18
Déc

PASSION溢れるワイン見本市QUILLES DE JOIE !PART 1

南フランスの住人数百人ほどの小さな村SOUVIGNARGUEスヴィニャルグで行われた。 Quille de Joie キーユ・ド・ジョワ は、“喜び一本”の意。 まさに、その名の通り、ワイン一本を囲んで笑顔溢れる勢いのいいワインを造る醸造家ばかりだった。 南フランスを中心に他の地方より数社参加していて総計40社ほどの造り手が集まった。 スヴィニャルグ村と云えば、今、南フランスで最も熱い自然派ワインの新人が出現している地域である。 この村には、先駆者として勢いのある蔵元,MONT DE MARIEモンド・マリー醸造のThierryティエリーやMAS LAU マス・ロー醸造のローラン・バニョルなどがリーダー各として頑張っている。 彼らを追随して、多くの若手がこの村を中心に誕生してる。 今、期待の若手ではジョエ・シャンドリエがいる。 どれもみなそれぞれ強烈な特徴・個性がありながら、お互いに尊重し合いながら助け合って、成り立っている。 自然派ワインの世界では最もエネルギッシュな“気”が溢れている、醸造家が集まっている、と云っても過言ではない。 嬉しいことに、Tavelのラングロールのエリック、そしてやさしいワインを醸すベテランのムーレシップ醸造のアランも応援にかけつてくれた。 やっぱり、超ベテラン級の偉大な造り手がいるだけで、空気が明るく、ビシッとしまって雰囲気に深味が増してくる。 今回の主催を仕切るのは、若手のジョエ・シャンドリエである。勿論、モンド・マリー醸造のティエリーも補助している。 今回は、ジョエが気合を入れて会を仕切っているので時間がなく、本人はブースを出展してない。 ジョエは若者らしく、夜はバンドを入れて楽しくソワレを演出した。 レストランは、会場横に巨大テントをはってワインビストロを設置した。 シェフは、何とNimesニームの街の超人気ビストロのMarmiteのシェフ、ジョルジュを迎えた。 もう皆大喜びだった 人間として真っ当な生き方をしている造り手が造った真っ当なワインは心に響いてくる。 今日集まっている造り手達は、皆自然を愛し、尊重して、妙な化学物質の添加などすることなく、土壌を生かし、飲む人のことも考えながら美味しく、体にもエネルギーをもたらしてくれるワインを造ることに情熱を燃やしている醸造家ばかり。 その上に、心のこもった料理があれば、もうパラディ(天国気分)だ。 しかも同じ志をもった仲間、ワイン好きが同じテーブルを囲んで分かち合う。 なんて、素晴らしい空間なのだろう。 色んな事が起きている世界事情の世に、こんなワインと料理で世にポジティフなエネルギーを氾濫させたい!! ここスヴィニャルグ村は、今年、3回も雹が襲いかかった。 収穫量は例年の30%ほどしかなかった。 苦しい経営が近未来に待っている。 でも天には文句は言えない。また来年に向けてコツコツやるしかない。 そんな状況の中でも、こんな素晴らしい試飲会を開催してくれて感謝しかない。

18
Déc

スヴィニャルグ村の名手の一人MAS LAU醸造のローラン

南フランスの星付きレストランのソムリエだったローラン。 スヴィニャルグ村にやって来た時、世話もされず放置されて野生化していたこの葡萄達を見て醸造家になることを決意したローラン。 100歳を超えた葡萄木達がローランに語りかけてきた。 『ローラン、何とかしてくれ!』 ラングドック地元品種で、もう絶滅しかけている品種Ouilladeウイヤードだった。 南仏のソムリエだったローランは、この地元品種の希少価値を十分に理解していた。 ソムリエの仕事をしていたローランは、当時自分のやっていることに疑問を感じていた。 このままソムリエの仕事をしていくことに、“これでいいのか?” ローランのお父さんは農業者だった。お父さんの背中を見ながら育ったローランは自分の原点に戻りたかった。 自分も土と触りながら自然の中で働く仕事をしたくなっていた。 そんな精神状態の時にこのスヴィニャルグ村にやって来たローランだった。こんな希少な葡萄品種、しかも100歳を超えている世界遺産級の葡萄だった。このまま放置して絶滅させていい訳ない。 ローランは決意した。 スヴィニャルグ騎士3人衆 モン・ド・マリの Thierry ,マスローのLaurentローラン、フォン・ロンドのヴァンサン ローランがこの村にたどり着いた頃の若き3人の写真を添付。 当時、この村にやってきて、新規の醸造家として孤軍奮闘努力していたMont de Marieモンド・マリー醸造のティエリー と巡り合い、自分のワイン造りへの夢を相談した。 ティエリーは大賛成だった。ローランがすぐ始められるように、自分の醸造所の一部を使うことを提案した。 そして、地元農家のFont de rondeフォン・ド・ロンドのVincentヴァンサンを紹介して、他にも売りに出ている畑を紹介してもらった。 ローランは、焦らずじっくりじっくりコツコツやるタイプの人間性を備えている。 何年も放置されていた野生化した葡萄畑を、ビオ栽培で再生させるのに、体力の限りを尽くして農作業に集中した。 完璧に再生するには時間がかかった。 10年以上の歳月が流れて、畑に色んな種類の雑草が生えて、地中にもミミズ、微生物も勿論、自生酵母をイキイキしているのが分るようになってきた。 3年程前に、Ouilladeウイヤードの畑の近所に醸造所を建てて引っ越してきた。 今は、自前の醸造所で、自生酵母だけで、発酵槽に入れるのは葡萄だけで完璧な自然醸造で造っている。 最近のローランが造るワインの品質が一段と上がっている。狙っていた通り、素晴らしいワイン質を備えたワインが完成している。 特に100歳を超えたOuilladeウイヤードの畑のワイン、Clin d’Ouilleクラン・ドイユはもう素晴らしいワインとなっている。クラン・ドイユとは“ウィンク”の意。奥さんがラベルのウィンクの絵を書いてくれた。 100年の歳月をかけて生存し続けてきたOuilladeウイヤード品種、深く地中に入りこんだ根っ子が吸い上げたミネラリがたっぷりで、この土壌で育った自生酵母だけで醸したワイン、もう絶品である。 いいワインには、果実味とミネラル感そして深味がある。SO2は基本的に混入しないゼロ、年によって必要な場合は極小だけ使用する。 透明感があって、スーと体に入っていく。 これだけ、手間暇かけて自然に造っていても、嬉しいことに価格はホントにリーズナブルである。 ローランのお父さんは農業者であり、お金持ちでもなく、貧乏人でもない普通のフランス人。 普通のフランス人が、『今日はチョットワインでも飲みたいな。』って思った時、誰でもが買える価格帯であることが大切だとローランは考えている。 だからどんなに手間暇かけてもリーズナブルな価格いることは大切なことなのである。 さて、ローランはQuiies de Joie試飲会に、ブースを若い人達に譲る、と云って参加していなかった。 ローランに逢うためと23年ミレジムをテースティングする為に醸造所に寄った。 いつも元気印のローランが、どことなく元気がなかったのでチョット心配になった。 今年は、ちょうどローランの畑の区画に何と3回も雹が襲ってきて、収穫量は普通の年の30%以下となってしまった。 いつもポジティフなエネルギーとスカッとしたローランなのに、今日はホントにチョット寂しそうだった。 そんな中でも、2023年ミレジムを熟成中のタンクからテースティングをさせてくれた。 量は、極端に少ないけど、品質はホントに素晴らしかった。 23年は量が少ないので、通常のワインを出荷することはできないので、全部を程よくブレンドして数種類だけのリストになるだろう。 ★チョット元気がないローラン いつ来ても元気印の象徴のようなローランでも、こんな状態の時があるんだなと、思った。 収穫量が極端に少ないのも原因だろうが、そればかりではなさそう。 口に出す言葉が、否定的なところが多かったので驚いた次第。 生身の人間、人生いろいろあるよね。 何とか、いつものローランのように元気印に戻れるように、応援したい!! チョット安心したのは、娘のMerinaメリナちゃんの話になると、大きな目に元気が戻っていた。 […]

18
Déc

本物ワイン見本市VIN DE MES AMISヴァン・デ・メザミがParisで開催

23年の醸造が終わったこの時期に、フランスの有数の造り手達がパリに結集した。 パリ・サンジェルマン大通りのLa Maison de L’Amérique Latinで開催された。   こんな素晴らしい見本市を主催者しているのは、南仏ミネルヴォワのSENAT セナ醸造のシャルロットさんだ。 自然派というより本物ワインと云った方が妥当なPassion溢れる醸造家が集まった。 エネルギッシュな約100蔵弱の醸造家が一同に集まると、もう会場内には熱気が充満していた。 私達のように多くの醸造家と仕事をする人間にとっては、一挙に多くの造り手に会えるのはありがたい。   23年のミレジムの情報、今売りに出しているミレジムのテースティング、多くの貴重な情報が詰まっていた。 この見本市は、主催者のセナ醸造を始めに超ベテランやレジェンド級の醸造家に逢えるのも凄いことだ。 (左から) ★ ジャンバティスト・セナ ★ ジャン・フォワラール ★フィリップ・ヴァレット 若手の醸造家も集まっていて、若手が考えている醸造方法と、レジェンド達、大御所達の進化の方向性を観ることができた。昨今の温度変化、極端な気候の変動などへの対応をしながら、 ベテランと云えども進化を余儀なくされている現実がある。 そんな気候変動から、導き出された“栽培”“造り”の変化、いや進化と云った方が妥当かもしれない。 (左から) ★ブルゴーニュのアミ醸造 ★南仏フォジェールのレ・セラル醸造 ★新人 造りの現場では、水面下で着々と進化している。その進化の方向性は、これからの販売現場にも大きく影響してくるだろう。 (左から) ★モルゴンのラピエール醸造のアンヌ ★シャブリのトーマ・ピコ ★ミネルヴォワのセナ醸造 今日のヴァン・デ・メザミ試飲会で最も感動した醸造家とワインはこれです。 SYLVIE AUGEREAU シルヴィー・オジュローの-LES MANQUANTS レ・マンカン21 これは2023年に私が飲んだ最高のワインです。 これは、シルヴィー・オジュローSylvie・Augereauの渾身の一本。 シルヴィーはあのフランス最大の自然派見本市ディーヴ・ブテイユを主催している女性。 長年、自然派ワイン・ジャーナリストとして活躍して、自然派ワインの本も書上げ、自然派ワインのすべてを熟知した女性。 そのシルヴィーが満を持して、自分で畑を造り、世話をして、醸造もやり切って醸した、まさにパッションの固りのワイン。 私が心の深いところで感動したワインです。 カベルネ・フラン(100歳) 濃縮感があり、繊細なタンニン、口中をビロードのように流れるようなタッチで、深味もありながら、北の産地の爽やかさも備わっていて、体にスーっと入っていく偉大なワインです。 ど、どうしたら、こんなワインが完成するのか? ホントに驚きました。 まさに、Vin Precision ヴァン・プレシジョンである。 つまり、栽培から醸造まで、ワイン造りの重要な節目、節目を正確に,一点の間違いのない作業を積み重ねないとできない品質。感服です。 流石のシルヴィー!! 見つけたら、即、飲むべしワイン!

18
Déc

生牡蠣の美味しい季節だ!カキにはもうMarc PESNOTのワインが世界一!

大西洋の荒波に育ったカキは特別だ!! カキには、黙ってマルク・ペノが醸すムロン・ド・ブルゴニュ! しかも、最近はミカシスト土壌の葡萄みを仕込んだMiss Terreミス・テールのMicaschisteミカシスト!が凄い。 これは、もうヤバいです!! ミカシストのミネラル感を伴た磯の香りが漂い、キリッとしたミネラル・スタイル! もう、これは止まらない!あっという間に2ダースのカキを食べ尽くした! これは、人生、一度は、試さないと!!

16
Déc

パリでゆったり飲みたい時のCLOWN BAR大人の世界でプールサール

大切な人とゆったり食事、とびっきり美味しいワインを静かに楽しみたい。 自然派ワインを飲ませてくれるバーは沢山あるけど、ゆったり大人の落ちついた雰囲気で時を過ごしたい時、 意外とそんな店が少ない。 ワインに熱い人や店は沢山あるけど、静かに美味しいワインをゆったりと飲みたい時もある。   今夜はパリ3区にあるCLOWN BARにやって来た。               こんな時は落ち着いたワイン、しかもチョット普段あまりお目にかかれないワインがいい。 しかも、大切な人と、だから欠陥があるようなワインは遠慮したい。 確実性の高い造り手で、文句なしに美味しくて、落ち着いたワインをゆっくりやりたい。   ワインメニューより、ジュラ地方のStephane Tissotステファンティソー醸造のプールサール・アンフォール18を選んだ。 な・なんて美味しいんだろ。今夜の飲みたい雰囲気にピッタリだった。 まるで、ブルゴーニュの銘醸畑のワイン飲んでいるような錯覚になってくる。ゆったり感がある。   今夜はワインがメーンではないけど、ここまで美味しいと、やっぱり造り手、あの葡萄園が浮かんできてしまう。                 いつも元気でニコニコのStephane Tissotステファン・ティッソ。 2億年前のトリアス期の粘土を手に持ったステファンの顔が浮かんできた。 La vie est belle? ラ・ヴィ・エ・ベル? いい人生を送っている? これはステファンの挨拶だ。 やっぱりエネルギー溢れる人が造ったワインを飲むと、心の深いところに染みわたってくる。

15
Déc

シャンパーニュ LassaigneのエマニュエルがParisオフィスに!!

            キリッと爽やかなシャンパニュJacques Lassaigneジャック・ラセーニュ! これがないと、クリスマス、新年を迎えられない。   美味しいシャンパーニュは他にも沢山あるけど、スカット爽やかさでは世界一だ。 どこまでもクリアーで透明感のある“酒質”のシャンパーニュ。   今では多くのミッシュラン星付きレストランにリストされている。 また、エリーゼ宮で大統領の晩餐会にも使用されたことがある。 . コクのある旨味を伴ったシャンパーニュと違って、まず口中に入れて、真っすぐで心地よく、パーっと目の前が明るくなるようなシャンパーニュは他にはない。このスタイルを拒否する人は誰もいない。   だから、大切な人達と、嬉しい時、お祝い、年越しの乾杯などには、ジャック・ラセーニュが一番ピッタリだ。 チョットうるさい人でもこの並外れた爽やかなシャンパーニュで文句言う人は少ない。 それほど、“心地よい”んです。 キリッと爽やかなシャンパニュJacques Lassaigneジャック・ラセーニュ! これがないと、クリスマス、新年を迎えられない。   美味しいシャンパーニュは他にも沢山あるけど、スカット爽やかさでは世界一だ。 どこまでもクリアーで透明感のある“酒質”のシャンパーニュ。   今では多くのミッシュラン星付きレストランにリストされている。 また、エリーゼ宮で大統領の晩餐会にも使用されたことがある。   コクのある旨味を伴ったシャンパーニュと違って、まず口中に入れて、真っすぐで心地よく、パーっと目の前が明るくなるようなシャンパーニュは他にはない。このスタイルを拒否する人は誰もいない。   だから、大切な人達と、嬉しい時、お祝い、年越しの乾杯などには、ジャック・ラセーニュが一番ピッタリだ。 チョットうるさい人でもこの並外れた爽やかなシャンパーニュで文句言う人は少ない。 それほど、“心地よい”んです。             これは、シャンパーニュ地方でも最も南に位置していて、北シャンパーニュのブラン・ド・ブラン地区にあるCraisクレーの呼ばれる石灰度が高い土壌が、南シャンパーニュのもうシャブリに近いMongueuxモング―村の丘の地表に再出現している特殊な土壌。   この土壌が、スカットしたミネラル感を演出してくれる。   その上、南シャンパーニュの太陽のお陰で、酸を伴いながらもシャルドネが理想的な糖度に熟してくれる。 北シャンパーニュのように補糖する必要性が全くない。   だからミネラルと酸の自然なバランスが、このスカット爽やかさを醸しだしてくれている。   エマニュエルは、パリのレストランに配達しながら、CPVパリオフィスまで数カートン届けてくれた。 これで、23年を気持ちよく越して、新しき素晴らしい2024年を迎えることができる! ホッとしました。   […]

15
Déc

フランス農家の原型を保つボワ・モワセ醸造のフィリップがParisに!

Domaine Bois Moisset ドメーヌ・ボワ・モワセ フランスで最もフランスらしい生活文化が残っているのは西南部地方。 ワインの世界ではフレンチ・パラドックスでの舞台になった地方。 フランスで赤ワインを日常的に最も飲んでいる地方でもある。 フランスの典型的な農家のスタイルを今でも堅持しているボワ・モワセ醸造。 麦の栽培、放牧牛、そして葡萄園でワイン造りという兼業スタイルを保っている貴重な農家のスタイルなのである。 そんな南西部ガイヤック地区からボワ・モワセ醸造のフィリップ・マッフルがCPVのPARISオフィスにやって来た。雨のこの日、フィリップはいつものようにドメーヌで造られたワインとシャルキュトリーを持ってきてくれた。 フィリップは、パートナーのシルヴィー、息子のイポリットと共に、自然のサイクルと調和させながらドメーヌを運営しています。ドメーヌ名である、ラ・フェルム・ボワ・モワセ「湿った森の農場」という名前がぴったりな水分の確保がしやすい立地にある。 15haのブドウ畑に加え、40haの穀物畑も管理していて、30頭の牛が自由に草を食べフンをして、畑に肥料を与えてくれています。総計55ヘクタールの農園を栽培している。 フィリップは葡萄畑で長い一日を過ごした後に牛の世話をすると、心がほっと落ち着くのであった。そしてフィリップの楽しみは、週末はゆっくりソファーでくつろぎながら西南部地方の国民的スポーツであるラグビーのテレビ観戦をすること。 2023年はボワ・モワセにとって特別な年だった。春にはベト病が発生し、ブドウの15%が失われた。7月中旬には、寒く湿った天候が続いて、その後、地中海からの熱波がやってきて猛暑となりブドウを焦がし、ワイナリーのタンク内の酵母にまで影響を及ぼしたほどだった。 ガメイとデュラスの収穫は8月16日に始まった。午後からの作業は猛暑で難しいため、収穫は午前中だけ行った。幸いも収穫量は悪くはなかった。2023年のヴィンテージは、果汁の酸味と緊張感が特徴で、アルコール度数は12.5度前後となった。 1月にあったロワールの試飲会では、私たちはフィリップと息子のイポリット一緒に食事をた。日本はボワ・モワセのワインを輸入している主要な国のひとつであるため、イポリットは日本のワイン愛好家たちの好みや嗜好について多くの質問をしてきたのが印象的だった。マセラシオン・カルボニックで造られる軽くて飲みやすいワインの魅力は、よく話題になりました。 今回オフィスでテイスティングをしながら、私たちの意見が彼らに取り入れられていることを知り、大変嬉しかった。 ワインの試飲だけでなく、黒豚のソーセージ、リエット、コッパ、パテ、Barbu de L’arçonneと呼ばれる古代小麦を使った自家製パンなど、南西部の特産品を持ち込んでくれて、味わうことがでた。西南部地方の彼らはワインのテイスティング時はこんな地元のシャクトリ(生ハム系)と共に楽しむようだった。 1) サン プレション SANS PRESSION 発泡酒です。 ソーヴィニヨン、ミュスカデル、モーザック(買いブドウ)。残糖3g。 2) ヴァン・ノヴェル 2023 VIN NOVEL ブロコルのマセラシオン・カルボニック。通常パワフルなこの品種は驚くほど軽やか。7日間マセラシオンを行う。 3) ハイディオス 2021 (エドニステスとディオニシエンの融合)シラーのマセラシオン・カルボニック。5日間のマセラシオン。ピノノワールを思わせるような味わい。 4) ラ・ヴァッシュ・ダン・レ・ヴィーニュ 2020、ブレンド = プレス・ジュース80% + フリーラン・ジュース20%、デュラス60% マセラシオン 1ヶ月半。シラー40% マセラシオン3週間。 除梗。コロナ禍を経て、ワインが十分落ち着く時間があった。 5)ファルゲイラス・ヴィエイユ・ヴィーニュ 2019 シラー100%。2019年が最後のヴィンテージ。樹齢が高すぎたためブドウの木を抜根しました。 6) オヴァイン 2019、グルナッシュ全房、ブラウコル除梗。標高400mのラルザックに位置する区画。 ワイン造りのどの段階でもSO2は添加していません。総生産量は約30,000本。 最近のボワ・モワセの品質が愕然とアップしたと同時に、安定感のあるワイン質になった。 息子のイポリットが3年前に入ってすべてが変わった。イポリットの醸造センスが光っている。 […]

12
Déc

ボジョレの最高の醸造家の一人ラパリュがパリにやって来た!

私達がもっとも尊敬する醸造家の一人、ジャンクロード・ラパリュがOENO CONNEXIONオフィスにやって来た。 この年末の時期は、比較的パリに近い地域の醸造家達はビストロへの配達を兼ねてやって来る。   ジャンクロードもトラックにワインを積んでやって来た。 今、販売中の22年ミレジムを持参してくれた。   普段、電話で話している私達スタッフとじっくり話せる絶好のチャンスである。 色んな情報を一杯聞き出そうと、メンバーも色んな質問をする。   今年はなんと41年目の収穫・醸造をやったとのこと、その間、最も変わったことは、温暖化の影響で、ここ過去10年で、収穫を8月に開始したのは6年もあったこと。   ラパリュのワインは、我々自身が皆大好きで全員がファンなのである。 ジャンクロードの誠実な人間性と栽培・醸造に関する現場仕事のプロフェッショナル度の高さに尊敬の念を持っている。 ジャンクロードと一緒に飲みたいワインは、EAU FORTEオー・フォルトである。 蔵に最も近くにある葡萄園の区画である。   もっとも、注意深く、手間暇かけて栽培、醸造をやっているCUVEEキュヴェである。 自分の畑を知り尽くした仕事師のジャンクロードが、選んだ区画の葡萄で、これ以上自然には造れない!とい言い切るワインだ。   EAU FORTE オー・フォルトな・なんて美味しいんだろ! こんなに完成度の高いワインは、そんなに沢山ない! 心の深いところで感動するワインの一つである。   セミ・マセラッション・カルボヌック醸造の優れた部分を最大限に、表現できる醸造家はホントに少ない。 EAU FORTE オー・フォルの上品で、繊細なタンニンとやさしい果実味、細くスーっと伸びてくるミネラル。 もうこれは、ホントに凄いワインだ!   見たらすぐ、飲むべし!! 絶対に後悔はさせません。  

29
Nov

スヴィニャルグ村の未来系の醸造家ジョエ・シャンドリエJoe Chandelier

今、南仏で最も光っている若手の造り手といえばジョエ・シャンドリエ – Joe Chandelierだ。 どうしてもワイン造り手になりたくて、モンペリエのワイン学校で栽培・醸造を勉強して、13年に卒業。 シャトー・ヌフ・ド・パップの蔵で研修を行ったあと、全く違うテロワールと造りに興味あって、オーストラリアに渡り違ったタイプの3軒の蔵で修業した。 18年より22年までの4年間は、Alain Allier – アラン・アリエの MOURESSIPE – ムーレシップ醸造で働きながら、その場所を借りて自分のワインも造っていた。 この二つの経験が、ジョエのワインに対する視野の広さと深さを造り上げている。 ジョエの造りたいワインは、軽めでも、濃縮でも、しっかりテロワールと果実味を表現されているスタイルのワイン。 ジョエは昨今、自然派によくある薄旨のスタイルでもしっかりテロワールが表現されていないものは評価しない。 逆に濃縮していても、同じくテロワールと果実味の表現がないワインも評価しないし、造りたくないスタイルなのである。 ジョエが狙っているワインは、薄くても、濃くてもテロワールからくるミネラルがキッチリあって、果実味を中心にした“Digestifディジェスティフ”なワインなのである。 “Digestifディジェスティフ”とは? 最近、自然派ワインの表現でよく使われる。 入りやすい、浸透しやすい、飲みやすい、消化しやすい、という意。 つまり薄くても濃くても、ミネラルがしっかりあると透明感があり、スーっと体に入っていくワインになる。 そんなワインを“Digestifディジェスティフ”と表現する。 Joeジョエの、この辺のワインに対する視野の広さと深さが単なる始めたばかりの若手醸造家とは違う。 ジョエは今年からスヴィニャルグ村に引っ越してきた。7.5ヘクタールの畑となって本格的に独立 今年からここで醸造しているけど、醸造所はまさに建設中というか改装中である。 モンド・マリー醸造のティエリー家自宅の隣の大きな建物である。ジョエ一人では大きすぎるので、ティエリーと半々にして買って分けて使用することになった。 諸々の醸造設備も最初から理想的なものは買えない。優先順位で、まずは、樹脂のグラスファイバーの発酵槽では、あまり思うようなワインが造りにくいのでコンクリート槽を購入した。 コツコツ整えていく予定。 樽は、あのロワールの名門Clos Rougeardクロ・ルジェアール醸造の古樽を購入していた。 さて、折角なので23年ミレジムを、熟成中の樽やキューヴから試飲させてもらった。 *いきなり感動したのは、グルナッシュ・ブラン40%, ヴェルマンティーノ40%, サンソー20%のロゼ・ワイン。 限りなく白に近いロゼワイン。シュール・リで寝かせている最中、すでに旨味がワインに溶け込んでいた。 *そして、今年はピノ・ノワールを友人から買って造っていた。もうこれは、ヤバイです。 除梗なしの全房で、マセラッションは4日間、ピノってしていて果実味も酸もあって繊細で上品なピノでした。 *赤の醸造方法は、グラップ・アンティエールでディジェスティフなスタイル、果実味も酸もあって大変心地よいワイン達だった。 今年は、収穫量が極端に少ないので、3つの区画別からのワインをブレンドするかもしれない。 まだ、はっきりは決めてない。 比較的、濃縮感のあるワインもあるけど、すべてに共通しているのは、まさに“ディジェスティフ”でした。 これからのジョエ・シャンドリエの進化が楽しみ、このようなスタイルが、これからの未来系自然派のスタンダード になるのではないだろうか。

17
Nov

パリの老舗:ルペール・ド・カルトッシュ(Le Repaire de Cartouche)のボジョレ・ヌーボーの会

やっぱり旬の味、ヌーヴォーはワイン・ファンには飲む口実になる。 ここではうるさいことは云わない。 だた楽しく飲むにかぎる。 今年、ルドルフ・シェフが選んだヌーヴォーは、クリストフ・パカレとレミー・ドュフェートルの二つ。 流石のセレクション! 今、クリストフ・パカレが日本に行っていることを、シェフは知っていた。 レミーはもうじき店に来るとのこと。 楽しみだ! シャンソン・フランセーズを歌いながら、踊りながらワイワイとヌーヴォーを飲む! これがボジョレ・ヌーヴォーだ。 フランスでも、普段あまりワインを飲まないヤツまで今夜はワインを飲むよ。 そんなもんだよ! 私は、この時期はいつも日本に行っているので、久々のパリのヌーヴォだ! やっぱり、美味しいトラディション・フレンチとこの雰囲気、フランスの飲んべ達とやるのは、いいものだ!

14
Nov

ワイン造り12年目のラファエル・シャンピエール、新たに静かに燃えるPASSION !

DOMAINE LEONIS ドメーヌ・レオニス ラファエルの性格は一言でいうと“控えめ”。 自分から意見を主張したり、ワインを売り込む為の語りを自分からすること全くない。 ラファエルの蔵に行ってテースティングしても、黙ってグラス に注いでくれたあとは、ジッと私の試飲を眺めている。 こちらから、質問しなければ殆ど語らない。 こんなフランス人は珍しい。普通は自分のやっていることを2倍に強調して説明、喋りまくる人が多い。 だから、私はいつも話半分で聞いている。 ここまで無口だとチョット心配になってくるほどである。 私にとって沈黙は全く邪魔にならないので、二人でしばらく何も喋らないで試飲に集中することもある。 ワインの品質、レベルは驚くほど高い。 じっくり考えて、目標を定めて、一つ一つの作業を狙った通り実行しない限り、絶対にできないレベルの品質だ。 相当の努力をしているのが分る。 決して表向きに分りやすい味わいではない。ジワリジワリと奥からいろんな要素の味わいが表現されてくる深味がある。 まるでラファエルのような性格のワイン質だ。   ラファエルは地元ボジョレの醸造家の家に生を享けた。何と14人兄弟がいて、11人目の子だった。 多分、この控えめの性格は、大勢いる兄弟の中で築かれたものであろう。   ラファエルは小さい頃から、ワイン造りに大変興味をもっていた。でも兄弟が多いので家業を継ぐことは不可能だった。 近所に若者達がワイン造りを手伝いながら楽しそうに仕事している醸造元があった。 それがジャン・クロード・ラパリュの蔵だった。ラファエルはジャンクロードにお願いして一緒に働くことになった。 ここにも、ラパリュ学校の薫陶をうけた醸造家がいる。 ラファエルは、ジャンクロードのワインの美味しさに感動していた。 自分もこんなワインを造りたいと願っていた。 ある時、近所の栽培家から畑を借りられるオファーがあった。 ラファエルはこんなチャンスは二度とないだろうと、この控えめな性格ながらこの時は一番に手を挙げた。 それが2011年だった。 (夢が叶ったその当時のラファエルの控えめながらも嬉しそうな写真を添付しておく。) しかも、この畑はローマ時代から栽培されていたといわれるボジョレ最古の歴史があるLACARELLEラカレルと呼ばれている区画だった。 ここは最高のミクロクリマ(微気象)を備えていた。ブルイ山の南東に位置していて北からの寒い風をブルイ山が弱めてくれる。ボジョレの中でも最も早く熟す区画の一つだった。 土壌も花崗岩を中心に花崗岩が風化した砂、そしてブルイ山から流れてきたシスト土壌も混じっている。 実に興味深いテロワールだ。 そして、2015年にもう一度、転機がやってきた。一生懸命に頑張るラファエルをみて、実家からモルゴンの畑を分けてもらえるようになった。 その機会に、正式にLEONISレオニスという名をつけて醸造元を設立した。 しかも、70歳、100歳を超える古木が植わっている特別な畑である。 初リリースから12年が過ぎた。 最初からいつもラファエルを横から支えている奥さんクリステルの存在も大きい。 丹念に世話をしてきた畑は、イキイキしている。 最近のラファエルの醸すワインの深味、繊細さは感動的な美味しさである。 特に、ラファエルの醸すCOTES DE BROUILLYブルイは、もうとんでもないレベルの美味しさだ。 標高380mの区画で育つ70歳の古木の葡萄ばかりを仕込んだワインだ。 素晴らしい濃縮感、柔らかい品のあるタンニン、標高からくる爽やかな酸、背骨を支えるミネラル感、これは凄いです。 2023年のLeonisレオニス・ヌーヴォーは如何に? 栽培、醸造に静かなPassionを振り絞って頑張ってきた技を見事に発揮したミレジムとなった。 猛暑、乾燥、そして数回にわたる雹の襲来、決して楽なミレジムではなかった。 収穫は雹と強烈な太陽光線に痛めつけられた葡萄を丹念に選別作業する必要があった。 モクモクと黙ってやるべきことをこなして出来上がった。Leonis nouveau23 自然度の高いナチュール・ヌーヴォー、ホワっとした柔らかいアタック、ジワリジワリと広がる旨味、黙ってスーっと入っていきそうなスタイル。 まさに、ラファエルっぽいヌーヴォーだ。

14
Nov

モルゴン村の一番高い丘に構える“熊”のような存在ジョルジュ・デコンブ

George Descombes 自然派ワイン発祥のモルゴン村の存在感抜群の男George Descombesジョルジュ・デコンブ。 ボジョレの皆からはヌーンと呼ばれて愛されている。 多くは語らずドッシリしていて強面の“熊”のような存在。でも人間としての“心”の中がとてもやさしい男。 ヌーンの愛称は大きな“縫いぐるみの熊”という意味あいで皆から愛されている。 自然派ワインの初期、モルゴンのマルセル・ラピエールが頑張って広めている時代から、マルセルの元で学び共に戦ってきた貴重な人。私もジョルジュとの付き合いはもう30年ほど経っている。 1995年11月、デコンブのボジョレ・ヌーヴォを空輸で明後日の飛行機で日本に運ぶという時に、ボジョレのAOC協会がこのジョルジュ・デコンブ・ヌーヴォに対して難癖をつけてAOCヌーヴォの認可を拒否していた。 当時は、まだボジョレの有力者達が自然なワイン造りに偏見を持っていて、自然派のワインに嫌がらせをしていた時代だった。   今でこそは、笑って話せますが。もう飛行機は予約済だし、日本のインポーターも、飲食店様も皆、到着を待ってヌーヴォーを盛り上げようとしていた。 ヌーヴォが着きませんでした、なんてことが許される時代ではなかった。 私とジョルジュはお互いに顔を見合わせて、“どうしよう?!”無言の???を繰り返していました。 ジョルジュは突然に立ち上がって、 『ITO心配するな!俺はこれからAOCオフィスに行ってサインをもらうまで動かない!』 その顔は、もう真剣そのもの、静かなジョルジュも心の奥で燃えたぎっている怒りを抑えているのがわかった。 当時の若きジョルジュの熊のような体から“凛とした”湯気のようなもの立っていた。 相当な覚悟・決意を持ていたに違いない。 数時間後、許可のサインをもらって、帰ってきた。 もう私は、安心するとい同時に、“この男の気迫の凄さ”に関心した次第だった。 その後、マルセル・ラピエールと共に、ジョルジュ・デコンブの備えつきバーで、祝杯を挙げた夜のことを思い出す。 今では、ここボジョレのAOC協会は非常に協力的に動いてくれている。 今のように、美味しい自然派ワインが無事に日本までたどり着くようになったのは、マルセルやデコンブのような古参の造り手達が頑張って努力してくれたお陰なんです。もう感謝しかないですよね!! そんな自然派ワインの初期の頃の話を、体験してきた貴重な存在の一人がこのジョルジュ・デコンブなんです。 ―――――― ジョルジュ・デコンブのワインのスタイルは、独特の“酸”にある。 ビシっと締まった酸は、たまらない魅力である。 そして、背骨が真っ直ぐなるミネラルとしっかりした酒質(ワイン質)だ。 まるでジョルジュ・デコンブの精神、あの時の“動かない“凛とした”精神力が表現されている。 でも当然ながら精神力だけでは酸とミネラルはできない。当たり前のこと。 ジョルジュ・デコンブの畑はすべて標高の高いところばかり。 どの区画も、ボジョレ中を見渡せるほど標高が高いところばかりだ。 あの心地よく、料理にピッタリと寄り添ってくれる酸はこの標高なのである。 標高が高いから、葡萄が熟すのにチョット時間がかかる。だからジョルジュ・デコンブの収穫の開始はボジョレ中で最も遅い。 仲間の醸造家達が終わった頃に収穫を始めるくらいである。 今年も皆の収穫が終わった頃の9月15日に収穫開始した。 勿論、私も立ち会った。 夜明け前に収穫人達が集まって来て、小型のバスで葡萄園に向かい、ちょうど到着する頃に太陽な昇る。 日の出と共に収穫か開始する。 葡萄園での日の出は美しい! 葡萄園はシーンと静かで、まだチョット薄暗く、チャキチャキと葡萄を切るハサミの音だけが響いてくる。 何とも異次元の世界だ。 23年の収穫が次々と運び込まれてくる。 今年の葡萄の状態を見て思わず笑顔が飛び出すジョルジュ・デコンブ。 狙ったとおりの熟度と酸が感じられる葡萄だった。 2023年デコンブ・ヌーヴォーは? もう30年以上ワインを造り続けてきたベテランの技は、一朝一夕には出せない深味を備えている。 そして、目の前がパァーと開けて明るくなるような“酸”がヌーヴォーに常に表現されている。 デコンブ・ヌーヴォーを飲む度に、1995年の出荷時のことが私の頭を良き思い出として通り過ぎていく。 デコンブ・ヌーヴォも美味しいよ!外せませんよ!

8
Nov

ガメ品種を知り尽くし、その可能性を最大限に醸す“匠”ジャンクロード・ラパリュ

Jean-Claude LAPALU 美味しいワインを造る醸造家は沢山いる。 でも人間的に“この人なら”と心から信頼できる人は少ない。 まず人間性がずば抜けて優れている。 こんな人が造るワインは、いつ、ごこで、どんな時でも、誰と一緒でも、安心して飲めるし、心から安らぐワインなのである。この安心感、安定感、心地よさは、何ものにも代えがたいものがある。 ラパリュのワインを飲むということは、心から信頼している親友に逢って話すようなものだ。 この感覚は、実に大切なことである。 ジャンクロードが何故、こんな素晴らしいワインを造ることができるか? それは、下記のような人間だからである。 *誠実で、謙虚であること。 *並外れた体力があること。 *ものごとを追求する探求心が強く、絶対にあきらめない強さがある。 *常に人の和を大切にすることを考えている。   勿論、ジャンクロードも人の子、間違いもするし、完璧ではない。 でも、上記の人間性を大きく外れたことを見たことがない。 ジャンクロードは、ここボジョレに生まれて、小さい時からワイン造りをしたかった。 でも、それがかなう環境ではなかったので、パリにでて消防士をめざした。 ここで、超人的に鍛えた体力を備えることになった。 パリ消防士には、超エリート集団が存在していて、体力、精神力がずば抜けた精鋭ばかりを集めた特殊部隊がある。 ジャンクロードはその特殊部隊に選別されて、そこで活躍したメンバーの一人である。 この体力が、精神力が、その後のワイン造りに大きく影響することになった。 ジャンクロードは、子供の頃からの夢だった、“ワイン造り手”になることを実現させるためにボジョレに戻り、畑を借りてワイン造りを開始した。 このワイン造りの道を全く知らなかったジャンクロードは、ただ必死に体力の限りを尽くして畑仕事に打ち込んだ。 朝から日が落ちるまで畑で生活していた。 勿論、自然な栽培を実施していた。 造りも全くのゼロからの出発だった。 ジャンクロードは、自分自身ですべて実施しながら失敗も積み重ねながら自然な造りを自得していった。 ボジョレには、マルセル・ラピエールをはじめ名だたる大御所の自然派ワインの造り手達がいたけど、以外にも人見知りのジャンクロードには接点がなかった。 ずっと遅れて、マルセルやジャン・ホワールなどと巡り合い交流がはじまり、色んなことを学んでいったのである。 こんな訳もあって、ジャンクロードの醸すワインは、典型的な自然派のスタイルとは違った酒質(ワイン質)備えている。 ボジョレの醸造家が絶対に造ろうとしないスタイルのワインを次々と造り上げて、業界人を驚かせたのである。 ゼロから始めたジャンクロードには、伝統からくる壁がなく、素直な願望をもってガメ品種のあらゆる側面を表現するワインを発表していった。 例えば、ガメ品種を遅摘みにして超完熟の状態で醸造する、遅摘み赤ワインはまるでバニュルスを思わせるワインだった。 また、限りなく“水”に近い口当たりのワイン“Eau Forte”オーフォルトなども驚愕のスタイルだった。 ガメ品種で、誰も造ったことがない造りを挑戦できたのは、真っすぐな旺盛な探求心と屈強な体力をもって畑仕事を自分の手で入念に完璧にこなしていたからである。 ジャンクロードは、自分の畑を数メートル歩くごとに変化する土壌の状態を知り尽くしている。 この区画で、この部分からは、今年はこんな葡萄ができる、とすべて理由づけられる。 何か、醸造上で失敗があった時は、あの時の自分の栽培上の対応が悪かったんだ、とすべて分析できるほどまで畑と農作業とその後の醸造の関係を研究し続けてきたのである。 こんな事を、謙虚なジャンクロードは、まともに話すことはない。 私も30年間の付き合いの中で、部分的に聞いた話を結びつけて、“なるほど、そういうことだったのか”と理解するようになったのである。 畑仕事を完璧こなしているジャンクロードの葡萄は、ボジョレ中で最も早く熟すので、収穫開始日はボジョレでは誰よりも早い。   今年私とヴィクトールは、9月12日にジャンクロードの蔵に行った時は、多くの醸造家が収穫をはじめたばかりだったけど、当然のごとくにジャンクロードの収穫はすでに終わっていた。 これは想定していたとおりだったので、別に驚かなかった。 私は、この蔵で、プレス機にかけて“Paradisパラディ”と呼ばれる今年の初絞りのプレス液をテースティングするのが最高の楽しみにしている。予想通りにすでにプレスを開始していたのだった。 垂直式の大型プレス機の横に陣取って、ジャンクロードと話しながらこのパラディを飲むことができることに、最高の幸せを感じる。 今年の猛暑と極端な乾燥の中でも、ジャンクロードの畑からは、キッチリ酸が備わった葡萄が収穫できた。 長年の自然栽培で、葡萄木の根っ子が地中深く伸びていて、必要な水分を確保できているのが分る。 それでも、ジャンクロードは云う、『区画によっては強烈な西日の太陽によって、水分が飛んで干し葡萄のようになっている区画もあり、23年ミレジムは区画の場所によって大きな違いが出るだろう』 23年は最終的には、いいミレジムに入るだろうが、区画別にバラつきがでるだろう。 最終的なアッサンブラージが重要な要素となるミレジムになるだろう。 少なくとも、私が試飲したパラディ・ワインは素晴らしいバランスだった。 […]

8
Nov

セミ・マセラッション・カルボニック醸造の天才醸造家レミ・デュフェイトル

今、ボジョレの若手自然派ワイン醸造家の中では、飛びぬけたワインを造り上げているRemi・Dufaitreレミ・デュフェイトル。 ボジョレのガメ品種のメリットは、心地よい“軽快さ”にある。 単に軽快なワインを造る人は山程いる。 しかし軽快さだけでは、つまらない。 レミは軽快さと共に深味、奥行きを感じさせる果実味が表現されている。 特に、ボジョレーヌーヴォの美味しさは抜群である。 そして、驚くのは、猛暑の年でも、全く問題なく軽快さと深味のある果実味が表現されている。 まるでマジックのようだ。 その由来が、レミがとっている醸造方法セミ・マセラッション・カルボヌック醸造にある。 S MC(Semi・Maceration Carbonique)と略称されている造りのことである。 でも、ボジョレでは、殆どの醸造家がこの手法をとっている。 でもレミのようにはならない。 方法は一緒でも、細かな一つ一つに作業の精度が違うのだろう。 同じレシピで、料理しても、複数のシェフによって調理されれば、全く違う味わいになるのに似ている。 全体的には、同じような風味でも、繊細さ、旨味の深さが全く違ってくる。 原料である。葡萄を発酵槽に入れて、葡萄の皮から果肉の方に色(アントシアン)やタンニン、旨味成分が浸透していくのがこの醸造方法のメカニズムである。 その時の発酵槽内の環境つくり、マセラッションの時間の精度、レミの感性には色んなことが観えているのだろう。 あのホワっとしたやさしい果実味、軽快さ、心地よさは、レミ独特のバランスである。 醸造中に、レミが発酵槽の上に座って、ジッと発酵槽の内部を見ていたことがあった。 レミには観えているものがあるのだろう。 今年のボジョレは40度を超す猛暑の夏だった。 今年こそは、流石のレミも濃縮しているだろう、と思っていた。 ところが、今年も更に、心地よい軽快さと共にゆったりした果実味が伴っている。 もう天才、としか言いようがない。 レミは、今年で12回目の収穫となった。 2年前より、新しい醸造所を建てて、設備投資のお陰で、一段と清潔で仕事しやすく、しかも醸造所内全体の冷房完備と収穫後の葡萄を冷却する部屋も取り付けた。 収穫された葡萄が、蔵に到着してからの処理する順序と器具の使い方とスピードは、練りに練った、実に理に叶ったやり方だった。 もう完璧と云っていい。この設備になって、一段と繊細さが増してきたように思う。 レミの師匠はジャン・フロワールである。 今でも、毎日会っている。どうしても会えない時は、電話で必ず挨拶を欠かさない、とのこと。 それほどジャンのことを心酔して尊敬している。 レミのワインには、どことなくジャンのワインに通じるものを感じるのは当然のことだ。 レミにはもう一人、毎日顔を合わせている醸造家がいる。 一番近所の醸造家、ジャンクロード・ラパリュである。 チョットした時間があれば、即ジャンクロードの蔵にやって来るレミがいる。 まるで、お兄さんのように慕っている。 でも、ワインのスタイルは全く違うけど、ジャンクロードからは、仕事の手順ややり方を学んでいる。 今年も収穫はLaurenceローランスが35人の若手ばかりの収穫人を連れて収穫を取り仕切っていた。 9月2日から35人で、約2週間の収穫をしたとのこと。 一つのニュースがあった。今年から、いくつかのキューヴの醸造をローランスが手掛けたようだった。 楽しみだ。 もうじき、ヌーヴォーの解禁が近づいている。今年も、レミ・ヌヴォーは外せないでしょう!

8
Nov

23年CAMBONカンボン醸造に若きエネルギーの新風アレキサンドルが中心に!

自然派の源水である故マルセル・ラピエールが再生させた由緒あるCH-CAMBONシャトー・カンボン醸造が大進化中! あのマルセルが幼馴染のシャモナールとマリーと共に名門シャトー・カンボンを再生させた。 数年前よりシャモナールとマリーは次世代のカンボンを引き継いでくれる若い力をさがしていた。 素晴らしい若きアレキサンドルAlexandreが手を挙げた。 昨年よりカンボンにて、引継ぎ作業を実行していた。 今年、2023年よりこのアレキサンドルが本格的に中心になって収穫、醸造が行われている。 もちろん、マリーもシャモナールも付きっ切りで指導と援助をおしまない。 マルセルが再生させた名門カンボン醸造を次世代に引き継ぐ作業が行われている。 昨年より、アレキサンドルは醸造上に若きアイデアを生かしてワインを進化させている。 2023年の収穫は進化したエネルギーを感じさせるものだった。 今年はボジョレには4回も雹が襲い、40度を超す猛暑が襲った。 でも、アレキサンドルはラッキーな人だ。 カンボンの畑は完璧に守られていた。生産量も満足のいく葡萄が収穫できた。 今年の収穫中の猛暑も凄まじかった。 ボジョレでは収穫中に2人の収穫人が暑さのために亡くなった。 アレキサンドルは収穫人を保護するため、収穫は午前中だけ行い、午後は収穫人を休ませた。 この決断が収穫人のアレキサンドルへの信頼を確かなものへとしたのだ。 収穫の雰囲気が明かるくなり、皆がイキイキと笑顔で収穫する、素晴らしい空気が生成された。 収穫がいい雰囲気と適正な規律の中で行われるのは、大変重要なことなのでる。 収穫がストレスだらけの雰囲気の中で行われたら、収穫人は必要な選果作業もいい加減になってしまうだろう。 一年間の畑仕事で育った健全な葡萄だけが発酵槽に入る厳格さが欠けてしまう。 いい加減な収穫作業からは、絶対に美味しいワインはできない。テロワールの力を発揮できない。 収穫とは、葡萄たちがこれから、我々人間のために、エネルギーを与えてくれる飲み物に変身する門出なのである。 和やかでかつ規律のある雰囲気で収穫された方が、健全な葡萄が収穫されやすく、美味しいワインになるに決まっている。 収穫中の中休みは、収穫人にとって超重要! スクワットのような動作を数百回も重ねながら収穫するから、足腰の疲れも限界に達する。 休み中の軽食や水補給も重要。 アレキサンドルは、昨年、アレキサンドルの案で造った泡、微発砲ワインを収穫人にふるまった。皆大喜びだった。 葡萄ジュースのように爽やかで、汗をかいた時などは最高だ。   今年のCAMBON NOUVEAUカンボン・ヌーヴォーは? アレクサンドルはマルセル・ラピエールが造り上げた飛びっきり美味しい自然なボジョレ・ヌーヴォのスタイルを忠実に再現させている。 カンボンの畑の中でも、最も果実味と酸が残る区画を選んで、今年の猛暑の中で、何と12度をやや下回る軽快で葡萄ジュースのようなスタイルを完成させた。 まさにマルセル・ヌーヴォーと云ってもいい典型的なスタイルに仕上がった。 自然派ワイン・ボジョレ・ヌーヴォの原点である。 歓喜と規律をもって収穫された葡萄達が、我々を喜ばせるために、ワインに変身してくれた! 造った本人、アレキサンドルも思わず笑顔になってしまうヌーヴォーが完成!!

8
Nov

フランスの収穫文化の神髄を貫くラフォーレ・ファミリーのワイン造り

ラフォーレ醸造では、ワイン造りにおいて、収穫は最も重要な要素ととらえている。 ワイン造りは一人ではできないもの。 栽培から収穫、醸造と、どの時期も色んな人が携わって出来上がるもの。 ヨーロッパは狩猟民族のDNAが流れている。だから基本的に徹底した個人主義の思想が中心になっている。 しかし、ワイン造りだけは、典型的な農耕民族の文化でないとできない。 個人主義と集団主義の接点というか調和がワインを造り上げている。 ラフォ-―レ醸造では、約30名の収穫人が毎年フランス中からやって来る。 年齢、男女、経験も程よくバランスがとられている、 20代から70代までばらけている。ここでの収穫経験者も30%は毎年確保している。中には60年間もここでの収穫に参加しているメンバーもいる。 そして、最も大切なのは、男女の割合も半々になっていることも大切だとのこと。 このバランスは偶然にはできない。 マルティーヌが中心になって半年前から、収穫人の選択に取り掛かっている。 (直前になって収穫人を集めているとは、訳が違う。一事が万事!この計画性、キメの細かさがワイン造りには大切) ここの収穫期のこの雰囲気、楽しさ、ビシっとした規律、その中に流れるフランス的なソフトな気心の交流、絶妙なチームワーク、皆でいいワインを造ろう、というスピリッツがいきわたっている。 フランスの国技スポーツであるラグビーのチームワークが、ここラフォレ醸造の収穫には感じられる。 働く時は厳しく規律をもって働き、食事の前は蔵の一角にあるバーでアペリティフをやりながら収穫人同士の交流、会話を楽しむ。そして、皆で昼食、夕食のひと時を過ごす、これがまさに典型的な収穫文化なのである。 しかも、老若男女がバランスよく交じっていて、いわゆる大家族での生活が2週間続くのである。 こんな絵に描いたような伝統収穫をやる醸造元が、かなり減ってきているのが現実なのである。 美味しいワインを造るには、このチームワークの精神が最も大切なことの一つである。 この収穫の準備、人集め、食事調理、収穫人の生活に必要なコト(洗濯)モノ(寝具)、などの調達、管理部門を支えているのは、いつも元気な皆のお母さんマルティーニだ。 2週間の朝、昼、夕食、しかも前菜、メ―イン、デザート、フロマージとフルコースが出てくる。 膨大な仕事である。 ベスト・チームワークで造るラフォレのワインはただ美味しいだけではない。 言葉では表せない最も重要な暖かいエネルギーが詰まっている。 ラフォレ・ヌーヴォ2023は凄い! 40度という猛暑の日が続いた夏、西日が当たる葡萄の水分は極端に少なくなっていた。 でも乾燥していたお陰で病気や腐敗は殆どなかった。 今年は葡萄房の量が多かったので、厳しく選果しながらいい葡萄のみを収穫しすることが可能だった。 最も早く熟す平均樹齢30歳の区画の葡萄をヌーヴォー用に採用。 あまり濃縮過ぎないようにマセラッションは5日間と短めにした。 暑かったので、酸が欠けるのではと心配していたけど、キッチリ酸ものっているいるので安心した。 ラフォーレ・ヌーヴォーは、Brouilleブルイの畑からで、いつも力強さのあるスタイルのヌーヴォーを造っている。 今年は、1982年の世紀のヌーヴォと云われたレベルに負けないスタイルではないかと思う。 ラフォーレ・ファミリーのエネルギーが凝縮したヌーヴォーを楽しんでください。!!  

2
Nov

“プランタン”が世界で最も美味しく飲める店 ルペール・ド・カルトッシュ

Paris 3区の貴重な店!伝統のフレンチが食べられる店、Repaire de Cartoucheルペール・ド・カルトッシュにやって来た。 突然、ザ・フレンチの技から生まれる料理が、無性に食べたくなった。 そんなことを思いながら地下鉄に乗っていて、車両がその店がある駅に止まった瞬間に、“ここだ”とひらめいてホームに飛び降りてしまった。 時々、こんな感じになる時がある。 私が、ここに来たら、黙ってこのボトルが開けられて出てくる。 ダール・エ・リボDARD ET RIBOのC’est le Printempsセ・ル・プランタン“春だ!”というワインだ! 22年産はあまり飲む機会がなかったのでちょうどよかった。 昼というのに、ロドルフ・シェフの料理を、こよなく愛している人達が入れ替わりでどんどんやって来る。 1990年台初期にスイスの三ツ星で料理を担当していた本物中の本物、筋金入りのフレンチ料理だ。 今や、フランスといえども、創作料理的なものが多く、“これぞフレンチ”という店が少なくなってしまった だから、ここは貴重な存在の店となっている。 今日のメニュは珍しいものがあった。 今フランス料理店でスープが飲める店が極端に少ない。 そして、ロドルフがメニューのメーンに魚がでるのは珍しく、鯛があった。 この二つを注文。 ロドルフは料理と料理の合間に、時々テーブルの近くに来て、会話を楽しんでくれる。 ここのファンは、皆このひと時を楽しみにやってくる。 美味しい料理と、根っから明るいロドルフとの会話で元気が出てくる特別な店だ。 それにしても、ダール・エ・リボの“プランタン”22は美味しかった。 日本にもまだ在庫があるのだろうか? 見つけたら、是非、飲んでみてください! お勧めです! 瓶詰めされたオニオン・スープがあったので買って、外に出た。 ホントに、満たされた感じで元気になる店だ。 ありがとう、Merci 、自然に言葉が出てしまう。 最後に、何故、ここで飲むとダール・エ・リボのワインが世界一美味しいか? 自分の店の看板にDard et Riboと書いてしまうほど、ここのワインを愛しているからです。

26
Oct

銀座オザミの小松シェフ・ソムリエとシャブリのTHOMAS PICOを訪問

銀座オザミで最高に“心地よいサーヴィス”をこなし、多くのファンを持っている小松さんが熱望した訪問先の一つがブルゴーニュ・シャブリのトーマ・ピコでした。 PARISシャルルドゴール空港から一挙のブルゴーニュ・シャブリへ直行した。 ここシャブリは、近年、天候不順で収穫量が極度に少ないミレジムが続いていた。 今年2023年は、猛暑もありながらも、結果的に稀にみる高品質で収穫量も満足のいく嬉しいミレジムとなった。 そんなこともありで、最高の笑顔で迎えてくれたトーマ・ピコだった。 OENO CONNEXION社は、トーマがお父さんからドメーヌの一部を引き継いだ2003年の初ビンテージから付き合っている。 トーマが20年間にやってきたシャブリでの奮闘はMAGNIFIQUEマニフィック・素晴らしい!としか言いようのないものでした。 そんなトーマの20年間の奮闘と現在までの地道な活動の一部を小松さんに語りだした。 トーマはドメーヌを引き継いだ当初から、ここシャブリの現実を目の当たりにみて危機を抱いていた。 シャブリという産地は、フランス中のワイン産地の中でも、“シャブリ”という名前だけで黙っていても売れる産地であること。逆をいえば、何も努力しなくても売れてしまう産地といえる。 つまり、ここには、お金儲けだけを目的にブルゴーニュの大手有名なネゴシアン(ワイン商)が参入していて、畑には除草剤、化学肥料など化学物質が大量に使われていて、しかもグランクリュの畑さえも、微生物が皆無で砂漠のような無機質なものに近くなっていて、本来の“シャブリ”と云われるスーッと伸びてくるミネラルが感じられないワインが殆どという現実になっていた。 トーマが2003年より、やってきたことは、ここの本来の“シャブリ”のあのミネラル感を取りもどして、更により進化させて“深味”のある、まだ他の誰もがやっていないシャブリ・テロワールの真価を表現することに的を絞って努力してきたのだった。。 オザミの小松さんは、トーマの奮闘してきた過程ながら、彼が造るシャブリに、他にはない特別な魅力を感じとっていた。 その訳を知りたくて、今回の訪問となった。 トーマは、ここシャブリの特殊なテロワールからブルゴーニュのどこにも比較できない偉大なシャルドネが表現できると確信していた。 2003 年に、お父さんから引き継ぐと同時にトーマはドメーヌ、PATTES LOUP パット・ルを設立した。 最初は、ほんの一部の畑だけを引き継いで、完璧なまでのビオ栽培を開始した。 完璧主義者のトーマは少しづつお父さんの畑を引き継いで、畑をコツコツと着実に整備していった。 20年間の時を経て、今では16ヘクタールの畑になっている。 勿論、すべて人的作業による完璧なビオ栽培を実施している。 トーマは知っている。シャブリの現実は、グランクリュの畑でも機械を使った栽培、収穫がなされていることを嘆いている。 トーマは、すべて人的な畑作業員を実現したかった。 16ヘクタールとうい面積には、贅沢ともいえる12人の畑作業員を確保して、丹念にビオ栽培を実施している。 この規模で12人の作業員とは、かなりの投資ともいえる。 そして、収穫もトーマにとっては超大切なこと。 葡萄の熟度の最高のバランスと時に、一挙に収穫したいトーマは、何と60人もの収穫人を一挙に投入して最良の熟度で収穫することを心がけている。 そんなトーマの話を聞きながら小松さんは、自分がトーマのシャブリに感じてきたことを納得していた。 また、収穫した葡萄をゆっくりとプレスしたあとは、プレスジュースを発酵槽に入れる作業も、ジュースに圧力がかかると繊細さが欠ける危険性もあるので、ポンプを一切使わないように醸造所を改良して重力で発酵槽に入れるようにした。 そして、白ワインの醸造には、特に醸造所のクリーンな清潔さが重要と考えているので、醸造所内はいつもピカピカなクリーンな状態を維持している。 アルコール発酵はクリーンなステンレス・タンクや卵型のコンクリート槽を使用している。 熟成に関しては、1級畑の場合は600mlのドミ・ミュイと呼ばれる中型樽やフードルと呼ばれている大型樽でゆっくり熟成させることにしている。最低でも2年熟成、試飲結果次第では3年熟成しているものもある。 . トーマは、ここシャブリのテロワールであるキメリッジャン系石灰質土壌のワインの本質が表にでるのは,最低でも2年の熟成が必要と考えている。 トーマにとって、これは実に大切なことである。 資金繰りの状況で、なかなか実現できなかったことだけど、20年の歳月を経てやっと2年、3年と熟成させることが可能となった。自分が試飲して今だ、と思う時に瓶詰めして、飲み頃となった時に出荷できるようになった。 小松さんは、最近のトーマのワインの進化、その美味しさの理由が解明されて、納得としたと同時に敬意を持った。 こんな訳で、今、世に出ているトーマ・ピコのシャブリは、キメリッジャン石灰質の独特の本来のミネラルが表現されているのである。 それでもトーマの悩みは、あまりにも多くのいい加減な造りのシャブリが世に氾濫しているので、世界中からシャブリと聞いただけで拒否される時代が到来するのではと危惧している。 本物シャブリのテロワールを飲んでみたいと思ったら、まずPattes Loup パット・ルー醸造のトーマ・ピコのCHABLISをまず飲んでみてください! これが本物シャブリです。 銀座オザミには、この辺の事情をすべて体感して、このトーマ・ピコの本物シャブリをリストに載せている小松さんがいる。 このトーマ・ピコのシャブリを、日本で最高に美味しくい飲ませてくれるのは、銀座オザミ店の小松さんです。 BY ITO, ENZO