9
Oct

Pur Nouveau 2016

ボジョレ美味しいですか? 勿論、美味しいですよ !! 2016年、難しい年だったけど、フロリアン、シリルの二人も満足のいくヌーヴォーができました。 軽めで酸もあって繊細なスタイルはシリルの得意とするところ。 CHATEAU BEL AVENIR*シャトー・ベル・アヴニール 今まではネゴシアンとして活動してきたFlorian Looze*フロリアン・ルーズとCyril Alonso*シリル・アロンゾだったけど、念願の醸造所を昨年購入。 2016年は剪定から一年間の畑仕事、醸造、ビン詰まですべて自前の醸造所でやった。 難しい年にも関わらず素晴らしい葡萄を収穫。 長年の二人の夢が実現した年だ。 醸造所はシリルが尊敬する故ジュル・ショーヴェ先生 が持っていた畑の近所に位置している。 土壌が素晴らしい。単なる花崗岩だけではない。 石灰質土壌、シスト、川から流れてきた丸石など非常に色んな石が交じりあった土壌を備えている。 名前の如く、ベル・アヴェニール将来が楽しみな蔵だ。

8
Oct

心・技・体 充実の収穫 Jean-Claude LAPALU*ジャン・クロード・ラパリュ2016

何事にも“旬”というものがある。 食べ物も、旬のものは本当に美味しい。 人にも、あらゆる角度から見て“今だ!”という時期がある。 今のジャン・クロード・ラパリュをみていると、その“今だ”と思う。 経験、精神、体力、どれをとっても今が充実。 この三つが和した“技”は エッ!と思うような奇跡的なことを成してしまう。 一般的に難しい年だった2016年に、ジャン・クロードは言い切る。 『私の過去で、最高の品質の葡萄を、豊作と云ってもよい量も確保できた。』 フランス中で2016年にこんな言葉を云えるのは、このジャンクロード・ラパリュだけ。 完璧な葡萄と量を収穫 確かに、ここまで完璧な葡萄房を実らせた葡萄木を、私はこの16 年にフランス中で見ていない。 天がジャン・クロードに与えた天候は皆同じである。 ジャン・クロードがそれに、合わせて、キッチリ対応できた。というしかない。 本当に、必要な時に必要なとことを、一寸の隙もなく,精確に実行できたという結果でしかない。自分でも感心するほど完璧な葡萄ばかり。 勿論、ツキもある。でもツキも実力と云える。 16年のジャン・クロード・ラパリュのワインは面白い!! ジャンクロード・ラパリュ 少数精鋭の気合の収穫 !! ジャン・クロードの人なりは、“質実剛健”“謙虚”“無言実行” 自分や自分のやっている事をアピールすることは、殆どしない。 他人のやっていること、他人のワインを批判することがない。 自分のやるべきこと、やりたいことをコツコツと確実にこなしていく人だ。 勿論、完璧な人はいない。 でも、尊敬に値する人柄である。 ワインもボジョレでは、先頭を走る一人であることは間違いない。 強靭な精神力と体力で独自なジャンクロード・スタイルを確立した。 体力は強靭。若い頃、パリ消防士の特殊隊に入っていた程の強靭さ。 (特殊部隊は過酷で危険な状況下で活動できる強靭な体力、精神力が要求される。) 己を律する精神力も持っている。   お祖父さんの畑を継承、最初は農協に葡萄を販売していた。20年前より自分で造りだした。当初は、自然派グループとはあまり接触がなく、独自で失敗しながら自然なワイン造りを模索した時代がある。 後に、マルセル・ラピーエルや自然派グループを知り、自然な造りを学んだ。 しかし、最初の独自で暗中模索した時代に彼の独自性が造られた 子供のような遊び心も備えている。一緒にいて心地よい。 だから、多く若者達が、ラパリュの門を叩いて、手伝いながらワイン造りを 勉強にやってくる。 この収穫人の中にも将来の若き醸造家の卵が何人かいる。 On peut dire que Jean Claude est un rechercheur du GAMAY. Jean Claude nous a montré tous les […]

7
Oct

ボジョレ・ライダーの若大将・ダミアン・コクレ*Damien COQUELET

モルゴン村の最良畑、コート・ド・ピィの丘に約4ヘクタールの畑をもつダミアン。 醸造所も独立して、完全に独り立ちしたダミアン。 根っからの明るく飛んだ性格のダミアンは小さい頃からお父さんのGeorges Descombes*ジョルジュ・デコンブにについてモトクロスをやっていた。 ボジョレのオートバイ・グループの先頭を走るライダーでもある。 収穫はライダー仲間が手伝いにくる。 ダミアンの造りは、デコンブの教えを継承、つまり、マルセル・ラピール -デコンブ -ダミアンと続くボジョレ自然派の正統を受け継いでいる。マルセルの孫弟子にあたる。 自然派ど真ん中の醸造方法を継承。 グラップ・アンティエールのセミ・マセラッション・カルボニック醸造、勿論,醸造中のSO2(酸化防止剤)の添加はなし、自生酵母のみで発酵するリスクある醸造を継承。 だからこそ、収穫時の選果はかなり厳しくチェックしている。 本当に健全な葡萄しか発酵槽に入れない。云うは安し。 葡萄園の収穫時に、収穫された葡萄をチェックして品質に問題のある葡萄は、この段階で捨て去る。この段階でかなりに量の葡萄を捨てる。 簡単に、SO2無添加の醸造というけど、もし悪い葡萄が発酵槽に入ってしまうと、雑菌が繁殖してお酢になってしまう。大変なリスクを負いながら、自然派ワインを造っているのです。 色んなことがあった2016年 モルゴン村を襲った3回にもおよぶ雹の襲撃。 5,6,7月の雨と湿気によるベト病の大繁殖。 8月の35度を超す極端な猛暑。それによる水不足。葡萄の乾燥。 最終的に9月初旬の雨ですべてが解決。どんでん返しの結果、こんなに素晴らしい葡萄が収穫することができた。 勿論、ここまでくるには、特に7月のベト病対策の畑仕事は 大変な神経と労力を費やしたダミアン。 歓喜の収穫。でもベト病の形跡、雹の影響を多く受けた葡萄を取り除く、選果作業が 大切な年でもある。 収穫はお父さんより更に1日遅く、ボジョレでは最も遅い収穫を開始。 何と9月26日に収穫開始。 葡萄の熟成を最終段階まで待ったダミアン。 8月の水不足による光合成のゆっくり化の影響で、ダミアンの納得する葡萄の熟度が得られなかったからだ。 妥協を許さないダミアンのチャレンジ精神は凄い。 実際に、周りの仲間が、10日前に収穫を始めている中、ジット待っているのは かなりの忍耐力がいることである。 2016年のダミアン・ヌーヴォは? 今年は、クリュのレニエの葡萄とビラージ区域の葡萄を使って醸す贅沢なヌーヴォーとなる。 格下げして、単なるボジョレ・ヌーヴォー呼称となる。 果実味が主体でアルコール度は控えめな12度前後、 酸がハッキリして凹凸があるメリハリを感じるスカット したヌーヴォーになりそう。まだ、醸造中なのでハッキリはいえない。でもダミアン・スタイルのクッキリしたヌーヴォーになりそう。ダミアン・コクレ・ヌーヴォーは買いですよ! ボジョレのビストロでの人気者 ダミアン・コクレ Bistrot Atelier * ビストロ・アトリエ 収穫の後は皆でビストロへ。ライダー仲間が集まってくる。 モルゴンには醸造家が集まるビストロが何軒かある。 チョット前までは、マルセル・ラピエール、ジャン・フォワラール、プティ・マックスなど一世代前の自然派の大御所がよく顔を出していたビストロATELIER アトリエがある。 今や、醸造家も世代交代しつつある。ダミアン・コクレの年代が主流顧客となりつつある。 このビストロに行くと、時には、実に危険なことがある。 客が殆ど知り合い同志なので、一杯づつ奢り合う習慣がある。10人いれば、最低でも10杯はあ飲まなければならない。 今夜も10人程はいた。奢り合いが2周廻って20杯となった。 中にはベロベロに酔っぱらっている人もいる。 人気者のダミアンは早口でジョークを飛ばし続けて皆を笑わせる。 しまいにはカウンターの中に入って、まるでダミアンが店主のような雰囲気になってしまう。 今夜はダミアンの美人フィアンセがいた。そして弟のケビンもいた。 何とか、隙をみつけて、店を出ることに成功。ヤアーよく飲みました。 ダミアン・パワーは凄い!! […]

6
Oct

CASSINI LOVE STORY * カッシーニ・ラブ・ストーリー 

運命の糸で引き寄せられた二人 アルノーとイザベルは北フランスのリール出身。 イザベル20歳、アルノー25歳の時、恋しあっていた二人。初恋同志の二人は若すぎた。 運命の糸が見えていなかった。 アルノーは真剣だった。 プロポーズした。 しかし、イザベルは20歳、まだ結婚など考えらなかった。 結局、二人は別々の人生を歩みだした。 その後、二人とも別の相手とお互いに結婚して子供ももうけた。 それから30年もそれぞれの家庭で幸せな日々を送っていた。 しかし人生には色々なことがある。 定められた運命には逆らえない。 30年後に運命の糸が動きだしていた。 結局、アルノーもイザベルも離婚するこという結果になっていた。 そんな二人がある時、偶然にもイザベルが所要でボルドーのリブルヌという小さな町の駅にいた。 イザベルは共通の知り合いから、アルノーも今日同じ街、リブルヌに居るとのことを聞いた。 イザベルは自分の胸の奥で、ずっと眠っていた何かが動き出したのを感じた。 イザベルは電車を待っていた。 17分後に電車がくる。 アルノーに電話した。 『今、リボルヌにいる。逢いに来ない? 17分だけ待つわ』 アルノーはその時、前奥さんと離婚して、葡萄園も失って失意のどん底だった。 まだ、離婚の後始末も終わっておらず、てんわやんわの時期だった。 その時すでに、赤い糸が動きだしていた。 アルノは偶然にもリブルヌ駅のすぐ横にいたのある。 アルノーは軽い気持ちで、昔の友人に挨拶するつもりでリブルヌの駅にむかった。 しかし、逢った瞬間に、熱いものがこみあげているのが分かった。 でも、離婚したばかりで現実的には、それどころではなかった。 10分間ほど、お互いの現況などを話してその時はそのまま分かれた。 しかし、二人とも時間がたてばたつ程、深いところで眠っていた何かが熱くなっているのを感じていた。 アルノはイザベルのことが頭から離れなかった。 それはイザベルも同じだった。 そして、一年後、イザベルから連絡した。 『逢わない?』 『直ぐに逢おう!』 一瞬にして二人は、30年前の20歳と25歳の時に戻っていた。 今度はイザベルがプロポーズした。 『結婚しよう。』 お互いに別々の人生を30年間すごして、人生の裏表を知る大人同志の恋。 人生半世紀を生きて、新たな青春の風が二人を包み込んだ。 二人で何かを造りあげたかった。 アルノーの友人フランソワがボルドー・シューペリュールの畑を売りに出した。 イザベルとアルノーは二人でその畑を見に行った。 二人とも、その畑にたった瞬間、足もの土壌から熱いものが体中に湧き上がってくるのを感じた。 新たなCASSINIの誕生の瞬間だった。 今は、二人が再会したリブルヌ駅の近所に居を構え、アルノーの子供3人、イザベルの子供1人、計家族6人の大家族。 温かい幸せな日々を送る二人。 毎朝、アルノとイザベルはボルドースペリュールの畑へ2人で行き一緒に農作業をしている。 イザベル『私は北フランスの田舎の出身、自然の中でする仕事が大好きなの』 CASSINIのこの一杯のワインの中には愛の酵母が詰まっている。 LOVEが必要な方、暖かさ、温もりが必要な方CASSINIの一杯をどうぞ。 愛の酵母が動きだします。

3
Oct

ボジョレの番長 REMI DUFAITRE*レミ・デュフェイトル

DOMAINE DE BOTHELAND (Laurence et Rémi Dufaitre) ドメーヌ・ド・ボスラン (ローランス・エ・レミ・デュフェートル)  ボジョレに彗星の如くに現れて、途轍もない透明感のあるスカッとしたスタイルを実現してしまった天才肌の番長レミー。 普通、ワインは風貌に似てくる。しかし、レミーに関しては全く正反対といってよい。 こんな短時間にここまでのレベルまでたどり着くとは驚きだ。 ただ者ではない事は事実だ。 本人がこれだ!っと思った事、人、目的は徹底して張り付いて馴染んで吸収して、同化してしまう超能力を備えている。 14歳で両親が亡くなり、16歳から独りで生きてきた。 ガムシャラに働いて2000年に醸造家として独立した。 『お前にできる訳がないだろう』と周りからと馬鹿にされた。 事実、10年目にして行き詰っていた。 そんな時に、ジャン・フォワラールに巡り合った。ジャンのワインを飲んで驚いた。 『こんなワインが世に存在するのか?』 自然派ワインとの出逢いだった。 レミーに目標ができた。以後、毎日ジャンと会っている。ジャンに貼りついた。 自分が会いに行けない時には、ジャンの方からやって来てくれる。 ジャンに同化して、すべてを吸収しようとしている。 レミーの集中力は、もう天才といっていいだろう。 こんな風に、風貌とは、違う繊細で真っ直ぐなスタイルが出来上がった。 外観と違って、中身はどこまでも繊細で、ナイーヴで真っ直ぐな性格なのだ。 やっぱり、ワインは人だ!! 2016年 レミー・デュフェートル 気合一発!! 過去最良の葡萄を収穫!! 強面のレミーの気合が若手の収穫人に乗り移った。 天候でいじめられた2016年のボジョレの村名区画で、レミーほど完璧な葡萄と量を確保できたところは少ないだろう。 働き者のレミーは必要な時に必要な処置を精確に実行できたのだろう。 若干のベト病と乾燥の形跡はあったけどほぼ完璧な葡萄を収穫した。 レミーの満足そうな笑顔が印象的だった。 何回も何回も葡萄を食べて、試していた。 そう、果実味と酸、糖度のバランスが、レミーが狙っているポイントどうりの割合になっている。 収穫人も若い人ばかりで明るくて活気があってよい。 レミーも畑を廻って収穫人を笑わせて、元気付けている。 葡萄の選別作業のチェックはかなり厳しい。 収穫の重要な判断に関しては、絶対に許さない。 傷んだ葡萄を見かけ時は、厳しく指摘していた。緩急をつけての指導が上手い。 レミーのリーダーとしての素質もなかなかのものだった。 皆を惹きつける何かを持っている。一緒にいて楽しい。 醸造は外気の温度差の影響を受けにくいコンクリート漕を使用。蔵の中は整然としている。ブルイの古木はトロンコニック型の木樽を使用。 ジャン・フォワラールに学んだことはすべて実行している。 葡萄は除梗なしのグラップ・アンティエールで葡萄房丸ごと発酵槽に入れる。セミ・カルボ醸造。 勿論、醸造中のSO2添加はゼロ、自然酵母のみでのアルコール発酵。 本当に綺麗な葡萄ばかりが発酵槽に入っている。葡萄以外のものは一切混入しない。 ルモンタージは、できるだけ優しく必要な時にやる。マセラッションはお茶出しの如くに自然に。 2016年のボジョレ・ヌーヴォーを絞った。 パラディをテースティング。 な・なんと爽やかで真っ直ぐなスタイルなのだろう! 2015年のあの濃縮した葡萄でも、レミーは爽やかなヌーヴォーを醸すことに成功した。ボジョレであんなに爽やかな15年ヌーヴォーは無かった。 この16年は、凄い!!水のように体に沁み渡っていくだろう!! 奥さんのローランスが15年のヌーヴォーを開けてくれた。ウーン、美味しい、なんと云う透明感。 […]

2
Oct

ピノ・ノワールの名人が故郷ボジョレのテロワールとガメ品種に向き合う!!

Philippe Pacalet * フィリップ・パカレは50歳を迎えた。 マルセル・ラピエール・ファミリーと幼少時代を過ごしたフィリップは自分の源泉と向き合おうとしている。 数年前より、ムーラン・ナ・ヴァンのテロワールを醸してきた。 自分が予想してた以上のテロワール・ワインができた。 ボジョレ・テロワールの可能性を追究してみたくなった。 ボジョレの村名クリュの土壌のバリエーションを知れば知るほど面白くなって来た。 花崗岩だけではない。色んなテロワールが混在している。 それぞれのテロワールで育つガメ品種の特徴も全く違う。 ブルゴーニュ・テロワールを20年間も追求していたフィリップ・パカレ。 自分の故郷、ボジョレのテロワールを再発見した。 フィリップ・パカレの今後のボジョレ・ワインの展開が面白い。 勿論、ボジョレ・ヌーヴォーも含めて。 一歩、歩くごとに土壌が少しづつ変化していく。 砂状からややリモン、そして若干の粘土質、川から流れてきた丸石、石英石、そして勿論、花崗岩。多くのバリエーションがあって面白い。 できる葡萄も違ってくる。 フィリップ・パカレの研究心に火がついた。 ドンドン、ボジョレにのめり込んでいくフィリップ。 今日はボジョレ・ヌーボーの収穫だ。 2016年は、モルゴン、フルーリ、シルーブルなどの標高の高い山の斜面の区画畑が雹でやられた。 平らな区画では全く問題なかった。 ベト病が例年よりチョットだけ多かっただけだ。 葡萄の品質も熟度と酸のバランスが凄く良い。 6,7月の曇りがちの天候、8月中旬よりの35度を超す猛暑と両極端の天候の中 無事に乗り切った葡萄を9月20日に収穫。 2016年はフィリップが得意とする軽めのアルコール度数の葡萄となった。 昨年はアルコールが強いスタイルだった。ミネラル感が果実にオブラートされてしまう感じだった。今年のようなアルコールが軽めのスタイルの方が、ミネラル感を表現できて透明感のあるスカットしたヌーボーができる。 フィリップは云う 『ブルゴーニュ・グランクリュと同じ手間暇をかけたボジョレ・ヌーボーを造る』 今、仕込みが始まったヌーヴォー、今年はフィリップ・パカレ得意のスタイルとなるだろう。スカットした透明感のあるミネラル感に爽やかな果実味がのったスタイルになりそうだ。好ご期待!! Philippe PACALET コート・ド・ニュ地区の高品質のピノ・ノワール収穫 今年は北フランス、特にロワールとブルゴーニュは難しい年だった。 ブルゴーニュは一概には悪いとは言えない。 チャンスよく、必要な時にドンピシャリとやるべきことができた栽培家は被害を最小に抑えることができている。 栽培家がいつ何時でも畑に出れる状況でない限り不可能なこと。ほぼ運と云っても良い。 それほど、今年の天候は千変万化の急変化を呈していた。 冷害と雹には人には、どうにもならない出来事だった。 ベト病の被害の被害も大きかったけど、並外れた努力で運よく逃れた栽培家もある。 ヴォーヌ・ロマネなどコート・ド・ニュイのクリュは葡萄量が少ないけどかなりレベルの高い品質の葡萄が収穫できた。 9月初旬に必要だった雨が降って、天候が続いたのでポリフェノールの熟成を最大限に待って、9月26日に収穫を開始。 ギリギリまで待ったお蔭で茎の根本が 茶色に変色するまでギリギリ待った。 糖度は低めで、ポリフェノールがキッチリ熟したフィリップが狙っている 熟度の葡萄収穫に成功。 2016年産のパカレのピノ・ノワールのニュイのクリュは凄いことになるだろう。ただ、量が少ないのがやや残念。でも、天には文句は言えない。 ブルゴーニュ銘醸クリュが次々と発酵槽に入る!気合が入るフィリップ・パカレ。 ヴォーヌ・ロマネ、ルショト・シャンベルタン、次々と運び込まれてくるピノ・ノワールをチェックする。 一見静かに見えるこの蔵の中には何億もの酵母菌が躍動している。 360億年の天のエネルギーと46億年の地のエネルギーを内蔵にした葡萄を、何億もの自然酵母が動いている。 天と地のエネルギーを液体に転写していく。 我々を楽しませてくれる液体、ワインを造りあげてくれている。 まるで酵母菌達と会話をしているかの様に見えるフィリップ・パカレ。 […]

1
Oct

自然派ワイン発祥のMORGON モルゴン村の番人デコンブ、収穫開始

ボジョレ自然派醸造家の中で、いつも最も遅く収穫を始めるデコンブがほぼ他の自然派醸造家より10日遅れで収穫開始。 理由は三つある。 第1にデコンブは常に最大限に葡萄が熟すことでガメの旨味を引き出すことを狙っている。 第2に、デコンブ自身が確りしたワイン質が好きなこと。 第3に、デコンブの畑は殆ど300m~450mと標高が高いので 葡萄が熟すのが遅い。 2016年はデコンブにとって困難な年だった。6月、7月、8月と3回に渡って雹が降った。 ボジョレの中でも標高の高いところが集中してやられた。デコンブの畑は標高が高い。つまり3回とも雹の道筋に畑が出会ってしまった。しかし、残った畑の葡萄をウドンコ病から守るために、息子のケビンと夏休みも返上して戦った。 8月中旬からの好天候がすべてを救ってくれた。 8月の晴天続きが葡萄を乾燥させてくれた。ウドンコ病がミルミルうちに消えていった。 今度は30度から35度まで達する程の晴天が続き過ぎて8月の後半は光合成がストップするほど乾燥してきた。 極度の乾燥の為に葡萄自身が、自身が生存する為に水分を使うようになって、果実を熟成させる為に水分を回さなくなってしまった。 ところが、デコンブの葡萄木は60歳から100歳までの古木が多いので、根っ子が深く伸びていて水分を地中深くから吸収できる。ただ時間がかかる。 ゆっくりとゆっくりと葡萄が熟成していった。9月初旬に最高のタイミングで雨が降った。葡萄の乾燥ストレスは解消できた。でも、デコンブは収穫を開始しなかった。 周りの醸造家がドンドン収穫を初めても、ジッと動かず待った。 9月18日にやっと収穫を開始した。 デコンブにとって心から納得のいく理想の熟度に達して収穫をすることができた。 収穫した葡萄を検品しながら、あまり感情を表現に出さないデコンブの顔に、満足の笑顔が出ていた。 待った甲斐があった。自分が狙った通りの熟度と酸を備えたデコンブ・スタイルのワインができそうだ。 今年はスペインのフラメンコの世界、セルビアの グループを迎えての収穫となった。 リーダーの髭のガブリエルがフラメンコ歌手、 そして、フラメンコのダンサーも何人か来ていた。 きっと最後の収穫祭はフラメンコの一色のお祭りとなるだろう。 今年のデコンブ・ヌーヴォーのスタイルは? 収穫を遅らせた分だけ、果実味が濃縮していながらも、酸がキッチリ乗っていて、透明感のある、酒質+酸でメリハリのある、まさにデコンブ・スタイルのヌーヴォとなるだろう。 SOUVENIR DE Marcl et Nounoun 私とマルセルとヌヌーンと思い出 ジョルジュ・デコンブは、ボジョレでは“ヌヌーン”の愛称で愛されている。モルゴンの熊のような存在。 体も精神もドッシリしていて迫力がある。まさに、モルゴンの番人という感じ。 故マルセル・ラピエールがこよなく愛した人物でもある。 マルセル生存中、私は高速道路で南下する時は、Bellevilleベルビル出口で下りてモルゴンに寄った。 2008年の夏、マルセルと昼食を済ませて、デコンブに会いに行った。 デコンブ醸造所には、隠れ小屋のようなプライベートBARがある。 14時にBARに入ってデコンブを出たのが夜の11時。 ずっと3人で飲み続けた時があった。 マルセルは酔っぱらってくると、歌を歌い始める。デコンブは本当にマルセルの事が好きで、帰らせないように 次々ボトルを開ける。マルセルも私もベロベロ状態だった。 でも本当に楽しかった思い出。 デコンブにとってマルセルは師でもあってお父さんのような家族だった。 マルセルも同様に接していた。

17
Sep

アラン・カステックスに会ってきた!

Grosse semaine en partant de Banyuls sur mer jusqu’au Beaujolais avec 4 grands restaurateurs et spécialistes japonais de vins naturels, des grosses pointures fous furieux! On passe chez 10 vignerons légendaires et c’est absolument magnifique.. 5 jours de vins mythiques, de vins rares, de repas énormes et de grande gastronomie. Merci à tous pour cette […]

9
Sep

Dominique DERAIN – VENDANGES 2016

Dominique DERAIN s’est termine ses vendanges hier. C’etais parcel Le Puis en Sait Aubin . L’Equipe de vendangeurs etais trois. Et 10% de recolte . Mais, LeCoeur Dominique etais enorme ,chaud. ドミニック ドゥランの2016年の収穫が昨日終了。 ル・プイの区画が最後だった。 内輪の人間だけ3名と少なかった、そして、収穫量も普通の年の10%しかなかった。 でも、ドゥランの心は大きく,熱かった。 2016 est 17eme vendanges pour Dominique. C’est la premier fois d’expeience de Gel de la fin Avril. Et beaucoup de […]

7
Sep

ボジョレ期待の新人、シルヴェール・トリシャール

2013年が初リリースというのにパリのワインビストロでは既に大人気。 自然派ワインに巡り合ったのは2003年、ジャンクロード・ラパリュのワインを飲んで驚愕。 シルヴェールは伯父さんのところで10年間、ビオ栽培の研修を兼ねて働いていた。それまでは自然派ワインを全く知らなかった。 シルヴェール 『ジャンクロード・ラパリュのところに若手醸造家の友人達と行った時、タンタンションを飲んで驚いた。こ、これがボジョレー?伯父さんが造っているボジョレとは全く別の飲み物だった。素直に美味しかった。』 『自分が造りたいワインはこれだ!!』 自然派ワインを知ってしまったシルヴェールは、もう人生が変わった。 自分のやりたいことが明確になった。 伯父さんのところで働きながらも、時間さえあれば、ジャンクロードのところに行って手伝って勉強していた。 5年前に伯父さんの畑を引き継いだ。自分のラベルで瓶詰したのは13年が最初。土壌、畑仕事に関しては、もう15年以上の実施研修でプロ。 醸造はジャンクロードの見様見真似で試作を繰り返して13年が過ぎた。 センスがいいシルヴェールは初リリースから物凄いワインを造った。 2016年は、一時はどうなるか!?と心配だったけど結果的には 近年稀にみる素晴らしい葡萄が収穫できた。 何事も終わってみなければ分からないものだ。 6月、7月は雨と湿気で病気が蔓延、その上に今年は3回も雹が降った。 もうダメだ、と思っていると8月は連日の記録を超す程の晴天が続いた。 まさに、逆転ホームランという感じだった。乾燥で病気は一挙に乾いて 終わってしまった。今度は逆に天候が良すぎて35度という太陽が照り続けて水不足ぎみだった。そんなところに9月に雨が降ってまたまたまた、逆転スリーベースヒットというか感じ。最後には酸を残しながら葡萄が熟して非常にバランスの良い葡萄を収穫。 収穫は仲間達が集まって行われている。ほぼ同年齢のワイン好きが集まった。 暖かいホワッとした雰囲気が流れている。 葡萄の状態もいいし、収穫する立場から見ても良い葡萄を取るのは気持ちがいいものだ。 極力、ストレスなくいい雰囲気に収穫が進んだ方が良い。 収穫で大切なのは、第一に良い葡萄だけをとること。 だから、若干のトリアージ(悪い部分を切り取る作業)は厳しくやらなければならない。 第2あまりストレスのない状態で収穫すること。 ベテラン醸造家ほどストレスが多いことがある。 やはり色々なプレッシャーがかかったり、背中に背負うものが多くなってくるのだろう。その点、若手はまだ真っ直ぐにできるからいい。だからお美味しいものが多い。 シルヴェールの土壌は花崗岩だけではない。南ボジョレと北ボジョレの中間に位置したBALACEブラッセ村にある。砂状の中に細かな石英石が沢山混じっている。大変水捌けの良い土壌である。雨が降っても水がすぐに浸透していく。繊細なワインが期待できる。 6月、7月の湿気の中でも、他の土壌よりも病気が少なかったに違いない。 8月の晴天で一挙に畑が乾燥してベト病も終焉したのはこの土壌のお蔭だ。 健全な葡萄が多いのに驚いた。 シルヴェールの造りは基本的にラパリュから学んだ。だから自然派のジュル・ショーヴェ方法を継承している。醸造中の雑菌の繁殖による失敗を避ける為に、収穫後に普通は葡萄を冷却する。その為の冷蔵コンテナを備えている。 しかし、今年は朝の気温が7度と低いので、朝収穫したものはそのまま発酵槽に入れている。午後、収穫したものは一晩冷やしてから翌朝に発酵槽に入れる。 発酵槽に葡萄を入れる作業は、ポンプを使うと葡萄が傷んで雑菌が繁殖しやすくなるのでポンプは使わない。 ベルトコンベアーで発酵槽の上部まで上げて重力で発酵槽内に落とし込む。 時間と手間はかかるけど、このような作業のお蔭で、発酵槽に酸化防止剤をいれなくても、雑菌が繁殖しない。 SO2(酸化防止剤)を多用すると自生酵母も死んでしまう。 SO2(酸化防止剤)を混入しないお蔭で自然酵母も元気で、自然酵母のみでの発酵することが可能となる。 畑で育った自生酵母のお蔭で、その地の特有の香り、風味がワインに表現できる。 自然派ワイン以外の普通のワイン造りは、収穫後、発酵槽にドサリとSO2を混入して雑菌を殺すと同時に自然酵母も死んでしまう。そこに人工酵母を混入する。 畑、そこの土壌とは全く関係のないとろ、研究室で培養された人工酵母を入れてワイン造りが行われる。ワイン造りの基本は酵母菌だ。 その酵母菌を他から人工的に造られたものを使用しては、工業製品と同じだ。まるでコカコーラだ。 そこの土壌の本来持っている風味は表現されない。スポーツの世界でいえばドーピンと同じこと。 6000年のワイン造りの歴史でこんな風に造られるようになったのは、60年前からだ。 大量生産で、そこそこ毎年同じようなワインを造る為にはいいだろう。 今朝、収穫した葡萄のジュースを飲んでみる。 果実味も豊富で酸もあり、潜在アルコール度数は12度前後。 2016年は、まさにボジョレらしい果実がタップリでアルコールが軽くて、酸も丁度よく爽やかでグイグイ体に入っていくスタイルになるだろう。 4日前に収穫した発酵槽を覗いてみる。本当に健全な葡萄のみしか入っていない。 葡萄房を取ってみる。ナマ温かい粒を食べてみると、粒内で発酵が始まっている。香りがたちこもっている。 何十億とも天文学的数の酵母が活発に働いている最中。 発酵の初期に働く自然酵母がワインの香りに大きく影響を与える。 この時期が大切な瞬間。 自然派ワインは手間暇が倍かかって、リスクも高い。でもシルヴェールはこれに人生を賭けた。 […]

6
Sep

2015年のNOUVEAU が完成!!

パカレ家の毎年恒例の新酒の合同試飲+アッサンブラージ ここ数年、パカレ家のNOUVEAUが完成するこの時期にお互いのワインを持ち寄って共同試飲を実施実行している。 フィリップ・パカレ、クリストフ・パカレ、二人とも今やブルゴーニュ、ボジョレを代表する醸造家である。 更に、お互いの研究の為に、お互いのワインを持ち寄って、今年の天候、状況の違う区画別の葡萄、それぞれ発酵を終えたワインを検証しながら研究を深める二人。 更に、それぞれの蔵のアッサンブラージをお互いの意見を聞きながら実行している。マルセル・ラピエールの教えを受けながら育った二人。年齢的にも経験も積み重ねて、尚一層の品質の高いワインを目指して研究を重ねる。 2015年の天候、葡萄、収穫状況 2015年 こんなに健全な葡萄を収穫できた年は過去にないだろう。 5月の開花から6月、7月、8月の中旬まで異例の晴天が続いた。しかも、2003年を思わせる40度を超える猛暑も数日間続いた。8月初旬までは誰もが水不足で悩んでいた。 8月の中旬から恵みの雨が降り出した。畑区画によっては極度の乾燥から葡萄が熟すことを止めてしまった状態もあった程である。この恵みの雨で一挙に葡萄が生き生きとしてきて、熟成が進んだ。8月の後半から収穫を開始する蔵もあった。畑の標高、斜面の方向によって熟度が違う年となった。 2つの一般的な共通点 共通して云えることは二つ。 腐った葡萄が殆ど無かったこと 葡萄皮が厚く、粒が小さいこと。つまりジュースが少なかったこと 7月―8月の猛暑で皮のタンニンが濃縮しており、その上に果肉・ジュースが少ない為に、濃縮感のある果汁が素材となった。造り手によってその素材をより濃縮させるカモシをするか否かは、それぞれの好むスタイルによって違う。 15年産は猛暑の太陽を十分に表現させた濃縮スタイルと、猛暑を感じさせない繊細なスタイルと2つに分けることができる。造り手の好み、深味がよく分かるミレジムとなるだろう。 2015年は必要以上に濃縮してしてしまったスタイル 2015年は、普通に収穫して、普通に醸造すれば、まるで南のグルナッシュ品種のようなワインになってしまう。 一般的には、2015年のボジョレ・ヌーヴォーは濃縮して南仏ヌーヴォーのようになってしまうだろう。 濃いヌーヴォー!と自慢している醸造元も多い。 しかし、この二人は違う!そんな普通の当たり前のヌーヴォーは醸さない。選択した畑の斜面、標高、樹齢を計算して熟度が違う段階で収穫した。15年といえども南仏ヌーヴォーの様には濃くしない努力をできうる限りを尽くした。 2015年は普通なら14度、15度のアルコール度数のヌーヴォーが多い。 二人は13度台に抑える栽培、収穫を実施した年になった。10種類程のサンプルの中には12.5度という15年産としては異例の上品な軽やかさでジュシーなヌーヴォーがあったのには驚きだ。流石にパカレ家のヌーヴォーは違う!! ボジョレの土壌、ミクロ・クリマを研究し尽くしたこの二人なら、15年産と云えどもボジョレヌーヴォーらしい、ビュバビリテーを備えた上品なスタイルに仕上げることができる。

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Juil

今、スペイン自然派が面白い!!

今、スペイン自然派が面白い!!-NO1 6月末にスペインのタラゴナの美しいMONTBLANCモンブラン村にて大自然派ワイン見本市 H2Oが開催されました。場所はスペインの自然派の中心人物、ホアン・ラモ・エスコダさんの醸造所で行われた。 スペイン、フランス、イタリア、スイス、などから約70社ほどの醸造元が結集した スペインの自然派ワインの品質のレベルの高さには驚愕した。物凄い勢いでスペイン自然派ワインが進化している。 Degustation vin nature H2O chez Joan Ramod Taragona. 今回はClub Passion du Vin のスタッフKishoと参加。Kishoはスロバキアからバルセロナ、私は南フランスのモンペリエからバルセロナ、バルセで待ち合わせ。レンタカー会社のコンピューターシステムが故障というスペインらしいトラブルで約1時間半もかかってやっとレンタカーを借りられた。 いざTARAGONAを目指した。 高速道路をKISHOの運転で飛ばして1時間チョットで会場のあるMONTBALANCモンブラン村に到着。 モンブラン村に到着すれども全く試飲会場の表示がなく迷う事30分。やっと山の方角である事がわかり山を目指して走った。これまた迷う事30分、試飲会場の貼り表示が全くない。感 だけが頼りで探しまわっていると、山の麓の一角に車が多く駐車している建物を発見、昼過ぎに何とか会場にたどり着いた。 会場に入ると自然派ワイン好き達が目を輝かして楽しんでいる。陽の熱気でカリアンテ!カリアンテ !! 私は第一回目のH2O VEGETALにも参加した。 それと比較すると、参加している蔵元数も、来場者の数も一段と増えている。 来場者も海外のバイヤーも多かった。いつもこの種の試飲会場で顔を合わせるベルギー、オランダ、北欧のバイヤーの面々も来ていた。 会場は二つに分かれていた。一つはスペイン自然派、もうひとつはフランス醸造家とその他の国、と分かれていた。 何はともあれ、会場の雰囲気、空間が実に心地よいエネルギーに溢れていた。 PARTIDA CREUS パルティダ・クルーズ –NO1 スペイン自然派の品質向上には目を見張るものがはる。フランス自然派の中堅をはるかに超えるレベル到達しているワインが既に多く存在しているのには驚愕した。 フランスのトップクラと肩を並べる蔵元が幾つか存在していた。 その中でも、最も光輝いていたのは、PARTIDA CREUS パルティダ・クルーズ醸造だ。すでに世界中から引っ張りだこになっている。なかなかブースにも近づけない状態だった。 フランスのトップ・クラスと比較しても勝るとも劣らない高品質な液体を醸している。Club Passion du Vinスタッフの中でも、フランス産も入れて15年産の最も愛すべきワインの蔵元である。 ワインだけではない、マシモの人柄、やっている事、考え方、生き方すべてに感動の内容。 奥さんのアントネルのチャーミングで明るい人柄、屈託のない笑顔、人と接する時の自然な温かさ、こんな夫婦が世に存在していることに喜びを感じる程である。 今、私に最も愛すべき蔵は?と聞かれれば、私は躊躇なくこのPARTIDA CREUS パルティダ・クルーズの名を挙げる。 KISHOも会場に入ると真っ直ぐに、このブースに直進。 なんて、美味しいんだろう! スーと体に沁み込んでいく。 素晴らしい液体だ。 ホエ醸造 ここスペインでも多くの新人が全く別の職業から自然派ワインを造りだす人が増えている。地理と歴史の先生をやっているロージェさんも14年よりこの世界に参入。 オレンジの産地、ヴァランシア市の山間部の標高の高いところに3hの葡萄園を手に入れて自然派ワインを造り始めた。 子供の頃は山間部の段々畑一体が葡萄園だった。ここ10年間に殆どの葡萄園が引き抜かれて故郷の景色が全く変わってしまった。 ロジェは故郷で葡萄のある景色を再現したかった。自然派ワインの大ファンだったロジェは、迷わず自然派ワインを造り出した。彼はフランスの自然派が大好きであり、フィリップ・パカレ、ラングロールなどをスーッと入ってしまうワインが好み。柔道家でもあるロジェは日本が大好きだ。 ロス・コムン醸造 […]

23
Mai

酒販店グループESPOAの精鋭部隊がやって来た!!(ボルドー)

酒販店グループESPOAの精鋭部隊がやって来た!!(ボルドー) 日本の酒販店グループのESPOAが恒例の5月買付ツアーにやって来た。日本全国に約100店、独立を保ちながら良い商品、食品、酒、ワインなどグレードの高い本物商品を販売する酒販店集団である。 限りなく体と地球に良い商品を、無名だろと有名だろうと関係なく熱意と努力で販路を広げているグループだ。 ワインは90年代前半より23年前より直輸入している。毎年、精鋭部隊がミレジムの検証と新規ワインの開発の為にやって来る。(写真はボルドーのガロンヌ河の畔、ここから世界に向けて船で出荷された。今は世界遺産に指定されている。) Le groupe de Cavistes japonais est arrive a BORDEAUX. Il y a100taine caves sur Japon entier. Il essaye de presenter des vins et alimentations haute qualite et authentique ,mieux pour sente et la Terre . Ils ont beaucoup de passion et pacience, cars c’est pas facile de vendre produits un connu. […]

4
Nov

エノコネクション新人2人の珍道中 収穫後のボジョレー&ブルゴーニュ (後編)

4)マルセル・ラピエール*Marcel Lapierre 故マルセルさんの息子である、Mathieu*マチューさんが私たちを迎えてくれました。 実は前日にも少し寄ったのですが、お昼をご馳走してもらい、この日もまずはお昼から・・。 私たち働いていないのに、申し訳ない~と思いつつも、美味しすぎる昼食に舌鼓をうちながらニコニコして しまいました。 なんでも、マチューさんはもともと料理人のため、収穫中にお願いしているシェフもなんとパリの三つ星☆☆☆レストランでもともと働いていた方にお願いしているそう。テット・ド・ヴォーという、 牛の頭のお肉でかなりビクビクしながら一口・・・・・・・・おっ美味しい!! ラピエール家をマチューさんと共に支える家族 マルセル亡き後のラピエール家は残った家族全員で醸造所を支えています。とくに頼もしいのは、故マルセルの奥さんでもあり、マチュのお母さんでもあるマリーさん。 マルセルと二人で自然派ワイン界を育ててきました。 今も現役でラピエール家の原点を支えています。 2015年は長女のカミュさんが醸造全般を管理。 マチューの良き右腕的存在です。 末っ子のアンヌはラピエール家の太陽。 明るく、周りの雰囲気を盛り上げ、 必要な個所に現れて援助しています。 9月11日に収穫がすべて終わり、今はマセラシオン・カーボニックと圧搾作業。 伝統的な直下型圧搾機を2台持っているため、50個のワイン大桶にたっぷりはいているブドウを交互に圧搾できるそう。 「収穫は終わったけど、まだまだ気は抜けないよ。むしろこれからだ。」とマチューさん。 ブドウ収穫は終わったものの、酵母菌が天候や気圧に影響されることがあるため、酵母と発酵の状態の管理を綿密にし続けなければいけないとのことでした。 なんとマチューさん、醸造所近くに自前の研究室を作っており、自生酵母やブドウジュース内の成分を常時管理されているそう。顕微鏡まで持っているのはすごい! 普通のヴィニュロンと同じく、ワイン成分分析自体は近所の研究所に頼んでいるそうですが、「この機材があればより細かく、すぐに自分の目でワインの状態を確かめられるからいいんだ」とマチューさん。 こだわりがうかがえますね! 2015年産は? 少し時間をいただいて、マチューさんから日本の皆さんへのメッセージビデオをとらせていただきました。 「今年のブドウはとても早熟で、収穫も早く終わったけれど、ブドウの質が目を見張るほど良くて、ここまでレベルの高い年は久しぶりだよ。 ここにある全てのタンクはブドウで一杯になっていて、醸しがはじまっているけれど、例えばこのブドウの房も、食べてみると味わい・アロマもしっかりとしていて、素晴らしい年であることがはっきりとわかる。セミ・マセラシォン・カーボニックも例年に比べて長く、このままいけばとても美味しいワインが出来上がるはずだよ。 モルゴン2015年のパラディ(圧搾直後のブドウジュース)も味わい深くて、とても「(マチューさんの誇らしげな日本語で)おいしい!^^」。 骨格がしっかりしていて力強く、果実味があふれているね。 皆さんには、もし1月に来てもらうことができれば、2015年の美味しいワインをぜひ味わって頂きたいです!」 5)ジャン・クロード・ラパリュ*Jean Claude Lapalu 今回キショウが特に楽しみにしていたのがラパリュ!伊藤さんと一緒に飲んで、その美味しさに感動したそう、当主のジャン・クロードさんに会うのもとっても楽しみにしていました。 通常より5週間早めの8月25日頃に収穫が始まったというラパリュですが、場所がとっても美しい景観のなかで、こんな場所に生まれたというのが羨ましくなってしまいます。 広い醸造所に入ると、コンクリートタンクやステンレスタンク以外に、アンフォラを発見! なんでも友達のヴィニュロン同士でアンフォラのグループを造っているらしく、自分で注文したアンフォラ以外にも他のヴィニュロン から譲り受けたものも多いそう。(アルマ・マターのキュヴェはアンフォラにて醸造。その年のブドウの質によってアッサンブラージュの比率等を調整しているようです。) ちょうど行ったときは、直下型圧搾機で1回目のプレスが終わり、ちょうど2回目のプレスに備えてブドウをかき混ぜるところでした。 マールの切り崩し作業 圧搾した後のブドウをマールと呼ぶのですが、ケーキのようにぺちゃんこに固まったマールを切り取り、崩して、スコップでかき混ぜ、台形状にして2回目の圧搾を行います。 とっても重労働ですが、私も少しやらせてもらいました! お邪魔かと思いつつ、「ちょっとだけやってみたい」と恐る恐る聞いてみたところ、ラパリュの従業員の方々はとても優しく、快くやらせてくれました!コツを教えてもらいながら、少しずつマールを切り進めていきます・・・。 ジャン・クロードさんいわく、当初はプニュマティック圧搾機でやっていたものの、なんと伊藤さんのアドバイスを受けて、直下型の圧搾機に変えたそう。味の繊細さがぐっと増して味わいがとっても良くなったとご本人も大満足。従業員の人も、大変だけど最高の結果がだせればねとニコニコしていました。なんでも、ブドウの茎や皮がフィルターとなり、自然に濾過した状態になるとのこと。出てきたブドウジュースもとってもクリアできれいです。 畑の管理も、1960年代の小さなトラクターを引っ張り出して使っているそう。ボジョレーのガメイはゴブレ型剪定のため、通常は大きな機械を通すことができないのですが、ラパリュでは馬と同じ重さのこのトラクターを使って、ブドウ樹への負担を最小限に抑えながら耕しているそうです。 確かに、除草剤を使っている他の畑と比べると、ブドウ樹のいきいきとしたオーラが違います! ちなみに、ブドウが太陽の光を最大限吸収できるよう、ブドウ樹はゴブレなものの、成長した後はブドウ樹の蔓を上でまとめるそう。 トラクターにも蔓がひっかからないよう、最大限の注意を払っています。 ちなみに土壌はグラニット・ローズ(ピンク色の花崗岩)。 ジャン・クロードさんとお仕事がひと段落した従業員の方々と、わいわい歓談した後は、ジャン・クロードさんのおうちのお庭でテイスティング。 美しいブドウ畑が目の前に広がるテラスは素敵の一言。 こんなお庭のある家にいつか住んでみたい!と夢がふくらむ景色です。 試飲 オー・フォート […]

22
Oct

エノコネクション新人2人の珍道中 収穫後のボジョレー&ブルゴーニュ (前編)

まだ暖かい陽が差し込む9月の中旬、収穫の熱冷めやらぬボジョレーとブルゴーニュに、ウノコネクションの新人2人(キショウ、ユリ)が潜入してきました! マコン駅からボジョレー→ボーヌ周辺→ボジョレーの2日間で、エノコネクションの看板でもあるスターヴィニュロンへはじめましてのご挨拶と、もしもできれば収穫に参加してしまおう!という計画です。  Yuri  Kisho 気になる訪問先は・・・ クリストフ・パカレ Christophe Pacalet フィリップ・パカレ Philippe Pacalet サルナン・ベリュ Sarnin Berrux マルセル・ラピエール Marcel Lapierre ラパリュ Lapalu ローランス・レミ・デュフェートル Laurence et Rémi Dufaitre クリストフ・パカレ*Christophe Pacalet 日曜にもかかわらず笑顔で奥様と迎えてくださったクリストフさんのところでは、9月9日、猛暑による凝縮したブドウが取れ、晴れて収穫終了。今年は8月24日から開始、例年に比べかなり早く終ったそう。特に丘の上のブドウ畑(サンタムール、コート・ドブルィ)は強い太陽の光でブドウが乾燥し、凝縮した小さいブドウがとれました。 コート・ド・ブルィの土壌の特徴について ボジョレーは花崗岩土壌であることが有名ですが、特に火山質が混じるコート・ド・ブルィからは、色調も濃く力強さがあるワインが出来ていました。なんでも、火山質の土壌は酸性度が高めで栄養分が少ないため、樹勢が強い品種であるガメイもたくさん実をつけることがなく、その分凝縮感のあるブドウがとれるとのこと。さらに天候に恵まれない年であっても比較的均一な量のブドウが取れるのがコート・ド・ブルィの特徴とのことでした。 一部の発酵槽はグラスファイバー製タンク 今年に関しては、ブルィ以外のキュヴェの量がかなり減ってしまい、例年の半分しかとれなかった畑もあるそうです。 ここでは一部の発酵槽はグラスファイバー製を使用しており、マセラシォン・セミ・カーボニック醸造中の葡萄丸ごとの房が見えます。タンクをたたくと、薄透明のタンク越しになんと泡がふわ~っと浮かび上がってくるのが見えます!ここからボジョレー特有のアロマや優しい色合いが抽出されているのかと思うと、感動しました。 マルセル・ラピエールより譲り受けた古式圧搾機 また、ここでは赤はプニュマティック圧搾機を使わず、伝統的な直下型の圧搾機を使っている。 重力を利用したこの圧搾機からはゆっくりとした優しいプレスで、ブドウの種からの渋みや、皮からの粗いタンニンが出ないようになるとのこと。 マセラッション・カルボ醸造のプレスは直下型の圧搾機が最高。 時間をかけてゆっくりプレスすると、まるで葡萄の皮から汗のようにブドウジュースが滲みでてくるので繊細なワインになるとのことでした。 ブドウを圧搾機いっぱいに詰め込んで、24時間ゆっくりとプレスします。 試飲 ボジョレー・ブラン とてもクリアでレモンのような色合い。ゆっくりと立ち上る白い花の香り、 柑橘系のきりっとした酸味が心地よく舌の上に広がります。 コート・ド・ブルィ とても濃く、若いローヌワインを彷彿とさせるような紫色の色調。 赤・黒系果実の香りが主張し、凝縮感があり飲みごたえがあるワイン。 クリストフ2015年11月ヌーヴォー解禁時に日本行き決定! 日本食が大好きとのこと、クリストフさんは今年のヌーヴォー解禁の時は日本に行くことになっています。美味しい日本食をとても楽しみにしていました! クリストフ・パカレとヌーヴォー解禁カウントダウンを楽しみたい方 11月18日 00時に東京新橋でヌーヴォー解禁 カウントダウンパーティーをクリストフと 楽しんでください!! 2)フィリップ・パカレ*Philippe Pacalet フィリップ・パカレ2015年 収穫終了パーティーに参加 新人二人はここからフィリップ・パカレの収穫に参加をするために北に移動。 フィリップさんに今から着きますの電話を入れたところ、「今さっき摘み終わったところだよ」!! なんと・・・・が~ん。 ここ最近の猛暑のせいで、予定よりも収穫が早まったらしく、それならと収穫終了のお祭りであるポレ(ブルゴーニュでは「ポレ」、ボジョレーでは「ラフボール」というそう)に、どさくさに紛れて参加させていただき、美味しいクスクスのご相伴にあずかってしまいました。 収穫自体は終わったものの、まだ白の圧搾作業が残っているとのこと、パカレさんはとっても忙しそうでしたが、今年の素晴らしいブドウがとれた話などを手短にしてくれ、笑顔の素敵な奥様も、ブルゴーニュ・アリゴテ2014、ジュヴレ・シャンルタン2008、ポマール2008など飲ませてくれました! […]

11
Oct

マルセル・ラピエール 追悼

マルセル・ラピエールが亡くなって、もう5年の歳月が過ぎた。自然派のパップが昇天しても、自然派ワインは大きく成長を続けている。フランス最大のワイン雑誌、ラ・レヴュ・ド・ヴァン・フランスがマルセル追悼記念の記事を掲載した。 自然派にとってあまりにも偉大な存在だったマルセルがいなくなってから、自然派の中心、土台、柱が無くなった感がある。その代わりに、各地方に小粒のリーダーが多くできている。自然派の勢いは益々盛んで、増えている。マルセルが示した道は偉大だ。 偉大なるマルセルの命日が10月11日である。世界中の自然派ワインファンが、まるでマルセルの復活祭のように、マルセルに敬意を祝して自然派ワインを飲む日だ。勿論、マルセル・ラピエールを持っている人はCUVE MARCELを飲むだろう。 歴史にもしはありえない。しかし、もしマルセルの存在が無かったら自然派ワインが今のように発達しなかっただろう。より遅く、違う形になっていただろう。今、我々がこうして自然派ワインを楽しめるのはマルセルによるところ大きい。有難う、MERCI MARCEL ! Marcel LAPIERREは日本が大好きだった。マルセルと富士山に行ったことがある。雄大な日本の象徴である富士山をみて大変喜んでいたことを思い出す。マルセルは自然派ワインの世界の富士山だった。雄大で、深く、多くの人に安らぎと勇気を与えてくれた。乾杯!!マルセル!

8
Nov

ブルゴーニュ自然派の中心、理論と感性で進化を続けるPHILIPPE PACALET

ブルゴーニュを代表する醸造家に 今や、フィリップ・パカレは醸造家としてブルゴーニュを代表する人物の一人となった。これは自然派、コンバンション(化学物質使用ワイン)を問わず、ブルゴーニュのワインとして名実ともにブルゴーニュの中心的存在になりつつある。自然派という範疇を超えたところで評価されている。 ブルゴーニュの内部でも醸造家同士の中でも 評価されているところに価値がある。   フィリップがジュル・ショヴェ博士と共同研究した成果 フィリップ・パカレはジュル・ショヴェ博士と自然酵母の共同研究をして自然なワイン造りにおける自生酵母の重要性を科学的検証をもって発表した人物である。フィリップは自然派ワイン造りをミステリー的にとらえることなく、あくまでも物理学、生物学的に説明できる唯一の醸造家でもある。 自生酵母の研究レポートの中でも最も強調しているのは次の点である。 畑に住む自生酵母は約30種類である。それぞれがアルコール発酵をバトンタッチの如くに引継ぎながら1度~13度程までのアルコールを生成する。特に大切なのは、発酵の初期に働く自生酵母群であるクロケラ酵母属のクロケラアプキュラタ酵母が最も優れた芳香性をもたらしてくれる。これらの酵母は低アルコール時のみ働ける酵母である。 フィリップの象徴的な果実風味はこの辺が大切なポイントなのだろう。   自生酵母とブルゴーニュ・テロワールの関連性を探究するフィリップ・パカレ 自生酵母の役割・発酵の5段階 フィリップはジュル・ショーヴェ博士との共同研究で学んだことを10年間のプリューレ・ロック醸造所の醸造長として実践してきた。 ブルゴーニュのテロワールの違いを、自生酵母群と関連づけながら実証してきた。更に独立してからの10年間、ブルゴーニュの各クリュの区画に生息する自生酵母と、各クリュの特徴的な風味への関連性をさらに深く探究してきた。 フィリップは醸造段階を下記の5段階に分けている。 それぞれの段階で働く自生酵母が違う。約30種類の自生酵母が、各発酵段階で働きアルコールを生成しながら、 テロワールの持つ独特な芳香をワインに醸しだしているのである。 自生酵母は、『テロワール』の表現においてカギとなる役目を果しているのである。 1.潜伏期 = アルコール醗酵開始のタンク入れ段階  (1mℓ中100万の自生酵母) 2. 加速期 = アルコール5%までのピジャージュ開始段階 3. 指数増加期 = アルコール4~6% 4. 減速・停滞時期 = アルコール6~9% 5. 末期・終了期 = 糖値ゼロまで、アルコール13% ニュイ・サン・ジョルジュとポマールの土壌に住む自生酵母の種類構成が当然違う。その畑のミクロ・クリマ、つまり太陽のあたり具合、風の強弱、降雨量、土壌構成(粘土質と石灰岩盤構成率など)の影響を受けて、そこの畑に住む自生酵母群の種類構成が違う。 その違いがポマールとニュイ・サン・ジョルジュの風味の違いとなる。5段階のそれぞれのスタードで働く自生酵母がカギだから自生酵母を弱体化させるSO2酸化防止剤を使用しない。 フィリップにとっては収穫・醸造は、一年に一度しかできない大切な 実験・検証の時期なのである。静かな醸造所の発酵槽の中では、何千億という天文学的数の自生酵母が、物凄い勢いで動いて発酵を続けている。それぞれの段階にある酵母菌が元気に働きやすいように見守っている。微生物たちとブルゴーニュ・テロワールの関連性探究に25年、どんな年でもあのパカレ独特のピノ風味を楽しませてくれる。パカレにブレはない。 土地代の高騰が表面化するブルゴーニュのアンニュイ ブルゴーニュ醸造家の悩み そんなフィリップ・パカレにも悩みがある。ブルゴーニュの土地代の高騰である。3年前に中国人がブルゴーニュの畑を法外な高値で買い取った。その影響で一挙に土地代が高騰した。土地代が上がれば、葡萄の価格も当然あがる。2012,2013年と天候不良による生産量の激少も手伝って、ここ3年の高騰は異常な上がり具合となっている。 畑を借りて栽培・収穫した葡萄を買い取るパカレにとっては大問題である。ボジョレ出身のパカレにとっては、ワインはあまり高くしたくない心情を持っている。価格をあまり上げたくないけど、土地代は上がり続けている。ここがフィリップの最大の悩みだ。 ワイン造りとは直接に関係ない方面からの問題が発生している。 他の地方にはないブルゴーニュ病ともいえる現象だ。ボルドー、シャンパーニュ地方の大手企業が金権経営するようなところでは同じような問題が存在する。しかし、ブルゴーニュのように小さな農家・醸造家が多いところでは生活に直接ひびく大問題になる。例え畑を所有していても土地代が高騰すれば、相続税が莫大になる。利益を確保していないと畑を売らないと相続税が払えなくなってしまう。真面目に美味しいワインを造ろうと努力している農家的醸造家ほど厳しい状況となってしまう。これがブルゴーニュ病なのである。 他の地方の土壌・葡萄でフィリップ・パカレが醸すワイン そこで、フィリップは数年前より、他の地方の葡萄でワイン造りも開始している。 ブルゴーニュから離れた地で、昔から興味を持っていた土壌の葡萄を自分のやり方でワインを造りたかった。Cotes de Provenceに昔からビオ栽培を指導している葡萄園がある。 13年よりその葡萄でワイン造りを開始した。ブルゴーニュから離れた土壌で土地代の問題とは離れたところで、しかも興味深い土壌で、今まで蓄積した醸造理論でワイン造りをしてみたかった。ブルゴーニュをより理解する為にも必要だと考えた。   フィリップ・パカレ・ボジョレ・ヌーヴォ2014 ピノ・ノワールのように醸すパカレ・ヌーヴォ 2014年はフィリップにとっては理想に近い天候だった。  5、6、7月は天気が良すぎた。ピノもガメも北の品種である。あまり天気が良すぎても“らしさ”が消えてしまう。8月の曇り空、冷夏がフィリップにとっては最高の条件だった。何故なら、8月が暑いとポリフェノールが熟しすぎてガメイ“らしさ”の繊細な果実味が消えて強くなりすぎる。今年の冷夏はフィリップにとっては救いの神だった。 春から初夏の晴天続きで葡萄が早熟ぎみだった。8月の冷夏、淡い太陽でゆっくりポリフェノールが熟した。良質な タンニンが得られたのである。 バランス感覚の素晴らしいヌーヴォーのスタイル 2014年が瓶詰された。 今年はアルコール発酵が順調で例年より早めのスピードで進んだ。自生酵母が元気だった。キューヴェゾン(カモシ)期間は10日間だった。 冷夏だったわりには色が混い目に抽出された。美しいルビー色。軽めのアルコール度。 酸の爽やかさが中心となって、その周りをガメのマセラッション・カルボ醸造独特の果実味でオブラートされている。単に軽めのワインではなく、花崗岩のミネラルが芯を支えている。 『今年の自生酵母達が一所懸命に働いてくれました。酸のフレッシュさが特徴、  本当に心地よいバランスに仕上がりました。楽しんでください。』パカレ