑想の世界にいざなってくれたような静けさを感じた。 8月16日、この『特別なワイン』を造る生産者「ピエール・オヴェルノワ&エマニュエル・ユイヨン」達に会いにジュラ地方に行ってきました。 (写真はアルボワを臨む景色と、色付き始めたプルサール) ジュラ地方とは、ブルゴーニュワインの中心地ボーヌから、車で東へ約1時間のところにある「アルボワ」という街を中心にしたワイン産地。 この地方独特のワインは、シェリー作りと同じ酵母の働きによってできる「ヴァン・ジョーヌ」。6年以上木樽で熟成させる“面倒な”ワインのため、生産量が少ない。 中でもピエールのヴァン・ジョーヌは、パリのワインショップでさえ入手することが困難な『極めてレア』なワインで、ご存じない方がいるのも当然かも。 蔵に訪問してもそれを開けてくれるとは決まっていない。以前訪問した時に、ピエールから「ワインの熟成状態、そして気候(冬がやはりいいらしい)、その日の気圧などによって、ワインが『開けていいよ』」と言う日があるのだと聞いた。 (もったいぶって飲ましてくれないのかも、という見方もあるだろう。でも彼に会えばそうでないことが分かる。そんな波動を感じる素晴らしい人だ) さー、蔵に到着。 そしたらなぜかバラタンのパトロン、フィリップ・ピノトーがいるではないか。それにボジョレーの自然派5人に挙げられるジャン・フォアイヤールも。どちらも奥さんを伴っている。フィリップ・ピノトー達は夏のヴァカンスでニースに行く途中に立ち寄ったとのこと。 いやー、賑やかな試飲になりそうな予感・・・ (写真左;左からフォアイヤール氏、ピエール氏、バラタンのカナレさん) (写真右;最左がバラタンのフィリップ・ピノトー氏、最右がエマニュエル氏) 彼らよりも遅れて飲み始めた私達に赤ワインのグラスが。 ブラインドで試飲が始まった。 透明なエッジの淡いレンガ色。グラスの底に澱がくっきりと固体化していくつもゆれている。そのコントラストからするとビン熟が長い証拠。 香りは、ピュアで豊かな果実味が残っている。白コショウの優しくスパイシーな、新鮮なキノコの魅力的なブーケが馥郁と香る。この微妙な風味が立ち上るのは、蔵で静かに眠っていたボトルだからこそ。 しばらく香りだけをかいで楽しむ。 「なんだと思う?」とピエール。 分かりっこないが、感じたことを何とかまとめて、 「うーん、飲んだことが無い古いヴィンテージ。甘い果実香が残っているから、90年代前半の上等な作柄かな。」 それは「プルサール1990年」だった。 17年の熟成を経たワイン。バランスの良さと繊細さから、プルサールのポテンシャルの高さを体験。 優れたコンディションで熟成すれば、うっとりするワインになることを示す感動の一本だった。 その後「シャルドネの2006年、2003年」など何本か飲んでいくうちに、雰囲気が段々と賑やかになっていく。 そして「サヴァニャン2000年」がブラスに注がれた時のこと。 エクセレント、マニフィック!!! これがサヴァニャンの良さだ! バラタンのフィリップ・ピノトーが興奮! 人間って、心の底にある本気の部分に触れた時って力が入るんですね。 パリで人気No.1のワインビストロ、「バラタン」のフィリップ・ピノトーが『サヴァニャン2000』を飲んで一気に盛り上がった。 「サヴァニャンの素晴らしさが発揮された最高のワイン」というのだ。 「マニフィック、マニフィック」 普段、店では品のあるシャツを着こなしたニヒルなヒゲおやじなのに、興奮して力がこもったところを始めてみた。 あの様子なら、きっと近いうちに店に入荷するんだろうな・・・ このワインは、約6年半、木樽で補液しながら熟成させ、今年6月にビン詰めしたという。 生アーモンドやナッツのニュアンス。筋肉質で濃厚、ギューと密度もあるから、特有の酸味がまったりと溶け込んでいる。 なるほど、これが飲み頃というやつか。とても興味深いボトルだった。 私がアルボワにある名店「ジャン・ポール・ジュネ」の一品、「ブレス鶏とモリーユのヴァン・ジョーヌソース」とこの「サヴァニャン2000」がピッタリだというと、 バラタンの奥さん、カレナが唇に親指と人差し指を付けてピョコンと開く “絶品” のポーズをしてくれた。 そんな折、白い料理人の服を着た人が一人、大小の袋を下げてやってきた。茶色い袋はアルボアの有名チョコレート、イルシンガーでは? 襟のところがトリコロール、フランス国旗みたいなデザイン??? もしかして、、、 そう、1996年にMOFを取得したエドワー・イルシンガー本人だった。 (MOF=フランス政府が料理や製菓などの伝統的技術を要する分野で与える最高の賞、最優秀技術者賞のこと。) […]