28
Avr

ラングドック4月の夏日

なんとラングドック4月26、27日は日陰で27度まであがった。当然、浜辺の炎天下では30度を軽く超える気温となった。土日と云うこともあってまるで夏の海水浴浜辺のようだった。 モンペリエに近いカルノンとグランド・モットの間の浜辺だ。 地球温暖化は単純ではない。 CLUB PASSION DU VINではフランスワイン産地の各地方の天気と気温をHPにて報告することにした。 地球温暖化が表面化している現在、ワイン造りには大変重要な要素となっている。 このHPで3月2日にすでに海水浴を楽しんでいる様子をお知らせしたことがある。しかしその後フランスに寒波が到来して4月初旬にパリ、アルザス、ジュラ、では雪が降った。 西南部地方では3月の温暖で芽がすでに出ていた為に霜被害にあったところもある。他の地方では冷春の為に、発芽が例年並みもしくわ遅くなっているのが現実だ。先週、ブルゴーニュ、ボージョレ、ローヌのぶどう園を廻って来たが、ブルゴーニュでは桜が今満開であり葡萄の目はまだ固かった。ボジョレでは少し出かかっている状況だった。さすがにローヌ地方では、すでに芽が立派になっていた。地球温暖化は実際には気温が上がったり急激に下がったりで複雑な現象となっている。 南ローヌ4月24日撮影

18
Avr

イタリア旅行 2008年

事務所から離れ、他の場所で仕事をするのはワクワクする。仕事はおもしろいが疲れるし、ちょっと生き抜きしたり新しい物を見る事は大切だ。先週私は伊藤さんと VINITALY や他の試飲会が行われたイタリアへ5日間の旅へ行く機会があった。 イタリアはフランスから近く言葉が似ているにも関わらず、雰囲気が全く違う。到着してから全てがピアノ・ピアノ(イタリア語でゆっくりという意味)だ・・・車の運転は別として(片手はクラクション、片足はブレーキという形がイタリア人の運転スタイル)、現地の人達はゆっくりと流れて行く時間を十分と味わっている感じだ。私はイタリア語が喋れないし、皆が言っている事は分からないからそう感じるだけかもしれないが、アルプスの反対側での方が平穏な生活を送っている様に思える。 イタリア人のファッションセンスはエレガントで抜群!特にサングラスが大好き!皆いつでもかけている:朝から晩まで、中でも外でも・・朝食の時も夕食の時も。ショーウインドーのマネキンまで黒いサングラスをかけている!もしかしてサングラス無しではイタリア人になれないのかも?! ワインに関して述べると(ちゃんと仕事もしてますよ!)自然派ワインの傾向が少しづつ取り入れられている。ブドウ畑やワインに対して健全な思想を持った興味深い醸造家達に出会ったし、イタリアには昔から伝わる各地域独特なブドウ品種が保存されている: ‐ピエモンではネビオロやバルベラ ‐サルデーニュではカニュラリ ‐シシリア島ではネロ・ド・アボラ 他にもマンモロ、コルテッセ、ガヴィ、ドルチェット、コロリノ、レフォスコ、マルバシア、サンジオヴェセ、インソリア、ミュラー・テュルゴー・・・この数多くの品種がイタリアワインに独特な特徴を与えてるのだろう。 とても驚いた事に、この国では白ワインは赤ワインと同じように醸造されていることだ。ブドウは何日から何ヶ月の間、粒の皮と同時に漬け込まれる。そうするとなんと酸化の特殊なアロマが香る意外な結果となる。また、赤ワインは木製樽が好まれている。私の好みとしては木の香りが少し強すぎるかも・・ 最後に、イタリア料理の美味しさは比べ物にならない。 イタリアがスローフード(www.slowfood.it)の国だって事も偶然ではない。 食品店、ハム屋、チーズ屋・・ショーウィンドーにはよだれが出そうな位美味しそうな品物が沢山・・・ 衝動買いしないようには強い我慢力が必要だ!! 各村に必ず見当たるのが家族で経営している『タラットリア』がある。ここではシンプルな地方料理が楽しめる(メニューには幾つかの料理しか無い)。店の中でもリラックスした雰囲気だ。お客さんは顔見知りで子供達は皆一緒に遊んでいる。こういうレストランでは家庭の料理が楽しめる。残念な事にフランスでは珍しくなってしまった。本当に残念だ・・・ 伊藤さんと楽しい出来事もあった。イタリア語が分からない私達は、あるレストランで注文した野菜風味パスタを待ちどうしく待っていたらビックリ!小豆のスープパスタのような物が運ばれて来た(ベネト地方の名物料理)・・・すっかり爆笑してしまった・・こういうハプニングも旅での楽しい思い出だ・・・              SANDRINE 翻訳 ASAMI  良かったお店・お勧めされたお店 Verone et ses environs ベローネと周囲 Al Carro Armato 〜 アル・カロ・アルマト Vicolo Gatto, 2/a Verone Tel 045 / 8030175 www.carroarmato.it (月曜休み) Ristorante Grippia 〜 リストランテ グリッピア Vicolo Samarinatana 3 37121 Verona Tel 045 8004577 www.ristorantegreppia.com (月曜休み) Antica Bottega Del […]

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Avr

VOYAGE EN ITALIE 2008

C’est toujours motivant de sortir du bureau. Le travail quotidien même s’il est intéressant peut être sclérosant et il est important de prendre l’air, de voir des choses nouvelles. La semaine dernière j’ai eu la chance de partir 5 jours en Italie avec Monsieur Ito pour participer à VINITALY et autres dégustations parallèles. L’Italie est proche […]

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Avr

自然派ワイン試飲会 *TRIPLE A*

VINITALYの周辺で3グル−プの自然派ワイン試飲会が行われた。その一つが“トリプルA”だ。3つの単語の頭文字をとってTRIPLE“A”とグル−プ名を決定。 1 Agricoltori 農家  2 Artigiani 職人  3 Artisti 芸術家 主催者はルカ・ガルガノ氏である。 ルカさんはCPVが日本で最初にルネッサンス・デ・アぺエラッション試飲会を2006年11月に開催した時に来日していたイタリア人だ。最初、イタリア自然派が一つにまとまっていた時のリ−ダ−の一人である。今でもニコラ・ジョリのルネッサンス・デ・アペラッションと連動しているグループだ。 イタリア醸造元が33社、フランスが29社、スペインが4社、スロヴァキアが4社、ドイツ2社、その他 の国ワインを含めて約80社という国際色豊かなグル−プだ。 会場の一階がイタリアワイン、2階がフランスなど外国のワインとなっていた。 ニコラ・ジョリのグル−プが中心部分とフランスではフィリップ ・パカレやラピエ−ルなどが中心のVIN NATUREグル−プを主催者のルカ氏がくっ付けた感じになっている。フランス国内では絶対に接近しないメンバ−がここでは同居している。 例えば、ニコラ・ジョリ−とフィリップ・パカレや、プリウ−レ・ロックとパカレの組合せもフランスでは見られない。 ビオ・ワインであるけど自然派ワインとは云えないものが多くあった。しかも強烈に酷いワインものもいくつかあったのは事実。 日本ではビオワインと自然派ワインが同意語のごとく使われている。 明らかに違うものである現実をよく見つめてほしい。 イタリア会場 イタリア醸造元33社の参加、既に日本に輸入されて皆様がご存知のものから初参加のものまで色んなタイプが揃っていた。素晴らしいものから酷い品質のものまで雑多に混じっていた。 ピア〜ノ、ピア〜ノのノンビリした試飲スピ−ドには慣れてきましたが、酷いのに当たった時は困ったものだ。すぐにそのブ−スから離れたくてもなかなか離れられない状況が何度かあった。しかし、精神修養には良い機会だった。確かに人間として、多寡が不味い上手いで失礼な態度を取る訳にはいかない。 同じワインで生活する人間として敬意を払って試飲させて頂きました。 本日の新人賞 このTRIPLE A 会場で私が選ぶ本日の新人賞は 左の彼女だ!! 彼女はフィリップ・パカレのところで修行してイタリアにもどって今ワインを造っている。 まだ販売していない。髪型までパカレ風だ。 本日もパカレの手伝いとしての参加だ!! しかし、我々だけに、熟成中のピノ・ノワ−ルをこっそり持参してあったものを飲ませてもらった。 正に、イタリア風味を備えたパカレ・ピノ・ノワールだ!! イタリアの土壌でもあのピノ風味ができるのだ。と確信できた。 フランスとその他の国・会場 ロック、パカレ、ニコラ・ジョリ−、レキュ、マ−ク・アンジェリ、ドュプイ、ダイス、ラピエ−ル、ティソなど早々たるフランスを代表する醸造元が参加。 いつも元気なレキュのお父さん。娘が日本人男性と結婚して、日本 が断然近くなった感じ。 彼の挨拶はいつも 『LA VIE EST BELLE ?ラ・ヴィ・エ・ベル?』 だ。人生を楽しんでいるかい? 竹を割ったようなスカッとした性格、この二人に共通しているのは、いつも元気!であることだ。 超人気ブ−スはここイタリアでも、フィリップ・パカレだ!! 皆パカレを試飲したいのだが、なかなか近づけない。イタリアの醸造元も殺到した。 フランス醸造元がイタリア醸造元業界における自然派ワインの発展に一石を投じている姿には感動した。

17
Avr

自然派ワイン見本市 VINI VERI ヴィニ・ヴェリ

ヴィニタリ−開催中にヴェロ−ナの街から20KM ほど南のISOLA村にあるVILLA BOSCHIにて4月3-4-5の3日間開催された。 アルプス山の頂にはまだ雪が残っている イタリアの自然派グル−プは3つに分かれている。最初は1グル−プだったのが現在は3つに分割してしまった。ヴィニ・ヴェリも分割した1グル−プである。 約70醸造元が参加していた。 イタリアにも素晴らしい自然派ワインが沢山ある。 既に日本に輸入されているもの、まだ輸入されていないものも含めてイタリア自然派のレベルの高さと 人間的魅力には感動した。特にピアノ、ピアノと表現される生活リズムのゆっくりさがこの試飲会でも感 じられついつい急いでしまう我々には勉強しなければならないことが山ほどあるな、と感じたしだい。 本日の最高は、フランスのPHILIPPE JAMBONを彷彿させる超自然派ワインを発見したことだ。 是非、日本の皆様に紹介したい。

17
Avr

学生・教師達のデモ

4月16日(火) 昨日4万人の学生や教師達がパリでデモを行った。 先週木曜日に行われたデモでは、学生と中高校の教師3万5千人もの人達が集まり、昨日は小学校の教師も加わり、すでに4万人もの人となった。 日に日に規模が大きくなっていくデモ。教育大臣、ダルコス氏の教育プログラム改革を訴える人々。 レピュブリック広場からナシオン広場までぞろぞろと長く続くデモの列 一体何を訴えているのか? 第一に、教育部門での教師達の解雇。現在フランス教育界では1万1200件の雇用の削減が予定されている。という事は各クラスの生徒数が増える、様々な授業が無くなる、生徒数が少ない専門学部がまたもや改革される。 第二に、教育方針の改革だ。様々な街の教師達いわく: 『50年前に戻った感じだ。小学1年生に敬語を押し付けるなんて無理。』 『この教育方針は生徒達の能力を下げる一方だ。考える力を与えずに、知識を詰め込ませているだけだ』 『小学2年生に割り算を教えるなんて無理がある』 又、ダルコシ氏は土曜日の朝の授業を無くし、学校が終わった後勉強が苦手な生徒の為に補習授業を行うと言う。 この言葉に対し教師達は 『学校の通常授業の後、更に授業を足す事は、疲れやすい子供の為に良くない。通常の授業時間内で色々考えなければならない。』 高校生達も負けてはいない。皆持っている大きなはり紙にはこう書かれている: 『高校は企業ではない』 『僕たちの先生、クラス、専門部を返せ !』 『僕たちは学校に行かない、ダルコスは終わりだ』 何年か前に起きた教育方針ででも、全く似たデモが行われた。当時何万人もの生徒が何週間にも亘ってパリの街を独占した。その結果、当時の教育大臣は自ら改革を取り消す事になった。 学校の入り口にはごみが積もれてあり、生徒達は皆外で叫んでいる。 今回はどんな結末になるのか?いづれにしても、5月15日、18日、24日にまたもや新たなデモが計画されている。

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Avr

フィリップ・パカレIN ITALY (VERONA)

VINITALYの周辺で3グル−プの自然派ワイン試飲会が行われた。 その一つが“トリプルA”だ。 パカレはそこに出展するためにヴェロ−ナまでやってきた。なんとボ−ヌから車でやってきた。 先週までパカレとマルセル・ラ・ピエ−ルはブラジルに出張していた。なんとタフな男だろう。 ヴィニタリ−からHOTELに戻ったところでパカレから電話が入った。 PACALET 『ヨシオ、今ヴェロ−ヌに着いたよ。今夜、イタリア人の友人ルシア−ノと食事をとるけど一緒にこないか』 ITO 『いいね!サンドリ−ヌが一緒だけどいいかい?』 てな訳で、ヴェロ−ナの中心、マッツィニ−通りの近所のビストロでアペリティフをやる約束をした。 ヴェロ−ナのメイン通りでもあるマッツィニ−通りはヴィニタリ−の影響もあって人で溢れていた。 エルベ広場の手前の小道を左にはいったところにビストロがあった。 既に、パカレとマチュ(マルセル・ラ・ピエ−ルの息子)とムニエル(マチュの彼女)そしてイタリア人のルシア−ノ(パカレのワインをイタリアで販売している会社の社員)と彼の同僚たちがアペリティフをはじめていた。 このルシア−ノのお陰でこの夜は大変楽しいヴェロ−ナの夜を過ごせた。 ルシア−ノは、200%とイタリア人というか、絵に描いたような愉快な典型的なイタリア人である。 兎に角良く喋る。喋っていない時は何か食べているときだけだ。その上、サ−ビス精神旺盛な愉快な性格の持ち主だ。イタリア人の典型としてユネスコ世界遺産に認定したいくらいだ。 レストランに行っても、アペリティフに行ってもどこでも超人気ものだった。ヴェロ−ナに住んでいる訳でもないのに、行った先々で愛されていた。 映画から出てきたイタリア人そのもという感じだった。 忘れられないイヌウヴリア−ブルな一期一会となった。 有難うルシア−ノ!!感謝!! ルシア−ノ 『もう今夜のレストランを予約してある。そろそろ行こう!』 AL Carro Armato というヴェロ−ナでは老舗のワインビストロだ。 ルシアンの日本人同僚、宮島さんも含めて10名でレストランにいった。 この時期はなかなか予約が難しいビストロだ。 偶発的にメンバ−が増えたのにルシア−ノが電話するとすべてが解決する。 ヴェロ−ナは馬肉がスペシャリティらしい。どこでも馬肉がすすめられる。ここでも前菜からメ−インまで 馬肉だった。 出張続きで胃腸が参っていた私は野菜焼きとトマトスパゲティをとった。 馬肉は少し人から分けてもらった。予想以上に美味しかった。 ワインも数えきれない程飲んだところで、 ルシア−ノのオペラが始まった。      レストランの至る所で歌のお返し合戦が始まった。 なんとイタリア人は皆歌が上手いんだろう。                   皆ご機嫌な気分となる。 最後にビストロの地下カ−ヴを見学                   その後は3次会に、出発!! ロメオとジュリエットの街は夜景が美しい!! 美しいヴェロ−ナの夜の街並みを散歩鑑賞しながら、もう一つの名物ワインビストロへ!   なんとビストロの前に着いたら人だかりの山だ!果たして中に入れるのだろうか? さすが我らがルシア−ノだ! 中にスルリと入って我々の席を確保してきた。まるでマジックだ! 店の奥に場所を確保、再び飲みワインを始めた。        パカレも女性に囲まれてご機嫌だ!       ここでもルシア−ノはオペラを歌いだし  人気絶頂だった! サ−ビス精神旺盛な愉快なイタリア人 人間世界遺産に認定!! 朝も2時まで飲んでいた。

11
Avr

VINITALYレポ−ト

ヴィニタリ−訪問はこれで3回目となる。 今回の訪問目的はヴィニタリ−会場への訪問より、その近辺で実施されている自然派ワイン試飲会への訪問がメ−ンである。しかし、初日はヴィニタリ−会場を訪問してジェネラルな現場情報収集と何社か出展している知り合いの醸造元への訪問となった。 イタリアはセンスが良く、カフェが美味い!! それにしても、センスの良いイタリアの各会場のポスタ−やパビオン造りには関心してしまう。 まるで葡萄園を歩いているのでは、と錯覚に落ちいってしまうほどだ。 ヴィニタリ−の難と云えば、ホテルが少なく近所には予約取れないことと交通渋滞だ。交通渋滞を避けるために、朝7時に出発して会場近くに駐車を確保して、会場横のカフェでゆっくり朝食を取りながら開場を待った。我々と同じ考えの外国人バイヤ−がこのカフェに集まっていた。 まず、一番に驚いたのは、イタリアン・カフェの美味しいことだ!ダブル・エクスプレッソを3杯もお替りしてしまった。ワイン試飲前にコヒ−は良くないのは分かっているけど、あまりの美味しさに我慢できなかった。しかしパンはなんてまずいのだろ?パンはやっぱりフランスが美味しい。 一般ワイン見本市の価値—自然派ワインの位置づけ再確認 ボルド−のVINEXPOにしてもVINITALYにしても、ワインを中心に世界中から多くの人が集まってくる、このパワ−と活力溢れる雰囲気が私は大好きだ。ワインにはそれだけの魅力とパワ−が備わっているのだ。 自然派ワインだけがワインではない。ワイン全体の中の自然派の位置づけを確認する為にも、このような 見本市に参加することは大切なことである。 小さな自然派ワインの中だけに閉じこもっているとセクト的な発想になってしまう。とくに排他的になってしまうのは危険なことである。 だから、私はこのような見本市に来たときは、今までの自分の経験をなるべく白紙の状態にもどして、ワインと対面することにしている。初めてワインに接した時のことを思い出すことにしている。 その中に新しい発見や気づきが必ず毎回感じられる。そして、あらためて自然派のワインの事を見つめなおすとまた違った自然派ワイン観が出来上がる。より自然派ワインの位置づけが明確になる。 自然派ワインの悪いところも発見できる。自然派ワインのすべて良いわけではないことが認識できる。 これは実に大切なことなのである。 このような見本市でも、意識しないで自然に造っている農家のワインに時々めぐり合うこともある。 そのような農家の人物の素晴らしさに驚愕することがしばしばある。 ナチュラルにナチュラルな人物とワインは意外とこのような見本市でないと発掘できない。 自然派ワイングル−プに属している人達の中には、すでに“驕り”や“高慢”な人物も出だしている。 私は高慢ちきで、歪んだ人間が造るワインより、ナチュレルにナチュレルな人物が造るワインの方が好きだ。 より健全なワインが多い。 ソムリエ協会名古屋支部長の牛田氏 シシリア館に入ると20年来の付き合いのある牛田氏を発見。 美人オノログのワインを試飲していた。 牛田氏が10年前より輸入しているワインだとのこと。 シシリアワインにしては酸がキッチリ乗っていて素晴らしいバランスのワインだった。 そして、やはり牛田氏が輸入しているもう一つのシシリアの蔵元に一緒した。 お祖父さんが一代できづいた醸造元だ。畑仕事が大好きで今でも毎日畑に出ている。 『俺の村では俺が初めて瓶元詰めしてワインを売りだしたんだ。周りの者は、あいつは頭がいかれてしまった、と俺のことをバカにしていたよ。でも今では皆、瓶詰めして売っているよ。』 人生の深みが彼のしわ顔に出ている。 牛田氏が日本のワイン雑誌にここのワインが紹介されている写真を見せたら、『俺の写真が載っていないよ!』と大笑いする、屈託のない人柄に魅了された。なかなか、できない笑顔だ!! 今は美人娘夫妻が引き継いでいる。 私はこんな人達の造るワインが好きだ。 ワインにお祖父さんの人生模様がうかがわれる。 そして、美人娘に引き継がれた健全さが詰ったワインだ。 シシリアに行きたくなった。 ワインに興味のある方はLE BOUCHON ル・ブッションまで問い合わせください。 TEL-0572-67-1139 USHIDA 比較的安くて健全なワインの探索 牛田氏と別れて数社を試飲するもこれと云った特筆するものなし、昼食をサンドイッチで済ませて午後の部に突入。 イタリアのビオ専門農協グル−プを訪問。        自然派では、価格が急騰している昨今。 比較的安いビオワインが必要とされている。 そんなワインを開発するには絶好のチャンスである。 ビオの公式認証を持っていて美味しいワインを探すのは 以外に難しいのである。 自然派ワインを取り組んでいる小売店やレストランでも 安くて健全なビオで美味しいワインが必要なのだ。 探すこと2時間やっとそんなワインを発見!! 輸入者募集である。 人物発見 F・ルカ氏 […]

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Avr

自然派ワインには地球のメッセ−ジが詰っている

長期出張からやっとパリに戻った。 VINI JAPON参加の為に3月12日にパリを出発して、16日から22日の一週間はVINI JAPON23日から30日の一週間は、シリル・アロンゾ氏が来日してセミナ−・試飲会を実施、31日に パリに戻り、衣服を取り替えて2日にはVINITALY参加の為にベロ−ナ入り、そして昨日やっとパリに戻った。ホームべ−ジへの書き込みが中断している。 日本でのセミナ−・試飲会を通しても、ヴィニタリ−のOF会場で実施されている自然派ワイン試飲会に 参加しても、この自然ワイン潮流は益々盛況に進展していることを実感できたと共に大きな喜びを感じている。 私は動きながら考え、実行するタイプの人間だ。実際に現場に行って自分の目、肌で、5感で感じて、各現場の人達と話して色んなことを決断、実行してきた。 その意味でも今年2008年にはいって行った場所とあった人達は素晴らしかった。 醸造元、ソムリエ、インポ−タ−、酒販店、その他ワインに関わる人達と直接逢って、ひと時を共に過ごして感じたことは、この自然派ワインを広めることは、全地球的に考えても、いや宇宙的視野に立っても、実に重要であり、やりがいのある仕事だと責務すら感じている 自然なワインを飲むことによって、地球の歴史、宇宙の歴史を無意識の内に感じ取ることができる。 たかだか50万年の歴史しかない人類が45億年の地球の歴史を変えてしまおうとしている。 すべてのことが関わりあって調和が取れている地球を一部の人間がバランスを壊してすべての生物に影響を 与えようとしている。 我々の体も色んなものの調和で健康がなりたっている。水、酸素、各種ミネラル、光、熱、微生物、色んなものの調和で生のメカニズムが作動している。 ワインも同じだ。自然なワインの中には、地球のメッセ−ジが詰っている。 地球のメッセ−ジをもっと多くの人に聞いてもらいたい。                  2008年3月 VINIJAPON 2008年4月 VINITALY VINI JAPON もVINITALYも後日レポ−トします。

9
Avr

Groslay

知る人ぞ知るパリ郊外の自然派ワイン試飲会の一つであるグロスレー試飲会が 3月29日、30日の二日間に亙り行われました。 今年は45の蔵元が参加、例年通り気合の入った蔵元揃いで熱気ムンムンでした。 有名な蔵元でいえば、例えばアルザスのシュラー。 天才醸造家と言われるブルーノが少し寝坊で遅刻して? 慌てて準備していました(笑)。 他にはロワールの大物、ジャンピエール・ロビノ!東京での試飲会で余程日本が気に入ったのか、東京の思い出を詰め込んだ新しいラベル(エチケット)を作って当日お披露目してくれました。 今回は伊藤さんも日本出張中で、29日は日本人は何と僕だけ! それで開催者にインタビューされてどきどきしました。 でも大きな試飲会とは違い、来場する人たちも毎年の常連さんばかりといった感じで、 蔵元たちの方もそんな常連さんの為にわざわざ足を運んでくるのですが、 フランスにはこんなほんわかとした長閑で和気藹々とした試飲会があって本当にいいなと思いました。

9
Avr

春から初夏はロワールワインでいかがですか。

本日、CPV銀座オフィスにて、株式会社BMOの試飲会が開催された。 出展されたワインは、春、初夏にまさに打ってつけの、ロワールの自然派生産者ワインばかり約40種類。リュノッテ、オリヴィエ・クザン、モンジレ、レキュなど、どれも全て果実味あふれるワインばかりであった。  その中でも、オリヴィエ・クザンのプレミアム・ガメイは、本日、抜栓したものと、なんと3月16日に抜栓したもの比較試飲があったが、すでに3週間がたつというのに、酸化防止剤を一切使用していないにもかかわらず、力強い凝縮度を持ち果実味開いた状態で、 今日試飲できるのには、参加者一同驚いていた。  そして、ロワールではないが、ノルマンディー地方のペール&ジュルというシードルおよび、ポワールが絶品。まさに、りんご、洋ナシをすりおろして、そのまま飲んでいるかのような、まさに果実そのままのナチュラルな味わいであった。 今からの季節は、優しく、フレッシュなロワールワインを楽しみたいですね。 <歌舞伎座をバックにBMO蒲田さん>

28
Mar

Le monde selon Monsanto 〜 モンサントによる世界

Un jour Olivier Cousin m’a donné un badge « OGM, j’en veux pas » Je l’ai mis sur le revers de mon manteau sans me poser trop de question. Jusqu’au jour où j’ai vu le film Le Monde selon Monsanto de Marie-Monique Robin. ある日、オリヴィエ・クザンが私に «私はOGMはいらない» と書いたバッジをくれた。私はマリー・モニック・ロバンの映画、 モンサントによる世界 見る日までは、全く深く考えずにそのバッジをコートの裏側に付けておいた。  Je savais, comme chacun d’entre nous, que les […]

19
Mar

UN LONG WEEK END A BERLIN 〜 ベルリンでの長い週末

Berlin est une ville fascinante, qui déconcerte un peu. Son histoire chaotique, et tumultueuse en fait une ville unique. Massivement détruite pendant la deuxième guerre mondiale, occupée par les alliés (1945-1961), puis divisée par un mur pendant 28 ans (1961-1989), la ville de Berlin est aujourd’hui une capitale moderne, résolument tournée vers l’avenir. ベルリンは魅力的だが少し戸惑いを感じる街です。第二次世界戦争ではボロボロにされ、1945年から1961年の間連合国に占領され、その後28年間(1961-1989)真っ二つに切り裂かれ、混沌とした歴史をくぐり抜いてきました。しかし、だからこそ今となってはモダンで未来的な街に変化しているのです。 A […]

19
Mar

フィリップ・テッシエ

ビオでブドウ栽培を行ない、良質でリーズナブルな、とてもコストパフォーマンスの高いワインを造り出しているので、ここは是非とも訪問せねばということで伺った。ドメーヌに到着すると、優しい笑顔でオーナー醸造家のフィリップが迎えてくれた。当初から感じていたが、フィリップは寡黙でまさにお百姓さん、という風貌の、とても柔和な生産者だ。 早速畑を案内してもらいながら話を伺う。ドメーヌの由来は、1960年に父がこの農地を買ったのが始まり。当時はアスパラガスなど野菜の栽培もしながらブドウ栽培を行なっており、収穫したぶどうはそのまま醸造業者に売り渡していたそうだ。フィリップが引き継いでワイン造りをするようになったのは1981年で、ブドウ栽培を行なうに従い、ワイン造りをするのならまず自然なブドウ栽培をするべきだと考えるに至った。理由は3つ。 ①化学物質で環境を破壊することなく、回りの自然環境を尊重し、環境と調和した栽培を行なうことが重要  ②農薬の使用は使用する自分たちに害 ③ぶどうの樹自体が元気になりエネルギーの詰まった良質ワインが出来る 実際、ビオに転換し7,8年経過したら効果が目に見えてはっきり出てきたという。ぶどうの樹自体が力強くしっかりとし、一本一本の樹の個性がよりはっきりと表れてきた。しかもワイン醸造時の発酵に必要な野生酵母が豊富になり、特に酵母のバラエティが豊かになったという。なるほど、それは超重要なポイントだ。しかし、ビオによるブドウ栽培はいいことだけではない。ビオに転換してから仕事量は25%も増加したそうだ。いいワインを造るということは決して楽なことではないと実感。 さて、それでは試飲だ。 シュヴェルニー白 は、白い花や洋梨の香りで、口に含むと優しい酸が心地よく爽やか。とてもバランス取れていていくらでも飲めそうだ。 クール・シュベルニー はロモランタンというクール・シュヴェルニーでしか栽培されていない土着品種100%で醸造。こちらはハチミツやアカシヤの花のようなより熟した華やかな香り、口に含むとこちらの方がやはり厚みと力強さがある、1/3は樽熟。シュヴェルニ赤‘06の “ポアン・ド・ジュール”というキュヴェ、2/3がピノ・ノワールで残りがガメとコで樽熟6ヶ月、熟したイチゴの風味まろやかで中身の詰まった味わい。この価格でこの味わいは他にないだろう。素直にうまいワインだ。ストックがもうないのが残念、’07を待たねばならない。 テッシエのワインは本当に気取ったところ、肩肘張ったところが全くない。香り豊かでバランスよく、気兼ねなく価格も含めて気楽にスイスイ飲めるワインだ。こんなこと言っては失礼かもしれないが、まさに生産者本人とそっくり!畑を21haとそこそこの広さと生産量を持っているのに大人気ですぐ売り切れてしまう理由は、その辺りにあると感じた。

19
Mar

クロ・ド・ラ・ブリドリー

ロワールのサロンで会ったときから感じていたが、オーナーのヴァンサン・ジローはとても精力的だ。いいワインを造ろうという強い意志を感じる。会場で約束した通り、この生産者を訪ねた。やはり訪問は畑からだ。さあ畑を見に行こう、と思った瞬間、思いがけない出迎えがあった。イモリだ!しかも大きいイモリだ。黒と黄色のツートンカラー。ヴァンサンいわく、イモリが出迎えてくれるなんて滅多にないという。幸先のよさを感じた。 現在10haからなるこのドメーヌの歴史は古く、このドメーヌが位置するロワール・エ・シェール県で最も古い11世紀まで遡るという。しかも、現当主ヴァンサンは1994年からビオディナミを実践しており、フランスでも最も昔からビオディナミを実践する10人に含まれているそうだ。ビオディナミを始めた当初は誰にもそのことを言わなかったそうだが、雨が多く周りのすべての生産者でカビが蔓延しいい収穫が出来なかったとき、彼だけが素晴らしいブドウを収穫しいいワインを造った。それから彼の行動に皆が注目するようになったそうだ。ビオディナミの実践は、先日訪問したドメーヌ・デュ・シャトー・ド・ガイヤールのお父さん、フランソワ・ブーシェに教わったそうだ。 彼によれば、ワイン造りで最も大切な要素は、素晴らしいテロワールだという。彼がビオディナミを実践するのは、その素晴らしいテロワールを最大限発揮するワイン造りを実現する為だ。だから、つい最近今持っている畑の南に位置するロワール川を望む真南向きの斜面の雑木林を18haも買ったそうだ。以前はこの畑にはブドウが植わっており、素晴らしいワインが出来ていたそうだ。 彼のワインはこれだけ手を掛けて造っているのにとてもリーズナブルだ。白は辛口だがやや甘みを感じるように優しい味わい。ガメをそのままプレスして造ったロゼは淡い色調で、やはり辛口ながら優しい味わい。コ、ガメ、カベルネ・フラン各1/3から造った赤は、熟したダークチェーリのような果実味とまろやかなタンニン、程よい濃厚さのバランスがとてもよく取れている。さらに上級キュヴェの白と赤を造っており、白はシュナン70%、シャルドネ30%を500Lの樽で発酵、5ヶ月樽塾させたリッチなワイン。赤はやはり3品種を1/3ずつ用いブルゴーニュ樽で7ヶ月樽熟させた、滑らかで深みのあるワインだ。またここのクレマンもコストパフォーマンスに優れた安心して飲めるタイプの良質ワインだ。

19
Mar

ドメーヌ・ド・ルーエ

午後は一気にトゥーレーヌからサンセールまで、約250kmのドライブだ。始めはちょっと遠いからどうかと思ったが、この造り手には行かない訳にはいかない、ということで行くことになった。Oさん、ありがとうございます。 サンセールはロワールの白ワインとしては真っ先に出てくるアペラシオンだが、その有名さのせいか、自然派の生産者が殆どいないさびしい地域でもある。そのなかで待ってました、とばかりに登場した生産者がこのドメーヌだ。いわゆる通常のブドウ栽培をしていた父、エチエンヌ・リフォーの仕事を徐々に引き継ぎ自然なブドウ栽培・ワイン造りに情熱を注ぐ息子、セバスチャンが、今まで全く知られていなかったサンセールの本来の姿を明らかにしてくれている。まだ26歳にもかかわらず、彼の目指すワイン造りは明快だ。彼に言わせると、サンセールで有名な大規模にワイン生産をしている某生産者は、「工場」だそうだ。人の手によって人為的に作られた培養酵母を用い、万人に受けるようにワインを作り出しているからだ。サンセールはソーヴィニヨン・ブラン100%で造られるが、妙にソーヴィニヨン・ブランの香りが強調されすぎているような気がしたことがあるが、そのせいかもしれない。 ロワール川の上流に位置するサンセールは標高320m程の高地で涼しい気候。トゥーレーヌと比べると収穫時期が15日も遅いそうだ。土壌は谷を境にして東西2タイプに別れ、東はシレックス、西は石灰土壌だ。シレックス土壌からはミネラルに富んだワインが出来、石灰土壌からは果実味に富んだワインが出来る。地殻変動で上下に重なっていた土壌が横になったため、このようになったと説明してくれた。 ドメーヌ・ド・ルーエでは、この両方の土壌に35もの区画を所有し、両方の良さを兼ね備えたワインを造ることが出来る。実質的に2002年からビオによるブドウ栽培を行っているが、2007年にはカリテフランスによる認証申請をし、2009年ヴィンテージからは認証ワインになる予定だ。 カーヴに戻り、タンクで熟成中の’07白の試飲だ。グレープフルーツの爽やかな果実味がスキッと気持ちいい。2007年は雨が多くmildiou(べと病)が多かったというが、このワインには、かびたブドウや傷んだぶどうからくるいやな味わいは一切感じられない!キッチリいいブドウだけを選別しているからだろう。彼のワイン醸造の特徴は、マロラクティック発酵をするという点だ。サンセールの90%の生産者はマロラクティック発酵を行わないというが、それには深い意味がある。ドメーヌ・ド・ルーエでは今では自然なブドウ栽培を行っているので、ブドウの根が地中深くまで伸びている。従って、土壌に含まれる沢山のミネラルや鉱物、養分を存分に根が吸い上げてくれるので、絞った果汁にはしっかり酸が含まれている。そしてアルコール発酵が終わったら何もしなくても自然とマロラクティック発酵が始まるのだ。そうして、ワインが自らりんご酸を乳酸に変化させ、酸味が和らぐと同時に深みが生じる。それに対して、決められたとおりに薬剤を使用する通常の生産者の場合は、本来地中から吸い上げるはずのミネラル成分や酸が極端に少ない。しかも、本内ならブドウ畑に自然に存在しているマロラクティック発酵をさせる酵素が絞った果汁に含まれていないのだ。だから自然にマロラクティック発酵が起きないのだ。自然なブドウ栽培を行わないと、後々のワイン醸造にも悪い影響が出てくる。良質ワイン造りで最も大事なことが栽培だということが、セバスチャンの説明を聞いてよーく分った。更に、大方の生産者は発酵が終わって翌春には瓶詰するのに対して、ドメーヌ・ド・ルーエではマロラクティック発酵終了後、一年間もゆっくりとタンクにて熟成させる。そうすることによって、テロワールが本来持っている味わいが徐々に表れて来るのだ。 ‘06の白は、よく晴れて太陽の日差しを存分に浴びて育っただけあり、熟した洋ナシやハチミツのニュアンスまであるリッチなワインだ。赤は現在販売中の’05を試飲した。ピノ・ノワールの特徴のよく表れた、赤いスモモの素直な味わいだ。やはり12ヶ月タンクでゆっくり熟成させている。生産量が僅かで、今買える数量はたった300本しかない。すぐ押さえたいものだ。 サンセール、有名なアペラシオンだがいいものは本当に限られている。セバスチャンは、これからのサンセールを引っ張っていく、超重要な存在だと実感した。これからの活動が楽しみだ。

19
Mar

ミカエル・ブージュ

朝一番、ロワール川に沿って車を走らせると、川沿いの草地には深い霧が立ち込めていた。これぞロワール流域のテロワールだと心躍らせながら一番目の訪問先、「ミカエル・ブージュ」へ到着した。晴天ながらまだ肌寒いなか、まだ30歳にも満たない青年、ミカエルが迎えてくれた。自宅の色がこの辺りでは珍しい青い色である理由は、以前の所有者がバカンス用のセカンドハウスとして利用していたからだそうだ。 まず、いつものとおり早速畑に向かった。トゥールから東南東に約50kmほど離れたファヴロール・シュール・シェール村にある彼の畑は、標高が120mと高く、寒暖の差が大きい涼しい気候だ。この辺りのブドウ栽培の歴史は古く、中世の1150年位に遡るという。当時はこの辺りではソーヴィニヨン・ブランやガメは存在してなく、白ブドウとしては、ムニュ・ピノや、この地域でピノ・ド・ラ・ロワールと呼ばれるいわゆるシュナン・ブランが、赤はコ(マルベック)が植えられていた。ソーヴィニヨンやガメが栽培されるようになったのは最近のことで、フィロキセラにより壊滅したブドウ栽培を復興するために量産型の品種が栽培されたためだそうだ。 ミカエルは4代目。父はリュット・レゾネで栽培していたが、彼が本格的に引き継いだ2001年からはビオに転換、ビオディナミの手法も取り入れながら精力的にワイン造りを行っている。丘状に広がる傾斜のある畑を案内してもらうと、フランス中央部の中央山塊から運ばれてきた砂に石が混じった土壌だ。微生物がのびのびと生きている畑ゆえ、ミミズも元気に成育している。大きいものは20cmにも達するなんて驚きだ! 爽やかな朝の空気のなかひとしきりブドウ畑を歩いた後は、カーヴに行って試飲だ。またこのカーヴが寒い。チュッフォーと呼ばれる石灰の地層をくり抜いて造った洞穴がカーヴで、ここでワインを熟成・貯蔵している。まず、ソーヴィニヨン・ブランのキュヴェ “パント・ド・シャヴィニー’07” になる予定のワインだ。驚いた!フレッシュでグレープフルーツやレモンの柑橘系の味わいで、スイスイ幾らでも飲みたい、という願望に駆られるワインだ。これは自宅にいつでも飲めるようにケースで常備したい!インポーターさんよろしくお願いします!!’07はどういう年だった?とミカエルに聞いたら 「9月までひどかった!」 と笑いながら答えた。雨ばっかり降っていたそうだ。しかし、9月半ばからとてもいい天気になりいい収穫が出来たそうだ。笑ってそう答えられるところがキッチリ仕事をやっているという自信の表れだなっ、と感じた。既に瓶詰めされた’06は、とても天気がよくぶどうが十分に熟したので、熟した洋ナシの風味豊かなよりリッチなワインだ。よく、いい年だ、とか、悪い年だ、とか言うが、いい生産者にかかればそんなことは全く問題ないと感じる。栽培さえキッチリ行っていれば、その年の特徴のよく現れた、その年なりに美味しいワインが出来るのだ。それをあの笑顔が語ってくれた。 そして赤、“コ”100%で造るキュヴェ “レ・コ・オ’06” だ。これもまた凄い。いわゆるマルベックといえばカオールとかもっと暑い西南地方で主に栽培されている品種だが、こんな涼しい土地で“コ”がこんなにもよく熟すものかとちょっと信じられない気がする。未熟なタンニンの引っ掛かるところが一切ないどころか、熟した心地よい果実味に満たされた、何と風味豊かなワインであることか・・・。しかもスキッとした清涼感があり、これなら飲み疲れるということは全くない。商売的にもドンドン飲んでくれるからきっと儲かるワインになるだそうな、と感じた。さらに赤の上級キュヴェ “クイユ・ダンヌ’ 06”。たった40アールの畑から年産1500本しか出来な いワインだ。前者のキュヴェをより濃厚にし、よりエレガントにしたキュヴェだ。均整の取れた、完成された味わいだ。“クイユ・ダンヌ”とは”黒い石“という意味のとおり、黒い石の多い特別な区画から取れたぶどうから造られている。パリの有名なワインショップ”ラヴィーニャ“でも人気のワインだ。 ミカエル・ブージュ、期待すべき若きヴィニュロン。これからが大いに楽しみだ!

19
Mar

ドメーヌ・デュ・シャトー・ド・ガイヤール(マチュー・ブーシェ)

ドメーヌ・デュ・シャトー・ド・ガイヤールといえば、1962年に現オーナーであるマチュー・ブーシェのお父さん、フランソワ・ブーシェが、フランスで始めてビオディナミをブドウ栽培に適用した生産者として、ビオディナミの世界では知らない人はいない超重要な生産者だ。しかも、ビオディナミで必須のプレパラシオン(調合剤)を造り、ビオディナミの生産者たちに分けてあげているという、フランス中のビオディナミ生産者の縁の下の力持ちでもある。 さて、ちょっとした行き違いで一時間も約束の時間から遅れてしまったのにもかかわらず、マチューは笑顔で迎えてくれた。ビオディナミ界の最重要人物なのにも関わらず、なんて優しい人なんだろう、と訪問者一同感激!早速畑を見学しに行った。所有する面積は全部で16haあるが、ブドウを植えているのはその半分だけ。植えていない土地は牧草地になっており、自然な生態系がブドウ畑の周りに維持できるように、またプレパラシオンを造るのに必要な牛を放牧する場所でもある。 畑は自然! 雑草をそのまま生やしたままにしてあり、ブドウの樹と競合させると同時に雨が降ったときには素早く草が雨を吸収してくれ、ブドウが過度の水分を吸収しないようにしている。 畑を見た後は、カーヴに行って試飲だ!まず白。何と樹齢80年のシュナンから20hl/haと収量をとても低く抑え、味わい深いワインを造っている。発酵・熟成には新樽を使わないので他の生産者が使った古樽を譲ってもらっている。さすがマチュー、その譲ってもらう先がブルゴーニュのルフレーヴやフイイフュメのディディエ・ダグノーだ!さすがビオディナミの指導者だけあって、ワイン界の超重要生産者と深い親交関係がある。聞いてみると、他にもマーク・アンジェリ、ジャン・クロード・ラトー、オリヴィエ・フンブレヒト、マルク・クライデンヴァイスなどビオディナミを実践する生産者と仲がよいという。しかもボルドーでビオディナミを実践しているシャトー・ファルファには、実のお姉さんが嫁いででいるという、ビオディナミ界のまさに中心人物だ! 赤に移ってまずグロロー100%のキュヴェ“フルール・ブルー”だ。これが旨い!心地よい果実味、爽やかさ、そしてスパイシーなグロローの特徴、これらが合わさり幾らでもスイスイ飲める。そして本チャンの赤。グロローとカベルネ・フラン半々を16ヶ月ゆっくり熟成させた、深い味わいだ。来てよかった。深い満足感と喜びを一同みんなが感じた。 表に出るとすでに夕暮れ。ドメーヌのすぐ外は、ロワールの支流が流れており、川面がオレンジ色に輝いている。昔はここから船でワイン樽を積み出していたそうだ。一瞬、中世に舞い戻ったような錯覚に襲われながらドメーヌ・デュ・シャトー・ガイヤールを後にした。 マチュー、ありがとう 。これからも変わらずおいしいワインを造ってくれ。私たちはあなたのそのワインを多くの人に伝えたい、と誓いながら夕日に向かって車のアクセルを踏みしめた。